ミスティック・リバー
表紙目次読む映画試写会レヴュー観たい度映画予告編エッセイ日誌試写会情報リンク集
映画人解説・レヴュー一覧表映画ゲーム思い出映画ブロードバンド(B)版旅行の森てんこ森
映画の森てんこ森■読む映画試写会■映画レヴュー
ミスティック・リバー (2003)
MYSTIC RIVER
 映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』のトリビア
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』の主なキャスト
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』のあらすじ
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』のスタッフとキャスト
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ミスティック・リバー 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』の結末
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』の感想(ネタバレしてます。)
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』の更新記録
■映画『 ミスティック・リバー MYSTIC RIVER 』シャイな幸の独り言(別ファイル:ネタバレしてます。)

>>
「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え)
幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』のポスター、予告編および映画データ
ミスティック・リバー
ミスティック・リバー
Links:  Official Web Site
Trailers:  Official Web Site
Click Here for the trailer
をクリックして下さい。
上映時間 Runtime: 2:17
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Warner Bros. [us]
Village Roadshow Productions [au]
NPV Entertainment
Malpaso Productions [us]
全米配給会社 Distributer: Warner Bros. [us]
全米初公開 Release Date: 2003/10/15
日本初公開 R. D. in Japan: 2004/01/10
日本公開情報 : ワーナー
ジャンル Genre: ドラマ/ミステリー
Drama / Mystery
MPAA Rating 指定: Rated R for language and violence.
日本語公式サイト
http://www.warnerbros.co.jp/mysticriver/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
▲TOPへ
■映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』の解説

 映画『 ミスティック・リバー 』は、2003 年のカンヌ国際映画祭出展作品。また、ショーン・ペン(『 シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE 』等)がアカデミー主演男優賞、ティム・ロビンス(『 ショーシャンクの空に (1994) THE SHAWSHANK REDEMPTION 』等)がアカデミー助演男優賞を獲得。観応えのあるサスペンス・ドラマだ。
 映画『 ミスティック・リバー 』は、ミステリー作家デニス・ルヘインによるベストセラーの同名小説「ミスティック・リバー」に基づいている。『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK 』のクリント・イーストウッド監督と脚本家ブライアン・ヘルゲランド(『 L.A.コンフィデンシャル (1997) L.A. CONFIDENTIAL 』 1997 年のアカデミー脚色賞を受賞)の二人がが再びコンビを組んでこの『 ミスティック・リバー 』を映画化した。そして映画『 ミスティック・リバー 』のキャストもビッグネームが揃っている。

▲TOPへ

■映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』のトリビア

 『 ミスティック・リバー 』という映画のタイトルは、「mystic 神秘的な」「river 川」という意味で、映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』を象徴して、単にあらゆる罪悪を飲み込んで洗い流してくれる架空の川の名前だと思っていたが、実在する川だった!(映画好きとしてチョッとハズカシイ...(^_^;)>)。調べると、「Mystic River Av, ミスティック・リバー大通り」、「Mystic River St, ミスティック・リバー通り」があり、更に「Mystic Valley ミスティック・バレー(渓谷)」、「Mystic Valley Pkwy ミスティック・バレー・パークウェイ」まである。この辺りは昔からの伝説でもあって「mystic 神秘的な」所?なのかも知れない。

▲TOPへ

■映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』の主なキャスト

ショーン・ペン as ジミー・マーカム
初体験/リッジモント・ハイ (1982) FAST TIMES AT RIDGEMONT HIGH
『 デッドマン・ウォーキング (1995) DEAD MAN WALKING 』< 1996 年ベルリン国際映画祭男優賞受賞、アカデミー主演男優賞ノミネート>
『 シーズ・ソー・ラヴリー (1997) SHE'S SO LOVELY 』< 1997 年カンヌ国際映画祭男優賞受賞>
シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE
『 キャスティング・ディレクター (1998) HURLYBURLY 』< 1998 年ヴェネチア国際映画祭男優賞受賞>
『 ギター弾きの恋 (1999) SWEET AND LOWDOWN 』< 2000 年アカデミー主演男優賞ノミネート>
『 I am Sam アイ・アム・サム (2001) I AM SAM 』< 2002 年アカデミー主演男優賞ノミネート>
デブラ・ウィンガーを探して (2002) SEARCHING FOR DEBRA WINGER
21グラム (2003) 21 GRAMS 』< 2003 年ヴェネチア国際映画祭男優賞受賞>等
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 (2004) THE ASSASSINATION OF RICHARD NIXON
ザ・インタープリター (2005) THE INTERPRETER

 本作『 ミスティック・リバー 』では、 2004 年アカデミー主演男優賞受賞。

ティム・ロビンス as デイブ・ボイル 
『 ザ・プレイヤー (1992) THE PLAYER 』< 1992 年カンヌ国際映画祭男優賞受賞>
ショーシャンクの空に (1994) THE SHAWSHANK REDEMPTION
『 デッドマン・ウォーキング (1995) DEAD MAN WALKING 』< 1996 年アカデミー監督賞ノミネート>
ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS
ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY
CODE46 (2003) CODE 46 』等

 本作『 ミスティック・リバー 』では、 2004 年アカデミー助演男優賞受賞。

ケヴィン・ベーコン as ショーン・ディバイン
アポロ13 (1995) APOLLO 13
インビジブル (2000) HOLLOW MAN
ノボケイン 局部麻酔の罠 (2001) NOVOCAINE 』(uncredited)
コール (2002) TRAPPED
イン・ザ・カット (2003) IN THE CUT 』(uncredited)等

ローレンス・フィッシュバーン as ホワイティ・パワーズ刑事〔ショーンの相棒〕
『 ティナ (1993) TINA: WHAT'S LOVE GOT TO DO WITH IT 』< 1994 年アカデミー主演男優賞ノミネート>
マトリックス (1999) THE MATRIX
マトリックス リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED
マトリックス レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS 』等

マーシャ・ゲイ・ハーデン as セレステ・ボイル〔デイヴの妻〕
スペース カウボーイ (2000) SPACE COWBOYS 』
ポロック・2人だけのアトリエ (2003) POLLOCK 』<2001 年アカデミー助演女優賞受賞>
モナリザ・スマイル (2003) MONA LISA SMILE 』等

ローラ・リネイ as アナベス・マーカム〔ジミーの妻〕
真実の行方 (1996) PRIMAL FEAR
トゥルーマン・ショー (1998) THE TRUMAN SHOW
ユー・キャン・カウント・オン・ミー (2000) YOU CAN COUNT ON ME 』< 2001 年アカデミー主演女優賞ノミネート>
プロフェシー (2002) THE MOTHMAN PROPHECIES
ライフ・オブ・デビッド・ゲイル (2003) THE LIFE OF DAVID GALE
ラブ・アクチュアリー (2003) LOVE ACTUALLY 』等

トーマス・グイリー as ブレンダン・ハリス〔ケイティのボーイフレンド〕

エミー・ロッサム as ケイティ・マーカム
歌追い人 (2000) SONGCATCHER
デイ・アフター・トゥモロー (2004) THE DAY AFTER TOMORROW 』等

スペンサー・トリート・クラーク as レイ・ハリス〔ブレンダンの弟〕
ダブル・ジョパディー (1999) DOUBLE JEOPARDY
グラディエーター (2000) GLADIATOR
アンブレイカブル (2000) UNBREAKABLE 』等

アンドリュー・マッキン as ジョン・オシェー 〔レイの友達〕

●ケヴィン・チャップマン as バル・サヴェッジ〔ジミーの手下。サヴェッジ兄弟の 1 人〕
イン・ザ・ベッドルーム (2001) IN THE BEDROOM
21グラム (2003) 21 GRAMS
炎のメモリアル (2004) LADDER 49 』等

●アダム・ネルソン as ニック・サヴェッジ〔ジミーの手下。サヴェッジ兄弟の 1 人〕

●ロバート・ウォルバーグ as ケヴィン・サヴェッジ〔ジミーの手下。サヴェッジ兄弟の 1 人〕
ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE 』等

ジェニー・オハラ as エスター・ハリス〔ブレンダンの母親〕
マッチスティック・メン (2003) MATCHSTICK MEN 』等

イーライ・ウォラック as ルーニー氏 酒屋の店主 (uncredited)

▲TOPへ

■映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』のあらすじ

 ボストンの危険区域で共に過ごした幼馴染のジミー・マーカム(ショーン・ペン)、デイヴ・ボイル(ティム・ロビンス)、ショーン・ディヴァイン(ケヴィン・ベーコン)。労働者階級が暮らす東バッキンガムでは殆どの少年がそうするように、彼らも子供の頃は通りでスティックボール <ゴムまりとほうきの柄などで子供が路上などでする野球「研究社 新英和・和英中辞典」>をして遊び過ごしていた。ある日、警官を装った2人組みの男がデイヴを連れ去り、少年は心と体に傷を負うことになる。その事件の後、疎遠になってしまった3人だが…。

 25 年後、ジミーの 19 歳の娘ケイティが殺害されたことで、3人は共に信頼を取り戻すようになる。刑事となっているショーンはこの事件を担当し、パートナーのホワイティ(ローレンス・フィッシュバーン)と共に、無感覚に見えるその犯罪の解明の任務を負う。一方、ジミーは娘を殺した犯人への激しい怒りに囚われている。ショーンとホワイティはジミーより一歩進んだ捜査をしなければならない。

 一連の状況で、犯罪に結び付けられたデイヴは、自分自身の過去のトラウマに向かい合わなくてはならなくなる。それには結婚や将来の希望も台無しにしてしまう恐れがあった。3人の周りで捜査が狭められてくるに連れ、不吉な物語が彼らの友情や家族の周囲を取り巻いていく…。
▲TOPへ
【『 ミスティック・リバー 』のスタッフとキャスト】
監督: クリント・イーストウッド Clint Eastwood (Directed by)
製作: ブライアン・ヘルゲランド Brian Helgeland (producer)
    ジュディ・ホイト Judie Hoyt (producer)
    ロバート・ロレンツ Robert Lorenz (producer)
製作総指揮: ブルース・バーマン Bruce Berman (executive producer)
原作: デニス・ルヘイン Dennis Lehane  『ミスティック・リバー』(早川書房刊) (novel)
脚本: ブライアン・ヘルゲランド Brian Helgeland (screenplay)
音楽: クリント・イーストウッド Clint Eastwood (Original Music by)
    カイル・イーストウッド Kyle Eastwood (songs "Cozmo" and "Black Emerald Blues")
撮影: トム・スターン[撮影] Tom Stern (Cinematography by)
編集: ジョエル・コックス Joel Cox (Film Editing by)
美術: ヘンリー・バムステッド Henry Bumstead (Production Design by)
衣装: デボラ・ホッパー Deborah Hopper (Costume Design by)

出演: ショーン・ペン Sean Penn as Jimmy
    ティム・ロビンス Tim Robbins as Dave
    ケヴィン・ベーコン Kevin Bacon as Sean
    ローレンス・フィッシュバーン as Laurence Fishburne 
    マーシャ・ゲイ・ハーデン Marcia Gay Harden as Celeste Boyle
    ローラ・リネイ Laura Linney as Annabeth Markum
    ケヴィン・チャップマン Kevin Chapman as Val Savage
    トム・グイリー Tom Guiry as Brendan Harris
    エミー・ロッサム Emmy Rossum as Katie Markum
    スペンサー・トリート・クラーク Spencer Treat Clark as Silent Ray Harris
    アンドリュー・マッキン Andrew Mackin as John O'Shea
    アダム・ネルソン Adam Nelson as Nick Savage
    ロバート・ウォルバーグ Robert Wahlberg as Kevin Savage
    ジェニー・オハラ Jenny O'Hara as Esther Harris
    キャメロン・ボウエン Cameron Bowen as Young Dave
    ジェイソン・ケリー Jason Kelly as Young Jimmy
    コナー・パオロ Connor Paolo as Young Sean
    Cayden・ボイド Cayden Boyd as Michael Boyle
    トリ・デイヴィス Tori Davis as Lauren Devine
    ウィル・ライマン Will Lyman as FBI Agent Birden
    アリ・グレイナー Ari Graynor as Eve Pigeon
    Zabeth・ラッセル Zabeth Russell as Diane Cestra
    ジョー・ステイプルトン Joe Stapleton as Drew Pigeon
    スーザン・ウィリス Susan Willis as Mrs. Prior
    イーライ・ウォラック Eli Wallach as Mr. Loonie, Liquor Store Owner (uncredited)

▲TOPへ
<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
【ミスティック・リバー 第01段落】  ボストン Boston の貧民街。その町に暮らす 11 歳の少年、ジミー(ジェイソン・ケリー)、ショーン(コナー・パオロ)、そしてデイヴ(キャメロン・ボウエン)は遊び友達。ジミーの家のベランダでは、ジミーの父親とショーンの父親が今夜の野球のナイト・ゲームについて他愛無い会話を続けている。ジミーとショーンの家がある通りで、 3 人の少年はホッケーに興じている。キーパーのデイヴがセイヴしたボールが下水の穴に落ちてしまった。もうホッケー遊びはできない。する事がなくなり、やんちゃなジミーは車を盗んで運転してみようと提案するが、正義感の強いショーンが反対。すると、「永遠に残る。」とジミーはセメントが塗られたばかりの歩道に棒切れで自分の名前をサインした。ショーンもジミーの後に続き、大きく名前を書いた。次はデイヴの番だ。

【ミスティック・リバー 第02段落】  デイヴが“DA”とまで書いたとき、通りに黒い車が停まった。腰に手錠をちらつかせた初老の男が車から出て、公共のものにイタズラをした 3 人を咎めた。車にはもう 1 人同じくらいの年齢の男がいる。少年達は男たちが刑事だと思った。男は 3 人を自分の前に立たせ、それぞれに家はどこか訊いた。デイヴだけが少し離れたところに住んでいた。男はデイヴの母親に息子がしたことを伝えるからと言って、デイヴだけに車の後部座席に乗るように命令した。座席の下はゴミだらけだ。緊張して嫌な汗が出るデイヴ。助手席の男が振り返って、どこか嬉しそうにデイヴを見る。デイヴを乗せた車が、立ち尽くすジミーとショーンから離れて行く。車のリアウインドーから不安な気持ちで張り裂けそうなデイヴが見える。

【ミスティック・リバー 第03段落】  ジミーとショーンはベランダで話をしている父親達に今起きたばかりの事を伝えた。大人達はすぐに 2 人の初老の男が警官ではないと気付いた。デイヴは誘拐されたのだ。デイヴは穴蔵の中に監禁され、 2 人の男にもてあそばれた。 4 日後、デイヴは逃げた。デイヴは森の中を必死に走った。デイヴは家に戻って来ることができたが、心の傷は永遠に癒されることはない。デイヴが家に戻った日。家の周りには警察や人だかり。ジミーとショーンは窓に映るデイヴの影をじっと見上げた。ショーンはデイヴに手を挙げて挨拶したが、窓のカーテンロールは下ろされた。デイヴを襲った犯人の 1 人は死に、もう 1 人は監房で首を吊ったそうだ。

【ミスティック・リバー 第04段落】  25 年後。事件以来疎遠になった 3 人の少年は大人になり、それぞれの道を歩んでいる。デイヴ(ティム・ロビンス)はセレステ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)と結婚し、貧しいながらも息子マイケル( Cayden・ボイド)を大事に育てている。ボストン・レッドソックス Boston Red Sox の帽子を被ったデイヴは、リトル・リーグに入っているマイケルの送り迎えをしている。マイケルを家に連れて帰るデイヴは、ジミーの家の近くの歩道に嘗て 3 人で書いた自分達のサインを見た。デイヴのは完結せずに“DA”だけ。車に入るように脅す、あの時の男の顔を思い出すデイヴ。

【ミスティック・リバー 第05段落】  ジミー(ショーン・ペン)は町のコンビニのオーナー。死んだ前妻との間に 19 歳の娘ケイティ(エミー・ロッサム)と、今の妻アナベス(ローラ・リネイ)との間に幼い 2 人の娘サラとナディーンがいる。アナベスはデイヴの妻セレステといとこだ。明日は幼い娘の初聖体〔カトリック教会で、幼児洗礼の数年後に初めて聖体を拝領する儀式。初聖体拝領。「大辞林」〕の日。ジミーも幸せな家庭を築いている。コンビニ店の裏の部屋にいるジミーのところにケイティが今から友達と一緒に遊びに行くと伝えにやって来た。とても仲の良い父娘のようだ。ケイティは感慨深そうにジミーを見て部屋を出て行った。

【ミスティック・リバー 第06段落】  店の外に停めていた車に乗ったケイティを、後部座席にいたブレンダン(トム・グイリー)がビックリさせた。ブレンダン・ハリスはケイティの彼氏。しかし、 2 人の関係はジミーには内緒。なぜならジミーはブレンダンとその家族をなぜか嫌っているからだ。ブレンダンとケイティには、明日何か計画があるようだ。

【ミスティック・リバー 第07段落】  ショーン(ケヴィン・ベーコン)はこの貧民街を抜け出していた。父親ともずっと会っていない。ショーンは大学に行き、今はマサチューセッツ州警察の刑事となっている。相棒のホワイティ・パワーズ刑事(ローレンス・フィッシュバーン)と共にやってきた橋の上の高速道路の事故現場から、生まれ育った町を眺めるショーン。デイヴやジミーと違い、ショーンには幸せな家族がない。半年前、妻ローレン(トリ・デイヴィス)が家を出ていったのだ。ローレンからは無言電話だけが時折かかってくる。ショーンは他の女性に目もくれず、ただローレンの帰りを待っている。

【ミスティック・リバー 第08段落】  小汚いバーで友人と一緒にお酒を飲みながらTVの野球観戦をしているデイヴ。そこにケイティが 2 人の女友達イヴ(アリ・グレイナー)とダイアン( Zabeth・ラッセル)と一緒にやって来た。派手に踊り始める若い娘達。デイヴはそんなジミーの娘をちらと見た。

【ミスティック・リバー 第09段落】  翌日、日曜日の午前 3 時。セレステは血だらけになって帰宅した夫デイヴに驚いた。強盗に襲われてナイフで切られたと話すデイヴだが、傷を負っているのにも拘らず病院に行きたがらないし、セレステへの説明に辻褄が合わないところがある。その強盗の男を殺したかもと動転するデイヴを、セレステは介抱しながら必死に落ち着かせる。服を脱いでシャワーに掛かるように勧めるセレステは、怯える夫にキスをして抱きしめた。

【ミスティック・リバー 第10段落】  公園で血のついた車を見つけたと、電話による警察への通報の声。通報者は少年だ。電話の警官が通報者の少年に名前を訊くと、少年は被害者の女性の名前を尋ねられたと勘違いした。少年は自分の名前を明かすことなく電話を切った。

【ミスティック・リバー 第11段落】  日曜日の朝、ケイティはまだ家に戻っていない。日曜日はいつも店を手伝うのに、しかも今日は妹の初聖体の日なのに、どうしてケイティは帰って来ない?アナベスは義理の娘の行動に少し不愉快な感じ。ケイティの代わりに店に出たジミーは、ケイティの友達イヴの家に電話をかけた。そこにもケイティはいない。ブレンダンが話すことができない障害者の弟レイ(スペンサー・トリート・クラーク)と一緒にジミーの店に現れた。ブレンダンは母親のための紅茶を買ったが、明らかに目的はケイティに会うためのようだ。結局ケイティは初聖体の儀式にも現れなかった。ジミーとアナベスと幼い娘達が教会から出てくると、通りに何台もパトカーが走り去っていく。不安を感じるジミー。

【ミスティック・リバー 第12段落】  デイヴの家では、セレステが昨日夫が起こしたと思われる事件が載っていないか新聞をチェック。新聞にはそれらしい記事もなく、いつもと変わらない様子のデイヴを見て、セレステは少しホッとする。しかし、しばらくして公園で行方不明の女性を捜索中というニュースがTVで流れた。ドキリとしたセレステは、小さな庭でキャッチボールをするデイヴとマイケルを窓から見下ろした。

【ミスティック・リバー 第13段落】  ショーンが事件現場に辿り着いた。市警の事件だが、もし死体が州管理の公園で見つかれば、ショーンやホワイティたち州警の仕事になる。車の登録証とバッグの中の免許証は、まだ発見されていない被害者が、ジミーの娘ケイティ・マーカム(19)であることを示していた。現場の状況から、ケイティと思われる被害者は、車外から銃で撃たれ、肩に銃弾を受けた後、公園に逃げたと推測された。

【ミスティック・リバー 第14段落】  野次馬が囲む事件現場に現れたジミーは、そこにケイティの車が停まっているのを見て衝撃を受ける。公園の中にいるショーンに、被害者の娘の父親だという男とヤバイ感じの男たちがショーンの知り合いだと言って騒いでいるという無線の知らせが入った。今はもう挨拶する程度の知り合いとなっている子供の頃の友人ジミーとこんな風に対面するのは、ショーンにとってあまり気の進まないことだ。この地域の顔であるジミーが騒ぎ立てれば、面倒なことになる。ショーンは渋々ジミーと会い、淡々と今被害者を探しているところだと伝えた。その時、ショーンに無線連絡が入った。古いクマの檻で遺体が見つかったのだ。

【ミスティック・リバー 第15段落】  嘗てクマたちが過ごしたと思われる堀の中、枯葉に包まれ、若い女性が息絶えている。ショーンは顔を確認した。やはりケイティだ。ケイティは棒のようなもので殴られ、 38 口径の 2 発の被弾で死に至ったようだ。ショーンは呟いた。“ What the fuck am I gonna to tell him? "Hey, Jimmy. God said you owed another marker. He came to collect." (ジミーに何て言ったらいいんだ?「やぁ、ジミー。神がお前の借りを取り返しに来た。」)”

【ミスティック・リバー 第16段落】  ジミーは腹心のサヴェッジ兄弟に公園のフェンスに穴を空けさせ、公園内に侵入。走って古いクマの檻に向かってくるジミーとサヴェッジ兄弟は警察に取り押さえられる。“ Is that my daughter in there? (俺の娘がそこにいるんだろう?)”ジミーは何度も何度も叫んだ。悲痛な叫びだ。

【ミスティック・リバー 第17段落】  死体安置所でケイティを確認した後、ジミーとアナベスはショーンとホワイティから質問を受ける。ジミーはあの時車に乗っていたのが自分だったら自分の人生は変わっていたと話した。ジミー曰く、ケイティの母親マリータはラテン系の美女。もし自分にデイヴのような過去があれば、マリータを口説き落とすことはできず、ケイティは生まれず、ケイティは殺されずにすんだ。こんな事を言うなんて、ジミーもあの時のことを引きずっているようだ。

【ミスティック・リバー 第18段落】  どんな些細な事でもケイティについて気付いたことがあれば話して欲しいと言われ、ジミーは最後にケイティと別れた時、彼女が幼い時にしたようなもう二度と会えないという目をしたと伝えた。そして、ブレンダンが今朝ケイティに会いに店に来たことも話した。ジミーもアナベスもブレンダンがケイティの彼氏だったとは思っていない。子供の頃の忌まわしい記憶を共有するジミーに対して、ショーンは質問が遠慮がちになる。話の途中、そんないつもと違うショーンの代わりに、ホワイティがジミーに 16 年前に強盗で 2 年間服役していた過去について尋ねた。ジミーはカッとする。ジミーはホワイティが感じたように、肩に力の入ったいかにも前科のある男だ。

【ミスティック・リバー 第19段落】  愛娘を殺害されたジミーを気遣い、彼の仲間達がジミーの家に集まっている。その中には、場に馴染めず、強張った表情のデイヴの姿もある。そんな夫を不安に見つめながら、お客達に給仕しているセレステ。アナベスの父親テオがビールを持ってジミーを見舞いにやって来た。娘の幸せを願うテオは、ギャングから足を洗ったジミーが昔のように血を血で購(あがな)うようなことをするのを恐れていた。父親の責任を果たせと言うテオに対し、ジミーは怒った。最愛の娘を失ったという途轍(とてつ)もない感情を、ジミーはどう処理していいか分からないのだ。

【ミスティック・リバー 第20段落】  ジミーは警察の捜査に信頼を置いていないようだが、ショーンとホワイティは犯人逮捕に向けて全力で聞き込み捜査に当たっていた。まずは、ケイティの車が見つかった場所近くのアパートに暮らす老女プライアー夫人(スーザン・ウィリス)。昔気質のプライアー夫人は寝間着を着ていたので窓辺に立つことはなかったが、しっかりと事故当時の音を記憶していた。彼女によると、車がぶつかる音がした後、誰かの“ Hi. ”という声が聞こえ、その後銃声のような音がしたそうだ。そしてその“ Hi. ”という声が女性のものだったかもしれないとショーンたちに話した。プライアー夫人の証言で、顔見知りの犯行である可能性が高くなった。

【ミスティック・リバー 第21段落】  次の聞き込みは、ケイティの女友達のイヴとダイアン。ホワイティが質問するが、 2 人の女の子はもうサヴェッジ兄弟に話したからと中々答えない。そこでショーンはケイティが誰かとラスベガスへ行こうとしていたことを話した。ケイティの荷物からラスベガスのパンフレットが見つかり、その上、彼女は口座を解約し、チケットも予約していたことが判明していた。イヴとダイアンはそこまで調べているショーンたちに驚き、ケイティの相手が誰なのか口を割った。それはブレンダン・ハリスだ。

【ミスティック・リバー 第22段落】  ショーンとホワイティはブレンダンから話を聞いた。ジミーはケイティにブレンダンの家の誰とも話をすることを禁じていたようだが、それが何故なのかブレンダンは知らない。その所為だろうか、ブレンダンの母親(ジェニー・オハラ)はジミーの娘が殺されていい気味といった感じだ。しかし、息子のブレンダンは心からケイティの死を悲しんでいた。彼は本気でケイティを愛していた。

【ミスティック・リバー 第23段落】  その晩、ショーンは暗い自室で 11 歳の頃の 3 人が写った写真を見ていた。そこに携帯電話のベルが鳴る。電話に出るが、相手は無言。ローレンだ。ショーンはローレンに話しかけようとするが、昔の辛い記憶を思い出させる事件に心が重い。それで、今日は無理だと電話を切った。ショーンは幸せだった頃のローレンとの写真を眺めた。

【ミスティック・リバー 第24段落】  事件のお蔭で、ジミーとデイヴの距離が縮まった。昼間、ジミーを励ましに人々が家に集まった時、人を避けてベランダに出たデイヴは、そこでジミーと会った。悲しんでマイッている顔を人々に見せられないジミーは、ベランダで物思いにふけっていたのだ。ジミーはどれほどケイティを愛していたかデイヴに話し、涙した。自分以上の辛い体験をしているデイヴにだけ、ジミーは心を開くことができたのかもしれない。また、自分がこのような目に遭わなければならない理由がデイヴの例の事件にあるのかもと、デイヴに対して罪の意識があったからかもしれない。夜、遅くまでジミー宅にいたセレステに、ジミーは感謝の気持ちを示した。セレステが帰った後、ジミーは 1 人お酒を飲みながら、ケイティの死の意味を問うた。

【ミスティック・リバー 第25段落】  その頃、デイヴはマイケルに寝物語を聞かせていた。それは 25 年前、獣のような男達から逃れて森を走り続けたデイヴ自身の物語のように聞こえる。その様子を帰宅したセレステが見ている。ケイティが殺された夜、血だらけでデイヴが帰って来たことがずっとセレステの心に引っかかっている。もしかして…という気持ちを打ち消そうと、セレステはデイヴに彼が遭ったと言う強盗について話そうとした。ところがデイヴはそんな事よりケイティが死んだことの方が大切だと妙に真剣に切り返してきた。セレステはそんなデイヴをより奇妙に感じる。

【ミスティック・リバー 第26段落】  ケイティが殺される前にいたバーの客のリストに、デイヴ・ボイルの名前があった。ショーンとホワイティがデイヴを訪ねると、デイヴは息子マイケルを学校に送って行くところだった。ショーンとホワイティが握手を交わしたデイヴの手は酷い傷を負っていた。マイケルに付き添って歩くデイヴに、ショーンたちは質問をする。デイヴは自分がバーを出たのは午前 1 時で、ケイティたちはその 15 分前に店を出たと話した。そして自分が家に帰ったのは、本当は午前 3 時頃なのに午前 1 時 15 分頃だったとウソをついた。車でマイケルを送らず、又、歩いて帰るデイヴを見て、車に乗せられて誘拐されたトラウマで今でも車に乗れないのかとホワイティは訝(いぶか)しく思った。手に傷を負っているし、何となくおかしい態度。そして 30 代のプワー・ホワイトで、しかも性的虐待を受けた過去がある。ホワイティはデイヴに疑念を抱くが、ショーンは昔の事件の気兼ねからか、ホワイティの考えを否定した。

【ミスティック・リバー 第27段落】  ジミーはサヴェッジ兄弟達を使ってケイティを殺害した犯人を警察より早く見つけ出し、復讐するつもりだ。葬儀屋で遺体処理を受けたケイティを見て、ジミーは復讐の誓いを新たにする。それがジミーにとっての父親の責任なのかもしれない。お葬式用の黒いワンピースをケイティの遺体の上に掛けるジミー。

【ミスティック・リバー 第28段落】  ジミーの家を訪ねてきたショーンとホワイティは、その玄関先で出かけようとしているデイヴに出会った。手の怪我について訊くと、デイヴは生ごみ処理機のせいだと答えた。ショーンとホワイティもすぐにそれがウソだと感じた。セレステが 3 人の様子を窓から窺(うかが)い見ている。ショーンとホワイティがジミーの家の中に入ると、セレステがアナベスに断りを入れ、慌てた様子で出かけて行った。アナベスにウソの理由を言い、セレステを追って外に出たショーンは、ケイティが殺された夜にデイヴが何時に帰宅したか彼女に尋ねた。明らかにそわそわした様子のセレステは、その時寝ていて知らないと答えた。動揺して遠ざかっていくセレステの背中を見ながら、ショーンには嫌な予感がしていた。

【ミスティック・リバー 第29段落】  ショーンとホワイティはジミー夫婦にケイティがブレンダンとラスベガスに行こうとしていたことを話した。ショックを隠せないジミーに、ケイティを愛していたブレンダンは犯人でないとショーンは明言した。ショーンは、デートしたら勘当するとケイティに言っていたくらいにブレンダンを嫌っている理由をジミーに尋ねた。ジミーによると、“ただのレイ( Just Ray )”と呼ばれていたブレンダンの父親は、妻が口の利けない息子を身ごもっている時に家族を捨てて出て行った。カエルの子はカエルで、ブレンダンもそんな奴だとジミーは思っているらしいのだ。それからショーンとホワイティは、ケイティを殺した犯人をサヴェッジ兄弟に調査させているジミーに、事件は警察が解決すると話した。警察の邪魔をするつもりはないと言うジミーの態度に、ショーンたちを当てにしている様子はうかがえない。

【ミスティック・リバー 第30段落】  銃弾捜査により、ケイティを殺害した銃が 1982 年にニューハンプシャーで盗まれ、 1984 年にルーニー酒店の強盗事件に使われていたことが判明。ショーンとホワイティは早速ルーニー酒店へ。店主のルーニー氏(イーライ・ウォラック)は、事件のことを良く覚えていただけでなく、強盗犯人が誰なのか推測していた。当時は証拠不十分で逮捕できなかったらしいのだが、ルーニー氏は数週間前にクビにした男が犯人だったと確信を持っている。その男は“ただのレイ”ことレイ・ハリス。ブレンダンの父親だ。

【ミスティック・リバー 第31段落】  車の中で考え事をしていたセレステが帰宅すると、暗い部屋でデイヴが吸血鬼映画をTVで観ていた。最近デイヴを避けている様子のセレステに、デイヴは自分がケイティを殺したと思っているのかと大声を上げた。昼間のショーンからの質問に悩むセレステは、デイヴが強盗に遭ったことについて話すべきだと頼む。感情的になって泣くデイヴは、突然奇妙なことを話し始めた。それは子供の頃のあの事件の話だ。ヘンリーとジョージと呼び合っていた男達に弄(もてあそ)ばれている間、デイヴは自分の中に別の人格を作り上げていたようだ。多重人格障害の原因は幼い頃の虐待にあるらしいが、デイヴの場合もそうみたい。また、デイヴは町の郊外で売春をする子供の話もした。そして自分の心が信じられないと言った後、頭を冷やしてくると出かけて行った。

【ミスティック・リバー 第32段落】  町を歩いていたデイヴは、玄関ポーチで帰って来るはずのないケイティを待つジミーと出会った。ケイティが殺された夜、バーで彼女と会ったことをデイヴはジミーに打ち明けた。あの夜、デイヴがケイティは幸せそうだったと言って去ると、ジミーはまた言いようのない悲しみに襲われ、目頭を押さえるのだった。

【ミスティック・リバー 第33段落】  デイヴの家に行って血のついた車を見たホワイティの差し金で、デイヴの車がレッカー移動された。デイヴの車が、盗難に遭ったためか、州警察の管轄内にある郊外の高速沿いに放置されていたのだ。その結果、デイヴの車の前席から B 型の血液、トランクからケイティと同じ O 型の血液が見つかった。ショーンはデイヴを取り調べるのは時期尚早だと思ったが、ホワイティによりデイヴはすでに取調室の中にいた。 B 型の血はデイヴの血。では O 型の血は?デイヴは車が盗まれていた間に泥棒が何かに使ったのだろうと主張した。レッカー移動するために盗難車の調書を作ってしまっていたので、デイヴの主張を覆すことはできない。デイヴは家に帰された。

【ミスティック・リバー 第34段落】  ショーンとホワイティは、“ただのレイ”の銃の線で捜査を絞り込むことにした。“ただのレイ”ことレイ・ハリスは、数々の犯罪歴の持ち主。タバコをトラックごと盗み、州から州へ移動するという連邦犯罪にも手を染めた。その結果、 FBI のおとり捜査で逮捕。しかし、レイ・ハリスは刑務所に送られてはいない。きっとレイは仲間を売って難を逃れたのだろうとショーンたちは推測し、レイの仲間のリストに目を通した。リストにはジェイムズ・マーカム(ジミーのこと)の名が。レイはジミーの仲間だったのだ。ショーンとホワイティは事件を担当した FBI 捜査官(ウィル・ライマン)を訪ねた。その FBI 捜査官によると、レイに売られたジミーは懲役 2 年、保護観察 2 年の処罰を受けた。ジミーが出所した 2 ヵ月後、レイ・ハリスは姿を消したそうだ。

【ミスティック・リバー 第35段落】  ジミーはサヴェッジ兄弟からデイヴが警察に連行された話を聞く。嘗てなく捜査に力を入れている警察が、デイヴを犯人として疑っているようだと兄弟はジミーに報告した。ジミーが兄弟を連れて家に戻ると、玄関ポーチでセレステがジミーを待っていた。取り乱したデイヴを見て怖くなったセレステは、昨夜、マイケルを連れてホテルに泊まっていた。ジミーからデイヴが警察に連行されたことを聞いたセレステは、デイヴがあの日の午前 3 時に血を浴びて帰ってきたことを明かした。そして、デイヴがケイティを殺したのかとジミーから訊かれ、混乱したセレステは思わず頷(うなず)いてしまう。

【ミスティック・リバー 第36段落】  その頃、ショーンたちは警察でブレンダンを取り調べている。ブレンダンによると、父親と思われる人物から毎月 500 ドル( 1 ドル=約 110 円換算で約 55000 円)が家に送られてくるそうだ。ブレンダンが 6 歳の頃から今までの総額は 8 万ドル(約 880 万円)。ブレンダンが思っているように、父親以外にそんなお金を送ってくる人物はいないかもしれない。ショーンたちは父レイが銃を持っていたかブレンダンに尋ねた。何度訊いてもブレンダンの答えは「ノー」だ。そこでショーンは語気を強め、昔父レイが使っていた銃でケイティが殺されたことを明かした。強張るブレンダンの顔。しかし、ブレンダンは父親が銃を持っていたことを認めなかった。

【ミスティック・リバー 第37段落】  通りを歩いているデイヴに、車の中からサヴェッジ兄弟が声をかけた。サヴェッジ兄弟は昼真っからデイヴを飲みに誘う。兄弟の下心を知る由もないデイヴは、仕方なく誘いに乗り、車の後部座席に座った。通りを進む車のリアウインドーから不安げなデイヴの顔が見える。 25 年前の誘拐を髣髴とさせるシーンだ。デイヴの身にまた何か辛いことが起こるに違いない。

【ミスティック・リバー 第38段落】  行き詰まったショーンとホワイティは、ケイティの事件の通報テープを再び聴く。謎が解けた。“ Your name, son? ”と通報者の少年が電話口の警官から名前を訊かれた時、“ Her name ? ”と少年は訊き帰す。少年は被害者の女性の名前を尋ねられたと思ったのだ。遺体は車から遠く離れた場所にあったのに、何故少年は被害者が女性だと知っているのか。それは彼が犯人だからだ。

▲TOPへ

◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ミスティック・リバー 第39段落】  デイヴは、サヴェッジ兄弟に連れられた川沿いのバーで、兄弟と一緒にお酒を飲んだ。しばらくしてジミーもやって来た。店にはバーテンダーとデイヴたち以外に誰もいない。皆の様子はおかしいが、帰してもらえる雰囲気ではない。デイヴはそのまま飲み続け、気分が悪くなる。デイヴは川に吐くために外に出た。川辺からバーの方を振り向くと、ジミーたちも外にいてデイヴを見ていた。ジミーは“ただのレイ”の話をデイヴにした。ジミーが刑務所にいる間、レイは面会にも来てくれ、妻マリータとケイティの面倒も見てくれた。しかし、ジミーのことを売ったのはレイであり、お蔭でジミーは癌だったマリータの死に目に会うことができなかった。それで、出所後、ジミーはここでレイを殺して川に流した。デイヴがケイティを殺したと思っているジミーは、レイのようにデイヴもここで消してしまおうとしているのだ。

【ミスティック・リバー 第40段落】  警察から帰宅したブレンダンは、天井の秘密の穴を開け、そこに隠してある銃を探した。銃ケースはあるが、肝心の銃がない。ブレンダンは全てを悟った。弟のレイが家に帰ってきた。レイの友人のジョン(アンドリュー・マッキン)も一緒だ。ブレンダンはレイに掴みかかり、口の利けないレイに話すように怒鳴った。そして、思いっきりジョンの顔面を蹴り飛ばした。ジョンは鼻が折れ、顔が血だらけになる。また、レイのことも殴り、自分のことを愛しているからケイティのことを殺したのかと叫んだ。ジョンが“ただのレイ”の銃をブレンダンに向けた。そこにショーンとホワイティがやって来て、寸前のところでジョンを取り押さえた。こうして本物のケイティを殺した犯人が捕まったのだが…。

【ミスティック・リバー 第41段落】  デイヴは、少年を買春していた男を殺したことは認めたが、ケイティ殺しは認めなかった。あの夜、車の中で少年にいかがわしい事をさせている男を見たことで、デイヴの心の中の“少年”が目覚めてしまい、その“少年”と共に男を殺した。多重人格障害のあるデイヴの言葉はジミーには一貫性のないものに聞こえる。その上、犯人に復讐することでケイティを失った悲しみの埋め合わせをしようと必死なジミーもかなり混乱している。自分が殺して川に流そうとしているデイヴは、 25 年前、自分の悪戯心のせいで不幸のどん底に落としてしまった男だ。その時の心の傷のせいでデイヴはケイティを殺したのかもしれない。あの時、自分がセメントに名前を書かなければ、ケイティは殺されずにすんだのに。

【ミスティック・リバー 第42段落】  ジミーはケイティを殺したことを認めれば、命を助けてやるとデイヴに言った。追い詰められたデイヴは藁をもすがる思いで、ケイティ殺害を認めてしまった。ジミーはデイヴに理由を尋ねた。この件に関するデイヴの事実は全くのウソだが、デイヴの理由は真実だったのかもしれない。バーでケイティを見かけたデイヴは、自分にはなかった青春の夢を思い出した。もしかしたらデイヴもマリータのことが好きだったのかもしれない。あの時、車に乗っていたのが自分じゃなくてジミーだったら。それがデイヴの理由だ。

【ミスティック・リバー 第43段落】  一瞬悪意に満ちたデイヴの顔を見て、ジミーはよりカッときた。ジミーにとって、デイヴの理由は十分だった。子供の頃の忌まわしい記憶と繋がっているデイヴを、ジミーはずっと記憶の中から抹殺したいと思っていたのかもしれない。否、 25 年前、男達に連れ去られていった時から、デイヴはずっと存在していなかったのかもしれない。ジミーはナイフでデイヴを刺した。そして倒れてまだ死にたくないと請うデイヴに向かって、銃弾を撃ち込んだ。

【ミスティック・リバー 第44段落】  翌日、ショーンがケイティ殺しの犯人逮捕の知らせを告げに来たとき、嘗てデイヴがボールを落とした下水口の上でジミーはぐったりと座り込んでお酒を飲んでいた。犯人は“ただのレイ”の息子のレイと友人のジョン。ケイティを殺した理由は特にない。拳銃で遊んでいた時に、ケイティの車がやって来た。 1 人が道に寝転ぶと車は歩道に乗り上げた。ケイティを脅かすつもりが誤って発砲し、彼女が逃げたので追いかけて口を塞ごうとした。それから、ショーンはデイヴのことをジミーに尋ねた。セレステからデイヴがいなくなったとショーンに電話があった。また、市警がバーの裏で前科のある子供性愛者の男の死体を見つけ、デイヴの行方を捜してる。最後にデイヴを見たのはいつかと訊かれると、ジミーは 25 年前にデイヴがこの通りを車で去っていった時と答えた。もう少し犯人逮捕が早かったらと言うジミーに対し、ショーンは彼がデイヴを殺したと確信する。ショーンはセレステにも毎月お金を送るつもりかとジミーに問うた。ジミーは答えない。

【ミスティック・リバー 第45段落】  ジミーと話した直後、ショーンの携帯が鳴った。ローレンからだ。ショーンは初めてローレンに謝った。ローレンも謝り、一人で産んで育てていた娘の名前を明かした。 2 人は仲直りし、ローレンと娘のノーラはショーンのもとに戻ってくる。

【ミスティック・リバー 第46段落】  ジミーの背中にある十字架の刺青。ジミーは又もや大きな十字架を背負ってしまった。デイヴを殺したと打ち明け、うち沈んでいるジミーをアナベスは娘達に言って聞かせた言葉を使って慰め励ました。「パパは愛する者のためだったらどんなことだってする。」また、アナベスは自分の夫を疑って、人に言うなんてとセレステを責めた。ジミーはこの地域一帯のキング。統治に少々の犠牲はつき物。私達は他の人たちと違って強いのだから乗り越えられる。アナベスの言葉でジミーは自己正当化していく。

【ミスティック・リバー 第47段落】  華やかなパレードが通りを練り歩く。一人ぼっちで不安げなセレステは、幸せそうなショーン一家を見る。また、通りの向かいにはサヴェッジ兄弟に守られながらパレードに拍手を送る女王のようなアナベスの姿。アナベスはセレステの存在を知りながらも、無視してパレードに拍手を送り続ける。野球少年マイケルがリトル・リーグの仲間と乗った山車(だし)がやって来た。元気のない息子に必死に手を振るセレステ。アナベスの隣にキング・ジミーがやって来た。手で銃の形を作ったショーンは、通りの向かいからジミーに対して銃を撃つ振りをした。それに気付くジミーは軽く首を振った。
 歩道のセメントには“ JIMMY ”“ SEAN ” “ DA ”の文字。流れ続けるミスティック・リバーはジミーが望むように本当に罪を沈め、洗い流してくれるのだろうか。

▲TOPへ

■映画『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』の感想
 オスカーを獲得したショーン・ペンとティム・ロビンスはアンチ・イラク戦争な俳優。また、ケヴィン・ベーコンも 2004 年のアメリカ大統領選挙においてジョン・ケリー候補に 1 万 8000 ドル( 1 ドル=約 110 円で約 198 万円)を寄付した民主党支持者。彼ら 3 人がこの映画『 ミスティック・リバー 』に出演し、迫真の演技をみせているのに納得。『 ミスティック・リバー 』の 3 人の男達には、国際情勢の縮図が見て取れるように思うから。『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』ならぬ“ギャング・オブ・ボストン”なジミーの、法を無視し、オレ流でオレに対する悪を懲らしめようとする姿は、まさに国連を無視してイラク戦争に踏み切ったアメリカの姿。最後まで不幸だったデイヴは、強国の意志でいつも損な立場に追いやられ、貧困から抜け出せないイラクのような国。いつもジミーの横暴を止められないショーンは、イラク戦争を止めることができなかったフランスやドイツのような国、という風に。

 アメリカが自国の利益だけを追求し、犠牲となるものを作っていけば、 9.11 のテロ事件のように必ず報復を受ける。ジミーは嘗て抹殺したレイの息子ブレンダンに最愛の娘ケイティを奪われ、父と同じ名前を持つ息子レイにケイティを殺された。無神経なジミーは無実のデイヴを殺したことでもう悩むことはないかもしれない。しかし、父親を殺された可哀想なマイケルは生きている。残されたレイの家族にしたように、セレステとマイケルにもジミーはお金を送るだろうが、悲しみと怒りの連鎖は止むことがない。『 ミスティック・リバー 』の続編はなさそうだけど、きっとジミーは又大切なものを失うことになるだろうと思う。ミスティック・リバーは罪を洗い流さず、輪廻させるのだ。

 サスペンスとして面白かったけど、それにしても『 ミスティック・リバー 』は暗い。アメリカの傘の下で今のところは幸せを享受している日本の私にとっては、政治的に『 ミスティック・リバー 』を考えても詮無い感じがするが、個人として考えると遣る瀬無さで胸がいっぱいになる。弱いものはどこまでも最後まで弱く、これほどまでに情けないものなのか?ガキ大将に勧められてセメントに彫り込んだ書いた自分の名前。弱い人間は、「DAVE」を全(まっと)う出来なかった中途半端な「DA」のように、何でも中途半端で終わるのか?デイヴを殺さずに生かしておけば、映画は 3 流になってしまったと思うけど、何だか辛いなぁ。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず13715文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      公式サイト(英語版)
       http://mysticrivermovie.warnerbros.com/
■映画『 ミスティック・リバー 』の更新記録
2003/08/13新規: ファイル作成
2004/04/30更新: ◆書式とテキスト一部手直し
2004/10/11更新: ◆<もっと詳しく>を追記更新
2005/03/06更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/04/01更新: ◆データ追加
▲TOPへ
幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
「映画の森てんこ森」へ 「旅行の森てんこ森」へ
映画解説・レヴュータイトル一覧表
映画の森てんこ森 バナー03

映画の森てんこ森 coda21幸田幸 クレジット バナー01
幸のイタリア各都市情報へ
旅行の森てんこ森 バナー03
136x70
本サイトの作文、データ及び画像などのコンテンツの無断転用はお控え下さい。
貴サイトへの御掲載についてはメールにてお知らせ頂ければ幸いです。
© 2002-2005 Sachi CODA at Eigano-Mori Tenko-Mori, CODA21. All Rights Reserved.