バッファロー'66 | |
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映画の森てんこ森■レヴュー | |
バッファロー'66 (1998) | |
バッファロー'66 |
BUFFALO '66 【解説】 映画『 バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66 』は、プロ・ボーラー、バイク・レーサー、画家、ミュージシャン、モデルと色々な顔を持つマルチな男、ヴィンセント・ギャロが、監督・脚本・音楽・主演を手がけた 1998 年の作品。多才な彼の交友関係を表してか、オスカー女優アンジェリカ・ヒューストン、ロザンナ・アークエット、ミッキー・ロークなどの有名俳優が出演している。 『 バッファロー'66 』のストーリー...5年ぶりに刑務所から出てきたビリー・ブラウン(ヴィンセント・ギャロ)。しかし、両親は彼が刑務所にいたとは知らない。結婚していると嘘をついているビリーは、いるはずのない妻を両親の家に連れて行く羽目に。困った彼は、偶然通りかかった女の子レイラ(クリスティーナ・リッチ)を誘拐して、自分の妻の振りをしてもらうことにするが…。 この映画『 バッファロー'66 』は、ビリーと同じバッファロー出身であるヴィンセント・ギャロの自伝的作品であるらしいのだけど、どこ辺りが自伝なのかなぁ。因みにタイトルの『 バッファロー'66 』の由来は、 バッファローで66(1966)年生まれだからだ。 |
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 | |
■『 バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66
』のデータ 上映時間 118分 製作国 アメリカ 公開情報 キネティック 初公開年月 1999/07 ジャンル ドラマ 《公開時コピー》最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた 《米国コピーTagline》Billy Brown just got out of jail. Now he's going to serve some real time. He's going home. |
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【スタッフとキャスト】 監督: ヴィンセント・ギャロ Vincent Gallo 製作: クリス・ハンレイ Chris Hanley 製作指揮: マイケル・パセオネック Michael Paseornek ジェフ・サックマン Jeff Sackman 脚本: ヴィンセント・ギャロ Vincent Gallo アリソン・バグノール Alison Bagnall クリス・ハンレイ Chris Hanley 撮影: ランス・アコード Lance Acord 音楽: ヴィンセント・ギャロ Vincent Gallo 出演: ヴィンセント・ギャロ Vincent Gallo ビリー・ブラウン クリスティーナ・リッチ Christina Ricci レイラ アンジェリカ・ヒューストン Anjelica Huston ジャン・ブラウン ベン・ギャザラ Ben Gazzara ジミー・ブラウン ケヴィン・コリガン Kevin Corrigan グーン ロザンナ・アークエット Rosanna Arquette ウェンディ・バルサム ミッキー・ローク Mickey Rourke 賭け元 ジャン=マイケル・ヴィンセント Jan-Michael Vincent ソニー |
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ネタばれ御注意! このレヴューは「テキストによる映画の再現」を目指して作文しています。よって、ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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<もっと詳しく> 一枚の少年の写真。ビリー・ブラウン7歳、 1966 年 12 月 26 日、NY州バッファロー生まれ、愛犬ビンゴと共に。 雪の積もる刑務所から一人の男(ヴィンセント・ギャロ:『 バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66 』『 GO!GO!L.A. (1998) L.A. WITHOUT A MAP 』『 ブラウン・バニー (2003) THE BROWN BUNNY 』等)が出所してくる。寒さのためか、物凄くおしっこがしたい。バスに乗って街へ出るが、なかなかトイレが見つからない。やっと見つけたダンス教室の裏のトイレ。しかし、隣のゲイの男が見てくるために激怒したためか、余りに我慢しすぎたためか、出ない。廊下に出て公衆電話から両親に電話をしようとするが、 25 セントがない。トイレに行くために通りかかったダンス教室の女の子(クリスティーナ・リッチ:『 恋する人魚たち (1990) MERMAIDS 』『 アダムス・ファミリー (1991) THE ADDAMS FAMILY 』『 アダムス・ファミリー2 (1993) ADDAMS FAMILY VALUES 』『 キャスパー (1995) CASPER 』『 バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66 』『 スリーピー・ホロウ (1999) SLEEPY HOLLOW 』『 私は「うつ依存症」の女 (2001) PROZAC NATION 』等)からお金を借りて電話をかける。 両親は彼が刑務所にいたことを知らないらしく、彼は電話で大口を叩いている。政府の仕事をしているとか高級ホテルから電話をかけているとか何とか。何かの強迫観念があるのか、神経質なのか、男は早口だ。両親には妻がいる話になっているらしく、いるはずのない妻を両親の家に連れて行かなければならないことになったらしい。そこにまたさっきの女の子がトイレから戻ってきた。男は彼女を拉致する。彼女の車まで無理やりに引っ張ってくるが、車がマニュアル車のために、男は運転できない。女の子に運転してもらう。威張りたがり屋で口汚くののしってくる男に、彼女は不満の面持ちだが、男の言う通りに運転する。途中で車を止させ、男は道路わきで用を足す。 男はやっとホッとする。彼の名前はビリー・ブラウン。彼は自分の誘拐した女の子に自分の妻の振りをして両親の家に一緒に行って欲しいと頼む。それも、自分のことを尊敬して愛して尽くす妻の振りだ。高校時代から彼女は自分のことが好きで、名前はウェンディ・バルサムという設定だ。本当の名前はレイラというブロンド髪のちょっとぽっちゃりした女の子は、彼の頼みを受け入れる。 ビリーの家に近づくと、アメフトを応援する女性の声が辺りに響いている。家の玄関を前にして、気分が悪くなるビリー。玄関の階段に座って「俺を支えてくれ。」と言うのでレイラが肩を抱こうとすると、触るなと拒絶反応を示す。 ビリーがインターホンを何度も押すと、中から父親(ベン・ギャザラ)が出てくるがそっけない。父親は母親(アンジェリカ・ヒューストン:『 女と男の名誉 (1985) PRIZZI'S HONOR 』『 グリフターズ/詐欺師たち (1990) THE GRIFTERS 』『 アダムス・ファミリー (1991) THE ADDAMS FAMILY 』『 アダムス・ファミリー2 (1993) ADDAMS FAMILY VALUES 』『 バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66 』『 エバー・アフター (1998) EVER AFTER 』『 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (2001) THE ROYAL TENENBAUMS 』『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK 』『 チャーリーと14人のキッズ (2003) DADDY DAY CARE 』『 ケイナ ザ・プロフェシー (2003) KAENA LA PROPHETIE (原題) / KAENA THE PROPHECY (米題) 』等)を呼ぶが、母親も暫く会っていない息子との対面とは思えない。ダイニングテーブルにそれぞれ向かい合って座る4人はなんだかぎこちない。レイラはビリーの言ったように可愛い妻ウェンディを演じる。母親はビリーに飲み物やチョコレートドーナツを勧めるが、そのどれもが彼の嫌いなものだ。それに、ビリーの幼いときの写真は1枚しか残っていない。犬のビンゴと一緒の写真だ。ビリーは思い出す。父親はビリーが子犬のビンゴを家に入れたのを激しく叱り、捨ててしまったことを。 昔、ナイトクラブの歌手だったというビリーの父親は、レコードに合わせてレイラに歌って聞かせる。レイラがヨイショするために「もう一曲」とせがむと、もうすぐ食事だと言って急に父親は癇癪を起こす。 レイラはビリーに菜食主義者だと言っていたにも拘らず、食事は肉料理のトリップ。しかし、彼女は我慢して口に入れる。そして二人の馴れ初めを話し出す。荒唐無稽なその話を父親は信じていないようだ。また、母親もそんな話より、アメフトのビデオに夢中だ。彼女は地元のアメフトチーム、バッファローの大ファンなのだ。最後にバッファローが優勝した日がビリーを産んだ日らしく、ビリーを産まなければその試合が見られたのにと言い出す始末だ。 「あなたもバッファローファンなの?」というレイラの質問に、ビリーは自分が刑務所に入る羽目になった出来事を思い出す。ビリーはスーパーボールでバッファローの優勝に 100 万ドルを賭けた。しかし、バッファローは敗退。ビリーにそんな大金払えるわけがない。ということで、賭け元(ミッキー・ローク)からの脅迫により、ビリーは彼の友人の代わりに5年間刑務所に入ることになったのだ。ビリーは刑務所に面会に来てくれた友人のグーン(ケヴィン・コリガン)に、自分が刑務所にいるのを両親に知られたくないので、家への郵便物を投函してくれるように高圧的に執拗に頼む。そのときビリーは刑務所での噂をグーンに話した。バッファローがスーパーボールで負ける原因となった、スコット・ウッド選手のフィールド・ゴールのキックミスは、八百長だったらしい。それで、そのお陰で刑務所に入ることになったと逆恨みするビリーは、出所したら奴を殺すと息巻くのだった。 ビリーは思い出したとばかりに、すぐにグーンに電話をかける。母親に電話を借りていいかと訊くビリーに、父親は「市内電話か?」とチェックを入れる。グーンによると、スコットは選手を辞め、今はストリップ劇場を経営しているらしい。 家から出たビリーとレイラは、ボーリング場へ行く。二人を送り出したビリーの父親と母親は、口もきかず別々の部屋へと戻って行く。ビリーは実はボーリングが大の得意だ。マイボール、マイシューズ、マイグローヴまで持っている。ボーリング場のマネージャー、ソニー(ジャン=マイケル・ヴィンセント)も彼のことを気に入ってくれている。壁には幼いビリーの写真が飾られてあり、彼のロッカーの中にはたくさんのトロフィーがある。そして、高校時代の<昔の女>の写真も。活き活きとストライクを決めるビリー。レイラはだんだんビリーのことが好きになってくる。ビリーがボーリング場の公衆電話からスコットの店に電話をかけると、スコットの声で店の宣伝が流れる。ビリーはボーリング場を出ることにするが、その前にインスタント証明写真の機械でレイラと一緒に写真を撮る。両親に送るためだ。 外に出たビリーはレイラに「じゃあな。」と別れを告げる。レイラがどこに行くのかと尋ねても答えず、公衆電話から再びスコットの店に電話をかける。今度は女性の店員が出た。深夜の2時にスコットが店に現れることを聞き出す。帰らずに電話が終わるのを待っていたレイラに、ビリーは「ホテルに行って、一休みしよう。」と誘うが、車の中で、さっきのは冗談だと言いなおす。「がっかりだわ。期待していたのに。」と答えるレイラ。 レイラのリクエストで、ホットチョコレートを飲みにデニーズに入る。すると、ビリーのロッカーに貼ってあった写真の女性が入ってきて、隣の席に座った。ウェンディ・バルサムだ。フィアンセと一緒にやってきた彼女は、子供の頃から自分に気があったビリーをからかおうとする。ビリーは店を出ようと言うが、レイラは「憬れのマドンナに出会えて、コソコソと逃げ出すの?」と反対する。怒ったビリーは、一人で店を出て、向かいのガソリンスタンドでトイレを借りようとするが、故障で使えない。仕方なくまたデニーズに戻ってトイレに入るが、悲しみの余り泣いてしまうビリー。レイラのところに行って、あの女には耐えられないから一緒に店を出ようと言う。ホットチョコレートに未練の残るレイラだったが、同意する。 熱いお風呂に入りたいビリーは、レイラと二人でモーテルに行く。レイラはビリーにウェンディのことを訊く。彼女は恋人だったと言うビリーだが、実は彼女は、幼稚園から高校まで、そして今の今まで彼の心の恋人で、一方的な片思いだったのだ。きっと学校ではヘンな奴だったビリーは、彼女にその純な気持ちを踏みにじられ続けてきたにちがいない。 ビリーがお風呂に入ると、レイラは寒いからと一緒に浴室にいることにする。「見るな!」と湯船の中で下着をつけたまま膝を抱え小さくなるビリー。レイラはそんな彼と一緒にお風呂に入る。他人との温かい触れ合いに慣れていないビリーは、裸のレイラを見ないように下を向いたままで、すぐにお風呂から出る。 ベッドで離れて横になる二人。レイラはビリーの手をとろうとするが、ビリーはすぐに手を引っ込める。しかし、時間の経過と共に近寄りあっていく。キスをするが恥ずかしいビリーは横を向く。でもまたレイラのほうに向き直り、彼女の胸の中で眠るのだった。 目覚めると、午前2時を少し過ぎている。スコットのところへ行かなければ。ビリーはズボンの前に銃を隠すと、レイラにコーヒーを買いに行くと言う。そんなビリーの様子がおかしいことに気付いたのか、レイラは必ず戻ってきてねと念を押す。 スコットの店はモーテルの道路を挟んだ向かいにある。店の横の公衆電話でビリーは親友のグーンに電話をかけ、今までバカにしてきたことを詫び、自分の大切なものをあげると、ロッカーの番号を教える。 ビリーが店の中に入ると、裸の女達が怪しく踊っている。スコットは店の奥で女の子達に囲まれて酔っ払っている。ビリーは彼の方へ向かって行く。 ……スコットの頭に銃を向け、撃ち抜くビリー。そして自分のこめかみに銃を当て、引き金を引く。歪むビリーの顔に、頭から噴出す血。ビリーのお墓の横にいる父と母の姿。母は相変わらずラジオを聞きながらアメフトの応援。父はお腹が減って帰りたがっている。…… ビリーは我に返る。目の前にいるスコットはビリーにお酒を一杯差し出す。それに応えず、店を出たビリーは、銃を投げ捨て、公衆電話からもう一度グーンにさっきのことは忘れろと電話をかける。そして、女の子と知り合ったこと、スコットに会ったことを意気揚々で教える。それからドーナツ店へ行き、ご機嫌でレイラのためにホットチョコレートとハート型のクッキーを買う。さぁ早くモーテルに帰って、レイラと一緒に過ごそう! 芸術的な匂いのする映画って、ハッピー・エンドの保証がないので、ビリーが死なずに済んでホッとした。全然ストーリーに関係ないけれど、ビリーの両親のあの状態プラス性的虐待があったら、ビリーは連続殺人犯になっていたのかなぁと思った。白人家庭の長男で、ちょっと精神的にヤバイ血縁(ビリーの場合は父親かな?癇癪起こしすぎ。)がいて…というのって、アメリカの連続殺人犯に多い家庭のタイプに結構あてはまってたり? イタリア系アメリカ人のヴィンセント・ギャロは、 16 歳のときに家出をしてから、ニューヨークやヨーロッパで色々な活動をする。精神を病んだこともあったらしい。人生の成功者のように見えるけど、案外自分のことをビリーのようなダメ男だと思っているのかもしれない。この映画から、子供の頃のトラウマから抜け出したいというギャロの願いが伝わってくるような気がした。 ぽっちゃりしたクリスティーナ・リッチはとてもキュートだった。<母親>を感じたいというビリーに、豊満な体はピッタリだった思う。 (■解説とネタばれ:2002/08/23アップ ◆俳優についてリンク更新:2003/10/02) 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず4940文字/文責:幸田幸 参考資料:「バッファロー'66」日本語版オフィシャルサイト allcinema ONLINE |
coda_sati@hotmail.com | ||||||||
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