ブラッド・ワーク | |||||
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ブラッド・ワーク (2002) | |||||
BLOOD WORK | |||||
映画『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK
』をレヴュー紹介します。 映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』を以下に目次的に紹介する。 ■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の解説及びポスター、予告編 ■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の映画データ ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の主なキャスト ■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』のスタッフとキャスト ■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 ブラッド・ワーク 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の結末 ■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |||||
■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の解説及びポスター、予告編 | |||||
ブラッド・ワーク
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■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の解説 映画『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK 』は、クリント・イーストウッドが監督・製作・主演で、マイクル・コナリーの小説「わが心臓の痛み」の映画化。イーストウッドは 1930 年生まれの 72 歳であり、前作『 スペース カウボーイ (2000) SPACE COWBOYS 』でも監督・製作・出演して、世界中の人々に老齢を克服しての現役活躍を感動させたものだ。それに続き、この映画『 ブラッド・ワーク 』でもFBI引退のプロファイラーに扮して、頭脳と経験を生かして凶悪犯罪に挑む姿を、彼独特の風貌と雰囲気でいい味を出して演じている。犯罪がらみの映画ながら、アクションあり、ロマンスあり、ユーモアあり、何でもありの本当のエンターテインメントだと思う。この『 ブラッド・ワーク 』でも、イーストウッドは観る者を喜ばせる方法を流石、心得ている。 『 ブラッド・ワーク 』においては、題名< BLOOD WORK >は、英和辞典でも探せなかったが、<血液型の検査>のことのようだ。この『 ブラッド・ワーク 』はタイトルが示すように、血液型や心臓移植がストーリー展開のキーポイントとなっており、だからポスターも真っ赤っ赤! |
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の映画データ | |||||
上映時間:108分 製作国:アメリカ 公開情報:ワーナー アメリカ初公開年月:2002年8月9日 日本初公開年月:2003年3月予定 ジャンル:犯罪/スリラー/ドラマ/ミステリー |
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■映画『 ブラッド・ワーク BLOOD WORK 』の主なキャスト | |||||
●クリント・イーストウッド as 監督・製作・主演 『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』 『 スペース カウボーイ (2000) SPACE COWBOYS 』 『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』 『 ミリオンダラー・ベイビー (2004) MILLION DOLLAR BABY 』 等で、俳優だけでなく、監督・製作・作曲という幅広い活躍をしているスーパースター。 ●アンジェリカ・ヒューストン as 女医ボニー・フォックス 『 バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66 』 『 エバー・アフター (1998) EVER AFTER 』 『 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (2001) THE ROYAL TENENBAUMS 』 『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK 』 『 チャーリーと14人のキッズ (2003) DADDY DAY CARE 』 『 ケイナ (2003) KAENA LA PROPHETIE (原題) / KAENA THE PROPHECY (米題) 』 『 ライフ・アクアティック (2004) THE LIFE AQUATIC WITH STEVE ZISSOU 』 |
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【『 ブラッド・ワーク 』のスタッフとキャスト | |||||
監督: クリント・イーストウッド Clint Eastwood 製作: クリント・イーストウッド Clint Eastwood ジュディー・ホイト Judie Hoyt 製作総指揮: ロバート・ロレンツ Robert Lorenz 原作: マイケル・コナリー Michael Connelly 脚本: ブライアン・ヘルゲランド Brian Helgeland 撮影: トム・スターン Tom Stern 編集: ジョエル・コックス Joel Cox 音楽: レニー・ニーハウス Lennie Niehaus 出演: クリント・イーストウッド Clint Eastwood テリー・マッケイレブ ジェフ・ダニエルズ Jeff Daniels バディ・ヌーン ワンダ・デ・ジーザス Wanda De Jesus グラシエラ・リヴァーズ マリア・キバン Maria Quiban グローリア・トレス メイソン・ルセロ Mason Lucero レイモンド ティナ・リフォード Tina Lifford 保安官ジェイ・ウィンストン ポール・ロドリゲス Paul Rodriguez ロナルド・アランゴ刑事 ディラン・ウォルシュ Dylan Walsh ジョン・ウォーラー刑事 アンジェリカ・ヒューストン Anjelica Huston 女医ボニー・フォックス リック・ホフマン Rick Hoffman ジェームズ・ロックリッジ マーク・トマソン Mark Thomason ジェームズ・コーデル アリックス・コロムゼイ Alix Koromzay コーデル夫人 チャオ・リ・チ Chao Li Chi 店主カン ジューン・キョウト・リュウ June Kyoto Lu カン夫人 ▲TOPへ |
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<もっと詳しく> | |||||
ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 ブラッド・ワーク 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。 ▲TOPへ 【ブラッド・ワーク 第01段落】 夜空からヘリコプターのサーチライトが、夜の街を照らす。ここはロサンゼルス、また連続殺人の事件だ。被害者の傍らには、いつもの通り、犯人からの血文字のメッセージ。 McCaleb というFBIの担当プロファイラーの苗字と何らかの単語と9で始まる数桁の数字だ。この一連の凶悪事件には毎回メッセージが残されるので、この犯人は<コード・キラー( CODE KILLER )>つまり、暗号の殺人者と呼ばれている。そして、連続殺人魔は、自分を追うそのプロファイラーに挑戦し続けている模様だ。 【ブラッド・ワーク 第02段落】 現場で報道記者達に囲まれて取材を受けていたテリー・マッケイレブ(クリント・イーストウッド)は、ふと足元を見ると、記者達に交じってスニーカーの男の脚が見える。その瞬間、男は逃走し始め、マッケイレブは追跡する。ハァハァ喘ぎながら数分間走り続けて追跡し、路地のフェンスに追い詰めたと思った途端、マッケイレブは胸の締めつけられる痛みを感じ、うずくまる。心臓の凄い鼓動の音…。意識が薄れながら犯人に向かって数発、発射するが、犯人には当らずに逃げられた。 【ブラッド・ワーク 第03段落】 原作「わが心臓の痛み」の文字通り、主人公マッケイレブは深刻な心臓疾患があるのだ。2年後、病院の定期検査。女医ボニー・フォックス(アンジェリカ・ヒューストン)がマッケイレブを診ている。マッケイレブはあの事件で追跡して倒れてから、FBIのプロファイラーを引退し、心臓移植を待っている状況だ。血液型の完全に適合するドナーを待ち続けている。そんなある日、フォックス医師は、よい知らせを持ってくる。ドナーが見つかったのだ。アンジェリカ・ヒューストンは「アダムス・ファミリー」シリーズや最近では 『 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (2001) THE ROYAL TENENBAUMS 』で、あの容貌を生かした?面白い役をたくさんこなしているが、ここでの医師の役もちゃんと似合っているから不思議。 Dr. の白衣できびきび話し、患者にきつく指図するのは、患者の回復を願ってこそなのだ。 【ブラッド・ワーク 第04段落】 無事に心臓移植の手術を受けて、マッケイレブはヨットハーバーに繋いだヨットで独り暮らししている。ここの撮影はカリフォルニア州のロング・ビーチ。目の醒めるような青空に数々の白いヨットが美しい。ヨット暮らしのお隣さんは、バディ・ヌーン(ジェフ・ダニエルズ: 『 めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』)という中年男だ。 Buddy って「仲間・相棒」という意味だけど、これがこの映画の筋に何か関係ある?はい、あります。 【ブラッド・ワーク 第05段落】 ある日、三十代くらいのスペイン系の女性グラシエラ・リヴァーズ(ワンダ・デ・ジーザス)がマッケイレブを訪れる。妹グローリア(マリア・キバン: 『 ブルース・オールマイティ (2003) BRUCE ALMIGHTY 』)とその幼い息子レイモンド(メイソン・ルセロ: 『 クリスティーナの好きなコト (2002) THE SWEETEST THING 』)の写真を見せて、妹を殺した犯人を挙げて欲しいと言うのだ。マッケイレブとしては、自分はLAPD(ロサンゼルス市警)をもう引退した身分であるし、超能力者でもないし、私立探偵にでも依頼したらと断る。しかし、思いも寄らない事実を告げられ、彼は愕然となる。今マッケイレブの身体に埋め込まれ鼓動をしている心臓は、グラシエラの妹グローリアの心臓なのだ!妹グローリアは 32 歳で、食料雑貨店に買い物に行った時、強盗に撃ち殺されたのだ。妹の血液型とマッケイレブの血液型が同じAB型Rh−で、妹が射殺された日とマッケイレブの心臓移植手術の日は同じであることを、姉グラシエラは新聞を読んで知ったと言う。マッケイレブは脳天を叩かれたような衝撃を受けて、引き受けるのだった。 【ブラッド・ワーク 第06段落】 翌日、マッケイレブは早速行動を起こす。勝手知ったるLAPDに赴いて、グラシエラの事件の詳細を訊きに行く。殺人課のスペイン系のロナルド・アランゴ刑事(ポール・ロドリゲス: 『 アリ (2002) ALI 』 『 シンデレラ・ストーリー (2004) A CINDERELLA STORY 』)とジョン・ウォーラー刑事(ディラン・ウォルシュ)が相手をするが、引退した者は部外者だから捜査の秘密を教えるわけにはいかないと言って、つれない。でも、手土産と言うか差し入れと言うか、ドーナッツを持っていって、喧嘩しながらも三人ともぱくつくシーンは面白い。アメリカでもやはり手土産というのを持参するのだなと、妙に親近感と説得力があった。この二人の刑事はこれから幾度も登場するが、スペイン系で、訛りのある英語で、その都度マッケイレブとののしり合うのが漫画的で、この映画に息抜き的ユーモアをもたらす役割を果たしている。因みに、この映画にはこのようにスペイン系の人達が多く出てくるが、いわゆるヒスパニックの人達はロサンゼルス市では約 40 %を占めるから、当然だろう。アジア系は 10 %、アフリカ系は 14 %、残り 36 %が白人で、ヒスパニックは一番多いのだ。 【ブラッド・ワーク 第07段落】 カリフォルニア州が認可した私立探偵の免許を持っていなければダメだというアランゴ刑事たちに、自分の心臓は、その事件の犠牲となったグローリア・トレスさんのお蔭なのだと食らいついて、どうにか事件当夜の食料雑貨店のモニターのヴィデオのコピーをもらうことに成功する。もっとも、刑事達は、コンビニで強盗にやられた単純な犯行だと言い張って、マッケイレブが元FBIのプロファイラーだったという凄い経歴と洞察の実力を、過去のこととして軽んじているけれど。 【ブラッド・ワーク 第08段落】 ヨットに持ち帰って犯行前後のヴィデオを見るマッケイレブ。スキーマスクの覆面をした男は食料雑貨店に入ってきて、店主の男(チャオ・リ・チ: 『 変身パワーズ (2002) THE MASTER OF DISGUISE 』)を撃ち、更にレジで代金を払おうとしていた若い女性グローリアの頭をいとも簡単に撃つ。そして、かがんで何やらしている。でも一瞬のこと。ヴィデオ視線から、この男はこの店は初めてではないようだ。その足で、その食料雑貨店に実際に行って、モニターの位置をチェックし、犠牲となった店主の奥さん(ジューン・キョウト・リュウ)にも哀悼の言葉と、事件の調査をしている旨を告げる。そうしていてもマッケイレブは胸をハーハーさせて苦しそうだ。なお、この店の殺された店主と妻はアジア系。中国系かと推測するが、 June Kyoto Lu の「京都」ってどうして?! 【ブラッド・ワーク 第09段落】 次は、マッケイレブはインターネットで「スキーマスク 強盗」と検索して、最近の似たような別の事件を知る。そして、その事件を担当した昔馴染みの婦人保安官ジェイ・ウィンストン(ティナ・リフォード)に詳細を訊きに行く。この保安官はアフリカ系だから、前述したロサンゼルス市を占める四大人種が揃って登場したことになる。クリント・イーストウッドはよく考えているな、そうすればどの人種の観客にも受け入れられるもの。アメリカの映画は、特に西海岸ロサンゼルスが舞台だと、このように色々な人種の俳優を登場させるのはごく自然な手法なのだろう。主演メル・ギブソンでLAPDが舞台の『 リーサル・ウェポン4 (1998) LETHAL WEAPON 4 』シリーズも同様だ。さて、保安官ジェイも、本来は部外者には見せられない犯行のヴィデオを、マッケイレブに粘られて見せてあげる。 【ブラッド・ワーク 第10段落】 犯行現場は郊外の寂しい所にあるソウルパッド・キャニオン銀行の屋外に設置されたATM(現金自動預入支払機)。ジェームズ・コーデル(マーク・トマソン: 『 13デイズ (2000) THIRTEEN DAYS 』 『 コーリング (2002) DRAGONFLY 』)という中年の男性が、頭を撃たれて即死したのだ。それがモニターに撮られている。そして、マッケイレブも実際に行ってみてATMの前に立った。すると、肩を叩いた風貌のよくない長髪の男…。 【ブラッド・ワーク 第11段落】 この2件の犯行は何か繋がりはないのだろうか。銀行ATMでのジェームズ・コーデル殺しが1月 22 日、食料雑貨店での二人の殺しが2月7日。しかも、凶器の銃は同じものだと判明している。マッケイレブはヨットハーバーのお隣さんバディ・ヌーンに車に乗せてもらって調査活動することにした。バディは字の通り「仲間・相棒」だから、即決で助っ人を快諾する。でも、ガソリン代は勿論マッケイレブが出すことにして。そして、ガソリン代は現金でなく、ある程度たまったら小切手で渡すように決める。調査していくうちに、グローリアと店主が殺された食料雑貨店からほんの1ブロックの所に住む男が容疑者として浮かぶ。2件の両日のアリバイを尋ねるが、その男は工場で働いていたと言う。でも、目が合うと、乱暴にガラス窓を割って逃げて行ってしまった。 【ブラッド・ワーク 第12段落】 術後まもなくで体調の悪いマッケイレブは、老齢と術後というハンディを負って連日調査にいそしむ。しかし、当然、具合は悪くなり、体温も上がり気味だ。アンジェリカ・ヒューストンの女医フォックスの所に定期診断に行くと、マッケイレブの無理している容態に、「せっかくもらった命なのだから大切に。たった一度のチャンスなのだから。」と厳しい口調で忠告される。心臓移植の話は 『 ジョンQ−最後の決断− (2002) JOHN Q 』でも観たばかり。ドナーとレシピエントの間の血液型や諸条件の適合やタイミングは本当に大変なものだ。フォックス医師が無理するなと叱っても、マッケイレブは、自分の心臓は、凶悪犯に殺された女性の心臓をもらったのだ、その犯人を捕まえたいのだと、心から訴えるのだった。 【ブラッド・ワーク 第13段落】 殺された女性グローリアの姉、依頼人のグラシエラは、初め強硬の姿勢を見せていたが、マッケイレブが心臓が悪いのに必死で調査に頑張る姿を見ているうちに、悪いなぁという気になってくる。そして、亡くなったグローリアの息子レイモンドと、マッケイレブと夕食を一緒にすることにした。なお、レイモンドは小学校低学年くらいで、伯母に当たるグラシエラが預かって育てている様子。夕日の美しい海辺を歩きながら語っていくうちに、マッケイレブとグラシエラは心が通い合っていく。そして、どんな些細な事でもいいから、手掛かりになるように、妹さんの普段の事を話してくれと彼は言う。妹さんの2週間前に同様の手口で殺されたジェームズ・コーデルという男とは何か関係はないかとも訊くが、全然知らない人物だと分かる。また、妹はいつもイアリングをしていたのに、警察から身の回りの品を返された時、イアリングの片方がなかった事を伝える。 【ブラッド・ワーク 第14段落】 次の日は、銀行のATMで射殺されたジェームズ・コーデルの未亡人(アリックス・コロムゼイ)の家まで、バディに車に乗せてもらう。ここでも未亡人に、片方の事件のグローリア・トレスさんとご主人は知り合いではないかと尋ねるが、やはり何の関連もない。主人の乗っていた車の中を覗かせてもらうと、<今日、献血に行ってきました>という赤と白のステッカー。あとは特に何も手掛かりなし。でも、ご主人が殺されて、身の回りの物で何かなくなったものは?と訊くと、ドンピシャ。サングラスが消えていたそうだ。これで、一つ進歩した。この連続殺人犯は、被害者から身の回りの物を一つ、コレクションとして持ち帰って行くのだ。実際、グローリアの射殺の瞬間のヴィデオをよく見直すと、犯人は、倒れた彼女から、かがんでイアリングをとっている! 【ブラッド・ワーク 第15段落】 今度はフォックス医師の許に、依頼人グラシエラを伴って行く。この人がこの心臓のお姉さんだと言って。そして、自分の移植手術(つまり心臓のドナーのグローリアが死んだ日)の2週間前にやはり強盗に殺されたジェームズ・コーデル氏の血液型を教えてくれと迫る。マッケイレブの無茶な行動を危険だと叱る女医フォックスではあったが、迫力に負けて、AB型Rh−だったと教える。あッ、グローリアの血液型と同じだ。勿論、グローリアの心臓をもらったマッケイレブ自身の血液型と同じ。本当にタイトル「ブラッド・ワーク」の通りの話になってきた。マッケイレブの熱を計ると 101.1 度、あ、これはアメリカだから華氏で。摂氏に換算すると、約 38.4 ℃の高熱である。彼が弱っていくのを目の当たりにして、グラシエラはこんなことを頼むべきではなかったと後悔し、手を握り合う。 【ブラッド・ワーク 第16段落】 また、もう一つ重大な事実が判明する。保安官のジェイは、マッケイレブと昔馴染みで気持が通じ合う仲間なのでいろいろ情報を教えてくれる。新事実とは、殺されたジェームズ・コーデルとグローリアは二人とも、臓器のドナー登録をしていたということだ。だから、頭を撃たれたのだ。因みに、グローリアと同時に射殺された店主は頭でなくて体の方を撃たれて、問題外のようだ。 【ブラッド・ワーク 第17段落】 更に、不思議なことが分かる。食料雑貨店で二人が殺されたという、ある男からの電話通報は、実際に二人が射殺される3秒前だったことが、ヴィデオと警察の電話のテープ記録から割り出されたのだ。ということは、犯人は臓器を狙った犯行で、2週間前のジェームズ・コーデル殺しでは、警察や救急車が到着するのが遅かったので、せっかくジェームズ・コーデルはドナー登録をしていたのに、臓器はうまくレシピエントに届かないで失敗した。だから、グローリアを殺したのは、偶然に食料雑貨店に居合わせたのでなく、事前にグローリアの日課を調べて、毎日ほぼ定刻に彼女が買い物に行く食料雑貨店で、犯行を実施する直前に、警察に通報したのだった。そうすれば救急車の到着は早くて、一刻を争う臓器移植に成功するからだ。 【ブラッド・ワーク 第18段落】 早速、マッケイレブと保安官ジェイは、臓器ドナーのリストを管理しているコンピュータ・センターのジェームズ・ロックリッジ(リック・ホフマン: 『 リーサル・ウェポン4 (1998) LETHAL WEAPON 4 』 『 セルラー (2004) CELLULAR 』)に臓器移植を調べてもらいに行くが、ロックリッジはつっけんどんな態度だ。怪しいのかなぁ。しかし、二、三日後また会いに行くと、欠勤。家に行くと、未亡人は殺されている。しかも、ロックリッジの無残な遺体が見つかった。場所は、冒頭、マッケイレブのFBI現役時代の最後、連続殺人犯と思われる男を追い詰めながら心臓が痛くて倒れこんだフェンスの所だった。何という挑戦!その上、<コード・キラー>の特徴の血塗りの大書きのメッセージも。また9から始まる数字と、 McCaleb, Happy Valentine と。マッケイレブが2年間ドナーを待ち続けて、新しい心臓をもらったことを Happy Valentine と茶化しているわけだ。つまり心臓はハートで、バレンタインもハートの絵をかたどって象徴するから。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【ブラッド・ワーク 第19段落】 グラシエラと幼いレイモンドは、この頃、マッケイレブのヨットに入り浸り。レイモンドは男性のマッケイレブに父や祖父の面影を見ているのかも知れない。新聞記事の切抜きのコード・キラーの欄を見て、「メッセージの数字に"1"がないね」と話したりして、マッケイレブによくなついている。そして、今晩は帰りたくないと駄々をこねる。こうして、少年とグラシエラはヨットに泊まることになり、自然の成り行きで、グラシエラはマッケイレブと結ばれる(信じられないけど)。スペイン風のギターの奏でるBGMに、ヨットに打ちつける波音…。定番のロマンチックな要素を巧みに使って。移植手術のメスの跡が大きく残る上半身と自分の年齢にちょっと弱気になるマッケイレブだが、そこは往年のヒーロー、クリント・イーストウッドは銀幕ではいつまでも元気なのだ。 【ブラッド・ワーク 第20段落】 ある日、ヨットに帰ると、二人の姿がない。そこに、車に乗せてもらったバディにガソリン代として支払う小切手を貼ってあるのに何気なく目が行くと、数字の"1"がないことに気付き、ハッとして、隣のヨットに行って、バディに二人を知らないかと訊いてみる。すると、そこには、男が持っている筈のないペンダント等の小物がコレクションとして置いてあるではないか。そのペンダントは銀行ATMで射殺されたジェームズ・コーデルの未亡人で、先日やはり自宅で殺されているのが発見されたコーデル夫人からとってきたと、薄ら笑いで話す。ムッ、このバディが連続殺人犯だったのだ!殺したら、被害者から身の回りの物を一つとっていくのが特徴だから。 【ブラッド・ワーク 第21段落】 では、バディが心臓移植を欲していて、自分の血液型の人達をその為に殺したわけか!…いや、違うのだ…。シャツを上げてみろとマッケイレブはバディに言って、バディはそうするが、胸にも背中にも手術跡はない…。 【ブラッド・ワーク 第22段落】 ここで恐ろしい事をバディは告白するのだ。実はバディこそが<コード・キラー>で、自分を追っているFBIのマッケイレブに挑戦し続けて、一種のゲームと考えて楽しんでいた。それが、マッケイレブは自分を追い詰めた時、心臓発作に襲われて、現役を退く羽目になってしまう。それで"遊び相手"が引退では面白くないから、新しい心臓をマッケイレブにプレゼントして、ゲームをもっともっと続けていこう、と企てたのだ。遊び相手だから、バディ=仲間・相棒…。 【ブラッド・ワーク 第23段落】 最後に、マッケイレブはアクションでグラシエラとレイモンドを無事救う。そして負けたバディが言う台詞は「"善"と"悪"の戦いのゲームをもっとしたいんだ。だからお前にも生きて欲しいし、俺も生きていたい。」しかし、グラシエラは妹の仇を冷静に討つのだった。そして、美しいLA沿岸をヨットに乗って、マッケイレブとグラシエラとレイモンドの三人は、家族のように肩を寄せ合って暮らしていったとさ。 プロットも意表を突いたし、何でもありの本当にワクワクするエンターテインメントでした。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず7629文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com 公式サイト(英語版) http://bloodworkmovie.warnerbros.com/home.html Retirement Havens in big, active Los Angeles County, CA http://www.seniors-place.com/retirementhavens/LARangesLosAngeles.html |
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■映画『 ブラッド・ワーク 』の更新記録 2002/11/13新規: ファイル作成 2004/12/29更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 2005/04/01更新: ◆データ追加 2005/10/06更新: ◆追記 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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