ムーンライト・マイル
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ムーンライト・マイル (2002)
MOONLIGHT MILE
 映画『 ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』の主なキャスト
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』のスタッフとキャスト
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ムーンライト・マイル 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』の結末
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』のポスター、予告編および映画データ
ムーンライト・マイル
ムーンライト・マイル

Links:  Official Web Site
Trailers:
上映時間 Runtime: 1:57
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Gran Via [us]
Hyde Park Entertainment [us]
Punch Productions Inc. [us]
Reveal Entertainment [us]
Touchstone Pictures [us]
全米配給会社 Distributer: Buena Vista Pictures [us]
全米初公開
Release Date:
2002/09/27
日本初公開
R. D. in Japan:
2003/06/28 予定
日本公開情報 : ギャガ・コミュニケーションズ
ジャンル Genre: ドラマ/ロマンス
Drama / Romance
MPAA Rating 指定: Rated PG-13 for some sensuality and brief strong language.
日本語公式サイト
http://www.moonlight-mile.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』の解説

 映画『 ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE 』は、監督・製作・脚本のブラッド・シルバーリングが、実生活でストーカーに女優の恋人を殺された事件を元に、 13 年間その思いを温めて構築、映画化したもの。
 『 ムーンライト・マイル 』主人公の青年ジョー(ジェイク・ギレンホール)が結婚しようとしていたフィアンセは流れ弾を受け、殺されてしまった。このポスターは『 ムーンライト・マイル 』でその葬式に向かうシーン。『 ムーンライト・マイル 』で義父になる筈だったダスティン・ホフマン扮する男性と小さな町で不動産屋を共同経営しようとしていた矢先だった。青年ジョーはそれ以後、人生の目的を見つけられないまま婚約者の両親宅でぶらぶら過ごす。そこに現れた別の悲しい過去の女性に心のよりどころを見出すジョー。そして、犯人の裁判で思いも寄らない展開が…。
 『 ムーンライト・マイル 』は、ダスティン・ホフマンの衝撃のデビュー作『 卒業 (1967) THE GRADUATE 』に匹敵すると全米で評判の映画だ。

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■映画『 ムーンライト・マイル MOONLIGHT MILE 』の主なキャスト

●ジェイク・ギレンホールは
ドニー・ダーコ (2001) DONNIE DARKO 』主演で
デイ・アフター・トゥモロー (2004) THE DAY AFTER TOMORROW 』等に出演の非常に"濃〜い"マスクの若手俳優。
ムーラン・ルージュ (2001) MOULIN ROUGE! 』ではヒース・レッジャー Heath Ledger (
パトリオット (2000) THE PATRIOT
ブラザーズ・グリム (2005) THE BROTHERS GRIMM 』等に出演)と
ユアン・マクレガー Ewan McGregor (
ブラス! (1996) BRASSED OFF
トレインスポッティング (1996) TRAINSPOTTING
リトル・ヴォイス (1998) LITTLE VOICE
恋は邪魔者 (2003) DOWN WITH LOVE
ビッグ・フィッシュ (2003) BIG FISH
猟人日記 (2003) YOUNG ADAM
アイランド (2005) THE ISLAND 』等に出演)と最後までクリスチャン役を競い合ったが負けた。知名度のためであって、演技力のためではないと本人は言っている。

●ダスティン・ホフマン
レインマン (1988) RAIN MAN
ジャンヌ・ダルク (1999) THE MESSENGER: THE STORY OF JOAN OF ARC / JEANNE D'ARC
コンフィデンス (2003) CONFIDENCE
ニューオーリンズ・トライアル (2003) RUNAWAY JURY
ネバーランド (2004) FINDING NEVERLAND
ハッカビーズ (2004) I HEART HUCKABEES / I LOVE HUCKABEES

●スーザン・サランドンは
若草物語 (1994) LITTLE WOMEN 』でマーチ姉妹の母親マーミー等、
バンガー・シスターズ (2002) THE BANGER SISTERS 』等 100 本近い出演のキャリアがある。
 現在のパートナーは
ショーシャンクの空に (1994) THE SHAWSHANK REDEMPTION
ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS
ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY
CODE46 (2003) CODE 46
ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』等のティム・ロビンス Tim Robbins だ。
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【『 ムーンライト・マイル 』のスタッフとキャスト】
監督: ブラッド・シルバーリング Brad Silberling (Directed by)
製作: マーク・ジョンソン Mark Johnson (producer)
    ブラッド・シルバーリング Brad Silberling (producer)
    ブライアン・W・クック Brian W. Cook (co-producer)
製作総指揮: アショク・アムリトラジ Ashok Amritraj (executive producer)
    デヴィッド・ホバーマン David Hoberman (executive producer)
    スーザン・サランドン Susan Sarandon (executive producer)
    パトリシア・ウィッチャー Patricia Whitcher (executive producer)
脚本: ブラッド・シルバーリング Brad Silberling (written by)
撮影: フェドン・パパマイケル Phedon Papamichael (Cinematography by)
音楽: マーク・アイシャム Mark Isham (Original Music by)

出演: ジェイク・ギレンホール Jake Gyllenhaal ジョー・ナスト
    ダスティン・ホフマン Dustin Hoffman ベン・フロス
    スーザン・サランドン Susan Sarandon ジョジョ・フロス
    カリーナ・メリア Careena Melia ダイアナ・フロス
    エレン・ポンペオ Ellen Pompeo バーティ・ノックス
    ホリー・ハンター Holly Hunter モナ・キャンプ
    ダブニー・コールマン Dabney Coleman マイク・マルカヒー
    ロクサーヌ・ハート Roxanne Hart ジューン・マルカヒー
    リサ・アン・ヒルマン Lisa Anne Hillman ジリアン・マルカヒー
    トム・ダルグレン Tom Dahlgren 裁判官
    アレクシア・ランドー Aleksia Landeau シェリル
    リチャード・メッシング Richard Messing ラビ(ユダヤ教の教師)
    リヴ・フリードマン Lev Friedman キャンター(ユダヤ教で礼拝の主唱者)

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ムーンライト・マイル 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【ムーンライト・マイル 第01段落】  電話の呼び鈴に、悪夢から目覚める青年。シャワーを浴び、靴箱から新しい黒靴を取り出す。黒いスーツにネクタイに身を包み、電話中の男(父?)に遠慮して、こっそり階下の台所へ。飼い犬のラブラドール・リトリーヴァーのドッグフードを準備し、ミルクをスプーン一杯入れると、女性(母?)の指で二杯の合図が。男は、電話口で十時半ですね、と応えている。気配が何か変で、せわしそう。玄関を出ると、何台もの車の列が待っている。その中の一台に乗り込む三人。

【ムーンライト・マイル 第02段落】  教会の結婚式や街角の若い男女のキスの風景を通り過ぎて着いた所は、墓地だった…。ユダヤ教のラビ(リチャード・メッシング)とユダヤ教の礼拝の主唱者(リヴ・フリードマン)による埋葬の儀式。
Kissing ジェシカ (2001) KISSING JESSICA STEIN 』でもそうだったように、これはユダヤ系の家庭の葬式だ。だからダスティン・ホフマンがキャスティングされたのか。亡くなったのは若い女性ダイアナ・フロス(カリーナ・メリア)。両親はベン・フロス(ダスティン・ホフマン)とジョジョ・フロス(スーザン・サランドン)。そして、ダイアナのフィアンセの青年がジョー・ナスト(ジェイク・ギレンホール)。この三人が、さっきの朝の光景の面々で、一緒に葬儀への車に乗った主人公たちだ(ポスターはこの場面)。

【ムーンライト・マイル 第03段落】  舞台は 1973 年、アメリカはマサチューセッツ州のケープ・アン Cape Anne, Massachusetts という小さな郊外の町。ロケも同州の Gloucester 、Marblehead 、Swampscott と、一部カリフォルニア州 Riverside, California で行われた。ジョー・ナスト青年は、この三週間、フィアンセの家にいる。ダイアナと結婚したら、彼女の父親ベンと一緒にこの町で不動産の仕事を一緒にする予定でいたからだ。それが、三日前、ダイアナは町の軽食店にいて、いざこざに巻き込まれて流れ弾に当たって死んでしまったのだ。

【ムーンライト・マイル 第04段落】  葬式が終わると、親戚や知人がフロス家に寄って、食事をし、両親を慰めている。こういうシーンは妻を亡くした
アバウト・シュミット (2002) ABOUT SCHMIDT 』と同じだ。「悲しみを癒す方法」の類の本を置いていったり、抱きしめたり、彼らは「お気の毒に…」と言うほかない。息子を失った
息子の部屋 (2001) LA STANZA DEL FIGLIO / THE SON'S ROOM
イン・ザ・ベッドルーム (2001) IN THE BEDROOM 』でも同様。しかし、どう慰められても、両親の悲嘆は言葉では言い尽くされないほど重く深い。頻繁にかかってくる見舞い電話や訪問に、夫ベンはいちいち応える、と言うか、じっとしていられないから、応対する。でも、妻ジョジョは、客のくれた慰めのための本を暖炉に捨てたり、夫に電話にいちいち出るなと言ったり、苦しみからの機嫌の悪さが直線的だ。それに、悲しみを紛らわせるためにタバコをひっきりなしに吸っている。娘のタイプライターにもこの三日間さわれない。

【ムーンライト・マイル 第05段落】  こういう状況のフロス家で、家族ではなく、亡くなった娘の婚約者という立場のジョーは、どうも落ち着いた滞在は出来ない。客も、彼のことを知ると、何と言って慰めたらいいかと困惑した表情になる。また、ワンちゃんも寂しがっているでしょう、と女性客がかがんで犬に話しかけると、犬が食べたものをゲッと吐くタイミングになったりして、コミカルな面も見せながら、ストーリーは進んでいく。家の色々なところにはイタリア語の単語の紙が貼ってある。これは若い二人は新婚旅行にローマ Rome, Italy に行く予定だったからだ。天井には cielo (これ伏線)、窓には finestra といったイタリア語の単語が散りばめられている。

【ムーンライト・マイル 第06段落】  早速、葬儀の翌日くらいに、地方検事助手 assistant district attorney (略してDAというらしい)のモナ・キャンプ(ホリー・ハンター)女史のオフィスに三人は呼ばれ、話を聞いている。犯人は第二級謀殺( second degree murder )なら七年で出所できてしまうかもしれない。第一級謀殺( first degree murder )は毒などの周到な準備に基づく場合や、他の重い犯罪行為の手段として謀殺をした場合( felony murder )とし、それ以外のものを第二級謀殺( second degree murder )とするのだそうだ(
逃亡者 (1993) THE FUGITIVE 』参照)。目撃者の証言等次第で、ガス室送りの死刑( capital punishment )にもなれると、地方検事は三人に言う。

【ムーンライト・マイル 第07段落】  夜中、強風。フィアンセだったダイアナの寝室で眠るジョー。彼女の腕時計や二人の写った写真立て。鳴る筈のない電話機が鳴る。ダイアナの幽霊を見るジョー。亡くなった人の部屋で、それも、その人のベッドで寝るものかなぁ?…すると、彼女の父ベンが目の前に立っていた。結婚式の案内状を出してそのまま忘れてしまったので、郵便局まで引き取りに行ってくれないかということ。ジョーは早速、言われた通りにする。ラブラドール・リトリーヴァーを散歩しながら、町の小さな郵便局に赴くと、中には"主"のような顔をしたネコがいて、大きなワンちゃんに、何とネコの方から攻撃するのだ。

【ムーンライト・マイル 第08段落】  すると、カウンターの中から、ここ(たった一人しか詰めていない田舎の郵便局!)に勤務の女性が笑顔で顔を出した。バーティ・ノックス(エレン・ポンペオ:
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (2002) CATCH ME IF YOU CAN
デアデビル (2003) DAREDEVIL 』等に出演)といい、キャンセルされた結婚式の招待状を探し出すということを嫌な顔一つせずにしてくれる。大きな布袋二つにたまっている手紙類の中から、ピンクの封筒を探す二人。 75 通あるというので、半分ずつ見つけようと、活発に行動する。勿論、ジョーが先日の事件で亡くなった女性の結婚相手だったと知って、彼女はお悔やみを言う。

【ムーンライト・マイル 第09段落】  その頃、ダスティン・ホフマン扮するベンは、町の一角で不動産の店を新しく準備している。若いジョーと共同で仕事しようと考えているのだ。その向かい側の軽食店 Neighbor's が、娘ダイアナが事件に巻き込まれた現場だ。父親として不安定な気持ちを抱いたまま、店に出向いては、ウェイトレスに目撃者のことを詰問したり、事件後壊れたままのショーウィンドーを早く元通りにしろと店主に文句を言ったり、荒れている。

【ムーンライト・マイル 第10段落】  その夜、フロス家に郵便局員のバーティが、雨でびしょびしょになって、招待状の最後の一通を見つけたと言ってわざわざ届けてくれた。玄関先で、ジョーはフロス夫妻に彼女を紹介し、お互い挨拶し合う。徒歩で来てくれたことに気付いたベンは、ジョーに車で送らせる。車中で、二人は気を許して軽く話をする。ジョーは今はあの家に滞在していること。これから何したい?分からないけど、一応、彼女の父と一緒に不動産店をするつもり…。お腹のすいているバーティはある店の前で車を降り、ジョーに何か一緒に食べないかと勧めるが、一瞬考えて、ジョーは断ってそのまま帰る。

【ムーンライト・マイル 第11段落】  娘を亡くしたベンは、若い二人の結婚写真の代わりに、自分とジョーが並んだおかしな写真を撮影してもらい、不動産の新店舗に飾る。娘たちが結婚したら、親の家に同居して、店も新郎と共同でしようと思っていた。それが娘は死んでしまった。だから、義理の息子となる筈だったジョーに、そのまま一緒にいてもらい、仕事を一緒にする、と漠然と思ってこの辛い日々を流していくほかない。ベンを演じるダスティン・ホフマンは『 卒業 (1967) THE GRADUATE 』では、 Benjamin Braddock という役で、やはり愛称がベンだった。

【ムーンライト・マイル 第12段落】  中流上の家庭の大学を卒業したばかりの初心(うぶ)な青年ベンが、これから何をしたらよいか分からない。そんな時、美しい若い女性キャサリン・ロス Katharine Ross (
ドニー・ダーコ (2001) DONNIE DARKO 』にも出ていた!)でなくて、その母親アン・バンクロフロ Anne Bancroft (
G.I.ジェーン (1997) G.I. JANE 』等に出演)と関係してしまう。この「ベン」が今、初老になって、娘を失って、これからの人生をやはりどうしていったらよいか分からないという役をしている。更に、これからどうしていいのか分からないという状況を克服した娘の婚約者ジョーを、最後に明るく送り出すというストーリーで、そういう意味でもこの映画は全米では『 卒業 』の再来だという認識でセンセーションを起こしている。

【ムーンライト・マイル 第13段落】  主役のジェイク・ギレンホールはこの人もユダヤ系かなと思ったが、スウェーデン系だとは驚き。こんな濃いタイプの人もいるとは。父親 Stephen Gyllenhaal は主にテレビ番組のディレクター、母親 Naomi Foner はプロデューサーでもあり脚本家でもある。姉 Maggie Gyllenhaal は『 ドニー・ダーコ 』では劇でも姉の役、
コンフェッション (2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND 』にも出演という芸能一家。

【ムーンライト・マイル 第14段落】  さて、映画に戻ろう。妻ジョジョはノイローゼになり、電話機を壁から剥ぎ取っている。そこに、娘ダイアナの友人シェリル(アレクシア・ランドー)達が、遺品の服等を貰いにやって来た。コートやドレスなど。アメリカではこれが風習なの?あッ、これは国に関係なく、その家族のやり方かしら。でも、見たこともない子が来て腕時計をあさっていると、流石、ジョジョは許さない。この後、こういう家の中は暗いからと言って、シェリルら若い女の子達はジョーを娯楽の場に車で連れ出す。キャルの店 Cal's Place という酒場。するとそこで、あの郵便局の女性バーティと偶然の再会。ジョーとバーティは運命的なものを感じ、ジュークボックスから流れる音楽に合わせて、チークダンスを始める。シェリルたち女の子は立って呆然とそれを見つめている。

【ムーンライト・マイル 第15段落】  ジュークボックスの音楽の曲がローリング・ストーンズ The Rolling Stones の「♪ Moonlight Mile 」といい、それがこの映画のタイトルの由来だそうだ。ローリング・ストーンズに詳しい方は、この映画を観たらよくお分かりになるだろう。私はアンジェリーナ・ジョリー Angelina Jolie の
ブロンド・ライフ (2002) LIFE OR SOMETHING LIKE IT 』でも出てきた「♪( I Can't Get No ) Satisfaction 」や i-Mac の宣伝の「♪ She's A Rainbow 」くらいしか知りません…。

【ムーンライト・マイル 第16段落】  バーティは、婚約も結婚もしていないキャルという恋人がいたが、三年前から彼は行方不明。彼を思い、彼を待って、この数年間ずっと独りでいるのだ。愛しているから、と。そして、彼の友人が代理で開いているこの店で夜の勤めをしている。未だに食糧庫の棚にその恋人の写真を飾っているくらい、その感情から抜け出られない。その話をジョーは聞き、食糧庫の小部屋で軽く抱き合う。ジョーと踊り、抱き合い、翌日、郵便局ではバーティはルンルン、元気いっぱい。

【ムーンライト・マイル 第17段落】  一方、ジョーは高台のベンチで考え事をしていて、夜7時のフロス家のディナーをすっぽかしてしまう。せっかく客夫婦を招待していたのに遅れて、ベンは叱られる。そして夜になっても、ベンは落ち着かず、ダイアナの部屋で怖くなり、二階の窓から外に出る。足は自然とバーティの家に向かっていた。二人は自然の成り行きで結ばれる。彼女は「なぜ私なの?」と尋ねる。ジョーを今の状況から離れさせる何かが、彼女に感じられたのだろう。そして、ジョーがバーティになら話せた事。衝撃的な事実を観客も知るのだ。ジョーとダイアナは、殺人事件の前には破局していたのだと。それが両親の耳に入る前に彼女はフィアンセという形で死んでしまった。あとは、葬式、居候(いそうろう)、彼女の父との共同事業の話、とずるずるべったりになっているのだ。ジョーはどうしたらいいか分からない。

【ムーンライト・マイル 第18段落】  ジョーが朝帰りすると、窓から入ってくる彼を、酒を飲んで酔っ払っているジョジョが部屋で待っていた。「玄関からの方が楽よ」と皮肉を言うジョジョ。見つかってしまったが、怒られるというわけでもない。ジョジョは娘を失って、どうしたらよいか分からないと酒に溺れて紛らわせているのだ。それに、夫婦喧嘩も絶えなくなっている。

【ムーンライト・マイル 第19段落】  地方検事から電話。もうすぐ裁判だ。ジョーは、婚約者の父親と共同で不動産業をする計画だった、それが新婦になる筈の女性が殺されて万事計画が台無しになった、また商売上にも大ダメージを受けた、という点を強調して証人台に立つように指示される。そうすれば有利に裁判が展開すると。フロス家では、ベンがジョーに珍しく機嫌が悪い顔を見せている。バーティとのことが知れたのだ。一体どうなっているのだと詰め寄るベンに、ジョーは意を決して真実━破局していたこと━を告げようとする。しかし、タイミングが合わず、言えなかった。その頃、ジョーがあの日以来会いに来てくれないので、バーティは嘆き、怒っている。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ムーンライト・マイル 第20段落】  裁判。裁判官役のトム・ダルグレンは
ホワット・ライズ・ビニース (2000) WHAT LIES BENEATH 』にも出演。被告席にはダイアナを射殺した犯人の男が着席している。その男の母らしき女性も必死の顔で臨席している。殺人者でも、子供は子供なのだ。ジョーの証言次第で、この男は死刑になるかもしれない。証人台に座ったジョーは、犯人の男の顔をじっと見つめてしまう。下を向いている男。…地方検事は、この男があなたの花嫁を奪ったことを証明したい、と論告を始めた。「どのくらい付き合っていましたか?」「三年間くらいです。」「結婚式の後はどうするつもりでしたか?」エッと考えて「ハネムーン?」と答えて失笑を買う。若者らしい。言い直させられて、「町に残って、義父と一緒に仕事をする計画だと思っていた。不動産業は、義父になる筈のベンとダイアナが望んでいたことだ。」と、事前に教わった通りの受け答えをする。更に、結婚式まであと何日だったのですか?と問われて、被告席で下を向いた男性をじっと見つめていたジョーは、予定と全然違う論述を始めてしまう。両親も地方検事も驚くが…。

【ムーンライト・マイル 第21段落】  「僕には出来ない!僕達はもう破局していた。この被告に何が起きようと、僕には知らない人だし、ダイアナはいない。真実しか言えない。正直さ・勇気はダイアナが一番望んでいることだ。今、僕がしていることを彼女は望んでいる筈だ。彼女は花嫁になる筈でなく、犠牲者でもない。強くて、現実的で、物凄く正直。それは彼女のお母さんジョジョと全く同じ(ここでジョジョは微笑む)。」困難でも、真実を述べられて、ジョーはやっと本来の自分に戻れた。傍聴席の両親は、驚きから理解へと進歩する。なお、このシーン、活字では巧く伝えられないが、ジェイク・ギレンホールが熱演。

【ムーンライト・マイル 第22段落】  ジョーはバーティに手紙を書く。「全てを失っている時にあなたに会った。僕はよりどころを見つけた。僕は君を見つけたんだ。 I've found home, Bertie. I've found you. 君も見つけたら、いつでも返事をおくれ。」

【ムーンライト・マイル 第23段落】  明るい日差しの朝、ジョジョは娘のタイプライターに向かっている。一つ、乗り越えた。進歩した。「あなたは本当の真実を教えてくれたわ。 I love you, Joseph. 」とジョーの正式名ジョセフで呼び、凛とした態度で優しい眼差しを向けて別れを示唆する。一方、夫ベンは、不動産の店を一人でやるのは考え直すみたい。片付けている。それに、通りの向かいの殺人現場の軽食店にスッキリした顔で入って行って、 90 セント( 100 円ちょっと)の品に 30 ドル($1=¥ 120 換算で 3600 円)札を渡す。割れたままになっているショーウィンドーをこの金で修理してよ、おごりだよ、と明るく言うのだ。彼も一つ、乗り越えたのだ。そしてジョーに「君をここに縛っておくことはできない。行きなさい。」

【ムーンライト・マイル 第24段落】  ジョーは新車にフロス家のラブラドール・リトリーヴァーを貰い受けて?乗せている。イタリア語の単語のステッカーは幾つも剥がしている。「キャルの店」まで乗っていくと、「売り家 For Sale 」のマーク。ガランとした屋内の小部屋の昔の恋人の写真を外すバーティ。そこで突然響き出すジュークボックスの「♪ Moonlight Mile 」(だと思う)。ハッとした顔のバーティ…。動き出した車のリアシートには、片隅にラブラドール・リトリーヴァーが、そしてもう一方の隅にバーティのネコちゃんが!二人は新しい人生を歩み始めるのだ。車の天井の cielo のステッカーだけは外さない。イタリア語 cielo は「天井 ceiling 」の他に「空 sky 」「天国 heaven 」の意味があるので、これからの人生が天国のように美しくあるようにとの願いからかしら。それともダイアナが天国で二人の門出を祝福してくれているという暗示かしら。

【ムーンライト・マイル 第25段落】  こういうストーリーで、アメリカのワ−キングタイトルはなるほど『 Goodbye Hello 』という。上記の【解説】でも書いたが、これは監督・製作・脚本のブラッド・シルバーリングが、 1989 年 7 月 18 日、西ハリウッド West Hollywood, California でデート中だった恋人を殺された惨い事実から書き起したもの。当時 21 歳だった女優レベッカ・シェイファー Rebecca Schaeffer は、この日
ゴッドファーザーPART III (1990) THE GODFATHER: PART III 』のオーディションを受けるところだった。それが、花屋に化けて訪れたストーカー Robert John Bardo という男に射殺されたのだ。この殺人事件は、熱狂的ファンがストーカーに変身して芸能人の身を脅かすという警告になった。当時は、俳優女優の個人的な情報が容易く入手できる状況にあったのだが、この事件以降、有名人の個人的情報を保護する法律が作られたという経緯である。

【ムーンライト・マイル 第26段落】  一緒にいた恋人のブラッド・シルバーリングのショックの大きさは量りきれまい。この事件の影響で、シルバーリングは「死」を考えざるを得なくなった。少年ゴーストの話『 キャスパー (1995) CASPER 』、天使と人間の恋を描いた『 シティ・オブ・エンジェル (1998) CITY OF ANGELS 』に次いで、この『 ムーンライト・マイル 』は「死」の映画三作目に当たる。この映画のホリー・ハンター扮する地方検事は、レベッカ・シェイファーのストーカー殺人事件の担当検事 Marcia Clark がモデルと言われている。

【ムーンライト・マイル 第27段落】  製作総指揮のアショク・アムリトラジは
バンディッツ (2001) BANDITS 』、撮影のフェドン・パパマイケル
パッチ・アダムス (1998) PATCH ADAMS
アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS 』、製作総指揮のデヴィッド・ホバーマンは
交渉人 (1998) THE NEGOTIATOR 』、製作のマーク・ジョンソンは
ギャラクシー・クエスト (1999) GALAXY QUEST
ホワット・ライズ・ビニース (2000) WHAT LIES BENEATH
コーリング (2002) DRAGONFLY
オールド・ルーキー (2002) THE ROOKIE 』に携わっている実力者たち。この映画は調べるまで、こんなに奥深いものとは知らなかった。ダスティン・ホフマンの『 卒業 』に匹敵し、監督の実生活の辛い体験が背景だということ、大変勉強になった。

【ムーンライト・マイル 第28段落】  最後に、ローリング・ストーンズの「♪ Moonlight Mile 」の歌詞を載せよう。

When the wind blows and the rain feels cold
with a head full of snow
with a head full of snow
In the window there's a face you know
Don't the night pass slow?
Don't the night pass slow?

Sound of strangers sending nothing to my mind
Just another mad, mad day on the ro-oad
I am just living to be lying by your side
But I'm just about a moonlight mile, on down the road

Made a rag pile of my shiny clothes
Gonna warm my bones,
gonna warm my bones
I got silence on my radio
Let the air waves flow,
let the air waves flow
For I am sleeping under strange strange skies
Just another mad, mad day on the road
My dreams is fading down the railway line
I'm just about a moonlight mile down the ro-oad-woad

yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah

I'm riding sister and I'm dreamin'
I'm riding down your moonlight mile
I'm riding sister and I'm dreamin'
I'm riding down your moonlight mile
I'm riding down your moonlight mile
Let it go now, come on up baby
Yeah, let it go now, yeah come on now baby
say
Yeah, I'm coming home 'cause

I'm just about a moonlight mile on down the road
on down the road, down the road
yeah, yeah, yeah, yeah baby ahhh

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず9581文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      公式サイト(英語版)
      http://www.touchstonepictures.go.com/moonlightmile/flash.html
      「逃亡者」と拡大する連邦の権限
      http://village.infoweb.ne.jp/~fwgc5697/E2-FUG.HTM
      'Moonlight Mile' A walk with a family caught in grief
      http://www.post-gazette.com/movies/20021018mile1018fnp3.asp
      STALKING: A GROWING PROBLEM
      http://www.aftra.org/magazine/95summer/stalking.html
      Rolling Stones Moonlight Mile lyrics
      http://www.lyricsdomain.com/lyrics/30102/

いつも参考にしておりますallcinema ONLINE さんには、2003年03月16日の時点で [ 解説 ]は出ていませんので、これをアップしました。Thanks to allcinema ONLINE.
■映画『 ムーンライト・マイル 』の更新記録
2003/03/16新規: ファイル作成
2004/12/27更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/05/04更新: ◆データ追加
2005/08/27更新: ◆データ追加
2005/10/06更新: ◆追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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