ワイルド・レンジ 最後の銃撃 | |||||||||||||||||||||||||||
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ワイルド・レンジ 最後の銃撃 (2003) | |||||||||||||||||||||||||||
OPEN RANGE | |||||||||||||||||||||||||||
映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 (2003)
OPEN RANGE 』を紹介します。 映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』を以下に目次的に紹介する。 ■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』のポスター、予告編および映画データ ■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』の解説 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』のスタッフとキャスト ■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』の結末 ■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |||||||||||||||||||||||||||
■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』のポスター、予告編および映画データ | |||||||||||||||||||||||||||
ワイルド・レンジ 最後の銃撃
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN
RANGE 』の解説 映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 (2003) OPEN RANGE 』は 2003/09/08 の時点では邦題が分からなかったので『 オープン・レンジ 』としていたら、『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』と決まった。『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』の原題「オープン・レンジ」には「広々した放牧地」他、色々な意味が含蓄されているので観てのお楽しみ。 『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』は久しぶりの西部劇で、『 ダンス・ウィズ・ウルブズ (1990) DANCES WITH WOLVES 』『 ワイアット・アープ (1994) WYATT EARP 』『 13デイズ (2000) THIRTEEN DAYS 』『 コーリング (2002) DRAGONFLY 』等のケヴィン・コスナーが監督・製作・出演の三役を務めている。『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』共演のロバート・デュヴァルは、アメリカの南北戦争で活躍した‘リー将軍’の直系の子孫だそうだ。スゴイな。 デュヴァルとコスナーは牛と馬の群れを大平原を越えて運んでいるカウボーイ。自分の土地を持たないで、移動しながら放牧している。ある町で、それをよしと思わない連中が二人の仲間を痛みつけ殺しさえする。そこで二人は立ち上がる、という典型的な西部劇だ。ロマンスの相手役アネット・ベニングが開拓時代の女性をしっとりと且つ強く演じているのもいい。 |
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【『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE 』のスタッフとキャスト】 | |||||||||||||||||||||||||||
監督: ケヴィン・コスナー Kevin Costner (Directed
by) 製作: ケヴィン・コスナー Kevin Costner (producer) ジェイク・エバーツ Jake Eberts (producer) デヴィッド・ヴァルデス David Valdes (producer) 製作総指揮: アーミァン・バーンスタイン Armyan Bernstein (executive producer) クレイグ・ストーパー Craig Storper (executive producer) 原作: ローレン・ペイン Lauran Paine (novel"The Open Range Men") 脚本: クレイグ・ストーパー Craig Storper (screenplay) 撮影: ジェームス・ミューロ James Muro (Cinematography by) 編集: マイケル・J・ダシー Michael J. Duthie (Film Editing by) ミクロス・ライト Miklos Wright (Film Editing by) 配役: ミンディ・マリン Mindy Marin (Casting by) 音楽: マイケル・ケイメン Michael Kamen (Original Music by) ジュリアナ・レイ Julianna Raye (original theme song) 出演: ロバート・デュヴァル Robert Duvall ボス・スピアマン Boss Spearman ケヴィン・コスナー Kevin Costner チャーリー・ウェイト Charley Waite アブラハム・ベンルビ Abraham Benrubi モース Mose ディエゴ・ルナ Diego Luna バトン Button アネット・ベニング Annette Bening スー・バーロー Sue Barlow ディーン・マクダーモット Dean McDermott ドック・バーロー Doc Barlow マイケル・ガンボン Michael Gambon デントン・バックスター Denton Baxter マイケル・ジェッター Michael Jeter パーシー Percy ジェームズ・ルッソ James Russo 保安官プール Sheriff Poole キム・コーツ Kim Coates バトラー Butler ▲TOPへ |
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<もっと詳しく> | |||||||||||||||||||||||||||
ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。 ▲TOPへ 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第01段落】 映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』の始まり。清澄なBGMに、大草原をゆったりと移動中の牛の群れ。緑滴るこの地のロケは、プレーリー Prairie 、具体的にはカナダのアルバータ州 Alberta, Canada である。冬には一面の深い銀世界になる地帯だから、撮影は緑の豊富ないいシーズンにしたのだろう。撮影は 『 タイタニック (1997) TITANIC 』 『 追跡者 (1998) U.S. MARSHALS 』 『 交渉人 (1998) THE NEGOTIATOR 』 『 プリティ・ブライド (1999)RUNAWAY BRIDE 』 『 レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON 』 『 X−MEN2 (2003) X-MEN 2 』 『 リディック (2004) THE CHRONICLES OF RIDDICK 』のジェームス・ミューロ、 音楽は『 ダイ・ハード (1988) DIE HARD 』 『 リーサル・ウェポン4 (1998) LETHAL WEAPON 4 』 『 X−メン (2000) X-MEN 』 『 ファイティング×ガール (2004) AGAINST THE ROPES 』等のマイケル・ケイメンである。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第02段落】 『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』で、この牛の群れを率いているのはボス・スピアマン(ロバート・デュヴァル:『 60セカンズ (2000) GONE IN SIXTY SECONDS / GONE IN 60 SECONDS 』 『 ジョンQ−最後の決断− (2002) JOHN Q 』 『 ウォルター少年と、夏の休日 (2003) SECONDHAND LIONS 』等に出演)という初老のカウボーイ。彼の下で 10 年間近く一緒に仕事をしているのはチャーリー・ウェイト(ケヴィン・コスナー)。ケヴィン・コスナーは 『 コーリング (2002) DRAGONFLY 』出演の際はお腹もチョッピリ出ていたのが気になったけど、あれからダイエットしたのか、今回の作品では全然気にならなかった。無精ひげを伸ばし、テンガロンハットを被り、ネッカチーフを巻き、ローハイド(生皮)のオーバーズボン(何て呼ぶのでしょう?)を履いた 6' 1" ( 1.85 m )のカウボーイ姿は板についている。ひげや顔つきは埃だらけの茶色系統の服装と一体化し、非常に自然な佇まいだ。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第03段落】 『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』で、ケヴィン・コスナーは監督・製作・出演の三役をこなしている。製作に取りかかる前に元来の西部劇に幾作もチェックを入れて、決闘があると、その後のシーンでは死体(巻き添えの人も含んで)が消えているのに気付いた。だから、この作品ではそういう面でも注意深く丁寧につくったそうだ。研究し尽くしてこの作品を作っただけあり、米国では非常に好意的に受け入れられている。仲間の復讐に燃える元ガンマンを熱演し、カウボーイ姿が何とサマになっていることか。流石ハリウッド俳優だ。ケヴィン・コスナー以外のプロデューサーは 『 炎のランナー (1981) CHARIOTS OF FIRE 』 『 トゥー・ブラザーズ (2004) TWO BROTHERS 』等のジェイク・エバーツと、 『 グリーンマイル (1999) THE GREEN MILE 』 『 タイムマシン (2002) THE TIME MACHINE 』等のデヴィッド・ヴァルデスである。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第04段落】 『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』製作総指揮は 『 エアフォース・ワン (1997) AIR FORCE ONE 』 『 スパイ・ゲーム (2001) SPY GAME 』 『 エバーラスティング 時をさまようタック (2002) TUCK EVERLASTING 』 『 卒業の朝 (2002) THE EMPEROR'S CLUB 』 『 ドーン・オブ・ザ・デッド (2004) DAWN OF THE DEAD 』等のアーミァン・バーンスタイン。配役は 『 トータル・フィアーズ (2002) THE SUM OF ALL FEARS 』 『 ウインドトーカーズ (2002) WINDTALKERS 』 『 プール (2002) SWIMFAN / SWIMF@N 』 『 バレットモンク (2003) BULLETPROOF MONK 』 『 ペイチェック 消された記憶 (2003) PAYCHECK 』等のミンディ・マリンが当たっている。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第05段落】 『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』では、ボス・スピアマンとチャーリー・ウェイトの主だった二人に、助っ人が二人雇われている。モース(アブラハム・ベンルビ)という 30 歳のヒゲ面の大男。それにバトン(ディエゴ・ルナ: 『 フリーダ (2002) FRIDA 』 『 ダンシング・ハバナ (2004) DIRTY DANCING: HAVANA NIGHTS 』 『 ターミナル (2004) THE TERMINAL 』等に出演)というまだ 16 歳の少年である。この少年はアイルランド Ireland 移民で、テキサス Texas で英語が上手く話せないでカフェにいるところをボス・スピアマンが拾ったという背景がある。それに、モースの飼い犬で他の三人も可愛がっているムク犬も愛嬌たっぷりに出演している。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第06段落】 この四人のカウボーイ達は幌馬車は一つだけ。牛の移動には自由自在に馬に跨って群れをコントロールしている。でも、バトンはまだ若いのでそんなに上手ではなさそう。大男モースとワンちゃんと戯れ合ったり、ポーカーではズルをしてチャーリーに怒られたり、まだまだ半人前だ。ボス・スピアマンは人生においても仕事においてもベテランの経験者だ。一見、穏やかでハト派であるが、勇気も率先力も銃の扱いにも秀でている。今日も野生馬を数等捕まえてきて、バトンらが喝采している。ロバート・デュヴァルはリー将軍(南軍総司令官ロバート・E・リー Confederate General Robert E. Lee )の直系の子孫だけあって、こういう西部劇でも似合っているし、威厳のある雰囲気を醸し出している。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第07段落】 ある日、最寄の町まで生活必需品を購入する用事にモースを行かせた。でも夜になっても帰ってこないので、ボスとチャーリーの二人は馬で探しに出かける。若いバトンとワンちゃんは留守番である。二人は大平原を進み、馬の腰まで浸かりながら川を横切り、町にようやく辿り着いた。二人は町につく直前にピストルの準備をする。新しい所に入って行くというのは、当時は怖いことだったのだ。この町はハーモンヴィル Harmon Ville という、開拓時代のほんの小さな町だ。ロケはアルバータ州のカルガリー Calgary 郊外の未開に見える丘陵地帯で行われたのだろう。疲れた馬の世話をパーシー(マイケル・ジェッター: 『 パッチ・アダムス (1998) PATCH ADAMS 』 『 ギフト (2000) THE GIFT 』 『 ウェルカム トゥ コリンウッド (2002) WELCOME TO COLLINWOOD 』 『 ポーラー・エクスプレス (2004) THE POLAR EXPRESS 』等に出演)という気のよさそうな馬預り所の老人に頼み、モースのことを訊いてみると、保安官の留置所に入れられていると分かる。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第08段落】 保安官プール(ジェームズ・ルッソ:『 ナインスゲート (1999) THE NINTH GATE 』等に出演)の弁では、雑貨店で喧嘩を売って暴れたから逮捕したと言うが、こじつけである。モースを釈放したければ三つの罪状にそれぞれ 50 ドル、計 150 ドル(当時の円換算はいくらか不明)で、当時の釈放金としては強盗と同じ高額を要求してきたことになる。実は、このハーモンヴィルの町は、アイルランド移民からのし上がって権力をつけたデントン・バックスター(マイケル・ガンボン: 『 スリーピー・ホロウ (1999) SLEEPY HOLLOW 』 『 ゴスフォード・パーク (2001) GOSFORD PARK 』 『 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2004) HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN 』等に出演)が牛耳っており、この保安官プールもバックスターの言いなりになっている。そして、バックスターは殺し屋を数人雇っている無法者なのだ。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第09段落】 ボスとチャーリーに、牛の群れはこの地を通ってはならぬと保安官は告げる。「オープン・レンジ Open Range で牛に草を食べさせるのは全く自由に出来る筈だ」と二人は抗議すると、「時代は変わったのだ」と、バックスターの手下である保安官は取り付く島もない。そして、以前にも牛の群れは散りぢりにされ、幌馬車に火をつけられ、夜にカウボーイが一人撃ち殺されたことがあると、脅迫めいて言うのだ。兎に角、今晩、牛の群れを連れて今いる大平原から出て行け、と命じる。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第10段落】 ここで『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 』原題の「オープン・レンジ Open Range 」であるが、「オープン」には様々な意味がある。< open ━ a. 開いた; むき出しの; 開襟の; 無蓋の; 広げた; 広々とした; 公開[共]の; 自由な; 制限のない; 解禁の; 利用できる; 空いている; 寛大な; 率直な; 未決定の; 公然の; (織物が)目の粗い; 開店[開業,開会]中の[で], 開催中の[で]; 無防備の; 受け(入れ)やすい, 免れない ((to)); (川など)氷結していない; 雪の降らない, etc. (EXCEED英和辞典より)> 初めは単に大平原の「広々した牧草地」ということかと思っていたが、「公共の牧草地」「自由な牧草地」「利用できる牧草地」「無防備の牧草地」等、この映画の進展を知って、含蓄の深いタイトルだと気付いた次第デス。結局、「広々して誰が自由に使ってもよい筈の牧草地が、悪人によって襲撃され無防備の牧草地とされている」というストーリー展開なのだ。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第11段落】 留置場のモースは、顔は殴られて血だらけ、おまけにあばら骨も二、三本折れていると分かり、ボスとチャーリーは保安官達に激怒の態度を見せる。その足で、町の外れの医師宅にモースを連れて行った。ドック・バーロー(ディーン・マクダーモット: 『 ファイティング×ガール (2004) AGAINST THE ROPES 』等に出演)という医師と、妻らしい淑やかで凛々しい女性が対応してくれた。真剣にモースの応急処置をしてくれたにも拘らず、料金をとろうとしない良心的な人達だった。いい人達だね、と二人は褒めながら負傷のモースを馬に乗せて、幌馬車の所まで遠距離を戻る。帰ると、モースの飼い犬は喜びを爆発させて甘える。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第12段落】 すると、その場所で留守番をしていた若いバトンは、半マイル(約 800 メートル)先に馬上の覆面の男が数人、牛の群れを見つめていると報告してきた。ボスとチャーリーが馬に乗って彼らに近づくと、去ってゆく。不気味な男達だ。保安官が言っていた、町の権力者バックスターの手下の男達だろう。牛を散りぢりにされたり殺されたりする前に、何か手立てを打たねばならない。ボスとチャーリーは、その男達を探りに行くことにした。モースとバトンには、幌馬車にはしっかりシートをかけて気をつけて待っているように釘をさした。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第13段落】 ボスとチャーリーは夜更けに四人の男達が野宿しているところを急襲した。馬は逃がしてしまい、殴る蹴るをして痛みつける。バックスターの手下バトラー(キム・コーツ: 『 パール・ハーバー (2001) PEARL HARBOR 』等に出演)らの息の根をピストルで止めようとするチャーリーを、ボスは止めさせる。こうして痛みつけておけば手を引くだろうと少しは満足して帰ると、幌馬車の所では惨事が起こっていた。若いバトンは虫の息、モースは頭に一発食らって死亡、更に、ワンちゃんまで撃ち殺されていた…。可哀想に…。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第14段落】 一人と一匹を大平原に埋葬して、チャーリーは悔しさでいっぱいになる。そして昔のガンマンの心が蘇ってくるのだ。ボスとチャーリーは十年間一緒に仕事をしていても、お互い相手のことは知らない。それで、チャーリーは自分の過去を話す。子供の頃、父親は亡くなって、母親に纏わり付いていた男を初めて撃ち殺したこと。南北戦争 The Civil War (『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』参照)の軍隊に入って撃ちまくったこと。その後に西部に来たこと。このように、チャーリーは拳銃を使うのが好きな面がありながら、それを克服して、寛大で懐の大きいボス・スピアマンの許で、静かに暮らしていくという事を習っていたわけである。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第15段落】 死にそうなバトンを、また町のあの医師宅へ連れていく二人。ドック・バーローは生憎(あいにく)往診中だそうだ。その日の前に殴られた男達の治療に呼ばれて行っていると言う。ボスとチャーリーが痛みつけた男達だ。何と言う皮肉だろう。でも、奥さんらしき女性スー・バーロー(アネット・ベニング: 『 マーズ・アタック! (1996) MARS ATTACKS! 』 『 マーシャル・ロー (1998) THE SIEGE 』 『 アメリカン・ビューティー (1999) AMERICAN BEAUTY 』等に出演)が代わりに治療してくれた。バックスターや保安官がこのバトン少年をこんな重傷を負わせ、先日ここで治療してもらった髭の大男モースと犬は殺された旨を話すと、スー・バーローは驚いて哀れむ。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第16段落】 嵐が来た。雷と大雨で、ドック・バーローははるばる戻っては来られない。それに、ボスとチャーリーだって牛の群れに戻れない。バトンはドック・バーローの診察室に寝かせてもらって、ボスとチャーリーは町の様子を窺う。二人は保安官とバックスター一味に復讐をする決心がついているのだ。そこへ、洪水状態になっている大通りを、小型犬が急流に流されてきた。マック(ピーター・マックニール)という中年男性が、「その犬を捕まえて助けてやってくれ!」と大雨の中を叫んでいる。チャーリーは全身ずぶ濡れになって犬を救ってやった。そのお蔭で、この町にもボスとチャーリーの"親衛隊"が出来た。酒場で皆の前で、保安官に、 16 歳の子を撃って、モースと犬は撃ち殺したことを暴露した時も、ボスとチャーリーは孤立しなかった。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第17段落】 大雨がひどいので、バトンの容態も見るために、ドック・バーローの診療所に二人は戻った。バトンの容態は安定して、危機は脱したようである。二人は久しぶりに家屋の中の椅子に座り、紅茶をご馳走になる。紅茶のカップセットはイングランド England の繊細な美しいもので、母親からもらったものだと言う。ボスとチャーリーのカウボーイの指は太くて、その華奢なカップの取っ手に指が入らないという和やかなエピソードもあり、スー・バーローと、場違いなワイルドなカウボーイ達は心を通わせていく。束の間の平和的なひと時だった。この時、ボス・スピアマンも昔はロマンスをして妻子がいたことを打ち明ける。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第18段落】 こんな悪天候だから、空き部屋で泊っていってはとスーは申し出るが、二人は丁重に断る。でも、チャーリーは知らぬ間に居間のソファで眠りについてしまっている。そして敵のガンマンが襲ってくる幻想を見てスーに間違って拳銃を向けることもするが、それはもしかしてスーが紅茶にクロロホルムを入れたせいかもしれない。殺し合いをするのを阻止したくてだ。この騒ぎの時、チャーリーは紅茶用の綺麗なカップを割ってしまった。チャーリーはこんな手荒な姿をスーに見せてしまって自分でも情けないし恥ずかしい。後で知るが、スーはドック・バーローの妻ではなくて、姉(或いは妹)だったのだ。チャーリーとスーのお互いの目の見方は意識している同士のものだとお互い気付いている。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第19段落】 深夜、大雨の中をボスとチャーリーは出て行き、酒場でウィスキーを。犬を助けたマックや仲間は、二人の復讐に一緒に戦ってくれると言ってくれる。敵のバックスターの一味は、二人の行動をじっと隠れて狙っている。二人は手始めに、保安官を留置所に閉じ込め、その手下も同様にする。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第20段落】 二人はまた医者の家に戻った。スーの着替え姿は美しく、それを垣間見てしまったチャーリーはその美しさに内心うろたえているのだ。スーは一晩中、バトン少年の看病で疲れているので、チャーリーは朝食を進んで作った。一緒に食事して、お互いの気持ちは以心伝心の状態。アメリカ映画に珍しく、ロマンスは派手に進まない。内に秘めた恋心はくすぶって、キスまでにも進まないのだ。これから復讐の銃撃戦へと出かけるボスとチャーリーであるが、これで今生(こんじょう)の別れかもしれないと言うのに、チャーリーはスーに愛を告白しないまま玄関を出る。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第21段落】 すると、流石、人生の先輩ボス・スピアマンは、見送っている彼女の所に何か言ってくるようにチャーリーにアドヴァイスする。不器用なチャーリーはその通りにし、すると、彼女は笑みをいっぱいにして、常に幸運を与えてくれたという母の形見のペンダントをチャーリーに上げた。「これから殺しをしに行くが、もし俺が戻らなかったら、俺の言った事を全て思い出してくれ。」なんて、チャーリーは精一杯言う。スーは「待ってますわ。」 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第22段落】 そして、決闘状を貼っておいた。「お尋ね者、牛泥棒と殺人のバックスターとその一味へ。馬預り所の近くで待っている。拳銃を持って来い。」 二人はこの後は雑貨屋に行って、ボスは一番高価なお菓子、スイスのビターチョコレートを二つと、葉巻を数本買った。チョコは一つはチャーリーにやって、一つはその場で自分がかじる。そして、店の主(マックの友達で、協力的)にも、それを一度も食べたことがないと言うのでかじらせてやる。こういうところが、今までの西部劇と違う要素だろう。極めて人間的で、荒くれ男だけじゃないぞ、という主張が感じられる。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第23段落】 その店で、チャーリーはこそこそとカタログを見て何かしている。イングランドのティーカップのセットのカタログだ。昨夜一つを割ってしまったので、スーに返すつもりなのかな。店を出て、馬預り所のパーシー老人にボスが葉巻をやって、世話になったとチャーリーが握手をした時、その手の中に、ちぎったカタログのページが残されていた。パーシーが読むと、「もし俺が死んだら、サドルとガンを売りさばいて、その金でこのティーカップのセットをスー・バーローさんに買ってください。」 死ぬ覚悟なんだ。こういう間接的な表現でしか、愛を告白できないのだ。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第24段落】 町は緊張に包まれる。一般の住民は、町外れの教会の中に避難し始めた。ボスとチャーリーは、馬車の陰で拳銃に弾丸を込めながら、お互いの本名を名乗り合う。まさかの時の為にな、と言って固い握手も交わすのだ。ここから決闘が始まり、乱戦となる。これも、決闘と言っても簡単に済まない。逃げ込んだり、一発で死ななくて何発も撃ったり、現実的だと思う。こういう場合、登場人物で死んで欲しくない人が死ぬよネ。ボスかな?チャーリーかな?助っ人してくれている馬預り所のパーシーかな?犬を助けたから協力的になっているマックか、雑貨屋の主かな? 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第25段落】 スーも途中でじっとしていられなくなって弾丸が飛び交う中に出てくる。それに、寝かされている治りかけのバトンまで出てきてしまう。一体、大丈夫なのかしら? 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第26段落】 大丈夫でした。ハッピーエンドです。チャーリーは脚を撃たれたけれど、命に別状はない。スーは町民の見守る中、平気でチャーリーの様子を見に行く。医師の家庭の洗練された女性とカウボーイでは、いわゆる世間の目はうるさいはずだけど、そんなことに負けない。愛の力は凄いのデス! 当座はカウボーイの仕事があるからいられないが、もう二人の愛は明るく弾けてバラ色そのもの。こんな幸せそうな顔をできるアネット・ベニングは本当に綺麗。 45 歳という中年女性なのに、こんなにアップに耐えられるのだから、凄い。西部劇のドレスも簡素な髪型も実に似合って、薄化粧が彼女の美しさを際立たせていた。 【ワイルド・レンジ 最後の銃撃 第27段落】 超人的なヒーローばかりという西部劇ではなくて、目線を一緒に出来る、非常に人間味に溢れたよい作品だった。2時間半近い上映時間も気付かぬ内に過ぎていった。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず8641文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com 公式サイト(英語版) http://openrange.movies.go.com/ いつも参考にしておりますallcinema ONLINE さんには、2003年09月08日の時点で[ データ ]及び [ 解説 ]は出ていませんので、これをアップしました。Thanks to allcinema ONLINE. |
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■映画『 ワイルド・レンジ 最後の銃撃 OPEN RANGE
』の更新記録 2003/09/08新規: ファイル作成 2004/04/25更新: ◆タイトル変更 および 俳優リンク 2004/12/22更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 2005/04/02更新: ◆データ追加 2005/10/06更新: ◆追記 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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