パッチ・アダムス＠映画の森てんこ森

パッチ・アダムス
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映画の森てんこ森■映画レヴュー
パッチ・アダムス　(1998)
PATCH ADAMS
映画『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』をレヴュー紹介します。　映画『パッチ・アダムス　PATCH ADAMS 』を以下に目次別に紹介する。 ■映画『パッチ・アダムス』の解説及びポスター、予告編　ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『パッチ・アダムス』の映画データ ■映画『パッチ・アダムス』のトリビア ■映画『パッチ・アダムス』のスタッフとキャスト ■映画『パッチ・アダムス』の＜もっと詳しく＞　＜もっと詳しく＞は映画『パッチ・アダムス』の「テキストによる映画の再現」レヴュー（あらすじとネタばれ）です。※ご注意：映画『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『パッチ・アダムス』　実在のハンター・パッチ・アダムス医師 ■映画『パッチ・アダムス』　アメリカの医学教育 ■映画『パッチ・アダムス』　パブロ・ネルーダ Pablo Neruda の詩 ■映画『パッチ・アダムス』の結末 ■映画『パッチ・アダムス』　ゲズンハイト・インスティチュート（お元気で病院） ■映画『パッチ・アダムス』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ（画面の切り替え）
幸の鑑賞評価：８つ星
■映画『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』の解説及びポスター、予告編
パッチ・アダムス	■映画『パッチ・アダムス　PATCH ADAMS 』の解説　映画『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』とは？ We want to bring fun, friendship and the joy of service back into health care.（健康医療に、楽しみ、友情、奉仕の喜びを戻したい。）この理想を掲げて「お元気で病院 Gesundheidt Institute （ゲズンハイト・インスティチュート）」を設立した、ピエロのお医者さん、パッチ・アダムス（本名：ハンター・アダムス）医師の自伝を基に作成された、トム・シャドヤック監督のヒューマン・ドラマである。『パッチ・アダムス』のような患者思いの医師役といえば、やっぱり『レナードの朝 (1990) AWAKENINGS 』でも心優しいセイヤー医師を演じたロビン・ウィリアムズ（『インソムニア　(2002) INSOMNIA 』、近年は『ファイナル・カット　(2004) THE FINAL CUT 』等）。実際のパッチ・アダムスとは容姿が全然違うけれども、頭脳明晰で型破りな医学生を好演している。　自殺願望のある若者ハンター・アダムス（愛称パッチ・アダムス）は精神病院に任意入院し、そこで人生の生きがいを見つける。他の患者たちを喜ばせることに、自身の喜びも見出した彼は、医師となって人助けをしようと思い立つ。医大に入学した彼だが、当時の権威主義的な医学教育を受け入れられず…。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』の映画データ
上映時間：116分　製作国：アメリカ　公開情報：Ｕｎｉ＝ＵＩＰ　アメリカ初公開年月：1998年12月25日　日本初公開年月：1999年3月19日　ジャンル：ドラマ／コメディ　《米国コピーTagline》 Laughter is contagious.
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■映画『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』のトリビア
「映画の森てんこ森」内にある実在の人物を描いた映画レヴューは：『レナードの朝　(1990) AWAKENINGS 』『宋家の三姉妹　(1997) 宋家皇朝 / THE SOONG SISTERS 』『娼婦ベロニカ　(1998) DANGEROUS BEAUTY / A DESTINY OF HER OWN 』『エリザベス　(1998) ELIZABETH 』『アンナと王様　(1999) ANNA AND THE KING 』『ジャンヌ・ダルク　(1999) JOAN OF ARC / THE MESSENGER: THE STORY OF JOAN OF ARC 』『マリー・アントワネットの首飾り　(2001) THE AFFAIR OF THE NECKLACE 』『エニグマ (2002) ENIGMA 』『戦場のピアニスト　(2002) THE PIANIST 』『シービスケット　(2003) SEABISCUIT 』『パッション　(2004) THE PASSION OF THE CHRIST 』等があります。
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【『パッチ・アダムス』のスタッフとキャスト】
監督：トム・シャドヤック　Tom Shadyac 製作：バリー・ケンプ　Barry Kemp 　　　　マイク・ファレル　Mike Farrell 　　　　マーヴィン・ミノフ　Marvin Minoff 　　　　チャールズ・ニューワース　Charles Newirth 脚本：スティーヴ・オーデカーク　Steve Oedekerk 撮影：フェドン・パパマイケル　Phedon Papamichael 音楽：マーク・シェイマン　Marc Shaiman 出演：ロビン・ウィリアムズ　Robin Williams　ハンター・パッチ・アダムス　　　　ダニエル・ロンドン　Daniel London　トルーマン・シフ　　　　モニカ・ポッター　Monica Potter　カリン・フィッシャー　　　　フィリップ・シーモア・ホフマン　Philip Seymour Hoffman　ミッチ・ローマン　　　　ボブ・ガントン　Bob Gunton　ディーン・ウォルコット　　　　ジョセフ・ソマー　Josef Sommer　イートン医師　　　　イルマ・Ｐ・ホール　Irma P. Hall　Joletta 　　　　ピーター・コヨーテ　Peter Coyote　ビル・デイヴィス　　　　ハロルド・グールド　Harold Gould　アーサー・メンデルソン　　　　ハーヴ・プレスネル　Harve Presnell　アンダーソン学長 ▲TOPへ
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ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『パッチ・アダムス　(1998) PATCH ADAMS 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー【パッチ・アダムス　序】　　寒い雪の積もったヴァージニア州北部の風景と同じように、ハンター・アダムス（ロビン・ウィリアムズ：『デス・トゥ・スムーチー　 (2002) DEATH TO SMOOCHY 』『ストーカー (2002) ONE HOUR PHOTO 』等に出演）の心も冷たく暗かった。彼は人生の目的を見つけられずに虚しさに襲われている。自殺癖のある彼は、1969 年にフェアファックス病院神経科に任意入院する。 1951 年 7 月 21 日生まれ（かに座）ロビン・ウィリアムズはこの映画の撮影時は 47 歳くらいかなぁ。映画でもだいたいそのくらいの年恰好に見える。若く見積もったとしても 30 代以下には絶対見えない。しかし、本物のハンター・"パッチ"・アダムス医師が任意入院したのは、もっと若い頃のようだ。それに入院の理由も映画とは異なっているようである。映画が始まるまでのハンター・アダムスについてちょっと調べてみた。【パッチ・アダムス　第01段落　実在のハンター・パッチ・アダムス医師①】　　1945 年 5 月 28 日生まれ（ふたご座）の彼は、軍人の家庭に育った。ワシントンＤＣで誕生したが、父親の仕事の関係だろう、子供の頃は引越しの多い暮らしで、ドイツや日本のような外国での滞在経験もある。ドイツでの滞在期間はその中でも長く、７年も過ごしたそうだ。後日、病院を「ゲズンハイト・インスティチュート」というドイツ語で命名したのもこのせいだろう。また、もちろんそんな生活は彼に影響を与えた。友達を素早く作れるようになったし、テキサスとオクラホマといった人種差別意識の強い地域では、人々の違いを認識し、深く人々を評価することを学んだ。兄ロバートとの結束も強かったようである。【パッチ・アダムス　第02段落　実在のハンター・パッチ・アダムス医師②】　　「ぼくの中のいいところは殆ど母から受け継いだものなんだよ。」と、本人が語っているように、彼の母親は深い愛情をもってユーモアセンスや息子の学習意欲を育てた。そのお陰だろう、彼は特に数学や理科において優れていた。 12 歳のときのクリスマス・プレゼントは顕微鏡で、彼は生物体の新しい宇宙を見続けて何ヶ月も過ごしたそうだ。カール・セーガン博士の本を読んだときも思ったけど、こういう人の親って、子供の知的好奇心を育てるのが上手だ。その翌年から、特別な方法でモルモットの心臓を生きた状態のままにしておくといった企画で、全ヨーロッパ科学博覧会 the All-Europe Science Fair にハンターは出場し始めた。翌三年間に生物科学部門で二度以上も優勝する。そんな彼にとっては学校の授業は退屈だったようで、クラスでは道化役を演じていたそうだ。【パッチ・アダムス　第03段落　実在のハンター・パッチ・アダムス医師③】　　映画では９歳のときと言っていたが、実際には 16 歳のときに彼は父親を失った。偶然、父とハンターが二人で一週間を過ごした後に、突然心臓発作で亡くなったのだ。父親は仕事柄か家を空けることが多く、家にいるときはだいたいお酒を飲んでいた。父に出征した戦争について尋ねると、いつも決まって泣き始めたそうだ。そんな父が初めて自らのトラウマを明かしてくれたのが、その最期の一週間だった。父は第二次世界大戦と朝鮮戦争が自分の精神を破壊してしまったと息子に語った。特に朝鮮戦争は戦う理由が見当たらず、更に悪いことに父親の親友が父を救う為に死んでしまったそうだ。彼は良い父親でなかったと息子に謝った。【パッチ・アダムス　第04段落　実在のハンター・パッチ・アダムス医師④】　　父の死後、ハンターと家族はドイツを離れ、ヴァージニア州北部の郊外で生活をし始めた。数ヶ月間、ハンターの家族は伯父夫婦宅で暮らした。弁護士であり思想家である伯父はハンターの父親のような存在になった。アーリントンにあるヴァージニア高校の生徒となったハンターは、市民権運動の座り込みストやデモ行進に出かける社会派な高校生だったようだ。社会体制と戦っていないときは、彼はジャズを楽しんだ。色んな活動をしていたハンターだったが、彼の気晴らしにデートはあまりなかった。「女の子たちはぼくに興味がなかったんだ。彼女たちがぼくのデートを断るとき、ぼくは思ったよ。バカなマッチョ野郎と一緒に出かけるとは、彼女たちはなんて浅はかで愚かなんだろうってね。」しかし、ドナという女の子が彼とデートするようになった。【パッチ・アダムス　第05段落　実在のハンター・パッチ・アダムス医師⑤】　　高校の最上級年が終了する前に、ハンターは胃潰瘍を発症して入院した。味気のない食事と処方薬のおかげで、彼は終始眠くなった。それからスワニー大学 Sewanee University の一回生の初めに、ドナとの関係が破局し、彼の父代わりだった伯父が自殺してしまった。すっかり塞ぎ込んでしまったハンターは大学をやめ、毎日自殺を考えるようになった。彼は大学近くの崖に行き、崖っぷちに座って、ドナにソネットを書いた。幸運にも、ハンターの感情の発露がおさまるところを知らなかったので、彼は飛び降りずにすんだ。ドナを訪ねたが悲惨な結果となり、彼はグレイハウンド・バスに乗り、降りてからは母親のもとまで６マイル（約 10 km ）の雪道をとぼとぼと歩いて行った。自殺のことを話したハンターは、母親に精神病院に入院して検査を受けたほうがいいと言われた。このハンターの人生の転機は 1964 年のハロウィーンのちょうど前の出来事である。彼は 19 歳だった。【パッチ・アダムス　第06段落】　　さて、映画に戻ろう。ハリファックス病院の神経科にやって来たハンターに、老人（ハロルド・グールド）が指を４本突き出して何本に見えるか訊いてきた。ハンターが４本だと答えると、老人はまたバカかと呟いて去っていった。『１７歳のカルテ (1999) GIRL, INTERRUPTED 』の著者スザンナ・ケイセンも同時代くらいの精神病院で癒されたようだが、やっぱりこういう所って癒しの効果があるのかな？ハンターはここで人生の目的を見つけた。彼は人を助けることに自分の喜びを見出すようになる。【パッチ・アダムス　第07段落】　　例のおかしな気難しい老人は、ビートン産業の創始者のアーサー・メンデルソンという資産家で、ハンターと同じように任意入院しているらしい。アーサーの場合は頭が良すぎるせいだ。４本の指の謎が気にかかったハンターは彼の病室を訪ねた。お金持ちのアーサーの部屋はもちろん個室で、頭脳明晰な彼は難しそうな数学の問題を解いていた。数式を解く机の上の紙コップからお茶が漏れているのに気付いたハンターは、シールでその穴をふさいだ。そのとたんに老人はハンターに心を開いた。「問題ばかり見ていると、答えが目に入らない」と４本の指をハンターに見せる。問題を見ずに私を見ろというアーサーの言葉に従い、ハンターが指の向こう側にいる老人に焦点を合わせようとすると、４本の指がぼやけて８本に見えた。「８本だ」と答えるハンターに老人は教える。怖れと怠惰で人が見ようとしないものを見れば、新しい世界が見えてくる。アーサーは紙コップを直した（"パッチ"した：patch― vt. つぎを当てる (up); 修繕する「デイリーコンサイス英和辞典」）ハンターに、パッチというニックネームを付けた。【パッチ・アダムス　第08段落】　　同室のルディは、幻覚のリスを恐れて急にパニックになる男。深夜、トイレに行きたくても"リス"が怖くてベッドから降りられないルディは、ベッドをガタガタ揺らす。その音で起きたパッチは、自分もリスが見える振りをして、リスを退治してあげた。ルディがトイレに行くことができ、パッチは言い知れない喜びを感じる。翌日、ハッキリと自分の生きる道が見えたハンターは退院をする。人を助け、親身になって患者の話を聞く医者になりたい。【パッチ・アダムス　第09段落】　　２年後の 1971 年、パッチはヴァージニア医科大学 the Medical College of Virginia に入学した。ルームメイトのミッチ・ローマン（フィリップ・シーモア・ホフマン：『セント・オブ・ウーマン／夢の香り (1992) SCENT OF A WOMAN 』『ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS 』『リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』『マグノリア (1999) MAGNOLIA 』『レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON 』『コールドマウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』等に出演）は、ジョージタウン大学 Georgetown University で理工科優等賞を取ったと言うガリ勉（死語？）っぽい学生。そんな彼はハンターにその年で医学の勉強をするのかと言う嫌味な奴だ。【パッチ・アダムス　第10段落　アメリカの医学教育】　　アメリカの医学教育は、日本とは異なる。大学４年の学士課程を終えた後、 MCAT （ medical college admission test ）を受験、合格者は４年間メディカルスクールに通う。メディカルスクールの前半の２年は基礎医学、後半の２年は臨床医学を学ぶ。卒業後晴れて医師となるのだが、３年のレジデント研修期間（インターンシップ１年、レジデンシー２年）があり、終了後は Board Certification Examination という試験がある。そしてより専門分野を極めたい医師は３年間のフェローシップ・プログラムへと進み、終了後はまたまた試験がある。ジョージ・クルーニー（『シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE 』『オーシャンズ１１　(2001) OCEAN'S ELEVEN 』『ソラリス (2002) SOLARIS 』等に出演）が出演していた辺りまで、時々ＴＶ『ＥＲ』を観ていたので、なんとなく大変だという雰囲気はわかる。因みにジョージ・クルーニーは小児科のフェローシップ・プログラム中の医師役だった。実際のパッチは、 1967 年、 22 歳のときにジョージ・ワシントン大学 George Washington University で学士課程を終了後、ヴァージニア医科大学に入学し、 1971 年、 26 歳のときに医学の学位 medical degree を取得した。そして一年間ジョージタウン大学で小児科レジデンシーとして働いた後、「ゲズンハイト・インスティチュート」を設立したそうだ。【パッチ・アダムス　第11段落】　　当時のメディカルスクールは、親身になって患者の話を聞きたいというパッチの理想とは正反対のことを教えていた。知識偏重と権威主義で大学の医師たちも学生も雁字搦めになっていた。医師は何でも知っているというような感じで、看護師などの周りの人々に粗雑に命令することもしばしばあり、患者はその人の名前ではなく、その疾患の名前で呼ばれるといったありさまだった。そして明らかに医師と患者との個人的な接触は禁止されていた。そんな学内にあって、 60・70 年代チックな派手なシャツを着て、患者との関わりを熱く語るパッチは異質な存在だ。【パッチ・アダムス　第12段落】　　ウォルコット学部長（ボブ・ガントン：『ショーシャンクの空に (1994) THE SHAWSHANK REDEMPTION 』等に出演）の最初の講義で軍曹のシゴキ演説のような話を聞いたあと、男子学生の多い中、数少ない女子学生の中で一際美しい女の子カリン・フィッシャー（モニカ・ポッター）に話し掛けるパッチ。しかし、メディカルスクールに来たのは勉強が目的だと彼女に一蹴される。「モテないのはぼくだけかと」と、そんなパッチを見ていたトルーマン・シフ（ダニエル・ロンドン：『マイノリティ・リポート (2002) MINORITY REPORT 』等に出演）が話し掛ける。たしかにトルーマンはそんな感じだけど、小児科医を目指すとても優しい子みたい。パッチは彼とすぐに仲良くなる。【パッチ・アダムス　第13段落】　　さっそくパッチは、心の形成に関心のあるトルーマンに、独自の実験を見せた。パッチは歩道で何かにぶら下がって逆さになったまま、老女に「ハロー」と声をかけた。老女は一応「ハーイ」と驚いて返事をする。ここからが大切な反応だ。少し先を歩いた老女は振り返り、パッチに向かって微笑んだ。パッチと見知らぬ老女との心が通じた瞬間だ。実際にパッチは、社会学の学生や人にうまく話をさせるような人を装ったりして、間違い電話を何百とかけ、こういった実験を行っていたそうだ。パッチがそんな実験をするのは、人間を知るためだ。子供の頃の探究心が、こういう風に発展しているのだなぁ。また二人は食肉組合のイベントに組合員の振りをして参加し、そこでもパッチはジョークを連発して一気に人心を掌握してしまう。大うけの演説の後、組合の人から白衣を着せられたパッチは自分の姿を見て、イイことに気付いた。「白衣を着れば、１年生も３年生も同じだ。」【パッチ・アダムス　第14段落】　　患者との接触を第一に考えるパッチは、臨床が３年生から始まることに抵抗を感じていた。そこで彼は白衣を着て３年生に成りすますことにした。イートン医師（ジョセフ・ソマー：『刑事ジョン・ブック／目撃者 (1985) WITNESS 』等に出演）の指導を受ける３年生に混じって、パッチとトルーマンの姿がある。トルーマンはすぐに病院を出たが、そのまま残ったパッチは、子供達の病室に入った。何の病気か分からないけど、髪の毛がなく痩せた子供たちはきっと重い病気なんだろう。パッチは鼻に浣腸の赤いボールをつけて、彼らを楽しませた。しかし、大騒ぎが看護師にバレて、病室を出たところ、ウォルコット学部長に見つかってしまった。パッチは学部長室で注意を受ける。【パッチ・アダムス　第15段落】　　大学と病院の運営を任されているウォルコット学部長に睨まれれば、大変なことになるかもしれないのに、パッチは全然懲りなかった。その上、しょっちゅう病院に出入りして、勉強をしていないにも拘らず、パッチの成績はトップクラスだった。そのお陰で、意中の女子学生カリンの関心も得る。しかし、一方で勉強をしていないのに成績がいいパッチを妬んだルームメイトのミッチに、パッチは成績が不審だとウォルコット学部長に告げ口される。ウォルコット学部長にしても、学力は優秀だが素行に納得いかないパッチのことが嫌いなようだ。【パッチ・アダムス　第16段落】　　パッチを受け入れ始めたカリンは、夜の病院でパッチとトルーマンと一緒にサファリ好きな老人の夢を叶えた。ゴム風船で作った動物を、ゴム鉄砲で撃たせてあげたのだ。死を待つばかりの老人に心の晴れる瞬間を提供し、彼の喜ぶ顔を見たカリンは、パッチの考えの正しさを認めた。パッチの笑いの癒しはどんどん病院中に広まっていく。【パッチ・アダムス　第17段落】　　パッチは看護師たちから恐れられている 305 号室の末期癌患者（ピーター・コヨーテ：『エリン・ブロコビッチ (2000) ERIN BROCKOVICH 』『ウォーク・トゥ・リメンバー (2002) A WALK TO REMEMBER 』等に出演）にも挑戦した。一度は「自己満足のエサにオレを使うな！」とキツク拒絶されたが、ある日、パッチは天使の格好をして 305 号室のビルを訪ねた。天使のお迎えを装って、「死ぬ」という意味の表現を連発して言うパッチに、ついにビルの心も開かれた。一緒になって死の別の表現を言い合ううちに、笑いが生まれたのだ。【パッチ・アダムス　第18段落】　　全米の産婦人科教授を招いて、大学でセミナーが開催されることになった。恒例により成績優秀な生徒が歓迎委員長に選ばれる。ウォルコット学部長から指名され、歓迎委員長となったパッチは、とんでもないユーモアでおエライ先生方を迎えた。怒ったウォルコット学部長は、パッチを放校処分にしようとするが、パッチはアンダーソン学長（ハーヴ・プレスネル：『ファーゴ (1996) FARGO 』等に出演）に直訴し、何とか事なきを得た。アンダーソン学長はパッチのやり方を風変わりだとはしながらも、患者を喜ばせ、薬の投与量を減らしていることを評価していた。【パッチ・アダムス　第19段落　パブロ・ネルーダ Pablo Neruda の詩】　　カリンの誕生日にパッチは勉強をしようと彼女を誘った。カリンが訪れたパッチの部屋は風船だらけで誰がいるのか全然わからない。沢山の風船の中に潜む友人達が彼女に誕生日おめでとうと言い、パッチは彼女に「 100 Love Sonnets （原題 Cien Sonetos De Amor ）」という、南米チリのノーベル賞詩人パブロ・ネルーダ Pablo Neruda の作品から、ロマンチックな詩の英訳を読んだ。実は、この風船のエピソードは、実際パッチ・アダムスが妻リンダ Lynda Susan Edquist との初めてのデートの時にしたことらしい。寮に戻ったリンダは、「私は人生で一番不思議なデートをしたの。私、この男性と結婚することになると思うわ。」と友達に話したそうだ。二人は 1972 年に結婚し、ラース Lars とザッグ Zag の二人の息子がいる。しかし、パブロ・ネルーダの詩は、 1986 年まで英訳されていなかったそうだから映画の演出のようだけど。「続きは後で」と、このシーンで読むのは詩の一連目だけ。続きは後の悲しいシーンに出てくる。ここにその詩を載せるが、映画では二連目が出てこない。 I do not love you as if you were salt-rose, or topaz, or the arrow of carnations the fire shoots off. I love you as certain dark things are to be loved, in secret, between the shadow and the soul. I love you as the plant that never blooms but carries in itself the light of hidden flowers; thanks to your love a certain solid fragrance, risen from the earth, lives darkly in my body. I love you without knowing how, or when, or from where. I love you straightforwardly, without complexities or pride; so I love you because I know no other way that this: where I does not exist, nor you, so close that your hand on my chest is my hand, so close that your eyes close as I fall asleep. （英訳は原文のまま）君はバラでもトパーズでもなく、情熱のカーネーションでもない君への愛は暗闇に隠れ、陰と魂の間をさまよう ―中略― 知らぬ間に愛してた、いつ、どうしてか君を愛す迷いも誇りもなくただ素直に愛さずにいられない心は一つ、きみのこの手はぼくの手君が目を閉じると、ぼくも眠る　（訳は映画の字幕スーパーより）【パッチ・アダムス　第20段落】　　良いことがあれば、悪いことがある。その晩、 305 号室の患者ビルがなくなった。パッチは歌を歌いながら彼を看取った。病室からの帰り、病院の受付でパッチは非情な医療現場を目撃した。交通事故で娘が危篤状態に陥って、パニックになっている母親に、受付の看護師が書類に記入させようとしているのだ。早く会いたくてたまらない母親にどうしてそんなことを強いなければならないのだろう。パッチは学内にある食堂でトルーマンに不満を語り、無料の病院、"お元気で病院"の建設計画を思いつく。パッチは急いでカリンのもとへ行き、その考えを興奮して伝えた。しかし、計画への助けを求めるパッチに対し、カリンは彼のあまりの理想主義に、「現実って、人を傷つけるのよ。」と涙ぐんだ。カリンには何か心の傷があるようだ。【パッチ・アダムス　第21段落】　　月日がたつのは早いもので、パッチたちは医科３年目を迎えていた。パッチの夢の病院のプランは少しずつ進んでいた。彼はカリンと一緒に、"お元気で病院"の建設予定地である 42 万平方メートルの自然林を崖の上から見下ろした。その土地はアーサー・メンデルソンが提供してくれたが、まだパッチのものではない。しかし、その土地の草原に立っているボロ小屋を自分たちで改装し、"お元気で病院"は出発した。まだ学生の身分で医師の資格がないにも拘らず、パッチ、カリン、トルーマンの３人は、健康保険がなく、医療が受けられない人々の診療を行った。その病院には多くの患者が訪れた。その中に、ヴァージニア医科大学病院のＥＲの常連であるラリーもいた。父親がなくなってからうつ病に苦しむ彼は、発作的に自分を傷つけてしまう。そんな奇妙な患者に違和感を覚えるカリンに、パッチは「やさしくしてあげよう」とラリーを拒むことはしなかった。【パッチ・アダムス　第22段落】　　学業と"お元気で病院"という、ハードな毎日が続いたが、パッチたちの生活は充実していた。夜、小屋の玄関の階段に座りながら、カリンはパッチに自分の心の傷についてそれとなく話した。綺麗なカリンは子供の頃から男性たちの好奇の的だったようで、その辺に彼女のトラウマがある。だから、彼女は男性というものを憎んでいた。心の秘密をパッチに明かしたカリンは、全てを彼に許した。【パッチ・アダムス　第23段落】　　しかし、悲劇は訪れる。夜、"お元気で病院"でラリーからの往診を頼む留守電を聞いたカリンは、有り得ないことに独りで彼の家に向かった。翌朝、アンダーソン学長から呼び出されたとき、パッチは"お元気で病院"のために大学病院の物資を拝借していることがバレたのだと思っていた。沈痛な面持ちで学長はカリンが殺されたことをパッチに話した。ラリーは彼女を銃で撃った後、自殺したそうだ。【パッチ・アダムス　第24段落】　　墓場でカリンのために集まった人々が彼女のためにお祈りを捧げている間、パッチはずっと木の陰に隠れていた。皆が帰ったあと、パッチは独り棺の前で、パブロ・ネルーダの詩の続きを読んだ。「カリン、許してくれ」パッチは棺に突っ伏して泣いた。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。　ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【パッチ・アダムス　第25段落】　　カリンの死で自分を責めるパッチは、医師になることをやめようとしていた。"お元気で病院"もやめる。トルーマンやミッチはそんな彼を止めようとするが、パッチの気持ちは変わらなかった。しかし、彼が"お元気で病院"建設予定地の自然林を崖から見渡したとき、一匹の蝶が飛んできてパッチの胸に止まった。パッチは自分に懐くその蝶をカリンの生まれ変わりのように感じた。カリンはぼくが医者になる夢をあきらめないことを望んでいる。パッチは大学病院に戻った。【パッチ・アダムス　第26段落】　　さっきミッチからミセス・ケネディが何も食べなくなったと聞いていたパッチは、彼女を元気付ける為、以前に本人から聞いていた子供の頃からの彼女の夢を実現してあげる。それはヌードルで一杯のプールに入ること。病院の庭に簡易プールを設置し、その中をヌードルで満たした。老女は大喜びで、パッチと一緒にヌードルにまみれた。【パッチ・アダムス　第27段落】　　老女の喜ぶ顔を見て、幸福感に浸るパッチに、放校通知書が届いた。ウォルコット学部長がパッチの色々な行動にとうとう堪忍袋の緒を切らしたのだ。パッチは学部長に抗議し、自分のファイルを奪った。ファイルを見ると、パッチの成績はほぼ満点で、トップのうちの一人だった。しかし、放校処分には学長の署名もあり、パッチは夢を失う瀬戸際まで追い詰められていた。彼に残された道は、州の医師会に抗議することだった。ミッチは、パッチの成績には何の問題もないので、審査員の医師たちの心に訴えられるように背広を買えとアドヴァイスした。【パッチ・アダムス　第28段落】　　医師会の審査の日、パッチは背広にネクタイを締めているが、シャツはやっぱりガラ物だ。傍聴席には沢山の医学生や看護師も来ている。審査員たちは、パッチの無免許の医療行為を咎めた。パッチは自分の患者に対する熱い思いや現行の医療への批判を語り、この審査の結果がどうであれ、自分の医療に対する活動、患者への思いは変わらないことを述べた。突然、トルーマンがパッチによって勇気付けられた子供の患者たちとその親たちを審査が行われている部屋に連れてきた。子供たちはいっせいに鼻に赤いボールを付け、パッチの支持を無言で表明した。パッチの、そして患者たちの熱意は審査員の医師たちの心を動かした。パッチは大学に残ることを認められた。【パッチ・アダムス　第29段落】　　卒業式。学長に名を呼ばれ、次々と黒い卒業式用のガウンを着た学生が壇上に上がっていく。皆と同じように黒いガウンを着ているパッチに、卒業証書を渡すウォルコット学部長は、「体制に順応したようだな」とちょっぴり嫌味。いやいや、パッチの 70 年代フィーリングは変わらない。大学に向かってパッチが一礼すると、客席から歓声が上がる。なんでだろう？また客席に一礼すると学部長の目にパッチのお尻が…。【パッチ・アダムス　第30段落】　　映画はパッチのメディカルスクール卒業までを描いている。卒業後しばらくして、パッチと友人たちはヴァージニア州アーリントンで３つの寝室のある家で医療行為を始めた。そこからウエストヴァージニア州の農場といった様々な場所で、彼らは 12 年間に１万 5000 人の患者を無料で診察した。この活動を彼らは" pilot project "と呼んだ。 1984 年までに、パッチは無料で診察をする共同体形式の病院施設建設の資金集めに集中する為、全ての患者を診察するのをやめた。もちろんこの映画もその活動の一環だ。パッチは映画の権利に関する報酬をあまり受け取らなかったが、ユニバーサル・スタジオはゲズンハイト・インスティチュートに資金調達のインフラを確立する為の助成金を支給した。 2000 年、パッチはウエストヴァージニア州ポカホンタスに新たな病院設立の建設に着工した。ゲズンハイト・インスティチュートのホームページを見たけど、病院施設とは思えない、面白い建物が建てられている。それはパッチの構想のまだまだほんの一部に過ぎないようだ。映画でパッチがカリンに語っていたような病院施設が本当に出来上がればスゴイなぁ。 ▲TOPへ【パッチ・アダムス　第31段落　ゲズンハイト・インスティチュート（お元気で病院）】　　ゲズンハイト・インスティチュート（お元気で病院）というのは、こんな所デス。＊癒し系の芸術は全部歓迎。＊患者はみんな友達。＊医療サービスは無料。＊第３者保険の補償を受けません。＊健康医療を楽しく経験できます。＊医療過誤保険に加入しません。＊スタッフの健康は患者の健康と共に等しく尊重されます。　自分の理想を実現しようとするパッチ・アダムスの行動力に感動する。以上。＜もっと詳しく＞からスペースを含まず１１１３８文字／文責：幸田幸参考資料：「映画の森てんこ森」映画タイトル集　　　　　　　http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm 　　　　　　IMDb 　　　　　　allcinema ONLINE 　　　　　　Nostalgia.com 　　　　　　CinemaClock.com 　　　　　　「パッチ・アダムス」公式サイト（英語版）　　　　　　IN THE SMOKIES - Interview with Patch Adams 　　　　　　Gesundheit! Institute 　　　　　　WBOX Homepage 　　　　　　http://www.maxpages.com/sweetlove/Beautiful_Poem_from_Patch_Adams
■映画『パッチ・アダムス』の更新記録 2003/02/07新規：ファイル作成 2004/07/10更新： ◆テキストとリンク一部およびファイル書式 2005/03/11更新： ◆一部テキスト追記と書式変更 2005/12/04更新： ◆データ追加
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幸田　幸 coda_sati@hotmail.com

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