リプリー
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映画の森てんこ森■映画レヴュー
リプリー (1999)
THE TALENTED MR. RIPLEY
 映画『 リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』をレヴュー紹介します。

 映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』の主なキャスト
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』のスタッフとキャスト
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 リプリー 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』の結末
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』のポスター、予告編および映画データ
リプリー
リプリー

Links:  Official Web Site
Trailers:
上映時間 Runtime: 2:20
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Mirage Enterprises [us]
Miramax Films [us]
Paramount Pictures [us]
Timnick Films
全米配給会社 Distributer: Paramount Pictures [us]
全米初公開 Release Date: 1999/12/25
日本初公開 R. D. in Japan: 2000/08/05
日本公開情報 : 松竹
ジャンル Genre: ドラマ/スリラー/犯罪/ミステリー
Drama / Thriller / Crime / Mystery
MPAA Rating 指定: Rated R for violence, language and brief nudity.
日本語公式サイト なし
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』の解説

 映画『 リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』は、ルネ・クレマン監督の『太陽がいっぱい (1960) PLEIN SOLEIL/ PURPLE NOON 』とパトリシア・ハイスミスの原作は同じ。貧しい青年が富豪の御曹司を殺して、その人物になり代わろうとする話。『太陽〜』は映画史上最高かと思う美男子のアラン・ドロンが情熱と嫉妬と殺人を甘美に演じ、真っ青な空に日光が煌く浜辺に白いヨットから死体が浮かび上がるラストが強烈に印象に残っている。
 この『 リプリー』は、製作年も42年異なるし、主演俳優のイメージも全く違うから、同じ筋だからと言っても比較しない方がいい。映画『 リプリー 』の主役達はマット・デイモン(『 ボーン・アイデンティティー (2002) THE BOURNE IDENTITY 』等)、ジュード・ロウ(『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』等)、グウィネス・パルトロー(『 恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE 』等)、ケイト・ブランシェット(『 エリザベス (1998) ELIZABETH 』等)という当代の超売れっ子の四人である。だから、それだけでも十分豪華。映画『 リプリー 』のロケはイタリア各地を転々とし、風景や観光地や雰囲気を見るだけでも楽しい。ジュード・ロウがカッコいいのは当然として、マット・デイモンが髪の毛やメガネで対照的な二人を一生懸命演じ分ける主人公リプリーがいじらしい。
《米国コピーTagline》は How far would you go to become someone else.

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■映画『 リプリー THE TALENTED MR. RIPLEY 』の主なキャスト

超豪華な・・・
●マット・デイモン as トム・リプリー
オーシャンズ11 (2001) OCEAN'S ELEVEN
ジェリー (2002) GERRY
スピリット (2002) SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON
ボーン・アイデンティティー (2002) THE BOURNE IDENTITY
コンフェッション (2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND
ふたりにクギづけ (2003) STUCK ON YOU
世界で一番パパが好き! (2004) JERSEY GIRL
ボーン・スプレマシー (2004) THE BOURNE SUPREMACY
オーシャンズ12 (2004) OCEAN'S TWELVE

●ジュード・ロウ as ディッキー
スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES
ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION
コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN
スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー (2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW
アルフィー (2004) ALFIE
クローサー (2004) CLOSER
アビエイター (2004) THE AVIATOR
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 (2004) LEMONY SNICKET'S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS

●グウィネス・パルトロー as マージ
恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE
デュエット (2000) DUETS
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (2001) THE ROYAL TENENBAUMS
愛しのローズマリー (2001) SHALLOW HAL
抱擁 (2002) POSSESSION
オースティン・パワーズ ゴールドメンバー (2002) AUSTIN POWERS IN GOLDMEMBER
ハッピー・フライト (2003) VIEW FROM THE TOP 』
シルヴィア (2003) SYLVIA
スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー (2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW

●ケイト・ブランシェット as メレディス・ローグ
エリザベス (1998) ELIZABETH
理想の結婚 (1999) AN IDEAL HUSBAND
ギフト (2000) THE GIFT
バンディッツ (2001) BANDITS
ロード・オブ・ザ・リング (2001) THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING <前編>
ロード・オブ・ザ・リング (2001) THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING <後編>
ヘヴン (2002) HEAVEN
ヴェロニカ・ゲリン (2003) VERONICA GUERIN 』
コーヒー&シガレッツ (2003) COFFEE AND CIGARETTES
ミッシング (2003) THE MISSING
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003) THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING
ライフ・アクアティック (2004) THE LIFE AQUATIC WITH STEVE ZISSOU
アビエイター (2004) THE AVIATOR
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【『 リプリー 』のスタッフとキャスト】
監督: アンソニー・ミンゲラ Anthony Minghella
製作: ウィリアム・ホーバーグ William Horberg
    トム・スターンバーグ Tom Sternberg
    スティーヴ・アウドリューズ Steve E. Andrews
製作総指揮: シドニー・ポラック Sydney Pollack
原作: パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith
脚本: アンソニー・ミンゲラ Anthony Minghella
撮影: ジョン・シール John Seale
編集: ウォルター・マーチ Walter Murch
音楽: ガブリエル・ヤーレ Gabriel Yared
配役: デヴィッド・ルビン David Rubin
衣装: アン・ロス Ann Roth
視覚効果: ショーン・ダニシェフスキー Sean Danischevsky

出演: マット・デイモン Matt Damon トム・リプリー
    グウィネス・パルトロー Gwyneth Paltrow マージ・シャーウッド
    ジュード・ロウ Jude Law ディッキー・グリーンリーフ
    ケイト・ブランシェット Cate Blanchett メレディス・ローグ
    フィリップ・シーモア・ホフマン Philip Seymour Hoffman フレディー・マイルズ
    ジャック・ダヴェンポート Jack Davenport ピーター・スミス・キングズリー
    ジェームズ・レブホーン James Rebhorn ハーバート・グリーンリーフ
    リサ・アイクホーン Lisa Eichhorn エミリー・グリーンリーフ
    セルジオ・ルビーニ Sergio Rubini ロベリーニ刑事
    フィリップ・ベイカー・ホール Philip Baker Hall アルヴィン・マッキャロン
    ジャック・ウィリス Jack Willis グリーンリーフの運転手

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

【リプリー 第01段落】  時は 1950 年代。ニューヨークの船舶会社の社長ハーバート・グリーンリーフ(ジェームズ・レブホーン)のお屋敷で豪華なパーティが行われている。招待客はハイソな人ばかり。そこでアルバイトでグランドピアノを弾いているトム・リプリー(マット・デイモン)は、グリーンリーフ氏と妻のエミリー(リサ・アイクホーン)に気に入られ、声をかけられる。リプリーの着ている紺色のブレザーのエンブレムがプリンストン大学のものなので、息子と同じ大学、しかも同年度だねという話になる。それを聞いてちょっとイイ気になったトムは、否定せず、会社に是非遊びに来なさいと言うグリーンリーフ氏の言葉を嬉しく聞く。

【リプリー 第02段落】  実はリプリーはピアノ調律関係の仕事をしている貧しい若者。ヴァイオリン奏者として一緒にバイトをした女の子のカレのブレザーを借りたのだった。狭い半地下のアパート住まいのリプリーが頭脳明晰でお金持ちのお坊ちゃまの通うプリンストン大学卒など、とんでもない。でも、裕福な上流階級の世界は垣間見たい衝動は止まらない。早速グリーンリーフ氏の会社を訪問し、息子の話を聞かされる。グリーンリーフ役のジェームズ・レブホーンは
セント・オブ・ウーマン/夢の香り (1992) SCENT OF A WOMAN
プルート・ナッシュ (2002) THE ADVENTURES OF PLUTO NASH 』等、厳格な中にも味のある役が巧い。

【リプリー 第03段落】  大富豪ハーバート・グリーンリーフの息子のディッキー・グリーンリーフ(ジュード・ロウ)は、大学卒業後ヨーロッパに遊学に行ったまま帰ってこないと言う。会社の後継者になって欲しいし、グリーンリーフ夫人つまりディッキーの母親エミリーは体を壊して車椅子の生活だ。だから、一刻も早くニューヨークに戻ってくるように息子に説得にヨーロッパに行ってくれ、という依頼。しかも、その費用として1,000ドルくれるという好条件だ。当時の換算$1= ¥360 として約36 万円。貨幣の値打ちが現在と違うのでよく分からないが、恐らくトム・リプリーにとっては1〜2年分の給料ほどの価値だろう。欧州旅行がしてみたかったし、1,000ドルは魅力なので、リプリーは快諾する。

【リプリー 第04段落】  マンハッタン場末のアパートの地下の階段をトランク一つで上がってきたリプリー。そんな彼を、グリーンリーフ氏のお抱え運転手(ジャック・ウィリス)が場違いの高級車で迎える。そして、船でもグリーンリーフの名を語れば即座に優遇されるからネ、と温かく教えてくれる。リプリーは赤茶の髪を七・三に分けて長く前髪を垂らし、黒ブチの大きなダサいメガネをかけて、クソ真面目な風貌だ。服装はワイシャツにタイにちょっとゆるいジャケットにパンツ。リプリー役のマット・デイモンは『 プライベート・ライアン (1998) SAVING PRIVATE RYAN 』以来、彗星のごとくブレイクして売れっ子で、米国で最も女性にもてる男性らしい。それが、このリプリーは本当にダサいの一言。後の変わりようを際立たせるためにもこういう演出をしたのだと思う。

【リプリー 第05段落】  イタリア行きの船に乗り、荷物預かりの場でメレディス・ローグ(ケイト・ブランシェット)という若い女性と偶々知り合う。チケットのグリーンリーフという名で、彼女はリプリーが大富豪グリーンリーフ家の御曹司だと勘違いしてしてしまう。実は彼女こそ大富豪の家の令嬢なのだが、そういうことは隠したいものだということでリプリーは彼女に話を合わせる。そして御曹司づらして、いい気持ちになって、到着後出口で別れる。ケイト・ブランシェットは凄い売れっ子だ。スウっとした顔つきが、映画の役にはまるのだなぁ。

【リプリー 第06段落】  イタリアの海辺の街にディッキー・グリーンリーフ(ジュード・ロウ)は恋人マージ・シャーウッド(グウィネス・パルトロー)と気楽に自由に親の仕送りで裕福な暮らしをしている。ちょうど二人が海水浴場で体を焼いているところに、偶然を装って大学の同級生だと芝居してリプリーは近づく。金遣いのあらい放蕩息子のよく焼けた上半身と比べて、あまりにも見劣りするリプリーの水着姿。例の髪型にメガネに、白い肌、かっこ悪い水着。同級生と言われてもディッキーは覚えていない(当然!)が、暇人のディッキーは、家に遊びにおいでと言ってくれる。

【リプリー 第07段落】  ディッキー役のジュード・ロウはこの映画でもリプリーと逆に非常にカッコいいオイシイ役を貰っている。マージ役のグウィネス・パルトローはヒット続き。それにしても豪華な配役だ。配役の担当はデヴィッド・ルビンで、
ロミオ&ジュリエット (1996) WILLIAM SHAKESPEAR'S ROMEO & JULIET
交渉人 (1998) THE NEGOTIATOR 』もヒットさせている。

【リプリー 第08段落】  居心地のよいディッキーの住いに泊まらせてくれ、リプリーは現実離れした優雅で退廃的な暮らしが羨ましくなる。そして無意識にその生活にどっぷり浸る。ジャズが好きだと言うディッキーに合わせたりもする。マージと三角関係になるのかと思ったが、そういうことにはならない。途中から気付いたのだが、リプリーはホモの気があるのだ。そしてディッキーの方も、女性も男性も、といった感じ。マージの話によると、ディッキーは気分屋で、物でも人でものめり込むたちがあり、暫くすると飽きて、次の物や人に移るのだと言う。

【リプリー 第09段落】  一緒に暮らしている間に、マージがディッキーに贈り、ディッキーが一生外さないと誓ったという指輪の存在を知る。また、ディッキーが手紙は全てタイプライターを打って書くこと、スペルで t をよく抜かす癖があることが分かる。挙句は、見本に文やサインを書かせてふざけたりもする。こうしている時のリプリーは有頂天で、アメリカでの貧しい生活は完全に忘れ、ディッキーという素晴らしい男性といることが最高の喜びだった。もうすぐアルプスにスキーにも一緒に連れて行ってくれると聞いてときめく。

【リプリー 第10段落】  リプリーは初めは芝居していたが、行動を共にするうちに、本当のことを打ち明ける。でも、その頃には、ディッキーとリプリーは大の仲良し、いつもべったりの状態。親が自分を帰したがっていることを知っても、ディッキーは臆せず親を騙す。リプリーとつるんで、もっと説得するのに時間がかかるから、あと 1,000 ドル送金するようにと手紙を送るのだ。そのお金で新車を買おうとか、恋人のマージは新式冷蔵庫を買おうとか、"悪友"になって大はしゃぎしている。

【リプリー 第11段落】  ある日、リプリーとディッキーはローマ Roma / Rome に日帰りで汽車で行く。イタリアの鉄道の駅が趣があってステキ。すると、ディッキーは男友達フレディー・マイルズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)と久しぶりに出会い、リプリーをほうっておいてフレディーと話に興じる。ローマ見物しに来たリプリーを、トレビの泉、コロッセオ、スペイン広場など、自分で観光するように冷たく伝える。撮影
は『 ハリー・ポッターと賢者の石 (2001) HARRY POTTER AND THE SORCERER'S STONE
ドリームキャッチャー (2003) DREAMCATCHER 』のジョン・シールで巧い。また、リプリーはジャケットを買うためにも来たのだが、僕の上着を貸してやるよと言って、頭はフレディーのことばかり。とうとう帰りの列車の時間にも姿を現さず、リプリーは淋しく独りで帰る。

【リプリー 第12段落】  ディッキーの家に戻ったリプリーは、ディッキーの部屋で、レースの礼装のシャツやスーツを着て鏡に映してご満悦。「僕の上着を貸してやるよ」と言われたからその気になって何やかやと着てしまったのだろう。そこにディッキーが帰宅し、その様子を見て怒る。ここで初めて二人の痴話?喧嘩。リプリーは、帰りの列車の約束を破ったことを咎める。すると、ディッキーはフレディーに車で送ってもらったと言うのだ。そして、スキーにはリプリーを連れずにフレディーらと行ってしまった。リプリーは嫉妬でカッカする。

【リプリー 第13段落】  この映画の監督のアンソニー・ミンゲラは
イングリッシュ・ペイシェント (1996) THE ENGLISH PATIENT 』を、製作のスティーヴ・アウドリューズは
ムーラン・ルージュ (2001) MOULIN ROUGE! 』を、そして製作総指揮のシドニー・ポラックは
アイリス (2001) IRIS
いつか晴れた日に (1995) SENSE AND SENSIBILITY 』等を手掛けてヒットさせた面々だ。これからどういう風にストーリーが進むかゾクゾクする。

【リプリー 第14段落】  また、別の日、海辺の町に遊びに行くことになった。そう、この人達は、消費生活だけで、生産活動はしない。放蕩のドラ息子は贅沢三昧。気に入れば、すぐに移転だ。そこでは、ディッキーが一時期付き合った未婚の女性がディッキーの子を宿して入水自殺してしまう。こんな田舎町では恥さらしとなり、暮らしていけないのだ。ボートに乗りながらその事情をディッキーから聞くが、絶対内緒にしてあげるとリプリーは言って、ディッキーの気を引き止めるのに必死だ。しかし、先日の約束を破ったことをスネて愚痴を言うと(言いたくないけど女みたいにウジウジなのだ…)、ディッキーにきつい言葉を吐かれる。「お前なんかもう飽きた!」ホモ的にべったりだったリプリーは激高し、オールで力任せに殴り、気がつけばディッキーは死んでいた。

【リプリー 第15段落】  ホテルに戻ると、前髪を垂らしてメガネをかけたリプリーは本当にリプリーとしてフロントに現れ、そして髪の毛をアップにしてメガネを外して精悍な顔つきにして(マット・デイモンはこうすると、ずっとよくなる)ディッキー・グリーンリーフとしてフロントに顔を出す。地方の知らない町なので、容易に騙せた。部屋から部屋への電話でもディッキーが生きているというように細工をした。なかなか賢いリプリーである。そして銀行にもディッキー・グリーンリーフとして赴き、覚えたサインを偽装して書き、まんまと大金を手に入れる。この作品の原題『 THE TALENTED MR. RIPLEY 』は「才能のあるリプリー氏」という意味であるから、なるほどだ。因みに、米国の完全タイトルはこうだ。『 The Mysterious Yearning Secretive Sad Lonely Troubled Confused Loving Musical Gifted Intelligent Beautiful Tender Sensitive Haunted Passionate Talented Mr. Ripley 』。とっても長い題だが、敢えて訳せば「謎の 憧れる 秘密主義の 悲しい 淋しい 困った 当惑した 愛すべき 音楽の才のある 知的な 美しい デリケートな 感じやすい 悩んだ 激情的な 才能のあるリプリー氏」。

【リプリー 第16段落】  リプリーは独りディッキーの家に帰ると、タイプライターでマージに手紙を書く。サインも真似て、ディッキーが書いたように見せかけたお別れの手紙だ。それをお土産の香水と共に知らぬ顔でマージに届ける。マージは突然のことでビックリし、悲嘆に暮れる。ところで、グウィネス・パルトローやケイト・ブランシェット等の何気ない服装は、時代を感じ、とっても奇麗。衣装は
マーシャル・ロー (1998) THE SIEGE
チェンジング・レーン (2002) CHANGING LANES
サイン (2002) SIGNS 』のアン・ロスのデザインだそうだ。

【リプリー 第17段落】  ローマで暫く贅沢に暮らすことにしたリプリーは、イタリア到着の時に知り合った大富豪の娘メレディス(ケイト・ブランシェット)とばったり再会し、相手が信じているディッキー・グリーンリーフのまま芝居をする。そしてディッキーのタキシードに身を包み、オペラの夜会にメレディスとその叔父伯母に招かれて行く。女性はロングドレス、男性は皆タキシードという、上流社会の縮図だ。メレディスはお金持ちすぎて男性が寄り付かないのか、恋人がいないらしい。だから、このグリーンリーフ家の息子(と信じている)に恋心を抱き、熱い視線を浴びせる。

【リプリー 第18段落】  夜会の休憩時間に、廊下で遭遇してしまったのが、マージ(死んだディッキーが捨てたことになっている恋人)とその新恋人ピーター・スミス・キングズリー(ジャック・ダヴェンポート)だ。勿論、マージにはリプリーは「リプリー」と呼ばれる。それに、殺したディッキーの指から外して自分がはめている指輪をマージに見られないように隠したり、「リプリー」として話されるのをメレディスに見られないようにしたり冷や汗をかく。メガネもかけなくなったの?髪型も変えたの?とマージは不思議そう。ドキドキのリプリー。ちょっと苦しくなったリプリーは、帰りにメレディスに「別れた恋人のマージを思い出してしまうので」という理由をつけて、これ以上お付き合いしないと伝える。また男運のないメレディスは淋しく豪邸に帰っていく…。

【リプリー 第19段落】  夜会で会ったマージの新恋人ピーターにまた会いましょうと言われ、リプリーは教会の合唱団の指揮をしているピーターに会いに行く。ピーターもハンサムで、リプリーの"男"心をウットリさせた。ピーターの方もそれを嫌がるわけでもないから、イタリアやフランスは同性愛者が多いと聞くが、映画だけど本当みたい。そしてこの映画、音楽もステキだ。音楽のガブリエル・ヤーレは
カミーユ・クローデル (1988) CAMILLE CLAUDEL
ショコラ (2000) CHOCOLAT 』でもシャレた曲で魅了している。

【リプリー 第20段落】  クリスマスになった。ディッキー・グリーンリーフの名義で借りた立派な新居は、大きなイタリア式のお屋敷の三階くらいにある。階段だけでもまるで美術館かと思える石造りの広い屋敷だ。ここでリプリーはクリスマス・ツリーを飾り、グランド・ピアノを演奏して、独り優雅に暮らしている。管理人のおばさんには、自分はディッキー・グリーンリーフだと言ってある。そこにディッキーのホモ友達フレディーが「ディッキーを最近見ないが知らないか」と訪ねてくる。リプリーは誤魔化すが、ここでまた困ったことが起こるのだ。

【リプリー 第21段落】  フレディーはリプリーを知っているから、リプリーはリプリーである。でも、管理人のおばさんは今、グリーンリーフさんは部屋にいますと言っていた。それにディッキー・グリーンリーフはピアノを弾かない。宗教はキリスト教ではないから、クリスマス・ツリーを飾る筈がない。こうしてフレディーはリプリーのディッキー殺しを完全に見破り、切羽詰ったリプリーはフレディーを殺してしまう。頭を置物で打って殺したのだが、血は拭いて、フレディーを酔っ払ったように見せかけて玄関外の車に乗せる。その時、夜道を歩くカップルに目撃されるが、酔っ払いは困るねと言って騙す。フレディー・マイルズ役のフィリップ・シーモア・ホフマンは
ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS
パッチ・アダムス (1998) PATCH ADAMS
マグノリア (1999) MAGNOLIA
パンチドランク・ラブ (2002) PUNCH-DRUNK LOVE
レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON
コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』等でも観る俳優だ。

【リプリー 第22段落】  次の日、警察か来た。ディッキー・グリーンリーフの死体が浮いたと言う。応対したリプリーは、ここではリプリーにならなくてはいけない。ロベリーニ刑事(セルジオ・ルビーニ)の追及をのらりくらりとかわして、観る方もドキドキしてくる。このように、リプリーかフレディーかのヒヤヒヤ場面が何度もあり、その都度、「才能のあるリプリー氏」は克服していく。でも不思議に、マット・デイモンのリプリーは悪く思えないのだ。よく考えてみると、リプリーがディッキー・グリーンリーフになり代わったのは、そもそも(1)ハーバート・グリーンリーフ氏の方から、息子と同じプリンストン大学で同級生だねと言われたこと。(2)マージに船の荷物のところでディッキー・グリーンリーフと勝手に思われてしまったこと。(3)僕のジャケットを着ていいよ、とディッキーの方から言ってきたこと。誘惑は相手の方から来たのだ。それを、こんな大事になるとは予想だにせず、肯定してしまって悲劇は起きたのだ。

【リプリー 第23段落】  翌日、警察は逮捕しに来た。それを察したリプリーは警察と入れ違いにトランク一つで逃走する。しかし、だんだんバレそうになる。ディッキーのことが忘れられず、かつ腑に落ちないマージは、ある日、リプリーのところに来て、彼が入浴中にディッキーの指輪を見つけてしまった。彼女にはリプリーはリプリーである。この部屋もどうやって借りたの?どうしてディッキーの指輪を持っているの?と疑問は山ほど出てきて、マージは彼がディッキーを殺したと感づいたようである。バスローブのポケットに髭剃りのナイフを忍ばせてマージを追い詰めていくリプリーは怖い。グウィネス・パルトローも殺されてしまうの?と心配した時、マージの新恋人ピーターが玄関に来て、マージは保護される。真実を告げてやる!とマージは息巻いている。

【リプリー 第24段落】  アメリカから亡ディッキーの父、ハーバート・グリーンリーフが来た。マージは指輪の件をグリーンリーフ氏に話して、リプリーが呼ばれる。遂に年貢の納め時か…。にらんでいるマージは席を外され、グリーンリーフ氏の弁護士のアルヴィン・マッキャロン(フィリップ・ベイカー・ホール:
トータル・フィアーズ (2002) THE SUM OF ALL FEARS 』等出演)からリプリーに話があると言う。ここで誰でもリプリーは訴えられると考えそうだが、リプリーにとって 180 度良い方に向くのだ。父親によると、息子ディッキーはアメリカにいた時から女癖が悪く、イタリアでも女遊びや悪事をしたようだ。だから息子はよその地に逃げてしまっているに違いない。悪事の証拠の品は海に投げ捨てるから警察に言わないで欲しい。その代償として、これまで息子に送金していた分をリプリー宛ての送金に変更する、という思いもしない事だった。それを知ったマージは怒って叫んでいるが、グリーンリーフ氏と弁護士にたしなめられる。

【リプリー 第25段落】  本当にお金持ちになったリプリー。僕ってどこまでも頭が良くてツイているんだろう、と豪華船に乗って海を見ながら思っていただろう。この船でまたケイト・ブランシェットのメレディスに会ってしまった。彼女は嬉しくて目を潤ませている。メレディスは大金持ちのお嬢さんだから、僕の趣味でもないけどまぁイッカ、という感触で会話していると、叔父伯母がこの船でピーターを見かけたと言う。エッ、そうしたらまた、ディッキーとリプリーとの使い分けをしなければならない。しかも、ここは船という限られた空間だ。無理だ…。

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【リプリー 第26段落】  リプリーはピーターの船室に行く。ピーターは寝そべって楽譜を書いている。一緒にこの部屋で泊まろうよ、という変態チックなマット・デイモン。そして、リプリーはピーターの背中に頭を摺り寄せるのだ。ネェネェ、僕の長所を言って、と涙ぐみながら言う。後で考えると、この時にピーターが優しく列挙した言葉が上記の" The Mysterious Yearning Secretive Sad Lonely Troubled Confused Loving Musical Gifted Intelligent Beautiful Tender Sensitive Haunted Passionate … "だったのかもしれない。それを聞きながらリプリーは夢中でピーターの首を絞めていた。泣いて泣いて「ピーター、ごめんなさい」と。

【映画『 リプリー』の感想】
 原作の小説にはピーターは出てこないし、この『 リプリー 』は『 太陽がいっぱい 』のアラン・ドロンの映画の終り方とは全然違う。アラン・ドロンの方は、完璧な美青年に最後に降りかかる失敗。というか、完全犯罪に成功したと信じて確かヨットからにこやかに下りたと記憶する。そして燦々と照る太陽の下、錨(いかり)に絡みついた死体が浮かぶのだ。眩しすぎる映像、美しすぎる音楽が、アラン・ドロンの笑顔と共に、主人公の失敗を哀しく物語る。だから主人公の言動といい、終わり方といい、『 リプリー 』はマット・デイモンを生かした別の物語として捉えたいと思う。それに、『 リプリー 』の視覚効果は
ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS
『 ショコラ (2000) CHOCOLAT 』
K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER
007/ダイ・アナザー・デイ (2002) DIE ANOTHER DAY 』のショーン・ダニシェフスキーが携わっており、観ても奇麗だし、十分スリルのある見応えのある映画だ。ローマにサンレモにヴェニスにナポリというロケも嬉しい。マット・デイモンはこの映画では決してハンサムではないが、役になりきって演じているのが上手い証拠。『 ボーン・アイデンティティー 』の寡黙で強いマット・デイモンとは別人みたいで、俳優ってスゴイなと思う。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず8937文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
■映画『 リプリー 』の更新記録
2003/01/28新規: ファイル作成
2003/04/04更新: ◆映画や俳優についてリンク
2004/07/15更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式
2004/12/28更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/04/01更新: ◆データ追加
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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