マーシャル・ロー
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マーシャル・ロー (1998)
マーシャル・ロー
マーシャル・ロー

THE SIEGE

【解説】
 映画『 マーシャル・ロー (1998) THE SIEGE 』の主演デンゼル・ワシントンは今、最もアカデミー主演賞に近い、ハリウッドに不可欠な存在となった黒人俳優で、古くは「マルコムX」、近頃では「ボーン・コレクター」で好演。映画『 マーシャル・ロー 』の準主役ブルース・ウィリスは「ダイ・ハード」「アルマゲドン」「シックス・センス」等でお馴染み。アネット・ベニングは往年のプレイボーイ、ウォーレン・ビーティを夫に射止めた女優で、「アメリカン・プレジデント」出演。映画『 マーシャル・ロー 』の監督は「グローリー」「戦火の勇気」のエドワード・ズウィック。
 映画『 マーシャル・ロー 』の邦題の「マーシャル・ロー( Martial Law )」とは「戒厳令」の意味、原題は THE SIEGE で、「包囲攻撃(期間)」のこと。映画『 マーシャル・ロー 』は、「パトリオット・ゲーム」や「今そこにある危機」と似た感じの政治的サスペンスだが、アクション色がもっと濃い。ニューヨークでアラブ人過激派のテロが続発し、それを阻止しようとするFBI・CIA・陸軍の三つ巴の葛藤。アメリカで実際に起こったテロ事件と映像が重なってしまうくらいリアルなストーリー展開だ。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
■『 マーシャル・ロー (1998) THE SIEGE 』のデータ
 上映時間 118分
 製作国 アメリカ
 公開情報 FOX
 初公開年月 2000/04/
 ジャンル サスペンス
 《米国コピーTagline》
【スタッフとキャスト】

監督: エドワード・ズウィック Edward Zwick
製作: リンダ・オブスト Linda Obst
    エドワード・ズウィック Edward Zwick
脚本: ローレンス・ライト Lawrence Wright (II)
    メノ・メイエス Menno Meyjes
    エドワード・ズウィック Edward Zwick
撮影: ロジャー・ディーキンス Roger Deakins
音楽: グレーム・レヴェル Graeme Revell
 
出演: デンゼル・ワシントン Denzel Washington アンソニー・ハバード
    アネット・ベニング Annette Bening エリース・クラフト/シャロン・ブリッガー
    ブルース・ウィリス Bruce Willis ウィリアム・デヴロー将軍
    トニー・シャローブ Tony Shalhoub
    サミー・ボージラ Sami Bouajila
    アーメッド・ベン・ラービー Ahmed Ben Larby
    モスレー・モハメッド Mosleh Mohamed
    デヴィッド・プローヴァル David Proval
ネタばれ御注意!
 このレヴューは「テキストによる映画の再現」を目指して作文しています。よって、ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
<もっと詳しく>

 アンソニー・ハバート(デンゼル・ワシントン:『 遠い夜明け (1987) CRY FREEDOM 』『 リコシェ (1991) RICOCHET 』『 ペリカン文書 (1993) THE PELICAN BRIEF 』『 マーシャル・ロー (1998) THE SIEGE 』『 ボーン・コレクター (1999) THE BONE COLLECTOR 』『 タイタンズを忘れない (2000) REMEMBER THE TITANS 』『 トレーニング デイ (2001) TRAINING DAY 』『 ジョンQ−最後の決断− (2002) JOHN Q 』『 きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー (2002) ANTWONE FISHER 』等)は、FBIとニューヨーク市警が共同で組織したテロリズム対策本部長で、テロ犯人の捜査・逮捕・告訴まで責任ある地位にいる。

 1993 年2月 26 日に世界貿易センターの地下駐車場がテロリストによって爆破された後、アメリカ国会で新しい反テロリズム法案が国会を通過し、緊急時には自由に盗聴・監視が許されるようになった。これには憲法で保証された人権を越える面があり、FBI、軍人たちは法とテロへの憎しみの板挟みに遭い、矛盾や批判や悩みが付きまとっていた。この映画の背景にはそういう事情がある。今回の映画の冒頭も、アラブ人過激派組織のリーダーをアメリカ軍が不法に拉致したのでニューヨークで爆弾テロが起き始めたということから始まる。(ちなみに以下、FBIは「アメリカ連邦捜査局」で、CIAは「中央情報局」のこと。)

 とあるアラブの砂漠地帯。ベンツに乗った人物が、何者かによって拉致される。???観ている方は、何だかわからないうちに都会のシーンに変わる。

 ニューヨークのブルックリンでバスがアラブ系テロリストによってハイジャックされる事件が起きた。テロリズム対策本部長のハバートは現場でテロリストと交渉するが、犯人側の要求は「彼を釈放しろ」だけ。それが何の意味なのかFBIは理解に苦しむ。しかしハバートの交渉の結果、人質の子供と女性を数人は降ろさせることに成功する。しかし、喜んだのも束の間、その瞬間、バスは大爆発し、乗客の多くは犠牲となってしまった。しかも考えられないことに、犯人は自爆したのだ。

 このテロ現場でハバードは、エリース・クラフト(アネット・ベニング:『 マーズ・アタック! (1996) MARS ATTACKS! 』『 マーシャル・ロー (1998) THE SIEGE 』『 アメリカン・ビューティー (1999) AMERICAN BEAUTY 』『 オープン・レンジ (原題) (2003) OPEN RANGE 』等)というCIA所員に出会う。彼女は謎めいた(観ている方も映画の終わりまで謎のままだった…)美女で、アメリカ内のアラブ系社会に何らか関連がありそうなCIA活動員。ハバードは、テロ事件の調査をCIAがどの程度関知しているのか、そして謎めいたエリースの正体が何とも気にかかる。

 また、ハバードのパートナーはFBI捜査官のフランク(「シェフとギャルソン リストランテの夜」で全米映画批評家賞助演男優賞受賞のトニー・シャルホウブ)。フランクはレバノン系アメリカ人なので、自分と同じアラブ人の起こすテロ事件には正に心を痛めていた。フランクはアメリカを愛し民主主義を守り通そうとするが、倫理観が強いだけに、家族愛と任務の板挟みに悩み、この一連のテロ事件を通して居たたまれない矛盾の思いを味わわされる。

 FBIはバスジャックで自爆した犯人の遺体から身元を割り出し、入国ルートを探ることで犯行グループの正体に迫り、アジトを見つけた。そして乗り込み、銃撃戦を激しく交わす。そしてハバードとフランクは、若いアラブ人のサミール(フランスの新進俳優で「アンナ・オズ」で日本に紹介されたサミ・ボージラ)を有力容疑者として逮捕までこぎつけた。ハバードはアパートに乗り込んでサミールを同行しようとすると、何とエリースが一緒にいるではないか。彼女はこのアラブ人容疑者サミールと謎めいた関係があるようだ。ハバードは、彼女がアラブ系アメリカ社会に重要な情報源を持ち、秘密諜報活動をしていることがわかる。それでエリースとも、危険を感じながらも、テロ組織の根源に迫るための共同戦線を組むことに決める。しかし二人はあくまでも気は許せず、お互いの心の底を探りあうのだった。

 バスジャックと爆破を始め、ブロードウェイの爆破、FBIの爆破、死者 600 人…とテロはニューヨーク各地に連続して起こった。(この映画は 1998 年封切りなので、 2001 年9月 11 日のあの同時多発テロ事件の世界貿易センター2棟がまだある頃で、画面に映ります…。黙祷。)市民の不安はピークに達する。連続するテロを警察だけでは阻止できなくなった。大統領は、国民からの安全を求める世論を受け、遂に緊急事態を宣言した。マーシャル・ロー、つまり、戒厳令である。ニューヨークに軍隊を出動させるのである。「戒厳」とは「戦時・事変に軍隊が、ある地域を守り、行政・司法の権力を使うこと(三省堂「国語事典」より)」。

 すると、軍内部でも論議が激しく交わされた。ここでウィリアム・ダヴロー将軍(ブルース・ウィリス:『 ダイ・ハード (1988) DIE HARD 』『 ダイ・ハード2 (1990) DIE HARD 2 』『 愛を殺さないで (1991) MORTAL THOUGHTS 』『 永遠に美しく… (1992) DEATH BECOMES HER 』『 パルプ・フィクション (1994) PULP FICTION 』『 12モンキーズ (1995) TWELVE MONKEYS 』『 ジャッカル (1997) THE JACKAL 』『 フィフス・エレメント (1997) THE FIFTH ELEMENT 』『 マーシャル・ロー (1998) THE SIEGE 』『 シックス・センス (1999) THE SIXTH SENSE 』『 キッド (2000) THE KID 』『 アンブレイカブル (2000) UNBREAKABLE 』『 バンディッツ (2001) BANDITS 』『 ティアーズ・オブ・ザ・サン (2003) TEARS OF THE SUN 』等)が登場する。彼はニューヨークのような大都会への軍の介入に反対し、危険性を十分に理解していた。それでも結局、大統領命令に従い、戒厳令軍総司令官として全ての人々に絶対的服従と目的遂行を要求した。これが彼の軍人としてのプロ意識だった。

 果たしてアメリカ史上初のマーシャル・ローは敷かれ、戦車や兵士が大手を振って町に乗り込んできた。空にはヘリコプターが飛び、物々しい環境に一変した。自由を愛するアメリカ国民がアラブ人に脅かされるのは嫌だが、それが今度は、軍隊に支配される羽目になってしまった。つまり、テロリスト逮捕が先か、軍が市民に銃を向ける「暴発」が先か?一般市民はこの異常事態に戸惑う。更にアラブ系の男子は続々軍に不当とも言える強制収容を余儀なくされる。アラブ系の人々は、これは弾圧だとデモ行進を始め、町は軍政下の恐ろしい様相を帯びる。

 ハバードのパートナーであるアラブ系のフランク夫婦は、まだ 14 歳の息子を軍に連行されてしまう。アラブ系ゆえに自宅まで閉鎖され、民族愛と、家庭愛と、FBI捜査官としての義務感の板挟みで苦しみ、ハバードにもつらく当たる。

 ダヴロー将軍を始めとする軍は、厳しい支配をし、残虐な拷問をしたりして、FBIのハバードたちと対立する。捜査はFBIと軍とCIAが協力することはなく、どれもがバラバラに我が道を行くのだ。そして、市民たちは、軍の厳しい支配に一丸となってデモをし始める。「軍よ、出ていけ」と、イスラム教徒も仏教ともユダヤ教徒もキリスト教徒も、群集が騒ぎ始める。

 さてCIA活動員エリースは映画を見ていても、一体何をしているのか正直チンプンカンプンだったが、実はシャロン・ブリッガーという名もある。イスラム圏の国々に行って武器の使い方を教えたりした過去がある。そして最後に行動を起こすのだ。アラブ系男子の強制収容を軍が進めているとき、エリースはイスラム女性の扮装をして急ぎ足でサミールのところに向かう。そしてハバードたちをまいて、サミールにもイスラム女性の格好をさせて二人連れ立ち、街のイスラム人用の沐浴場の建物に消える。

 この沐浴場でサミールは中心人物と出会うということになっていた。それが、サミールはこの沐浴の湯で身を清め始める。驚くエリース。「あなたが最後だったのね」と。するとサミールは「何を言う!これからが始まりだ!」と怒り、白い衣裳(つまり死に装束)を身にまとい、沐浴場に隠してあった爆弾を腹に巻き、デモの民衆を巻き添えにする気である。今まで穏やかぶっていた顔がものすごい形相に変わっていく。そこへハバードとフランクが乗り込んできて、撃ち合いになり、エリースつまりシャロンはサミールに撃たれ、サミールはフランクに撃たれて、二人とも死ぬ。息絶え絶えのシャロンの祈りの最後の言葉は、アーメンではなかった。アラーよ永遠なり、だった。驚くハバードたち。

 これで一連のテロの最後の一人が死に、シャロンも死んで、軍隊は理論上、任務は終わったはずだ。ハバードはダヴロー将軍に軍を引き上げるように要求する。だが将軍は、それに屈しようとしない。ハバードはシャロンから耳にしていた、イスラムの指導者をダヴロー将軍が国際法を無視して不法逮捕していた旨を口上する。これで、やっとわかった!映画の冒頭、アラブの砂漠地帯で、ベンツに乗った人物が何者かによって拉致されたシーンのことが。

 FBIと軍とは両者、銃を向き合わせて緊迫する。ダヴロー将軍の部下達は全員、FBIのハバード達に銃の照準をすえて、まさに一触即発。ふつう、犯人でもないのに、軍隊とFBIが銃を向け合うなんてことはしないのに、異様だ。ハバードは、ダヴロー将軍に、「あなたの若い部下達に殺人をさせてよいのか?」と説得する。遂にFBI側のハバードの勢いが勝り、ダヴロー将軍にこう言って逮捕するのだ。

 「兵士達が命をかけて勝ちとってきた、法による公平な裁きを受ける権利、拷問されない権利、殺されない権利」と唱え、将軍を逮捕、戒厳令を解かせた。軍のジープはどんどん町から外に走り去って行く。最後は、強制収容されていた、罪ないアラブ系市民の釈放のシーン。フランクの息子も出てきた。父子は戻ってきた平和を噛み締めてひしひしと抱き合うのだった。

(■解説とネタばれ:2002/08/24アップ ◆俳優についてリンク更新:2003/10/03)
以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず4231文字/文責:幸田幸
coda_sati@hotmail.com
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