アダプテーション | |||||||||||||||||||||||||||
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映画の森てんこ森■読む映画試写会■映画レヴュー | |||||||||||||||||||||||||||
アダプテーション (2002) | |||||||||||||||||||||||||||
ADAPTATION. | |||||||||||||||||||||||||||
映画『 アダプテーション (2002) ADAPTATION. 』をレヴュー紹介します。 映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』を以下に目次的に紹介する。 ■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』のポスター、予告編および映画データ ■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』の解説 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』のスタッフとキャスト ■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 アダプテーション 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 アダプテーション (2002) ADAPTATION. 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』の結末 ■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |||||||||||||||||||||||||||
■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』のポスター、予告編および映画データ | |||||||||||||||||||||||||||
アダプテーション
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 アダプテーション ADAPTATION. 』の解説 映画『 アダプテーション (2002) ADAPTATION. 』の原作は、ニューヨークの著名な女流作家スーザン・オーリアンの「 The Orchid Thief (邦題:蘭に魅せられた男)」という小説。『 アダプテーション 』の脚本は『 マルコヴィッチの穴 (1999) BEING JOHN MALKOVICH 』のチャーリー・カウフマンと架空のドナルド・カウフマンの双子の兄弟。そう聞いただけでも、『アダプテーション』が並の映画でないのは明らかだろう。『 アダプテーション 』のストーリーは、蘭の本を題材に、ニコラス・ケイジが脚本家チャーリー・カウフマン自身と双子の弟の二役をする。花の映画のシナリオを書こうとしても、ノンフィクションだから、どう話を持っていこうか悩むチャーリー(ニコラス・ケイジ)。デブでハゲで女性恐怖症という冴えない彼はストレスの絶頂に。 『 アダプテーション 』の原作者スーザン・オーリアンを劇中でメリル・ストリープに演じさせ、思いもつかない展開になる。オーリアンは実在する女性サーファーの記事も書き、それも『 ブルークラッシュ (2002) BLUE CRUSH 』として映画化されている。クセのある蘭コレクターに扮したクリス・クーパーはアカデミー賞 2002年の助演男優賞に輝いた。 |
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【『 アダプテーション 』のスタッフとキャスト】 | |||||||||||||||||||||||||||
監督: スパイク・ジョーンズ Spike Jonze
(Directed by) 製作: ジョナサン・デミ Jonathan Demme (producer) ヴィンセント・ランディ Vincent Landay (producer) エドワード・サクソン Edward Saxon (producer) 製作総指揮: チャーリー・カウフマン Charlie Kaufman (executive producer) ピーター・サラフ Peter Saraf (executive producer) 原作: スーザン・オーリアン Susan Orlean (book The Orchid Thief) 脚本: チャーリー・カウフマン Charlie Kaufman (screenplay) ドナルド・カウフマン Donald Kaufman (screenplay) 撮影: ランス・アコード Lance Acord (Cinematography by) 音楽: カーター・バーウェル Carter Burwell (Original Music by) ルー・バーロウ Lou Barlow (song " One Part Lullaby ") ジョン・デイヴィス John Davis (song " One Part Lullaby ") ベック Beck (song " Dead Melodies ") エルヴィス・コステロ Elvis Costello (song " Alison ") ミック・ジャガー Mick Jagger (song " Wild Horses ") キース・リチャーズ Keith Richards (song " Wild Horses ") 編集: エリック・ザンブルネン Eric Zumbrunnen (Film Editing by) 出演: ニコラス・ケイジ Nicolas Cage チャーリー・カウフマン/ドナルド・カウフマン メリル・ストリープ Meryl Streep スーザン・オーリアン クリス・クーパー Chris Cooper ジョン・ラロシュ ティルダ・スウィントン Tilda Swinton ヴァルリー ジェイ・タヴァレ Jay Tavare マシュー・オスシエラ G・ポール・デイヴィス G. Paul Davis/ライトフット Litefoot ラッセル ロジャー・ウィリー Roger Willie ランディ カーラ・セイモア Cara Seymour アメリア カーティス・ハンソン Curtis Hanson オーリアンの夫 ジュディ・グリア Judy Greer ウェイトレスのアリス クライアン・コックス Brian Cox ロバート・マッキー マギー・ギレンホール Maggie Gyllenhaal キャロライン ボブ・スティーヴンソン Bob Stephenson デイヴィド ロン・リヴィングストン Ron Livingston マーティ スティーヴン・トボロウスキー Stephen Tobolowsky 森林警備隊員のスティーヴ・ニーリー ジム・ビーヴァー Jim Beaver 森林警備隊員のトニー グレゴリー・イッツッン Gregory Itzin 検事 ナンシー・レネヘン Nancy Lenehan カウフマンの母親の声 スパイク・ジョーンズ Spike Jonze 本人 ランス・アコード Lance Acord 本人 (uncredited) ジョン・キューザック John Cusack 本人 (uncredited) キャサリーン・キ−ナー Catherine Keener 本人 (uncredited) ジョン・マルコヴィッチ John Malkovich 本人 (uncredited) ▲TOPへ |
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<もっと詳しく> | |||||||||||||||||||||||||||
ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 アダプテーション 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。 ▲TOPへ 【 アダプテーション 第01段落 】 どこかで「幻の蘭をクローン栽培しようと考える蘭コレクターと・・・」と書いてあり、ポスターを見ても、ニコラス・ケイジの頭が鉢植え化して奇怪だったので、そういうSFがらみの洗練された滑稽な映画を思い浮かべていた。でも観てみたら全然違う。前半は重くスランプ状態の脚本家のストーりー展開、後半が女流作家と蘭コレクターのミスマッチのようなロマンスと、ぶったまげる濃厚アクション。観て、あと味は…?。疲れたと言うか、解釈しづらいというか…。好みは十人十色だから、個人個人で印象が随分異なる作品だろう。チャーリー・カウフマンが頭が切れすぎて、普通人には奥の奥まで理解できないのだと思うが。情けないケド…。 【 アダプテーション 第02段落 】 映画の始まりは『マルコヴィッチの穴』の撮影会議。主演ジョン・マルコヴィッチ本人( 『 仮面の男 (1998) THE MAN IN THE IRON MASK 』 『 ジャンヌ・ダルク (1999) THE MESSENGER: THE STORY OF JOAN OF ARC 』 『 HOTEL (2001) HOTEL 』 『 リプリーズ・ゲーム (原題) (2002) RIPLEY'S GAME 』 『 ジョニー・イングリッシュ (2003) JOHNNY ENGLISH 』 『 永遠の語らい (2003) A TALKING PICTURE 』等に出演)が写って議論している。そのスタジオの片隅に佇む冴えない容貌の脚本家チャーリー・カウフマン(ニコラス・ケイジ)。そう、チャーリー・カウフマンは『マルコヴィッチの穴』の脚本を実際に書いた男で、最近では 『 コンフェッション (2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND 』も書いている。このチャーリー・カウフマンが、この『アダプテーション』の脚本を書き、更に製作総指揮もしている。その本人の役をニコラス・ケイジが扮して、映画『アダプテーション』の中では主役になっている。その上、実際にはいない双子の弟(兄?)ドナルド・カウフマンという人物を創造して、『アダプテーション』内で、性格は違うが同じく脚本家の双子弟として登場。勿論、役者はニコラス・ケイジの二役。その上、『アダプテーション』の現実の脚本家として、チャーリー・カウフマンと並んで、この実存しないドナルド・カウフマンも名を連ねる。複雑でしょ? 【 アダプテーション 第03段落 】 アカデミー賞の 2003 年 2 月 11 日のノミネート決定では、この実存しないドナルド・カウフマンも、実存するチャーリー・カウフマンと共にノミネートされた。架空の人物をノミネートするということは、オスカーの歴史で空前絶後の出来事である。惜しくもその脚本賞は逃したが、この映画ではクリス・クーパー( 『 アメリカン・ビューティー (1999) AMERICAN BEAUTY 』 『 パトリオット (2000) THE PATRIOT 』 『 ボーン・アイデンティティー (2002) THE BOURNE IDENTITY 』等にも出演)が蘭コレクターを演じてアカデミー助演男優賞を獲得した。他にも、 2002 年NY批評家協会賞でチャーリー・カウフマンと架空のドナルド・カウフマンが脚本賞を、 2002 年LA批評家協会賞でクリス・クーパーが助演男優賞を、 2002 年ゴールデン・グローブでクリス・クーパーが助演男優賞・メリル・ストリープが助演女優賞を、そして 2003 年ベルリン国際映画祭でスパイク・ジョーンズ監督が審査員特別賞・銀熊賞を獲得している。 【 アダプテーション 第04段落 】 映画に戻ろう。チャーリー・カウフマン役のニコラス・ケイジ( 『 ウインドトーカーズ (2002) WINDTALKERS 』 『 ソニー (2002) SONNY 』 『 マッチスティック・メン (2003) MATCHSTICK MEN 』 『 ナショナル・トレジャー (2004) NATIONAL TREASURE 』 『 ゴーストライダー (2007) GHOST RIDER 』等に出演)は、結構デブで、頭頂部が薄くて周りはモジャモジャな髪、つまり河童(かっぱ)のような頭、そして性格は暗く内向的という設定。彼は独りで考え込んでいる。━俺は 40 年間生きているが、なぜここにいるのか?どうやってここに来たのか?━すると、画面は 40億 40 年前のハリウッド Hollywood, CA の特撮映像に変わる。太古からの地形の変化と生き物たちの進化、氷河期、類人猿の出現、とまるで 『 タイムマシン (2002) THE TIME MACHINE 』を観ているような特撮技術が素晴らしい。最後はあれッ?とちょっとドギマギしてしまうチャーリー・カウフマンのこの世への誕生シーン。 【 アダプテーション 第05段落 】 スタジオの食堂で、映画関係の幹部らしい女性ヴァルリー(ティルダ・スウィントン: 『 バニラ・スカイ (2001) VANILLA SKY 』等に出演)と向かい合って軽食。食べながら打ち合わせをしているのだが、その最中にも、この女性は俺の頭を禿げだと思っているんだろう、とか考えてしまう超暗〜い性格。劇中で今、撮影中の『マルコヴィッチの穴』のジョン・マルコヴィッチを話題にしたり、スーザン・オーリアン Susan Orlean 著の「 The Orchid Thief (邦題:蘭に魅せられた男)」という本を手にしたりしている。映画会社の次の作品は、この本の映画化なのだ。タイトル「 ADAPTATION. 」には「適応; 改作, 脚色」という意味がある。だから、先ず「脚色する、シナリオを書く、映画化する」という意味でこの題がついたのだろう。 【 アダプテーション 第06段落 】 この映画は現在と過去の回想が頻繁に行き来する。ここですぐに今から3年前に戻る。・・・ニューヨーク・マガジン New York Magazine 社。ここに勤務し、「 The Orchid Thief 」を執筆しようとしている女流作家スーザン・オーリアン(メリル・ストリープ: 『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』 『 めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』等に出演)。 【 アダプテーション 第07段落 】 そして更にその2年前、フロリダ Florida の沼地帯 swamp 。男達が胸まで水に浸かって蘭 Orchid を探し求めている。ワニもウヨウヨいる気持ち悪い湿地帯だ。ここで珍しい種類の美しい蘭の花を見つけ、花の咲いている木の幹ごとノコギリで切る。後のシーンで解説しているが、蘭は木に宿るが、共生ということではないそうだ。それを、道路に止めた白いバンに乗せる。もう幾つも探し出したらしく、バンには植物を入れた布袋が沢山見える。この蘭のコレクターがクリス・クーパー扮するジョン・ラロシュ。痩せぎすで、前歯が欠けた、見るからに物事に夢中になっている風貌の男だ。 【 アダプテーション 第08段落 】 パトロール中の森林警備隊員トニー(ジム・ビーヴァー: 『 マグノリア (1999) MAGNOLIA 』 『 ライフ・オブ・デビッド・ゲイル (2003) THE LIFE OF DAVID GALE 』等に出演)はそれを見つけて、自然保護の立場と不法という点で咎める。しかし実際に採ったのは、一緒にそこにいるネイティブの三人の男だとラロシュが言い張り、埒があかず、裁判に。ヒスパニック系かインディアン系か分からないが、三人はマシュー・オスシエラ(ジェイ・タヴァレ)、ラッセル(G・ポール・デイヴィス G. Paul Davis/ライトフット Litefoot )、ランディ(ロジャー・ウィリー)。ライトフットはチェロキー・インディアン Member of the Cherokee Nation で、ラップ・ミュージシャンらしい。裁判の検事役はグレゴリー・イッツッン( 『 ブロンド・ライフ (2002) LIFE OR SOMETHING LIKE IT 』等に出演)が演じている。後のシーンでも出てくる森林警備隊員つまりレンジャーはスティーヴ・ニーリーという役のスティーヴン・トボロウスキー( 『 カントリー・ベアーズ (2002)THE COUNTRY BEARS 』 『 ナショナル・セキュリティ (2003) NATIONAL SECURITY 』等に出演)だ。 【 アダプテーション 第09段落 】 現在に戻る。蘭の花をテーマにした「 The Orchid Thief 」という本を映画化することに決まって、脚本家チャーリー・カウフマンは悩んでいる。何しろ"花"の映画は初めてだから、ガイドラインもないし、どういうシナリオを書いたらいいか見当がつかないのだ。自宅では、双子の弟ドナルド・カウフマン(ニコラス・ケイジ二役)と同居しており、チャーリーはドナルドに愚痴を吐く。チャーリーの方が醜く役作りしていて、少しましな方のドナルドは、性格も明るく、同じくシナリオライターだけど違うアクション作品をエネルギッシュに書き進めている。対照的な双子だ。二人が一緒にいるシーンの撮影は非常に自然だ。 パーティ会場。こういうお祭り騒ぎが嫌いなチャーリーは、隅のほうでアメリア(カーラ・セイモア: 『 ダンサー・イン・ザ・ダーク (2000) DANCER IN THE DARK 』等に出演)という女性と引っ込んで話している。そして、家に帰ってタイプライターに向かい、新作映画の書き出しを何とするか考え込む。ウーン、思いつかない。蘭の収集家は、探検の途上で何人も死んでいるという。そんなことを思い浮かべながら、少しだけタイプライターを打ち進める。この脚本家は、字を書くのが商売だろうに、どういうわけかコンピュータを使わずに、純粋なタイプライターを使っている。こだわりかな。チャーリーはドナルドに、少し休憩が必要だからと告げて、外出。 【 アダプテーション 第10段落 】 アメリアとデート。でも、女性の扱いが上手くないんだナ。車でアメリアを彼女の家まで送った時、アメリアはいかにもキスしたい顔つきをしたのに…。女性恐怖症らしく、そういう表情を読み取ると、すぐにロマンチックでない現実的な話題を持ち出し、雰囲気を台無しに。「ストレスが溜まっているんだ。ただの花の映画にはしたくないし。睡眠が足りないから、今日はよく眠って、明日元気に進めるさ。」と、一気に話して、「ところで今度の週末、サンタ・バーバラに行くけど一緒に行かない?」なんてその直後に誘っても、アメリアは暗い顔をして家に入っていくだけだ。女性にキスすることすら出来ないチャーリー。因みに、サンタ・バーバラ Santa Barbara はカリフォルニア州ロサンゼルス Los Angeles, California の北西約 100 マイル( 1 mile =約 1.6 km 換算で 160 km )、車で2時間足らずのエキゾチックな町。 【 アダプテーション 第11段落 】 また回想、3年前。NYからフロリダに赴いて、スーザン・オーリアンは自分の書こうとしている対象の人物、蘭のコレクター、ジョン・ラロシュにインタヴューを申し込む。ラロシュは古びた白のバンの助手席に気軽にスーザンを乗せてくれ、運転しながらとりとめもなく蘭の話を聞かせる。そして蘭ほどセクシーな花はないと言う。そして、虫が介して花の受粉が成立するという関係を不思議がって感動して話す。植物の深遠な過程が気に入っているとも話す。そんなラロシュの話にスーザンはのめり込んでいく。 【 アダプテーション 第12段落 】 現在に戻る。パーティ会場で、積極的で陽気な双子のドナルドの方は、キャロライン(マギー・ギレンホール: 『 ドニー・ダーコ (2001) DONNIE DARKO 』 『 コンフェッション (2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND 』等に出演)というガールフレンドが出来て、今晩は外泊してお楽しみ。それに対してチャーリーは独り寂しく帰宅。先日のデートでキスしなくて逃げられたカノジョ、アメリアはこれ見よがしにボーイフレンドのデイヴィド(ボブ・スティーヴンソン: 『 チャーリーズ・エンジェル (2000) CHARLIE'S ANGELS 』等に出演)を紹介する。ちっともハンサムでない、小太りの男だ。アメリアは、素敵ではないけれどチャーリーのことが心残りのようだ。家に帰っても、チャーリーはシナリオを書き進められなくて苦悩続き。植物・花を映画にするなんて!弟ドナルドは仕事が捗(はかど)っているのに、双子で同じDNAなのにどうしてこう違うのか!とヒステリックで執筆が進まない。 【 アダプテーション 第13段落 】 回想、9年前。当時結婚していたジョン・ラロシュは、妻と母親と叔父を乗せて、車をバックしていた。そこに真横から別の車が急スピードで激突し、悲惨な事故となる。母と叔父は亡くなり、妻は意識不明が続く。そして意識を取り戻した時、離婚を申し渡されたのだ。彼自身も負傷して、前歯が欠けたのはその事故でだった。・・・とラロシュはスーザンに電話で語る。その事故からラロシュは、世俗を捨て、蘭の世界だけに浸るようになったのだ。 【 アダプテーション 第14段落 】 現在。作家スーザン・オーリアンは映画会社の幹部ヴァルリーと会って、「 The Orchid Thief 」の映画化の打ち合わせをしている。そして、チャーリーは脚本を映画会社のマーティ(ロン・リヴィングストン)に催促される。苦しいチャーリー。彼はシナリオの出来を「天才だわ」とヴァルリーに褒められる夢を見て、彼女と"寝て"いる夢を見る。恋人のいないチャーリーはいつもベッドではこんなだ。ここで名詞 ADAPTATION. というタイトルの動詞形である adapt を吐く台詞があった。" I don't know how to adapt this. (脚色の仕方が分からない。)" 花の本には物語がない。花の映画を一体どうやって書けると言うのか! 【 アダプテーション 第15段落 】 弟のドナルドはそんな兄の姿を毎日見て、ロバート・マッキー Robert McKee (クライアン・コックス: 『 オールド・ルーキー (2002) THE ROOKIE 』でジム・モリスの父親 Jim Morris Sr. 役)の「脚本の書き方の十条」とでも言える「 10 Commandments - Writing Techniques 」のコピーを兄チャーリーに上げる。ロバート・マッキーは米国の実在する脚本指導家らしい。後のシーンで、チャーリーはロバート・マッキーの講演 Robert McKee's Story Seminar を聴講しに出向く。何も起こらないのにどうやって脚本を書けるのか、というチャーリーの悩める質問に、この世では至る所でこの一瞬一瞬に出来事が起こっているのに、それを感じないとはどういうことか、と情熱的に指摘されてしまう。 【 アダプテーション 第16段落 】 それと前後して、チャーリーは一週間まともに眠れたことがない。眠っても夜中の3時に目を覚ましてしまい、「 The Orchid Thief 」の本にまた目を通す。そして裏表紙に著者スーザン・オーリアンの顔写真を見て好きに感じ、また例によってスーザンがベッドで一緒にいるのを想像して…。"やり方"も分からないし、髪の毛も薄くなっていくし、と言いながら、突如として元気いっぱいに明るくなってシナリオ案をテープに吹き込んでいる。翌日、映画会社のヴァルリーにいい考えがあると言いに会いに行くと、作者のスーザン・オーリアンが来ていると言う。昨夜の夢想のこともあるし、恥ずかしくて会えない。帰宅してそれを弟ドナルドに告げると、ニューヨークに行ってスーザン・オーリアン本人に会ってくるべきだとドナルドは提案する。 【 アダプテーション 第17段落 】 ニューヨーク。近代的ビルの 21 階に The New Yorker (ニューヨーク誌)のオフィスがある。ドキドキしながらエレベーターに乗り、目的の階に着いても怖気(おじけ)て降りられないチャーリー。すると、写真で見たあのスーザン・オーリアン本人が乗り込んできてしまった。緊張して上がって、結局声をかけることすらできない。そのことを太平洋岸のカリフォルニアの自宅にいるドナルドに電話して伝えると、「代わりに会ってやる」とドナルドは積極的に話を進める。双生児だから便利なんだ。 【 アダプテーション 第18段落 】 NYに早速飛んできたドナルドは、兄チャーリー・カウフマンの振りをして「 The Orchid Thief 」の映画化に関するインタヴューを堂々とやってのける。「最後の食事をするとしたら誰と?」という質問に、スーザン・オーリアンは「アインシュタイン Albert Einstein かイエス様 Jesus Christ 」と答えたが、これで彼女は嘘を言っているとドナルドは見抜く。彼女には何か秘密が?ホテルから望遠鏡で彼女のアパートメントを覗くと、スーザンは泣きながら夫(カーティス・ハンソン: 『 8 Mile (2002) 8 Mile 』等に出演)と口論しているようだ。そして明朝 11:15 のユナイテッド機 United でマイアミ Miami に飛ぶことを突き止めた。僕達もマイアミに行く!そしてコンピュータ画面に映し出されたスーザン・オーリアンの淫らな裸体。彼女はただのキャリアウーマンではないのか? 【 アダプテーション 第19段落 】 ここまでが前半のチャーリーの苦悶の姿のストーリー。ずっとこういう線で行くのかな、と思ったら…。 【 アダプテーション 第20段落 】 回想、3年前。Fakahatchee (ファカハッチーと発音?)の沼で二人、水にびしょ濡れになって幻の蘭を見つけたラロシュとスーザン。本来著述業のスーザンはラロシュと意気投合して、こんな水浸しの不快な思いまでして一緒に行動するまでになっている。 Fakahatchee というのは、フロリダ半島の南端の少し西寄りに位置する FAKAHATCHEE STRAND STATE PRESERVE という州立禁猟区の名だ。縦 20 マイル(約 32 km )、幅3〜5マイル(約5〜8 km )あり、数あるフロリダの州立公園等と比べて、最も自然の価値のある地域だと言われる。そして北アメリカ North America で最も蘭の種類が多く、最も集中的に蘭が生長している地なのだ。 【 アダプテーション 第21段落 】 スーザンはラロシュから小包で送られてきた麻薬 drug のような粉末を吸って、ラロシュと電話し合っている。ご機嫌にハミングして、今は幸せ、と人が変わったように甘い声で囁いている。夫とはうまくいっていないのか、毎日の堅苦しい作家としてのメンツが辛くなったのか、常識人としての自分を捨てて、今は蘭マニアのラロシュに夢中になっている。二人はバンの中で、当然のように結ばれていた。 【 アダプテーション 第22段落 】 こういう3年前の取材活動があって、また現在に戻る。ユナイテッド機でマイアミに到着したチャーリーとドナルドのカウフマン兄弟は、空港でスーザンがラロシュの車に嬉しそうな顔をして乗り込むのを目撃。レンタカーで跡(あと)をつける。夜、ラロシュの家に着いて、スーザンとラロシュは仲良く家に入っていった。カウフマン兄弟はそれを見て驚く。あの作家のスーザン・オーリアンが何たる事!チャーリーが覗きに行くと、コレクションの蘭をたくさん栽培したビニールハウスの中で二人は抱き合っていた。ここでもスーザンは麻薬を吸っている。しかし、チャーリーは見つかってしまい、全裸のラロシュは、覗いていた男が一体誰なのか見当がつかず、怒る。スーザンは、NYのオフィスでインタヴューを受けた脚本家のチャーリー・カウフマン(実はドナルドが化けていたが)だと気付いた。 【 アダプテーション 第23段落 】 ここからはアクション。活劇デス。プロのジャーナリストがドラッグに溺れてこんなことをしていると世間に知れたらマズイ。こう思ったスーザンは、何とライフルをかざして、チャーリーを殺し場所までラロシュと一緒にバンで運んでいく。暗い陰湿な沼地まで連れていって、まさにチャーリーを撃とうとした時、自分のレンタカーで隠れて追跡していた弟のドナルドが救い、二人は森の中を逃げる。もう一人いるとは思いもよらなかったラロシュたちは唖然とするが、彼らが双子だったとようやく理解する。闇に紛れて身を潜めて一夜を過ごした兄弟は、明け方、ラロシュに気付かれ、ドナルドが腕を撃たれた。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【 アダプテーション 第24段落 】 負傷した弟を助手席に乗せてチャーリーはレンタカーを走らせるが、今度は凄いカーアクション。ラロシュのバンが体当たりしてきたのだ。乗用車はひとたまりもない。怪我をしているドナルドは吹っ飛ばされ、バタリと地面に打ちつけられた。血を流して死んでしまったドナルド。次はまだある。チャーリーは追いかけられ、沼の中を必死で逃げる。沼にはワニがいるではないか。でも、この映画は不条理の世界『マルコヴィッチの穴』を書いた(本物の)チャーリー・カウフマンとスパイク・ジョーンズ監督のクセのある映画だから、ワニに食われるなんて三流映画もどきはある筈ない、と観ていたら…食われるのだ!ラロシュはワニに食われて最期となる。動かないラロシュを水中で抱いて、罵声を浴びせて大泣きに泣くスーザン・オーリアン。 【 アダプテーション 第25段落 】 警察の現場検証が来て、チャーリーは故郷の母親(声ナンシー・レネヘン: 『 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (2002) CATCH ME IF YOU CAN 』等に出演)にケータイで電話する。ドナルドの死。受話器を手にただただ泣くチャーリー。 後日、チャーリーはアメリアと再会して、初めてやっとキスできた。満更(まんざら)ではないという顔のアメリアに、愛してるよ、と告白する。デイヴィドという彼氏を作ってしまったのに、なんでまた今さら…と残念そうな顔をするアメリアだが、私も愛してるわ、と言ってバイバイするのを見ると、希望的未来が待っていそうだ。「脚色」の意味の他に、「 ADAPTATION. 」の「適応」という意味がかけて使われているのだろうか。チャーリーはこれからは徐々に女性にも、仕事内容にも適応して生きていけるようになるのかな。弟の死をも克服して、弟の良い面を思い出しては自分に引き入れていって。 【 アダプテーション 第26段落 】 音楽の面で印象的だったのは、 The Turtles の「♪ Happy Together 」という歌。タートルズは、ロサンゼルス出身の6人組で、この「ハッピー・トゥギャザー」は 1967 年全米 1 位,全英 12 位を誇る '67年の夏を代表する輝かしい曲だそうだ。死んだドナルドが、以前スランプ状態のチャーリーを慰める時にこの歌を歌ってくれた。そしてそのドナルドが最後のシーンで瀕死の時、今度はチャーリーが泣きながらこの歌を聞かせる。映画のエンディングでまたこの「♪ Happy Together 」が流れるので、製作陣は相当この歌に思い入れがあると思うので、歌詞を載せよう。 Imagine me and you, I do I think about you day and night, it's only right To think about the girl you love, and hold her tight So happy together If I should call you up, invest a dime and you say you belong to me, and ease my mind Imagine how the world could be, so very fine So happy together I can't see me loving nobody but you, for all my life When you're with me, baby the skies will be blue, for all my life Me and you, and you and me No matter how they tossed the dice, it had to be The only one for me is you, and you for me So happy together I can't see me loving nobody but you, for all my life When you're with me, baby the skies will be blue, for all my life Me and you, and you and me No matter how they tossed the dice, it had to be The only one for me is you, and you for me So happy together Me and you, and you and me No matter how they tossed the dice, it had to be The only one for me is you, and you for me So happy together, so happy together How is the weather, so happy together We're happy together, so happy together... 【 アダプテーション 第27段落 】 なお、監督スパイク・ジョーンズも本人役で、また『マルコヴィッチの穴』の出演者たち、ランス・アコード本人も、キャサリーン・キ−ナー本人も、ジョン・キューザック本人( 『 フィオナが恋していた頃 (1998) THIS IS MY FATHER 』 『 シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE 』 『 ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY 』 『 アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS 』 『 セレンディピティ (2001) SERENDIPITY 』 『 アドルフの画集 (2002) MAX 』 『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』 『 ニューオーリンズ・トライアル (2003) RUNAWAY JURY 』等に出演)も、 uncredited で登場しているから、どうぞお楽しみに。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず10645文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com 公式サイト(英語版) http://www.sonypictures.com/movies/ADAPTATION./ West Coast 再発見 http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/SantaBarbara/ james p. mercurio script consulting services http://www.jamespmercurio.com/article_guru.html THE NEW YORKER http://www.newyorker.com/ park. Document http://www.tabifan.com/florida/florida.homepage/park.html Florida State Parks http://www.abfla.com/parks/FakahatcheeStrand/fakahatchee.html Code HOT - Lyrics - Happy Together - The Turtles http://www.codehot.co.uk/lyrics/qrst/turtleshappy.htm 1960's Masterpieces http://guripon.cool.ne.jp/music1960'smasterpieces.htm シナリオ対訳本&ネットで読めるシナリオリスト http://www.h3.dion.ne.jp/~tango2/script.new.html いつも参考にしておりますallcinema ONLINE さんには、2003年04月09日の時点で[ 解説 ]は出ていませんので、これをアップしました。Thanks to allcinema ONLINE. |
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■映画『 アダプテーション 』の更新記録 2003/04/09新規: ファイル作成 2004/12/04更新: ◆ 一部テキスト追記と書式変更および再登録 2004/12/26更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 2007/02/05更新: ◆データ追加 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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