Ｇ.Ｉ.ジェーン＠映画の森てんこ森

Ｇ.Ｉ.ジェーン
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Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997)
G.I. JANE
Ｇ.Ｉ.ジェーン	【『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』の解説】　映画『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』を紹介します。　映画『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』は、海軍特殊部隊のスパルタ式訓練にデミ・ムーア演じるオニール大尉が女性として初参加し、次々落伍していく男たちに負けずに最後まで頑張り抜くというストーリー。『Ｇ.Ｉ.ジェーン』は、デミ・ムーアのスキンヘッドと筋肉隆々ボディが話題になった作品。この映画『Ｇ.Ｉ.ジェーン』は、セクハラや男女差別反対を唱える米国女性の圧倒的支持を受け、当時のNo.１ヒットとなり、 90 年代のスーパーヒロインを生みだした。　『Ｇ.Ｉ.ジェーン』主演のデミ・ムーアは 90 年「ゴースト／ニューヨークの幻」でトップ・スター入りを果たす。近年には「オースティン・パワーズ」「オースティン・パワーズ・デラックス」「オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー」及びこの「Ｇ.Ｉ.ジェーン」のプロデューサーとしても活躍。ブルース・ウィリスと結婚・離婚は周知。『Ｇ.Ｉ.ジェーン』の監督・製作のリドリー・スコットは「エイリアン」「ブレードランナー」「テルマ＆ルイーズ」「グラディエーター」「ハンニバル」等を世界的にヒットさせた巨匠。この映画『Ｇ.Ｉ.ジェーン』の殆どの場面が土砂降りの中の特訓というのも、いかにもリドリー・スコット監督らしい。また、『Ｇ.Ｉ.ジェーン』に出演のヴィゴー・モーテンセン（ロード・オブ・ザ・リング等）は鬼軍曹役になりきって、映画を生かしている。
■映画『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』の「テキストによる映画の再現」（あらすじとネタばれ）※ご注意：『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ（画面の切り替え）
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
■『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』のデータ　上映時間 126分　製作国アメリカ　公開情報ヘラルド　初公開年月 1998/01 　ジャンルドラマ／戦争　《公開時コピー》彼女は、そして、女性を越えた。　《米国コピーTagline》Failure is not an option.
【『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』のスタッフとキャスト】監督：リドリー・スコット　Ridley Scott 製作：リドリー・スコット　Ridley Scott 　　　　ロジャー・バーンバウム　Roger Birnbaum 　　　　デミ・ムーア　Demi Moore 　　　　スザンヌ・トッド　Suzanne Todd 脚本：デヴィッド・トゥーヒー　David Twohy 　　　　ダニエル・アレクサンドラ　Danielle Alexandra 撮影：ヒュー・ジョンソン　Hugh Johnson 音楽：トレヴァー・ジョーンズ　Trevor Jones 　出演：デミ・ムーア　Demi Moore 　　　　ヴィゴー・モーテンセン　Viggo Mortensen 　　　　アン・バンクロフト　Anne Bancroft 　　　　スコット・ウィルソン　Scott Wilson 　　　　ジェイソン・ベギー　Jason Beghe 　　　　デヴィッド・ヴァディム　David Vadim 　　　　ルシンダ・ジェニー　Lucinda Jenney 　　　　ジェームズ・カヴィーゼル　James Caviezel 　　　　ケヴィン・ゲイジ　Kevin Gage
＜もっと詳しく＞
ネタばれ御注意！　このレヴューは「テキストによる映画の再現」を目指して作文しています。よって、ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第01段落】　　先ず、Ｇ.Ｉ.とは、米国軍隊の兵士のこと。母が持っている「懐かしのアメリカンポップス」のＣＤで聴かせてもらったことがあるが、当時の女性たちにはセクシーでモテモテだったエルヴィス・プレスリーの“♪Ｇ.Ｉ.ブルース”は、歌もエルヴィスもカッコよかったそうだ。さて、題名の「Ｇ.Ｉ.ジェーン」は、Ｇ.Ｉ.ジョーの女性版からとられている。「Ｇ.Ｉ.ジョー（ G. I. Joe ）」とは、米軍兵士のこと、特に第二次世界大戦中の米軍兵士を指す。だから、ジョーの頭文字のＪをとって、モジって「Ｇ.Ｉ.ジェーン」にして米軍兵士「女性版」ということだ。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第02段落】　　故ロバート・ミッチャムが出演した映画「Ｇ.Ｉ.ジョー」で、彼は若き将校役でアカデミー助演男優賞にノミネートされている。また、「Ｇ.Ｉ.ジョー」とは、不朽の人気を誇る男の子の憧れの兵隊さんのフィギャーの名でもある。注：Ｇ.Ｉ.とは、［ < Government Issue, General Issue ］a. 軍規格の, 軍隊式の; 兵ふうの. ━ n. （ pl. GI's ）（米軍）兵（士）.（ EXCEED 英和辞典参照）【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第03段落】　　Ｇ.Ｉ.ジェーンを演じるデミ・ムーアは、大ヒットした「ゴースト／ニューヨークの幻」では、恋人に死なれた、実に可憐な女性を演じていた。その映画封切りが 1990 年だったから、この「Ｇ.Ｉ.ジェーン」の 1997 年までの７年間で、彼女は大変身を遂げた。この映画の為に、体を鍛え、マッチョマン如く、物凄い筋肉隆々の身体を作り上げた。更に、髪の毛まで剃って、完全なスキンヘッドになるのだ。女優根性に頭が下がる。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第04段落】　　デミ・ムーアという女優の特徴は、アカデミー賞の向こうをはって最も出来の悪い映画を選出する「ラジー賞（ゴールデン・ラズベリー賞）」のワースト主演女優賞で９度も受賞かノミネートされていることだ！これは知らなかった…。でも、なぜ？映画関係者に嫌われているのか？だから、ブルース・ウィリスとも離婚したのか？あっ、関係ないか…。この映画でもワースト主演女優賞なのだ…。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第05段落】　　ところで、アン・バンクロフトを、名作「奇跡の人」と「卒業」から久しぶりに見たが、健在。ここでは彼女の別の面を演じている。テキサス出身の女性上院議員デヘイブンの役。デヘイブンは、軍隊内の女性差別撤廃を海軍高官に投げつけて、マスコミにアピールしていた。そして世論を高めて、女性差別は根拠があることを実証するために、人体実験によって立証することにする。その為には、米軍最強の精鋭部隊ネイビー・シールズ（ＳＥＡＬ）の特訓に、女性を送り込む方法が一番効果的。その実験台として選ばれたのが、アメリカ海軍の女性軍人ジョーダン・オニール大尉（デミ・ムーア：『ウィズダム／夢のかけら　(1986) WISDOM 』『ゴースト／ニューヨークの幻　(1990) GHOST 』『愛を殺さないで　(1991) MORTAL THOUGHTS 』『幸福の条件　(1993) INDECENT PROPOSAL 』『素顔のままで　(1996) STRIPTEASE 』『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』『チャーリーズ・エンジェル／フルスロットル　(2003) CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE 』等に出演、『オースティン・パワーズ　(1997) AUSTIN POWERS: INTERNATIONAL MAN OF MYSTERY 』『オースティン・パワーズ：デラックス　(1999) AUSTIN POWERS: THE SPY WHO SHAGGED ME 』『オースティン・パワーズ　ゴールドメンバー　(2002) AUSTIN POWERS IN GOLDMEMBER 』等の製作）だ。オニールはその女性上院議員の政治的策謀（後で記述します）とは知らずに、海軍特殊部隊の特訓に挑むことになる。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第06段落】　　題名はＧ.Ｉ.ジェーンだが、女性兵士のことを指しているわけだから、主人公の名前はジェーンではない。ジョーダン・オニールという、海軍情報部に勤務する女性将校だ。このオニール大尉、女性ということで昇進の道を閉ざされ、能力を生かしきれないことに普段から不満を持っていた。とにかく男性と平等な実戦訓練がしたかった。そんな彼女にとって、この実験はめったにないチャンスだ。彼女は喜びいさんで地獄の特訓に参加することを受諾する。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第07段落】　　12週間に及ぶ地獄の訓練プログラムが始まった。そこは想像以上にハードな現場だった。このネイビー・ＳＥＡＬ（海軍のエリート偵察部隊）、男でも 60 ％が脱落するという。肉体的に劣っている女性にとって、正に地獄の毎日だった。男性隊員からは、唯一の女性として好奇の目で見られ、からかわれ、セクハラっぽいことを容赦なく受ける。特に教官の鬼軍曹ウルゲイル（ビゴ・モーテンセン：『刑事ジョン・ブック／目撃者　(1985) WITNESS 』『ある貴婦人の肖像　(1996) THE PORTRAIT OF A LADY 』『Ｇ.Ｉ.ジェーン　(1997) G.I. JANE 』『ロード・オブ・ザ・リング　(2001) THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING 』『ロード・オブ・ザ・リング／二つの塔　(2002) THE LORD OF THE RINGS: THE TWO TOWERS 』『ロード・オブ・ザ・リング／王の帰還　(2003) THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING 』等）は、彼女をきつく扱うのだった。この訓練を担当する鬼軍曹は、実は訓練生思いの職人的な軍人という設定だが。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第08段落】　　軍隊での厳しい訓練を題材にした映画は、「愛と青春の旅だち」もそうだった。原題 AN OFFICER AND A GENTLEMAN といい、テイラー・ハックフォード監督、マーティン・エルファンド製作の 1982 年の青春ドラマ。主演はリチャード・ギアとデブラ・ウィンガーで、士官学校の新入生と町工場の娘のロマンスを中心に、士官学校の厳しい訓練の物語だった。教官役のＬ・ゴセット・ Jr が迫力たっぷりに好演し、アカデミー助演男優賞を受賞し、日本でも大ヒットした作品だ。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第09段落】　　また、教官が下品な言葉で部下をいじめる点は「フルメタル・ジャケット」と似たところもある。原題 FULL METAL JACKET といい、 1987 年の戦争ドラマだ。こちらは監督・製作・脚本ともスタンリー・キューブリック、出演はマシュー・モディーンやアダム・ボールドウィンら。これは、Ｇ・ハスフォードの原作を元に、ベトナム戦争の狂気を描いている映画だ。鬼軍曹にシゴキ抜かれた気の弱い青年が精神をダメにされ、軍曹を射殺したりする、徴兵された若者が戦闘マシーンとして人間性を失っていく物語。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第10段落】　　さて「Ｇ.Ｉ.ジェーン」に戻るが、映画の大半は、凄まじい訓練のシーンが、これでもかこれでもか、というように映し出される。オニールはいくら頑張っても、一緒に訓練を受けている男性隊員に負け、その上、仲間として認めてもらえない。しょせん、女だ。孤立奮闘するオニール大尉。ＳＥＡＬでは女性であることの差別と政治的圧力から、いろいろと妨害を受ける。迷惑がる軍や、オニール大尉を祭り上げて世間にアピールしようとする女性上院議員デヘイブンなど、彼女の周りに味方は一人もいない。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第11段落】　　やがて、過酷な訓練に耐えられず脱落すると予期していた周りの思いと反対に、オニールは歯を食いしばって頑張る。残飯の食事にも耐える、鬼軍曹に骨折するほど殴られたり、匍匐（ほふく）前進（伏して手と足ではいながら前進すること。大辞林国語辞典参照）する頭上ギリギリのところに実弾をバンバン撃ち込まれても怯えない。筋肉ムキムキになって、ブルース・リーのように片腕腕立て伏せをするかと思えば、葉巻を吸って、バーボンをストレートで飲みほす。そして男性と平等に扱われることを望む。その為には、「女を捨てる」しかないと思ったのだろう。彼女は頭も丸刈りにしてしまう。鏡を前に電動カミソリで頭を剃っていく場面は悲壮だ。長い髪におさらばした今は、もう、オニール大尉を女性と判別する手段はなくなった。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第12段落】　　宿舎では、海軍特殊部隊は女性隊員はオニール大尉一人しかいないので、シャワーは男性隊員と同じ所だ。オニールは時間を見計らって、自分一人で入浴するようにしているのに、何とその時を狙ったかのように、鬼教官は入ってくる。女性へのセクハラ事件が多発している今、これは問題提起になっている。しかし、オニールは女々しくしない。「女を捨てた」覚悟の彼女は、バスタオルも取りにいかず、平気でいやらしい目つきの教官の前に裸で立ちはだかるのだ。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第13段落】　　こうして、地獄の 12 週間が終わりに近づいてきた。特訓の最終段階は捕虜になった想定の地獄の合宿だ。敵役は教官の鬼軍曹ウルゲイル。オニール大尉は捕虜として捕まり、殴る蹴るの拷問を受ける想定で訓練は進められた。すると、鬼教官は本気で敵役になりきって、あろうことか、オニールににじり寄り、レイプをしかける。「女がこんな所にいたら、どういうことをされるか解かっているだろう」と言って。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第14段落】　　すると、これまで一緒に訓練を受けてきて、からかい、いじめ、辛く当たっていた男性隊員たちも、こんな場面では、オニールが可哀想になる。彼らは、この敵地捕虜訓練から現実に戻っていいから、早くギブアップしろ、とオニールに必死に応援してくれる。知らぬ間に、オニールとこの大男たちは、友情で結ばれていたのだ。力を与えられたオニールは、レイプされる寸前に、敵役の鬼教官に頭突きをして、体を離し、鬼教官の体を蹴りまくる。歓声が上がる。「お前は俺たちの本当の仲間だっ！！」オニールは過酷な訓練に耐える。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第15段落】　　そんな時、オニールはＳＥＡＬの特訓を中止される。ここまで頑張ったのに、なぜだ？誰がそんなことを命令したのか？・・・ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。　ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第16段落】　　実は、こうだ。オニールは女性上院議員デヘイブンの世間へのアピールの政治的広告塔として扱われていた。しかも、「やはり女性の肉体の限界で地獄の特訓に耐えきれずに脱落する」、との当初の計算が女性上院議員にはあった。デヘイブンは政治的なカッコづけとして女性差別を取り上げていたにすぎず、上院議員だって男女の不平等を初めから認めていたのだ。そのため、赤字対策として財政削減で全米の基地がどんどん閉鎖されていくのに、デヘイブンの選挙区であるテキサスだけは海軍基地が一つも閉鎖されない事実が明らかになる。これは、「やはり、女性には無理でした」というシナリオで、オニールの訓練中止と引き換えに、海軍とデヘイブン上院議員とが政治的な取り引きする結果だった。こういう仕掛けがあったのだ。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第17段落】　　同じ女性がそんなことを策略していると知ったオニールは怒り狂う。途中で脱落するのだと女性上院議員は期待していたのだ、しかも、脱落しそうもないとわかると、訓練中止の話を持ち出してきたのだ。自分は死に物狂いで頑張ったのに…。取引の道具にされるなんて…。オニールは怒って、デヘイブン上院議員に抗議し、ＳＥＡＬでの訓練に戻させた。そして、ＳＥＡＬ「海軍のエリート偵察部隊」に戻ってから、オニールは無事に訓練を終了し、リビアでの特殊作戦に派遣された。そして、リビアでの実戦でも、苦痛を耐え抜いた女性の底力を示して活躍するのだった。【Ｇ.Ｉ.ジェーン　第18段落】　　鬼教官はもうオニール少尉に教えるものはない。彼女の根性と勇気と武勲は賞賛に値すると評価し、自分の勲章と詩集（「SELF-PITY 自己憐憫」）を与え、そして部隊を去っていく。（このシーンについては、メールで質問があり後日更新。エッセイ「シャイな幸の独り言」の「TVは偉大G.I.ジェーン」で紹介。ここをクリック...）　まさに、アメリカ女性が拍手喝采してエールを送る映画だと言えよう。以上。＜もっと詳しく＞からスペースを含まず５０２９文字／文責：幸田幸
（■解説とネタばれ：2002/08/24アップ ◆俳優についてリンク更新：2003/10/02） ■テキスト一部とリンクおよびファイル書式更新：2004/07/07

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