バンガー・シスターズ
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バンガー・シスターズ (2002)
THE BANGER SISTERS
 映画『 バンガー・シスターズ (2002) THE BANGER SISTERS 』をレヴュー紹介します。

 映画『 バンガー・シスターズ THE BANGER SISTERS 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 バンガー・シスターズ』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 バンガー・シスターズ THE BANGER SISTERS 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 バンガー・シスターズ THE BANGER SISTERS 』のスタッフとキャスト
■映画『 バンガー・シスターズ THE BANGER SISTERS 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 バンガー・シスターズ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 バンガー・シスターズ (2002) THE BANGER SISTERS 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 バンガー・シスターズ THE BANGER SISTERS 』の結末
■映画『 バンガー・シスターズ THE BANGER SISTERS 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 バンガー・シスターズ 』のポスター、予告編および映画データ
バンガー・シスターズ
バンガー・シスターズ

Links:  Official Web Site
Trailers: Quick Time
上映時間 Runtime: 1:37
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Elizabeth Cantillon Productions [us]
Fox Searchlight Pictures [us]
Gran Via [us]
全米配給会社 Distributer: 20th Century Fox Film Corporation [us]
全米初公開 Release Date: 2002/09/20
日本初公開 R. D. in Japan: 2003/05/31 予定
日本公開情報 : FOX
ジャンル Genre: コメディ/ドラマ
Comedy / Drama
MPAA Rating 指定: Rated R for language, sexual content and some drug use
日本語公式サイト
http://www.foxjapan.com/movies/bangersisters/index.html
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 バンガー・シスターズ THE BANGER SISTERS 』の解説

 映画『 バンガー・シスターズ (2002) THE BANGER SISTERS 』が描くのは、 60 年代後半、“バンガー・シスターズ”(所謂、そっち方面がお盛んな女性たちという意味)と異名をとっていた、ロック・スターのグルーピー、スゼット(ゴールディ・ホーン)とラヴィニア(スーザン・サランドン『 ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE 』等に出演)。 栄光(?)の若かりし日々を過ごした、バンガー・シスターズの二人にも 20 年の月日は等しく過ぎ去っていた。スゼットは過去に生き、ラヴィニアは過去から隠れていた。失業したスゼットは自分を救ってくれることを見込んで、弁護士の妻となっている嘗てのバンガー・シスターズの相棒ラヴィニアを探す旅に出た。カリフォルニア州ロサンゼルスからアリゾナ州フェニックスへ、元バンガー・シスターズのスゼットは途中出会ったヘンな脚本家ハリー(ジェフリー・ラッシュ:『 フリーダ (2002) FRIDA 』等に出演)と旅を共にして、ついにラヴィニアと出会うのだが…。
 映画『 バンガー・シスターズ 』は、ゴールディ・ホーンとスーザン・サランドンの二大女優が共演の女の友情を描いたコメディ。
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【『 バンガー・シスターズ 』のスタッフとキャスト】
監督: ボブ・ドルマン Bob Dolman (Directed by)
製作: エリザベス・カンティロン Elizabeth Cantillon (producer)
    マーク・ジョンソン Mark Johnson (producer)
製作総指揮: デヴィッド・L・ブシェル David L. Bushell (executive producer)
脚本: ボブ・ドルマン Bob Dolman (written by)
撮影: カール・ウォルター・リンデンローブ Karl Walter Lindenlaub (Cinematography by)
音楽: トレヴァー・ラビン Trevor Rabin (Original Music by)
    デヴィッド・トロイ。フランシス David Troy Francis (song "There in F")
    ポール・リンフォード Paul Linford (song "Lie in My Eye")
    クリス・ロビンソン Chris Robinson (song "Let The Red Road Take You")
編集: アラム・ニゴゴシアン Aram Nigoghossian (Film Editing by)  

出演: ゴールディ・ホーン Goldie Hawn スゼット Suzette
    スーザン・サランドン Susan Sarandon ラヴィニア Lavinia /ヴィニー Vinnie
    ジェフリー・ラッシュ Geoffrey Rush ハリー Harry
    エリカ・クリステンセン Erika Christensen ハンナ Hannah
    ロビン・トーマス Robin Thomas レイモンド Raymond
    エヴァ・アムッリ Eva Amurri ジンジャー Ginger
    マシュー・カリー Matthew Carey ジュールズ Jules
    ティンズリー・グライムズ Tinsley Grimes プロムの少女 Prom Girl
    アンドレ・ウェア Andre Ware バーテンダーのジェイク Jake
    アダム・トメイ Adam Tomei クラブのオーナー Club Owner
    ラリー・クラスク Larry Krask バーの男  Man in Bar

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 バンガー・シスターズ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【バンガー・シスターズ 第01段落】  ロサンゼルス Los Angeles の街の賑わい。生演奏のロックバンドのけたたましいステージと、喚声と悲鳴を上げて舞台を見上げる若い女性たち。このLAの場末の酒場で働くスゼット(ゴールディ・ホーン)。スゼットは 40 歳くらいだが、ブロンドの派手な長髪でナイスバディの、見るからにイケイケの独身女性。彼女も今から 20 年程前はロックグループのグルーピー Rock N Roll groupie (追っかけ)をしていて、未だにその過去の興奮や美味しさが忘れられず、以来そういう雰囲気を味わえるライブハウスという仕事場で時を過ごしてきたのだ。

【バンガー・シスターズ 第02段落】  酒場にはバーテンダーのジェイク(アンドレ・ウェア:
ブラック・ダイヤモンド (2003) CRADLE 2 THE GRAVE 』等に出演)たちがいる。でも、クラブ・オーナー(アダム・トメイ:
トゥルーマン・ショー (1998) THE TRUMAN SHOW
陽だまりのグラウンド (2001) HARDBALL 』等に出演)にスゼットは今日、この酒場をクビにされてしまった。君は必要じゃないと。夜のさびれた駐車場で、隣の車の若い男にナンパしようと声をかけると、男は車内でその"最中"、スゼットは声をかけた自分が惨めに感じられる。

【バンガー・シスターズ 第03段落】  安アパートに帰って昔の写真を感傷的に眺めていると、 20 年前の自分の全盛期の写真が数枚出てきた。そこには、「戦争は終わった。 WAR IS OVER. 」と書かれた大きな看板の真下に笑って座っている仲の良い二人組みが写っている。それは、 1960 年代後半当時のグルーピーの相棒女性、ヴィニー(スーザン・サランドン)と自分の若かれし頃の思い出写真だ。ヴィニーはラヴィニアという名だが、仲間うちではヴィニーで通っていた。スゼットとヴィニーは相当過激なグルーピーで、ロックグループ、ロック歌手がいれば必ず彼女らがくっついているという伝説的存在。

【バンガー・シスターズ 第04段落】  グルーピーとは「ロックグループに付きまとう女の子」の意味だが、彼女らの場合、ただのカワイイ追っかけでなくて、スター達と一人残らず"寝る"のが勲章みたいにエンジョイしていたタイプ。だから二人は姉妹でもないけど"バンガー・シスターズ The Banger Sisters "と呼ばれていた。 banger とは<━━ n. 〔英話〕 ソーセージ; 〔英話〕 爆竹, かんしゃく玉; 〔英話〕 (音のやかましい)ぽんこつ車. (EXCEED英和辞典より)>。 まぁ、キレイナ言葉ではないようで…。

【バンガー・シスターズ 第05段落】  ゴールディ・ホーンは『 アウト・オブ・タウナーズ (1999) THE OUT-OF-TOWNERS 』で、
ノボケイン 局部麻酔の罠 (2001) NOVOCAINE
女神が家(ウチ)にやってきた (2003) BRINGING DOWN THE HOUSE 』等のスティーヴ・マーティン Steve Martin と共演して話題になっている。それにしても、 1945 年生まれだというのにどうしてこんなに凄いプロポーションを保てるの!顔だって(お化粧で塗りたくっているだろうけど)若い、若い!ラブコメ路線で世の男性を悩殺してきたのも当然!ブロンドの感じといい、甘えた喋り方といい、
ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』等のラブコメの女王メグ・ライアン Meg Ryan と共通するものを感じる。

【バンガー・シスターズ 第06段落】  ゴールディ・ホーンは美人だけあって、お相手となる男性遍歴も凄いナ。現在はカート・ラッセル Kurt Russell がパートナー。でも美人というだけではない、アカデミー賞の 1969 年助演女優賞を『 サボテンの花 (1969) CACTUS FLOWER 』で獲得しているのだ。
10日間で男を上手にフル方法 (2003) HOW TO LOSE A GUY IN 10 DAYS 』の主演の若手女優ケイト・ハドソン Kate Hudson はゴールディ・ホーンと歌手ビル・ハドソン Bill Hudson との娘。また、この『 バンガー・シスターズ 』のサントラを担当しているのは、娘ケイト・ハドソンと結婚した、つまりゴールディの義理の息子である元ブラッククローズ BLACK CROWES のクリス・ロビンソンだ。

【バンガー・シスターズ 第07段落】  映画に戻ろう。"バンガー・シスターズ"の頃の写真を見たスゼットは、急にヴィニーに会いたくなった。この時点では、クビになってわびしくて、昔の栄光を共にしたパートナーのヴィニーが恋しく感じられたというおセンチな面と、現在は裕福で堅実な暮らしをしているらしいヴィニーに金銭的に援助を請おうという打算的な面と両方だったと思う。スゼットは金髪のロンヘアをなびかせて、遊び人丸出しの派手な出で立ちで自分のポンコツ車に飛び乗る。行く先はアリゾナ州フェニックス Phoenix, Arizona 。砂漠地帯を一路突っ走るスゼット。

【バンガー・シスターズ 第08段落】  砂漠の中継所でガソリンを入れようとするが、先にお金を投入するタイプなので、現金の持ち合わせのなくなったスゼットは困ってしまう。そこにはコンビニ風の店もあったので、彼女は恥も外聞もなく十人ほどの客にお金を乞う。一人1ドル(約 120 円)ずつ、挙句は 25 セント(約 30 円)でもいいから、と物乞いする派手な格好の彼女に、客たちは当惑無視顔。そこに長距離バスが休憩所として到着し、乗り心地の悪さをブツブツ言いながら降りてきた乗客がいた。その男は、スゼットがフェニックスまで行きたいと言っているのが聞こえて、ガソリンタンク一杯のお金をくれた。その代償としてフェニックスまで車に乗せていってもらう条件で。

【バンガー・シスターズ 第09段落】  お互い好条件の取引で、スゼットのポンコツ車の助手席にはその中年男が座って出発。男の名はハリー・プラマー(ジェフリー・ラッシュ)といい、うだつの上がらない作家志望者だ。膝の間に旧式のタイプライターを抱えて、神経質そうで、クソ真面目でお堅い感じ。スゼットがかけているロックのガンガンする音楽も消してしまうほど。彼は 50 歳、フェニックス育ち、シナリオ作家になるためにUCLAで学んだ。そして 30 歳の誕生日に最終期限を設けた。 50 歳までに成功しなければフェニックスに戻ること、と自分に約束したのだという。ハリーはタイプライターのケースの中に小型の拳銃を隠して持っており、弾丸は一つだけ。父親をそれで殺すのだ。自分は作家になるのを父に反対されて、父親とは葛藤があるのだと話す。

【バンガー・シスターズ 第10段落】  スゼットは助手席のハリーに、これから旧友に会いに行くことを話す。 20 年前、"バンガー・シスターズ"と呼ばれていた相棒が、今は弁護士と結婚してフェニックスにいるので会いに行くのだと。それを聞くと、ハリーは即座に「やめておけ」と言う。住む世界が完全に違ってしまっているのをハリーなら分かるのだ。スゼットは怒って、つべこべ言わずに大人しく座っているように言う。こうしてフェニックスに着き、ハリーをホテルで降ろして、二人は別れた。ジェフリー・ラッシュは
エリザベス (1998) ELIZABETH
恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE
フリーダ (2002) FRIDA 』等に出演、 1996 年『 シャイン (1995) SHINE 』でアカデミー主演男優賞に輝く。

【バンガー・シスターズ 第11段落】  その足でスゼットはヴィニーからの封筒の住所を見ながら街を車を走らす。流石、 20 年ぶりに会うのでちょっと緊張してきて、ヘアや身だしなみをチェック。そうして、該当の番地に近づくと、そこには晴れやかなリッチな家庭の姿があった。長女の高校卒業のプロム(ダンスパーティ)の日で、ドレスアップした一群とリムジン、笑い声、中流(上流?)階級の雰囲気。自分のポンコツ車、身体丸出しの服、メイクといいヘアスタイルといい、場違い。数十メートル手前でスゼットは車をUターンせざるを得なかった。

【バンガー・シスターズ 第12段落】  旧友に会いそびれたスゼットは、ハリーを降ろしたホテルに出向き、ハリーの部屋に無理やり入り込む。スゼットは冷蔵庫のドリンクを飲み、シャワーを浴びて、我が物顔。堅物のハリーはそんな勝手なスゼットに腹を立て、誘惑したって、気持ちの準備ができていなければ無理なんだと言って断る。スゼットは平然とシャワーを浴びるとこの部屋で眠ってしまった。すると、隣の客室が嫌に喧しい。若者たちが騒いでいる様子。ドレスアップした二十歳前の男女数人が廊下に出てきて、そのうちの一人の女子が倒れた。プロムの親に内緒の二次会かな。

【バンガー・シスターズ 第13段落】  倒れた女の子をスゼットが抱きかかえて自室(いや、ハリーの部屋)で介抱すると、その子は偶然にも旧友ヴィニーの長女ハンナ(エリカ・クリステンセン:
プール (2002) SWIMFAN 』で誘惑した女子学生役)だと分かる。ハンナのお母さんの友人だと名乗っても、場違いな出で立ちのスゼットに、ハンナの彼ジュールズ(マシュー・カリー)や女友達(ティンズリー・グライムズ:
25年目のキス (1999) NEVER BEEN KISSED 』等に出演)は見下すかのよう。でもスゼットはいたって真面目に介抱してやる。

【バンガー・シスターズ 第14段落】  翌朝、ハンナを車に乗せて、家まで送ってあげるが、昨夜のことは内緒にとのハンナの頼みだ。立派な屋敷に広い庭園。スゼットは早朝の庭の美しさに見とれている。と、ハンナの母親がスゼットを「どこの怪しいよそ者!」と訝(いぶか)しがって出てきた。ヴィニー(スーザン・サランドン)だ。 20 年ぶりの再会に興奮して喜ぶスゼットと対照的に、気付いたヴィニーは「何しに来たの?お金が欲しいの?」という思いもかけぬ言葉。「家庭でもこの地域社会でも、自分は地位を確立している、誰も私たちが昔、友達同士だったなんて知らない、5,000ドル($1=¥ 120 換算で 60 万円)渡すから出て行って。」

【バンガー・シスターズ 第15段落】  こういう一方的なヴィニーに「娘さんが車に乗せて欲しがったから乗せてあげた」とだけ言って、ハンナとの約束を守るスゼット。娘たちには昔のことは何も話してないのだから、いては困ると言うヴィニー。それに、ヴィニーは今はラヴィニアと呼ばれているのだ。傷心のスゼットが去って行くと、寝室で気分悪く寝ているハンナにヴィニーは詰問した。覚醒剤とかヤクとか、恐らく自分が若い時に経験したからか、娘に訊くが、ハンナはワインを赤、白、次は混ぜて飲んだら気分悪くなってしまったのだと話す。どうやらこれは本当のようだ。

【バンガー・シスターズ 第16段落】  ヴィニー或いはラヴィニアに扮するスーザン・サランドンは
若草物語 (1994) LITTLE WOMEN
ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE 』等で観ている。 1946 生まれでホッソリして、ゴールディ・ホーンの強烈な若々しさには及ばないけれど、年齢の割りにやはり若い。現在はティム・ロビンス Tim Robbins がパートナー。フランコ・アムッリ Franco Amurri との娘がエヴァ・アムッリで、この劇中でも次女ジンジャー役で母子出演している。スーザン・サランドンは 1995 年『 デッドマン・ウォーキング (1995) DEAD MAN WALKING 』でアカデミー主演女優賞に輝いているから、この『 バンガー・シスターズ 』の主役三人ともオスカー獲得という偉大な業績があるわけだ。

【バンガー・シスターズ 第17段落】  帰る所のないスゼットは、またハリーのホテルに戻ってきた。ただし部屋は変わっているが、めげずに。ホテルのフロントは興味津々という顔。戻ってくるのが分かっていたハリーはバスタブにお湯を入れてくれている大サービス。でも、旧友からの意外な反応で憂鬱のスゼットは、昨夜のようなムードではない。お風呂に浸かりながら、しんみりと今日の出来事をハリーに話すのだ。ハリーは彼女の泡だらけの裸体から恥ずかしくて目をそらせ、トイレの上にちょこんと座って聞き役をしてやっている。

【バンガー・シスターズ 第18段落】  すると、フロントからの電話で、ヴィニー・キングズリー様がお出でです、と。二人は大慌てでヴィニーを部屋に迎える。ここでヴィニーは謝るのかな〜と思ったら、まだそうでなかった。黄色のチューリップの花束を抱えて、「明日の昼食にご招待したい」と。でも、昔の私ではない、今は良妻賢母をしており、夫は弁護士という確固たる地位にいる、過去は困る、という話だ。その高圧的な態度に、横で一緒に聞いていたハリーは何時の間にかスゼットの味方をしていた。

【バンガー・シスターズ 第19段落】  夜、ダブルベッドの真ん中に境目のクッションを置いて、スゼットとハリーは横になっている。ハリーは自分が作家になるのを反対した父のことを話し、スゼットは優しくそれを聞いている。そして結ばれるのは映画として当然の成り行き…。ハリーにとっては十年ぶり、スゼットにとっては二年ぶりのHだった。

【バンガー・シスターズ 第20段落】  翌朝、ホテルのロビーにまたヴィニーが来た。ヴィニーはいつでもベージュの服に身を包んでいる。目立たなく、上品で、リッチで、堅実なイメージとしてのベージュはこの作品のラヴィニアの象徴になっている。今日は 16 歳の次女ジンジャーの運転免許証の取得日なので、お昼の食事のご招待はキャンセルだと言って来たのだ。早速ジンジャーが運転して、助手席に母ラヴィニア、後部席にスゼットが座って車は進む。すると、気が強くて癇癪もちのジンジャーと母ラヴィニアは口喧嘩を始めて、車はどこかに当たり、警察へ。

【バンガー・シスターズ 第21段落】  ラヴィニアの自宅に帰ると、長女ハンナが彼氏のジュールズと全裸で庭のプールの中でいちゃついていた。雷を落とす母ラヴィニア。子供は成長するものだし、自分だって昔はそうだったのに…。スゼットもついて来ている。すると、ラヴィニアの夫レイモンド(ロビン・トーマス)が思いがけなく早く帰宅して二人はドギマギ。ド派手なスゼットを隠す暇もない。それで、ラヴィニアのUCLA時代のルームメイトということにして話を合わせて一緒にディナー。貞淑な妻と違って超派手で別の人種みたいなスゼットにレイモンドは興味を示し、若い頃の妻のことを知りたがる。そして、今は対照的な二人の旧友の共通点を訊くと、「コンサートに行ったこと」とスゼットは答え、「ロックの」、それに「踊った」まで答え、夫と二人の娘はシーン。目を丸くしている。

【バンガー・シスターズ 第22段落】  更に、スゼットの丸出しの右腕のタトゥーのことをラヴィニアは話し出す。リザ−ドキングのジム・モリソン The Lizard King: Jim Morrison のだと。また、二人でメキシコにドライブに遠出したこと、云々。話を聞く娘たちはお母さん、別の人みたい、と不思議がり、ヘンになってきたラヴィニアは、夫のシャツの胸に、料理のチキンを投げつける始末。

【バンガー・シスターズ 第23段落】  キングズリー家に泊らせてもらったスゼットは、ホテルのハリーに電話する。ラヴィニアの家に来ていることを話すと、ハリーは自分のことのように喜んでくれ、タイプライターを打つのがはかどっていることも伝える。何かが変わった、湧き出てくるようだ、とハリーは喜んでいる。昨夜のスゼットと寝たことが、雁字搦(がんじがら)めだったハリーの生活に潤いを与えたのだろう。生き生きとし、世の中が楽しくなると、心が豊かになって創作活動がこんなにも活発になれるのだ。お酒まで飲んで陽気にタイプライターに向かっているハリー。

【バンガー・シスターズ 第24段落】  ヘンになってきたラヴィニアはクロゼットの中でビールをがぶ飲みしている。そして山ほどある服はどれをとってもベージュばかりだといって泣き叫ぶ。心配して来たスゼットには、あなたはまるで花のようだと形容している。成る程、スゼットはプロンド、カーリーな長髪、化粧たくさん、ショッキングピンクの肌も露わな服。片やラヴィニアは、ブルネットの大人しいセミロング、化粧控えめ、服はいつもベージュのスーツ。こうして、現在のいい子ぶっている自分に嫌気のさしたラヴィニアは、突然髪の毛を今風にカットし、黒の胸の開いたアッパーに、細身の光るパンツという格好に変身した。

【バンガー・シスターズ 第25段落】  二人はディスコに行って思い切り楽しむ。バーで言い寄ってくる男性(ラリー・クラスク:
アダプテーション (2002) ADAPTATION 』等に出演)もいて、ラヴィニアは自分の変身、過去戻り、に満足。笑って、喋って、踊って、お酒を飲んで、二人は昔に戻った。二人は夜遅くキングズリー家に帰り、芝生に寝転び夜空を眺めてしんみりする。この後がちょっとやりすぎだったかも。地下室に隠してあった昔のお宝を出して興じてしまったのだ。それは、二人がグルーピーだった時の、寝た相手のロックスターたち数十人のポラロイド写真。だからこそ" The Banger Sisters "と呼ばれたのだろう、という非常にキワドイもの。

【バンガー・シスターズ 第26段落】  タバコの煙探知機の音で地下室に下りてきた夫とハンナに、このラヴィニアの姿が見られ、おまけにそのキワドイ写真までばれてしまった。更に悪いことに、次女ジンジャーがハンナの車を無断で持ち出して事故ってしまう。エアバッグが開いてジンジャーは病院送りされ、免許までなくなってしまう。この辺りから雲行きが怪しくなった・・・全てスゼットが現れてから悪いことばかり起こるのだ、と娘たち。夫レイモンドも腹を立てている。ハンナは今日が卒業式だというのに。ジンジャーはお腹すいたと。好きなことを言う家族に、ラヴィニアは「一体、あなた達、お母さんの言うことを聞いたことある?」と癇癪を起こす。ラヴィニアの家族から冷たい視線を浴びてスゼットはいたたまれない。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【バンガー・シスターズ 第27段落】  ホテルのハリーに、「LAに帰る」とスゼットは電話する。車に乗せてあげただけの関係なのだから、何も言わないで、と…。泣くスゼットに、ラヴィニアが歩み寄る。二人は昔と同じくらいの大きさの看板の下で座って、 20 年の歳月はもうこの時点で消えていた。二人は虫の知らせでハリーに会いに行くと、ホテルの客室は整頓され、何か変だ。ハリーの生活感がない。スゼットが窓から下を見下ろすと、遥か階下のプールの底にタイプライラーが沈んでいた。と言う事は、拳銃を持って父親を殺しに行ったのだ!

【バンガー・シスターズ 第28段落】  確かハリーの父親はホライゾン・ヒルズ Horizon Hills という古い家に住んでいると言っていた、とスゼットは土地勘のあるラヴィニアに話す。行ってみると、「古い家」というのは、「墓地」だった。そしてハリーの寂しい後姿も見つけた。ハリーの父親は既に亡くなっている、と言う事は、父親の嫌な記憶がハリーの頭の中にある、だからそれを殺さねばならない、つまり、自分の頭を撃つ、自殺すると言うのだ。止めるように言っても聞かないハリーをラヴィニアが車を体当たりさせて止める。そしてスゼットが一発しかない弾を空に向かって撃つ。こうして二人の旧友は力を合わせて一命を救った。

【バンガー・シスターズ 第29段落】  ハンナの高校卒業式。ラヴィニアは式服に着替える間もなく、さっきからのパンクルックでスゼットと駆けつけた。夫は一呼吸してから、素敵だよ、と言い直して、式場へ三人は走る。妹のジンジャーも着席している。ハンナの総代としてのスピーチは、平凡な優等生的なものではなくなっていた。「止まっても、失敗しても、真実を生きよう。万事が上手くいっているようなふりをするのでなく、家族と戦っていこう。真実を生きよう。」という趣旨のスピーチに、満場の拍手。一家の再団結をするラヴィニアの家庭。それを嬉しく見守るスゼット。

【バンガー・シスターズ 第30段落】  LAに向けて砂漠地帯を突っ走るスゼットの車。アッ、助手席にはハリーがいる。この二人も協力していいカップルになれたんだ。夕陽に向かって砂漠を走る車に、ロックのBGMが後押しする。音楽のトレヴァー・ラビンは
ザ・ワン (2001) THE ONE 』、撮影のカール・ウォルター・リンデンローブは
メイド・イン・マンハッタン (2002) MAID IN MANHATTAN 』、製作のマーク・ジョンソンは
レインマン (1988) RAIN MAN
ギャラクシー・クエスト (1999) GALAXY QUEST
ホワット・ライズ・ビニース (2000) WHAT LIES BENEATH
コーリング (2002) DRAGONFLY
オールド・ルーキー (2002) THE ROOKIE 』等に活躍している。

【バンガー・シスターズ 第31段落】  ストーリーは3分の1くらいで読めてしまって、ちょっとわざとっぽい教訓話についていくのが辛かったが、まさにゴールディ・ホーンのファンの方の為の映画だと割り切ればいいと思う。ゴールディ・ホーンはこの映画で、第 60 回ゴールデン・グローブ賞 60th Golden Globe Award, 2003 ミュージカル/コメディー部門の主演女優賞にノミネートされた。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず8904文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      バンガー・シスターズ 公式サイト(英語版)
      http://www2.foxsearchlight.com/thebangersisters/index.html
      TOP 40 CLUB
      http://www.tvk42.co.jp/top40/topicks/020822.html
      ゴールデン・グローブ賞(Golden Globe Awards 2003
      http://trine.hp.infoseek.co.jp/award/goldenglobe_03.html
      Lizard King
      http://search.yahoo.com/bin/search?p=lizard+king+++jim+morrison&ei=UTF-8
■映画『 バンガー・シスターズ 』の更新記録
2003/04/10新規: ファイル作成
2004/12/26更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/10/06更新: ◆追記
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幸田 幸
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