マトリックス
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マトリックス (1999)
THE MATRIX
 映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』をレヴュー紹介します。

 映画『 マトリックス THE MATRIX 』を以下に目次別に紹介する。
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』の解説及びポスター、予告編
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』の映画データ
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』の主なキャストとカンフーコレオグラファー
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』のトリビア
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』のスタッフとキャスト
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 マトリックス 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』の結末
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』の感想
■映画『 マトリックス THE MATRIX 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の解説及びポスター、予告編
マトリックス
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■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の解説

 映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』は、新鮮で斬新な映像がエポックメイキングだったと思う、ラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟監督作品。映画『 マトリックス 』は、 1999 年アカデミー賞では、視覚効果賞、音響効果賞、音響賞、編集賞の4冠に輝いた。香港映画とハリウッド映画がうまく融合した、映画『 マトリックス 』のスタイリッシュなカンフーはカッコいい。日本のアニメやSF文学者ウィリアム・ギブソン William Gibson といった、幅広い分野から影響を受けたというウォシャウスキー兄弟が、エンディングでかかるレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン Rage Against the Machine の“ Wake Up ”[アルバム「 Rage Against The Machine 」( 1992 )に収録]を聞きながら脚本の大部分を書き上げたという映画『 マトリックス 』は、オタク的で古典的で神話的なテーマをハリウッド的に演出するのに成功している。
 コンピュータ大企業に勤務するT・アンダーソン(キアヌ・リーヴス:『 マトリックス リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED 』『 マトリックス レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS 』等)はネオというハッカーとしての顔も持つ。ある日、彼のコンピュータに不思議なメッセージが送り込まれる…。
 映画『 マトリックス 』三部作は必見だ。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の映画データ
 上映時間:136分
 製作国:アメリカ
 公開情報:ワーナー
 アメリカ初公開年月:1999年3月31日
 日本初公開年月:1999年9月11日
 ジャンル:SF/アクション/サスペンス
 《米国コピーTagline》 Be Afraid Of The Future
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■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の主なキャストとカンフーコレオグラファー
○『 マトリックス 』の主役: キアヌ・リーヴス as ネオ/トーマス・アンダーソン
ミッドナイトをぶっとばせ!<未> (1988) THE NIGHT BEFORE
ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA
ギフト (2000) THE GIFT
陽だまりのグラウンド (2001) HARDBALL
マトリックス リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED
マトリックス レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS
恋愛適齢期 (2003) SOMETHING'S GOTTA GIVE
コンスタンティン (2004) CONSTANTINE

○『 マトリックス 』の武術監督: ユエン・ウーピン 袁和平
ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ 烈火風雲(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地雄覇)(1993) 黄飛鴻鐡雎門蜈蚣 (原題) / CRAWS OF STEEL / THE LAST HERO IN CHINA
マスター・オブ・リアル・カンフー/大地無限 (1993) 太極張三豊 (原題) / THE TAI-CHI MASTER (英題)
マトリックス (1999) THE MATRIX
グリーン・デスティニー (2000) 臥虎藏龍 (原題) / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON
天上の剣 The Legend of ZU (2001) 蜀山伝 / THE LEGEND OF ZU
ブラックマスク2 (2001) BLACK MASK 2: CITY OF MASKS (英題) / 黒侠II (原題)
マトリックス リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED
キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1
マトリックス レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS
キル・ビル Vol.2 (2004) KILL BILL: VOL. 2
カンフーハッスル (2004) 功夫 (原題) / KUNG FU HUSTLE (英題)
ダニー・ザ・ドッグ (仮題) (2005) UNLEASHED / DANNY THE DOG
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■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』のトリビア
 「映画の森てんこ森」内にあるSF映画レヴューは:
『 未来世紀ブラジル (1985) BRAZIL
マーズ・アタック! (1996) MARS ATTACKS! 』
X−メン (2000) X-MEN
ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS
ザ・ワン (2001) THE ONE
マイノリティ・リポート (2002) MINORITY REPORT
ソラリス (2002) SOLARIS
タイムマシン (2002) THE TIME MACHINE
トレジャー・プラネット (2002) TREASURE PLANET
スパイダーマン (2002) SPIDER-MAN
28日後... (2002) 28 DAYS LATER
デアデビル (2003) DAREDEVIL
バレットモンク (2003) BULLETPROOF MONK
リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い (2003) THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN 』等があります。
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【『 マトリックス 』のスタッフとキャスト】
監督: アンディ・ウォシャウスキー Andy Wachowski
    ラリー・ウォシャウスキー Larry Wachowski
製作: ジョエル・シルヴァー Joel Silver
共同製作: ダン・クラッチオロ Dan Cracchiolo
製作総指揮: バリー・M・オズボーン Barrie M. Osborne
    アンドリュー・メイソン Andrew Mason
    アンディ・ウォシャウスキー Andy Wachowski
    ラリー・ウォシャウスキー Larry Wachowski
    アーウィン・ストフ Erwin Stoff
    ブルース・バーマン Bruce Berman
脚本: アンディ・ウォシャウスキー Andy Wachowski
    ラリー・ウォシャウスキー Larry Wachowski
撮影: ビル・ポープ Bill Pope
特撮監修: ジョン・ゲイター John Gaeta
美術: オーウェン・パターソン Owen Paterson
衣裳: キム・バレット Kim Barrett
編集: ザック・ステーンバーグ Zach Staenberg
カンフーコレオグラファー: ユエン・ウーピン Yuen-Woo-ping
音楽: ドン・デイヴィス Don Davis

出演: キアヌ・リーヴス Keanu Reeves ネオ/トーマス・アンダーソン
    ローレンス・フィッシュバーン Laurence Fishburne モーフィアス
    キャリー=アン・モス Carrie-Anne Moss トリニティ
    ヒューゴ・ウィーヴィング Hugo Weaving エージェント・スミス
    グロリア・フォスター Gloria Foster 予言者
    ジョー・パントリアーノ Joe Pantoliano サイファー
    マーカス・チョン Marcus Chong タンク
    ジュリアン・アラハンガ Julian Arahanga エイポック
    マット・ドーラン Matt Doran マウス
    ベリンダ・マクローリー Belinda McClory スイッチ
    レイ・アンソニー・パーカー Ray Anthony Parker ドーザー
    ポール・ゴダード Paul Goddard エージェント・ブラウン
    ロバート・テイラー Robert Taylor エージェント・ジョーンズ
    マーク・グレイ Marc Gray チョイ

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 

【マトリックス 第01段落】  夜、廃墟となったビルに集まる警察と政府機関筋のような黒いスーツにサングラス姿の男3人。現場を前にして縄張り争いのようだ。たかが小娘の逮捕に自分たちだけで十分だと、後から到着した黒衣の男に言う警官だったが…。地下の一室のドアが警官部隊によって開けられる。その部屋にいた、黒髪のショートカットの女性トリニティ(キャリー=アン・モス:『 ショコラ (2000) CHOCOLAT 』等に出演。TVシリーズ『 Matrix (1993) 』でLiz Teelという役で出演しているが、この番組は主人公の名前が Steven Matrix というだけで、全く映画とは関係がないみたい)は、とても警官の手におえるような存在ではないようだ。人並外れた力を持っている。黒いピチピチのボンテージ・ファッションの彼女は空中に止まったように飛び上がり、警官に強烈な蹴りを入れる。携帯電話で仲間と連絡を取りながら逃げるトリニティを、互角のパワーで追うのは黒衣の男エージェント・スミス(ヒューゴ・ウィーヴィング)。トリニティが電話の鳴っている公衆電話ボックスの中に入った瞬間、エージェント・スミスの運転するトラックが突っ込んだ。「逃げられた。」残骸を確認する黒衣の男たちが話し合う。彼女の姿は見当たらない。一体どこへ?エージェント・スミス達の次の獲物は“ネオ”という人物だ。

【マトリックス 第02段落】  “ネオ”(キアヌ・リーヴス)は机で転寝(うたたね)をしていた。彼の部屋はコンピュータやオーディオ機器が一杯でオタクチックである。目覚めた彼の目に、コンピュータ画面上に打ち込まれるメッセージが飛び込んできた。「起きろ、ネオ。」驚くネオに対し、メッセージは続く。 ” Follow the white rabbit. ” (白ウサギの後を追え。) ” Knock, Knock, Neo. ” (コンコン、ネオ。)すると、実際に自分の部屋のドアがノックされた。またまた驚いたネオだったが、それは自分のクライアントのチョイ(マーク・グレイ)だった。ネオの職業はハッカーだ。どんなデータが入っているかは分からないが、MOかFDのような記憶媒体を 2000 ドル(1ドル=約 120 円換算で 24 万円)と引き換えに訪問者に渡した。パンクっぽい仲間を連れ立っているチョイは、顔色の悪いネオをコンピュータのやり過ぎだと心配し、一緒に遊びに出るように誘った。断ろうとしたネオだったが、パンクな女性の肩に白ウサギの刺青を見て、考えを変えた。 In another moment down went Neo after it, never once considering how in the world she was to get out again. (次の瞬間にはネオもウサギに続いて飛び込みました。いっさい夢中で、一体どうやってまた出てくるなんてことは、一切考えなかったのです。) [「不思議の国のアリス Alice’s Adventures in Wonderland 」(著:ルイス・キャロル Lewis Carroll )より引用]

【マトリックス 第03段落】  ネオの部屋の中にあった、コンピュータ・ディスクを隠していた場所は、「シミュラークルとシミュレーション Simulation and Simulacra 」という本の中だ。はっきり言ってこんな難しい本を読んだこともないし、これからも読むことはないだろうが、一応映画を理解する上で、どんな感じの本かほんのちょっと調べてみた。本の著者ジャン・ボードリアール Jean Baudrillard は、有名な社会哲学者でありハイパーリアリズムの芸術家である、パリ大学の名誉教授 Professor Emeritus 。彼はポストモダン文化、コミュニケーション経済、メディア・システムの主要な批評家だ。そんなスゴそうな彼のこの本には、商品と、ヴィジュアル化とシミュレーションのテクノロジーの絶え間ない発展と共に、高度な資本主義社会におけるイメージの拡散についての仮定が記述されている。ボードリアールが示す、記号とその対象の関係が失われる社会を極端に表したのが、“マトリックス”であるのだろう。映画の最初にこの本が出てくることは、「起きてもまだ夢を見ているような感覚はあるか?」と自分の存在する世界に違和感を感じているネオのこれから始まる Adventures の伏線になっている。また、前述のパンクなクライアント、チョイの会話でもネオの真の存在を仄めかしている。この映画はこういう風に、色んなディテールに溢れており、それを読み解くのもまたいとおかしなのだが、このレヴューでは私のわかる範囲と興味のあることだけ書くつもりです。もっともっともっと映画に描かれている象徴的意味を知りたい方は、「 Matrixfans.Net 」 http://www.matrixfans.net/ (英語)を御覧あれ。

【マトリックス 第04段落】  ずっと抱いていた疑問の答えを求めて、ネオはチョイに連れられて盛り場にやって来た。独り佇む彼に声をかける美女が出現。冒頭のトリニティだ。トリニティという名前を聞いて、ネオはすぐに彼女が国税局のコンピュータに侵入した名の知れたハッカーであることにピンと来た。そんな彼女の突然の出現は、さっきのコンピュータのメッセージと関係あるに違いない。トリニティは、ネオが誰かに狙われていて、危険な状態であることを伝える。彼女はネオがサイバースペースでずっと捜している人物と面識があるようだ。「マトリックスとは?」と尋ねるネオに、望めばいつかは分かると謎めいた風に答えて、トリニティは去った。

【マトリックス 第05段落】  ネオというのは裏社会のハッカーとしての名前。ネオの実社会での名前は、トーマス・アンダーソンと言い、大きなコンピュータ企業“ Metacortex ”に勤める有能なプログラマーだ。しかし、遅刻の多い彼は、上司に呼び出されて叱られている。社内の自分のボックスに戻った彼は、郵便物を受け取った。その中には携帯電話が入っていて、ネオが包みを開けたときにタイミングよく鳴った。「やあ、ネオ、誰だかわかるか。」と言う電話口の男の声に、ネオはすかさず「モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)」と答えた。きっとこのモーフィアスという男が、ネオが捜し続けていた人物なのだろう。しかし、モーフィアスもネオをずっと捜していたようだ。

【マトリックス 第06段落】  モーフィアスはネオに危険を知らせた。彼の言葉に従って、ネオがボックスの仕切りの上からこっそり社内を見渡すと、見たこともない黒服の男たちを発見した。トリニティを襲った男たちだ。ネオは携帯を通してモーフィアスからの指示を受け、社内をコソコソと逃げ回ったが、奴らに見つかるのも時間の問題だ。焦るネオにモーフィアスは、逃げ込んだ部屋の窓の外にある足場を伝って逃げるか、奴らに捕まるか、道は二つだと選択を迫る。地上から何百メートルも離れてそうな部屋の外に出るなんてネオには自殺行為に思えたが、前者を選択する。しかし、その高さに慄き携帯電話を遥か下の地上に落としてしまった。「無理だ」とネオは結局捕まってしまうことにした。

【マトリックス 第07段落】  黒服の男たちに連行されたネオは、机と椅子しかない尋問室に入れられた。二人の黒服の男が椅子に座らされたネオの左右に立ち、その向かいにエージェント・スミスが座った。彼はトリニティのようにネオの全てを知っていると話した。そしてモーフィアスが危険なテロリストであり、彼の逮捕に協力するようネオに要請してきた。ネオはそれには応じず、自分の権利として電話をさせるように訴えた。「君は口が利けなくなっても電話をするかね?」とエージェント・スミスが無気味に話し掛ける。すると、ネオの口がくっつき、無くなってしまった!パニックるネオは男たちに机の上に取り押さえられた。エージェント・スミスが銀のシガレットケースのようなものから、小さな先が赤く光った機械を取り出した。するとそれは見る見るうちにエビのような虫になり、ネオのおヘソから彼の体内へと潜り込んでいった。

【マトリックス 第08段落】  物凄い衝撃でネオはベッドの上で跳び起きた。お腹に虫が入っていったのは、夢だったのだろうか?ネオが安心しかけたその時、電話のベルが鳴った。それはモーフィアスからの呼び出しの電話だった。以前からの疑問と、急に自分の身に起こり始めた不思議な出来事の答えを知るため、ネオは指示された場所に向かった。

【マトリックス 第09段落】  雨が降りしきる夜、橋の下の通りに 1964 年物の黒のリンカーン・コンチネンタルがやって来た。後部座席に乗り込んだネオに、助手席にいる金髪のショートカットの女性スイッチ(ベリンダ・マクローリー)が銃口を向けた。「ルールは二つよ。言うとおりにするか、降りるか」というスイッチの言葉に、ネオが車を降りようとすると、「私を信じて」と彼の隣に座るトリニティが止めた。仰々しい機械を取り出したトリニティは、ネオにシャツを捲り上げさせてお腹を出させた。彼のおヘソに当てられたその機械は、虫退治をするものだそうだ。その女性スイッチがネオに対し銃を構え続けるのは、彼の体内にいる虫のためだったのだ。緊迫した車内。運転する男エイポック(ジュリアン・アラハンガ)も後部座席が気になるようだ。機械を操作するトリニティ。ネオの体に激痛が走った瞬間、虫がおヘソの穴から機械の中に吸い上げられた。あの恐ろしい夢は現実だったのだ。車の窓から虫が捨てられると、それは元の小さな機械に変わり、赤い光が消えた。

【マトリックス 第10段落】  大きな廃屋のビルに連れてこられたネオ。トリニティに案内された部屋でネオを待っていた厳つい黒人男性モーフィアスは言う。「『不思議の国のアリス』の気分だろう。」この言葉からもわかるように、この映画では、ヴィクトリア朝イギリスの数学者であり文学者のルイス・キャロルの世界も採り入れられている。白ウサギを追ったり、自分が見たものが別のものに変わっていたり、これ以後も色々ある。ここも古いビルなので汚いが、チェス板のような市松模様の床やレトロな内装もアリス的だ。モーフィアスは“マトリックス”は真実を隠す為の虚像の世界だなどとネオに話した。そして彼にその隠された真実を知りたいかどうか選択を迫った。マトリックスは人に教わるものではない。自分で見るものだ。黒い“白ウサギ”のモーフィアスは、青と赤のカプセルをネオに提示した。青を飲めばマトリックスについて知ることはなく、赤を飲めばその謎を知ることができる。もう後には引き返せない。ネオは赤い方を飲んだ。

【マトリックス 第11段落】  「接続できたか?」モーフィアスがドアを開けると、隣の部屋には色々なコンピュータ機器があり、彼の仲間たちが働いている。一体何に接続するのか?椅子に座らされたネオはコンピュータに接続されたパッチを付けられた。さっきの赤いカプセルはネオの本当の肉体を探し出すプログラムだとモーフィアスは言うが、ネオにはまだその意味が分からない。ネオは横にある大きな鏡を見た。しかし自分の顔がうまく映らない。 And certainly the glass was beginning to melt away, just like a bright silvery mist. (そして、たしかに鏡はまるで明るい銀色のもやみたいに溶けかかっていた。)[「鏡の国のアリス Through the Looking Glass 」(著:ルイス・キャロル)より引用]ネオが鏡に触れると、軟らかくなった鏡はネオの手にくっ付いてきた。鏡は彼の手からどんどんと体全体を覆い尽くしていく。寒さを感じるネオ。「転送しろ」というモーフィアスの言葉で、ネオの精神は現実のネオの体へと送り込まれた。

【マトリックス 第12段落】  現実のネオの体は、数十本のコードにつながれ、容器の中で赤っぽい透明な液体につけられている。それは髪も生えず、色白で素っ裸である。意識を得たその体は液体の表面に張っていたゼリー状のものを掻き分け、液面から顔を出した。ネオは苦しそうに初めての呼吸を経験し、自分の体に繋がっている黒いコードに驚いた。そして周りを見渡しもっと驚いた。自分が浸かっていた容器と同じ物が、暗い空間の中に横にも下にも上にも無数に存在している。それらはトウモロコシの種のように円柱状のものにくっ付いているみたい。そしてそのトウモロコシ(表現が適切でないかもしれないケド)はネオの容器がくっ付いているものだけでなく、他にも何本もあるのだ。

【マトリックス 第13段落】  唖然とするネオの元にヘンなロボットが飛んできて、ネオの延髄辺りに繋がっている太いプラグを外した。すると体中のコードが自然に次々と離れていく。ネオは容器の奥が抜け落ちた穴から、液体と共にどんどん流されていき、ジャボンと大きな液体の溜まり場に落ちた。ネオは開いた天井から伸びてきたクレーンに掴み上げられた。

【マトリックス 第14段落】  “ Welcome to the real world. (現実の世界にようこそ)”ネオはモーフィアスの言葉を朦朧とする意識の中で聞いた。退化した筋肉の回復のため、横たえられたネオの体には何百本という針が刺されている。物凄い疲労を感じているネオは眠った。

【マトリックス 第15段落】  どれくらいの期間眠り続けたのだろうか。目覚めたネオは周りが鉄板でできている船室にいた。服も着ている。彼は手に付けられている点滴のコードを外し、自分の首の後ろにあの太いプラグの差込口があるのを手で確認した。ちょうどその時、ドアが開き、モーフィアスが入ってきた。彼は以前に見たような黒い皮のロングコートを着た厳つい格好ではなく、ネオが着せられているような汚いセーターとズボンといった出で立ちだ。彼によると今はネオが記憶する 1999 年ではなく、だいたい 2199 年くらいらしいのだ。状況を口では説明できないと、モーフィアスはネオを部屋の外へと連れ出した。

【マトリックス 第16段落】  ネオがいるのは、モーフィアスの船“ネブカドネザル”ホバークラフト。船といっても潜水艦を大きくしたような感じだ。モーフィアスは仲間を紹介した。トリニティ、エイポック、スイッチ、ハゲ頭のサイファーは既知だが、黒人の兄弟タンク(マーカス・チョン)とドーザー(レイ・パーカー)、一番若そうな青年マウス(マット・ドーラン)とは初めて顔をあわせる。そして「マトリックスの正体を見せよう」と、モーフィアスはネオを歯科医院にあるような椅子に座らせた。ネオは足と手を固定させられ、首の後ろの差込口に太い針のようなプラグを突き刺された。激しい痛みがネオを襲う。

【マトリックス 第17段落】  ネオはだだっ広い白い空間の中にいた。服装も以前のようにこざっぱりとし、髪の毛も生えている。「君は今プログラムが創り出した仮想世界にいる…」とネオに声をかけたモーフィアスもスーツにサングラスと服装が変わっている。二人の前にアリスのティーパーティに出てきそうな赤い椅子が二つと、レトロなTVが置かれている。モーフィアスはTVをつけ、 20 世紀末の世界を映し出した。ネオが知るその世界こそが、神経相互作用が創り出した虚像の世界である“マトリックス”だと話した。次に、現実の世界がTV画面に映し出された。それは暗い空の下に広がるビルの残骸だけが残った不毛の土地だ。瞬間、二人はその荒(すさ)んだ世界へと移った。そこでモーフィアスはどうして“マトリックス”が存在するようになったのかネオに説明した。

【マトリックス 第18段落】  人類が誕生させた人工知能AIのお陰で単一の意識を持つようになった全てのコンピュータが、いつの間にか人類と争うようになった。コンピュータを滅ぼす為、人類は青空を破壊して、その動力源である太陽エネルギーを遮った。それでコンピュータは自らのエネルギーを得る為に人間の体から出る生体電気エネルギーを利用しようと考えた。両者の立場は完全に逆転してしまった。ネオが容器に入れられていたあの場所は、コンピュータが支配する巨大な発電所。人間が発する膨大な熱量が核融合と結合され、コンピュータのためにパワーを生み出す場所だったのだ。ネオが浸かっていたあの液体は、生きた人間に注入する為に死んだ人間を液化したもの。人類はそうやってコンピュータによって正確に栽培されている。“マトリックス”とはコンピュータが人類を支配して自らを存続させるエネルギーに変える為の仮想世界なのだ。

【マトリックス 第19段落】  モーフィアスの話を聞いて、混乱したネオは現実の世界に戻された。首からプラグを外し、体の束縛を解かれたネオは、お前たちなんか信じないと錯乱状態。そして気分が悪くなって嘔吐し、気を失った。この時、キアヌ・リーヴスは本当にゲロを吐いたらしく、それは彼が食べたチキン・ポット・パイのせいだったとか。オエ〜!

【マトリックス 第20段落】  目覚めたネオのそばにいたモーフィアスは、何故彼に真実を見せたのかを話した。マトリックスができた時に、世界を正しくする能力を持った一人の男が生まれた。彼はモーフィアスたちを解き放ち、真実を教えた。彼の死後、予言者(グロリア・フォスター)が人類の救世主となるという、彼の復活を告げた。モーフィアスによると、マトリックスを滅亡させるその救世主こそがネオなのだそうだ。翌日からネオの訓練が始まる。

【マトリックス 第21段落】  ネオの部屋に操作係のタンクがやって来た。彼もネオが救世主であることに期待を寄せているようだ。タンクの体にプラグの痕がないのは、彼が地中のマグマ近くにある本物の人間が暮らす街ザイオンで、人間から誕生した人間だからだ。ザイオン Zion というのはシオンとも読み、キリスト教文学や賛美歌において、天国の都だとかキリスト教の信仰と兄弟愛に溢れた地上の楽園といった意味でよく用いられている言葉だそうだ。元々は、古代エルサレムにある二つの丘の最東端に位置し、ダヴィデが王国の首都を築いた場所。旧約聖書では、ザイオンという名が概してエルサレムを指す言葉として頻繁に使われており、詩的で予言的な名称なのだそうだ。シオンの丘は神であるヤハウェが住み、救済を行った場所でもある。その名はユダヤ人の故郷を意味するようになり、また、彼らの民族主義のシンボル的な言葉となった。シオニズム Zionism ( 19 世紀末、ユダヤ人迫害の高まりの中で、ヨーロッパに起きたユダヤ人の国家建設運動。「新辞林 三省堂」)の語源である。

【マトリックス 第22段落】  トリニティとか復活とか救世主とかザイオンとか、映画『マトリックス』にはキリスト教的世界観も展開されている。トリニティすなわち三位一体 the Trinity とは、“父と子と聖霊”という3つの神の存在の仕方のことで、父は創造主たる神、子はイエス・キリスト、聖霊は人々を神と結びつけるものだそう。それらの本質は全て同じであり、唯一神だけがこの3つを持つ実体であるという考え方だ。映画の中では父がモーフィアス(ギリシャ神話の夢の神モルフェウス Morpheus が彼の名の語源だそうで、因みにモルフェウスはモルヒネの語源でもある)、イエスがネオ、トリニティが聖霊ということなのだろう。ネオは度々救世主という意味で“ The One ”(大好きなジェット・リー Jet Li の『 ザ・ワン (2001) THE ONE 』を思い浮かべる。実際、『 THE ONE 』の中国語タイトルは『救世主』なのだ!)と呼ばれているが、ネオ Neo という名前は one のアナグラム(文字かえ遊び)である。因みに、アナグラムは「不思議の国のアリス」の著者ルイス・キャロルが得意としたことだ。

【マトリックス 第23段落】  戦闘訓練が始まった。様々な格闘技についてのデータが入ったディスクをタンクがコンピュータに挿入すると、プラグが装着されたネオの頭にどんどんその情報が入ってくる。柔術 ju jitsu 、サバット savate 、拳法 kenpo 、テコンドー tae kwon do 、酔拳 drunken boxing など等。椅子に座ったままでそれもたった 10 時間でこれらの格闘技が習得できるなんて、スゴイお得な話だ。私もやりたい〜!

【マトリックス 第24段落】  酔拳といえば、本作そして続編『 マトリックス・レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS 』『 マトリックス・リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED 』のカンフー・コレオグラファーであるユエン・ウーピンは、ジャッキー・チェン Jackie Chan (
シャンハイ・ヌーン (2000) SHANGHAI NOON
タキシード (2002) THE TUXEDO 』等に出演)の『 ドランク・モンキー/酔拳 (1978) DRUNKEN MASTER 』の監督だ。また、リー・リンチェイ Li Lian-Jie (ジェット・リー
少林寺 (1982) THE SHAOLIN TEMPLE
少林寺2 (1983) SHAOLIN TEMPLE 2
阿羅漢(あらはん) (1986) MARTIAL ARTS OF SHAOLIN
ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ/烈火風雲 (1993) THE LAST HERO IN CHINA
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ/天地風雲 (1997) ONCE UPON A TIME IN CHINA & AMERICA
リーサル・ウェポン4 (1998) LETHAL WEAPON 4
ロミオ・マスト・ダイ (2000) ROMEO MUST DIE
キス・オブ・ザ・ドラゴン (2001) KISS OF THE DRAGON
ザ・ワン (2001) THE ONE
HERO (2002) HERO (英題) / 英雄 (原題)
ブラック・ダイヤモンド (2003) CRADLE 2 THE GRAVE 』等に出演)の
マスター・オブ・リアル・カンフー/大地無限 (1994) THE TAI-CHI MASTER 』や
ダニー・ザ・ドッグ (仮題) (2005) UNLEASHED / DANNY THE DOG 』の武術監督、アカデミー外国語映画賞などの数々に輝いた『 グリーン・デスティニー (2000) CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON 』のアクション監督などと活躍目覚しい。

【マトリックス 第25段落】  “ I know kung fu. (カンフーを修了した。)”戦闘訓練が終了すると、次はモーフィアスと実践プログラムで仮想世界の道場の中で戦うネオ。格闘ゲームのようなシーンは、本作の見所の一つだろう。出演者たちは4ヶ月武道の練習を強いられたそうで、その成果が遺憾なく発揮されている。
ユアン・マクレガー Ewan McGregor (
ブラス! (1996) BRASSED OFF
トレインスポッティング (1996) TRAINSPOTTING
リトル・ヴォイス (1998) LITTLE VOICE
ムーラン・ルージュ (2001) MOULIN ROUGE
恋は邪魔者 (2003) DOWN WITH LOVE
ビッグ・フィッシュ (2003) BIG FISH
猟人日記 (2003) YOUNG ADAM 』等に出演)や
ウィル・スミス Will Smith (
インデペンデンス・デイ (1996) INDEPENDENCE DAY
メン・イン・ブラック (1997) MEN IN BLACK
アリ (2002) ALI
バッドボーイズ2バッド (2003) BAD BOYS 2 BAD 』等に出演)がネオ役のオファーを受けたそうだが、ウォシャウスキー兄弟は最初からキアヌ・リーヴスを念頭においていたそうだ。『 ミッドナイトをぶっとばせ! (1988) THE NIGHT BEFORE 』『 ドラキュラ (1992) BRAM STOKER'S DRACULA 』等では普通の役、『 ギフト (2000) THE GIFT 』等では悪役を演じていたが、『 リトル・ブッダ (1993) LITTLE BUDDHA 』のシッダールタ王子や『 ディアボロス/悪魔の扉 (1997) THE DEVIL'S ADVOCATE 』の悪魔の息子、そして本作のネオのような、人知を超越したような役柄がキアヌ・リーヴスには良く似合うと思う。

【マトリックス 第26段落】  モーフィアスとの戦いの中で、ネオは仮想世界の中での身の処し方(神経回路の処し方と言ったほうが適切かな)を学んでいった。現実世界からモニターを通して二人の戦いを見る船の他のクルーたちは、ネオの吸収力の速さに、彼が本物の救世主ではないかと期待する。しかし、ネオは次の跳躍プログラムで失敗した。モーフィアスがしたようにビルとビルの間を飛び越えようとしたが、落下。これは、これまでどのクルーたちも失敗してきた大技なのだが、ネオが本当に救世主ならできた筈では?まだまだネオが本物かどうかはハッキリしない。現実世界に戻ったネオは口から血が出ていることに気付いた。仮想世界での落下のせいだ。精神と肉体は一つ、マトリックスの中での死は、現実世界の死をも意味する。

【マトリックス 第27段落】  翌日、モーフィアスと一緒に、人々が行き交う大都会の街中を歩くネオ。一瞬彼は赤いドレスを着た金髪のセクシーな女性に見惚れてしまった。するととたんに彼女はエージェント・スミスに姿を変え、ネオに銃を向けた。これも訓練プログラムの一環で、モーフィアスとネオ以外は静止画像になる。モーフィアスはエージェントについて説明する。彼らはマトリックス内の誰にでも変身できる、マトリックスの監視人だ。彼らと戦った者で生き残った者はいないが、ネオが救世主として真に目覚めれば、その強さと俊敏さで彼らを負かすことができると、モーフィアスは信じているようだ。

【マトリックス 第28段落】  コンピュータでは、エージェント Agent とは、ユーザーエージェント User-Agent のことである。私はエージェントと聞いて、スミスというソフトと思った。ユーザーエージェントとは、「ユーザーの代理」とでも訳そうか。クライアント(=閲覧者)がサーバーに対して送信する環境変数の一つで「自分は何というブラウザを使っているか」の情報である。言い換えれば、WEBサーバーから受け取ったデータを、ユーザーに分かりやすく伝達する役割を果たすソフトのことで、要するに、ユーザーの使用しているWEBブラウザやOSなどのことなのである。エージェントであるIEやNNといった多くのブラウザは、閲覧者から見えない場所でユーザーエージェントを勝手にサーバーに対して送信している。メジャーなブラウザには Mozilla 、 Opera 、 SpaceBison 、 Cuam 、 Sleipnir などがある。

【マトリックス 第29段落】  モーフィアスの携帯電話が鳴った。現実世界との交信は電話でする。緊急事態発生でネオたちは現実へと戻った。船の撃滅を狙うコンピュータからの攻撃部隊が現れたのだ。通称イカ野郎。イカみたいな形をしたロボットだ。モーフィアスの船“ネブカドネザル”は、地下の空間を飛んでいる(泳いでいる?)。“ネブカドネザル”は古い汚水管の中に隠れ、パワー・オフ。船の操作係タンクは赤く光る四角いボタンを押し、イカ野郎に対する唯一の有効兵器であるEMP(電磁パルス)を準備した。イカ野郎がやって来たが、電源が切られた船を察知することができず、また去っていった。ホッと胸をなでおろすネオたち。

【マトリックス 第30段落】  マトリックスから自由になったとはいえ、現実の人間の生活はコンピュータからの脅威にさらされたハードなものだ。真実を知るということは、そういうことなんだろうけど、やっぱり不満に思う者も出てくる。サイファーだ。彼の不満の中には、モーフィアスやトリニティに特別扱いされているネオへの嫉妬もある。それでサイファーは仲間を裏切った。マトリックス内でエージェント・スミスに高級料理をおごってもらったサイファーは、船の中で食べる現実のまずい食事より、ウソでも美味しい食事のほうがいいと実感する。彼曰く、無知は幸福だ。自分の記憶を消し、マトリックス内でお金持ちの有名な俳優になることと引き換えに、サイファーはザイオンの暗証を知る人物モーフィアスをエージェントに引き渡すことを約束した。このとき、エージェント・スミスはサイファーに“ Whatever you want, Mr. Reagan. (お望みのままにしましょう、レーガンさん。)”と言う。確かにサイファーが望む人物像はレーガン元大統領だ。

【マトリックス 第31段落】  モーフィアスはマトリックスの中でネオを予言者に会わせることにした。モーフィアス、ネオ、トリニティ、サイファー、スイッチ、エイポック、マウスがマトリックスに侵入するため、首にプラグを挿入して椅子の上で仰向けになって眠る。マトリックス内の廃墟のビルで、黒いダイヤル電話が鳴っている。モーフィアスは受話器を取り、現実世界のタンクに侵入の成功を知らせる。しかし、今回のマトリックス侵入では大変なことが起こりそうだ。サイファーがエージェントに知らせる為、ビルの外のゴミ缶に携帯電話を捨てた。

【マトリックス 第32段落】  救世主の復活を告げたという予言者に会うのが不安なネオは、トリニティとモーフィアスに予言者に会って何と言われたのか、それぞれに訊いた。トリニティは口ごもって言わなかったが、モーフィアスは「救世主を見つける」と言った。予言者はアパートの一室に住んでいた。黒人の若い女性がネオを案内する。通された部屋では救世主の候補者である子供達が数人いた。積み木を宙に浮かせる少女の後ろにあるTVで放映されているのは、ホルモンや遺伝子を変化させた血液の注射によって凶暴化したウサギを描いた『 Night of the Lepus (1972) 』という映画らしい。スプーン曲げを行う古代ギリシャのような衣装を着た坊主の子供がその極意をネオに伝える。「…スプーンはない、曲がるのはスプーンじゃなく自分」というその子供の言葉に従うネオ。

【マトリックス 第33段落】  ネオが天才児たちに遭遇するこのシーンは、『 Akira (1988) 』という日本アニメの同様のシーンへのオマージュであるそうだ。他にも『 GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 (1995) 』という日本のアニメと、本作はよく似ているらしい。これらのアニメは観たことがないが、「 MonkeyGod's Domain 」 http://www.geocities.com/tacobelll/matrixgits/ (英語)を拝見して、激似であることを知った。

【マトリックス 第34段落】  スプーン曲げを成功させたネオは奥の台所に呼ばれた。そこでは黒人のオバちゃんがオーブンでクッキーを焼いている。そのオバちゃんが予言者だ。彼女はネオのことを霊力は強いが、救世主ではないと言った。ネオが自分を救世主だと信じきっているモーフィアスのことを案ずると、彼女はネオとモーフィアスを待ち受ける運命を告げた。モーフィアスはネオを守るために命を投げ出そうとする。ネオはそんな彼の命と自分の命のどちらかを選択しなければならないのだそうだ。衝撃を受けるネオに、「人生は自分で決めるもの」と予言者は焼き上がったクッキーを渡し、これを食べ終える頃にはすっかり元気になっていると話した。予言者の部屋の玄関で待っていたモーフィアスは、ネオにお告げについて何も訊かなかった。

【マトリックス 第35段落】  市松模様のタイルの階段を上がりながら、ネオは黒猫のデジャヴュを見た。デジャヴュはマトリックスを操作するコンピュータ・プログラムに変化を加えたときに現れるものらしい。現実世界の船でマトリックスを暗号化した緑色の文字映像を見ていたタンクも異常に気付く。しかし、もう遅かった。機動隊がビル内に侵入し、電話線を切った。現実世界に戻る為の電話を見張っていたマウスは窓から逃げようとしたが、プログラムの変化で窓がレンガで埋め込まれてしまっている。マウスは撃ち殺され、もちろん現実世界でも死んだ。モーフィアスは携帯電話でタンクに連絡を取り、ビル内の配水管のある場所を示させた。

【マトリックス 第36段落】  8階にある部屋の壁穴から壁と壁の間に隠れ、モーフィアスたちはゆっくりと下っていく。しかし、サイファーが咳をしてしまい、機動隊に居所が知れる。撃ちまくられるマシンガンに対し、ネオは短銃で撃ちかえす。すると、機動隊のうちの一人がエージェント・スミスとなり、ネオのいる壁を突き破って、彼を捕まえにかかった。予言者が告げた事が事実になった。モーフィアスがネオを助けるため、エージェント・スミスに飛び掛っていったのだ。ネオはトリニティに足を引っ張られ、壁と壁の隙間を落ちて行った。モーフィアスはエージェント・スミスと戦うが、やはり今まで無敗の相手は物凄く強い。モーフィアスは彼らに連行されてしまった。

【マトリックス 第37段落】  誰より先に電話の場所に辿り着いたサイファーは、一番に現実世界へ戻った。ちょうどその頃、ネオ達も電話の場所に到着。電話は鳴っていたが、ネオが受話器を上げると切れた。サイファーが操作係のタンクとドーザーの兄弟をレーザー銃で撃ったのだ。不審に思ったトリニティが携帯でかけた電話をサイファーが取る。トリニティはサイファーが裏切ったことを知った。サイファーは仲間のプラグを次々と抜き、エイポック、スイッチは死んでしまった。そして次はネオのプラグ…と、その時、死んだと思っていたタンクがサイファーをレーザー銃で撃って殺した。ネオとトリニティの前にある黒いダイヤル電話が鳴った。

【マトリックス 第38段落】  現実世界に戻ったネオとトリニティは、タンクと一緒にモーフィアスの眠る椅子の前で話し合う。モーフィアスを捕らえたエージェント・スミスたちは彼の心の中に侵入する。そうなればモーフィアスは全てを白状してしまうだろう。大切なザイオンのコンピュータに入るための暗証が奴らに知られればお終いだ。ザイオンはモーフィアスより大切だと、タンクはモーフィアスのプラグを抜くことを主張した。タンクがプラグを抜こうとしたとき、「嫌だ」とネオは止めた。モーフィアスが命を捨てて守ろうとしている自分は救世主ではない。ネオはモーフィアスを救いにマトリックスへと向かおうとする。トリニティはネオが救世主でないことは信じないが、モーフィアスを救えると信じているネオを信じた。彼女もネオと一緒にマトリックスに侵入する。

【マトリックス 第39段落】  モーフィアスはマトリックス内にある高層ビルの一室で逃げないように椅子に座らされていた。エージェントたちはサイファーの裏切りが人間たちにバレたことに気付き、モーフィアスのプラグが抜かれる前に、船に攻撃部隊を送ろうとしている。モーフィアスの心に侵入する為のプログラムが行われていたが、彼の意志強さがその時間を遅らせていた。

【マトリックス 第40段落】  ネオとトリニティがビルの正面玄関から侵入。多くの銃器を携えている為、ボディ・チェックで引っかかる。そして待ってましたとばかりに、ビルの警備員たちとの銃撃戦が始まった。エントランスの立派なホールがボロボロになるほど何発もの銃弾が飛び交うが、ヒーローは死なない。ネオとトリニティはエレベーターを爆破し、自分たちはそのロープで屋上へと向かった。屋上ではよくパロディされているあの有名なシーン。ネオは体を反り返らして銃弾をよける。ネオはトリニティに助けられ、二人でヘリコプターに乗り込み、モーフィアスの救出へと向かう。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【マトリックス 第41段落】  ヘリコプターからネオはモーフィアスのいる部屋の大きな窓ガラスを機関銃で撃ちまくる。モーフィアスはネオ達が助けに来たのを見て、力が湧いてきたのか、手首の鎖を断ち切って、ヘリコプターに向かって走った。エージェントたちに銃で狙われるが、やっぱりヒーローは死なない。寸前のところでモーフィアスの救出成功!やはりネオは救世主だったのだ。

【マトリックス 第42段落】  地下鉄の公衆電話でまずモーフィアスが現実世界へと戻った。トリニティは予言者のお告げについてネオに告白しようとしたが、電車の通過音でネオには聞こえなかった。トリニティが受話器を取った瞬間、浮浪者から変身したエージェントに電話が爆破された。トリニティは間一髪で現実世界に戻ったが、取り残されてしまったネオはエージェント・スミスと戦う。それも互角に。ネオは地下鉄の列車にエージェントを轢かせたが、ホームに到着した車両の中からまたまたエージェント・スミスが降り立って来た。ネオは逃げる途中に人から奪った携帯電話で現実世界と交信し、マトリックスからの出口の場所を訊く。しかし、その頃、船も危機にさらされていた。イカ野郎が襲ってきたのだ。

【マトリックス 第43段落】  ネオの帰還を信じるモーフィアスは船のEMP(電磁パルス)を発動させないので、船はイカ野郎に侵入されてしまう。ネオもエージェントから頑張って逃げたが、電話のある 303 号室に辿り着いたとき、先回りしていたエージェント・スミスに撃ち殺されてしまう。トリニティは攻撃を受ける船の中、死んでしまったネオに話し掛ける。「…予言者は言った、私が愛した男が本物の救世主だと。だから死ぬ筈がないわ…」トリニティのキスでネオは息を吹き返す。「眠りの森の美女」や「白雪姫」のようなシーンである。

【マトリックス 第44段落】  ネオは救世主として完全に目覚めた。エージェントたちが撃ってきた銃弾が空中で止まり、銃弾はネオの前でパラパラと落ちる。そして、今まで現実のように見えていたマトリックスの世界が文字列の暗号に見える。ネオの神経回路はコンピュータのスピードを越えた。エージェント・スミスと戦っても、相手の動きが遅い。ネオはエージェント・スミスの体の中に入り込み、「ひでぶ」(漫画「北斗の拳」より)って感じに彼の体を爆発させた。一方、船はかなりイカ野郎に侵入を許していた。限界ギリギリのところでモーフィアスはEMPを発動させた。ネオは鳴る電話の受話器を取ったが、間に合ったのだろうか。

【マトリックス 第45段落】  もちろん間に合った!イカ野郎は撃滅し、ネオは自分を見守るトリニティに出会うことができた。

【マトリックス 第46段落】  マトリックス内の公衆電話ボックスで電話をかけるネオ。もちろんコンピュータに盗聴されているが、エージェントの能力を超えたネオをマトリックスの世界で探知することはできない。彼は盗聴しているコンピュータに話す。「…この電話の後、人々に本当の姿を見せる。お前たちが支配しない世界を、どんな規則も束縛もない世界を、全てが可能な世界を。その先、お前たちはどうする?」電話ボックスから出たネオは、空へと飛んでいく。

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■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の感想

 TVをイケてるメディアだと考えているウォシャウスキー兄弟は、TVの連続ドラマのように、次の作品に与える反応を考えて本作のラストを作成したと、インタヴューで答えている。その思惑通りに、この先ネオはどんな風にして人々にマトリックスの存在を知らしめるのかなぁとか、コンピュータがヴァージョン・アップされてネオよりパワー・アップしたらどうしようとか、一観衆は色々考えてしまうのデス。『 マトリックス リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED 』と『 マトリックス レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS 』を観るのが楽しみだ。

 マトリックスの存在を知る前のネオの疑問は、誰しもが一度は考えてみることだろう。古今東西、色々な神話や文学などでそういった考えが描かれている。この映画にも取り上げられた、「鏡の国のアリス」では、森で赤の王様が眠っているのを見たアリスは、ソックリダムとソックリディー Tweedledum and Tweedledee たちとこんな話をする。

" He's dreaming now, " said Tweedledee: " and what do you think he's dreaming about? " (「彼は眠っているところだ。それじゃぁ、彼がどんな夢を見ていると思う?」とソックリディー。)
Alice said, " Nobody can guess that. " (「分かるはずないじゃない。」とアリス。)
" Why, about you! " Tweedledee exclaimed, clapping his hands triumphantly. " And if he left off dreaming about you, where do you suppose you'd be? "(「え、君の夢だよ。」とソックリディーは勝ち誇ったように手をたたいて叫んだ。「それじゃぁ、もし彼が君の夢を見るのをやめたら、君はどこへ行ってしまうんだい?」)

 あなたは青いカプセルを飲みますか?それとも赤いの?私は青いのにしておきます。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず16868文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      Los Angeles Times
      Yahoo!
      University of Michigan Press
      Interview with the Wachowskis - www.ezboard.com
      http://www.catholic-teachers.com/seisho4.html
      The Matrix and Baudrillard's Concept of Simulation
      Through the Looking-Glass and What Alice Found There
      研究社新訳注双書「Alice’s Adventures in Wonderland」
      「マトリックス」日本語版オフィシャルサイト
■映画『 マトリックス (1999) THE MATRIX 』の更新記録
2003/02/02新規: ファイル作成
2004/07/08更新: ◆テキストとリンク一部およびファイル書式
2005/03/11更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
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幸田 幸
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