16歳の合衆国
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 16歳の合衆国@映画の森てんこ森(シャイな幸の独り言)
16歳の合衆国
16歳の合衆国を観て
2004年07月17日土曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』を観ました。先日、AAE(アスミック・エース・エンタテインメント)から嬉しいプレス用ヴィデオ映画『 16歳の合衆国 』を送付いただき観せてもらいました。ありがとうございます。

 幸は、『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』を観ないで調査した時点で以下のように書いた。目次にして以下に紹介する。
■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』の解説
■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』製作経緯について
■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』とサンダンス映画祭
■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』のスタッフ
■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』のストーリー
■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』のキャスト
 ※『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』のライアン・ゴズリングについて

 本作映画『 16歳の合衆国 』は以前調査した時から観たいと思っていた作品だ。『 16歳の合衆国 』は映画『 エレファント (2003) ELEPHANT 』同様、青少年のナイーヴな心の闇を扱った話題作。観る人自身の心の闇をも考えさせてくれる。『 16歳の合衆国 』の公式サイトのキャッチコピーに<なぜ、16歳の少年リーランドは、恋人の弟を殺したのか?>とある。その通りだ。この『 16歳の合衆国 』を観ると、先ず「なぜ?」という疑問が起こる。
 “THE UNITED STATES OF LELAND”(リーランド合衆国)と少年院の学校の自分のノートの表紙に書いたリーランドの手記から、その「なぜ」という理由が分かるかもしれない。映画『 16歳の合衆国 』を映画館で実際に自分の目で確かめて、その「なぜ」を自分なりに探るのもおもしろいかも...。

■映画『 16歳の合衆国 』の幸の勝手な解釈(本頁の最終項)
 この映画『 16歳の合衆国 』の幸なりの解釈は(1)「不条理」、(2)「哀しみの連鎖」→「弱い人間の為す悪」→「束の間の善」だ。・・・もっと詳しく

16歳の合衆国
16歳の合衆国
日本語公式サイト:http://16sai.jp/
 映画『 16歳の合衆国 』で描く、16歳のリーランドは決して16歳の少年少女を代表するものではないが、子供でも大人でもない微妙な16歳という思春期に感じる「不条理の世界(理解しようとしても分からない現実)」と人間の「善」と、リンクし合い連鎖していく「心の闇」を浮き彫りにするには、リーランドをして、恋人の弟=知的障害のライアンを殺さしめたのだろう。『 16歳の合衆国 』の監督・脚本をしたマシュー・ライアン・ホージ監督は、本作が処女作品のようだが、実際彼も映画『 16歳の合衆国 』のドン・チーゲル演じるパールのように少年院教師をしていた経験を持つ。
■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』の解説
 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』を紹介します。
 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』は、 2003 年サンダンス映画祭ドラマ部門に出展されたマシュー・ライアン・ホージ監督・脚本作品。『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』は、見た目は普通だが優秀な高校生の男の子が元彼女の精神障害者の弟を刺し殺してしまい…というストーリー。ケヴィン・スペイシーが『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』出演だけでなく、『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』製作にも加わっている。

■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』製作経緯について
 『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』製作の経緯はこうだ。二年間ロサンゼルス青少年拘置所制度〔訳が正しいか不明〕 Los Angeles juvenile hall system の教師だったマシュー・ライアン・ホージ監督が書いた脚本を読んだケヴィン・スペイシー(『 ユージュアル・サスペクツ (1995) THE USUAL SUSPECTS 』< 1996 年アカデミー助演男優賞受賞>『 アメリカン・ビューティー (1999) AMERICAN BEAUTY 』< 2000 年アカデミー主演男優賞受賞>)が、ホージ監督とじっくり話し合った結果、『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』映画化を決定。

 『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』製作年である 2003 年は、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『 ボーリング・フォー・コロンバイン (2002) BOWLING FOR COLUMBINE 』がオスカーを、ガス・ヴァン・サント監督作品の『 エレファント (2003) ELEPHANT 』がカンヌでパルムドールを獲得した年。日本も他人事じゃないけど、アメリカでは青少年の心の闇が問題になっているのだろう。

■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』とサンダンス映画祭
  『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』が出展された 2003 年サンダンス映画祭ドラマ部門では、『 13/サーティーン (原題) (2003) THIRTEEN 』『 パーティ★モンスター (2003) PARTY MONSTER 』『 ザ・クーラー (原題) (2003) THE COOLER 』『 キャンプ (2003) CAMP 』『 エイプリルの七面鳥 (2004) PIECES OF APRIL 』等の作品も正式出展され、『 アメリカン・スプレンダー (2003) AMERICAN SPLENDOR 』が審査員大賞に選ばれている。この年のサンダンス映画祭ドラマ部門では、性格俳優の実力派スティーヴ・ブシェミ Steve Buscemi (『 ファーゴ (1996) FARGO 』『 Mr.ディーズ (2002) MR. DEEDS 』『 ビッグ・フィッシュ (2003) BIG FISH 』等)や、故ダイアナ妃のご学友らしい英国女優ティルダ・スウィントン Tilda Swinton (『 アダプテーション (2002) ADAPTATION 』『 コンスタンティン (原題) (2005) CONSTANTINE 』等)、名黒人俳優フォレスト・ウィッテカー Forest Whitaker (『 バード (1988) BIRD 』< 1988 年カンヌ国際映画祭男優賞受賞>『 フォーン・ブース (2002) PHONE BOOTH 』)らが審査にあたった。

■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』のスタッフ
 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』の製作総指揮には、『 モンスター (2003) MONSTER 』のマーク・デーモン(『 フィアー・ドット・コム (2002) FEAR DOT COM 』『 Re:プレイ (2003) THE I INSIDE 』等)とスチュワート・ホールとサミー・リー。美術の エドワード・T・マカヴォイも『 モンスター (2003) MONSTER 』に参画している。撮影は『 アバウト・シュミット (2002) ABOUT SCHMIDT 』等のジェームズ・グレノン。衣装は『 カントリー・ベアーズ (2002) THE COUNTRY BEARS 』『 フォーチュン・クッキー (2003) FREAKY FRIDAY 』等のジュヌビエーヴ・ティレル。編集は『 グッド・ガール (2002) THE GOOD GIRL 』等のジェフ・ベタンコート。

■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』のストーリー
 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』のプロット。
 それはいつものような普通の日。しかし、ひどく不可解な犯罪が起こる。『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の邦題の通り、きっと16歳であろう少年。このうわべは普通に見える高校生のリーランド・フィッツジェラルド(ライアン・ゴズリング)が、元ガールフレンドであるベッキー・ポラード(ジェナ・マローン:『 ドニー・ダーコ (2001) DONNIE DARKO 』『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』等)の精神障害のある弟を刺し殺した。

 母メアリーベス(レナ・オリン:『 敵、ある愛の物語 (1989) ENEMIES, A LOVE STORY 』< 1990 年アカデミー助演女優賞ノミネート>『 ナインスゲート (1999) THE NINTH GATE 』『 ショコラ (2000) CHOCOLAT 』『 ハリウッド的殺人事件 (2003) HOLLYWOOD HOMICIDE 』等)が自宅で手に包帯を巻いた息子リーランドを見つけたとき、彼は言った。“ I think I made a mistake. (僕は間違いを犯したと思う。)” 事件は、リーランドだけでなく、彼の家族や友人、そして“なぜ”を解き明かそうとする一人の教師の人生をすっかり変えてしまうことに。永遠に全てが元通りになることはない。

 少年拘置所〔訳が正しいか不明〕 juvenile hall に送られ、裁判を待つリーランドだが、将来を約束された自分が、なぜこのような残酷な犯罪を犯したのかという謎について明らかにしようとはしなかった。そんな時、リーランドは、温情派だが疲れ果てている刑務所の教師パール(ドン・チードル:『 ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS 』『 ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS 』『 オーシャンズ11 (2001) OCEAN'S ELEVEN 』『 オーシャンズ12 (2004) OCEAN'S TWELVE 』等)に出会う。

 パールは、これまでリーランドのような青年に出会ったことがなかった。有名で知的な作家アルバート・フィッツジェラルド(ケヴィン・スペイシー:『 交渉人 (1998) THE NEGOTIATOR 』『 光の旅人 K−PAX (2001) K-PAX 』『 ライフ・オブ・デビッド・ゲイル (2003) THE LIFE OF DAVID GALE 』等)の息子であるリーランドは、全てに恵まれた青年で、殺人犯とは程遠い人物のようだ。利口なリーランドは洞察力があり、自分のしたこと対してはっきりとした解釈を持っている。リーランドは、パールが思い描いている、人間の儚(はかな)さと複雑さについての小説の恰好の題材だった。実は、アルバート・フィッツジェラルドのような有名な作家になるのがパールの長年の夢だ。秘密のカウンセリングを続けて行うために、パールは刑務所の規則を無視してリーランドに会う手はずを整えた。

 刑事か探偵のようにパールがリーランドに事件の背景を打ち明けさせようとするにつれ、その物語に関わっている人々の入り組んだ関係が一層明るみになる。父アルバートは、リーランドを省みなかった。被害者の姉であり、リーランドの元ガールフレンドであるベッキー・ポラードは麻薬常習者。彼女は事件が起こる前にリーランドをふった。そしてベッキーの姉ジュリー(ミシェル・ウィリアムズ:『 私は「うつ依存症」の女 (2001) PROZAC NATION 』等)と彼女と同棲中のボーイフレンド、アレン(クリス・クレイン)、被害者の両親(マーティン・ドノヴァン:『 エージェント・コーディ (2003) AGENT CODY BANKS 』等とアン・マグナスン)らも、物語に新たな様相をもたらす。

 パールが探ろうとすればするほど、答えが理解をすり抜けていく。そして今度はリーランドがパールに質問をし始める。最初、パールは権威への挑戦だとして怒るが、自分の行動に対して自分自身が適切な答えを持たないことに気付いた。自分のしているどんなことに対しても正当性を本当に示せるだろうか。恋人に内緒で浮気をしていたり、少年刑務所のルールを破ったり、本のためにリーランドとの壊れやすくて得難い友情を利用していたり…。パールは秘かに怖くなる。

 今パールは自分自身がまれなチャンスに遭遇していると思った。パールが、リーランドの人生が彼に相応しいものでなくなっていった理由を正確に理解することはないかもしれない。しかし、パールは、リーランドの多大な後悔や深い洞察力から示唆を受け、自己の人生をより良いものに変えていくことができるのだ。

 パールがリーランドの父親の作家アルバート・フィッツジェラルドと会い、父親がパールの野望に気付き当局にタレこむ。結果パールがリーランドの担任からはずされ 2 人の関係は危機に陥る。パールはリーランドと別れる際、リーランドに希望を持って生きるよう諭す。しかしリーランドの犯した罪は、両親や被害者のポラード一家や地域社会にさざなみを立て、更なる予期せぬ暴力を呼ぶことになることをパールは知らない。

■映画『 16歳の合衆国 (16歳の合衆国) 』のキャスト
 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』の他のキャストには、『 9デイズ (2002) BAD COMPANY 』『 白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』『 アゲインスト・ザ・ロープス (原題) (2004) AGAINST THE ROPES 』等のケリー・ワシントン、『 わたしが美しくなった100の秘密 (1999) DROP DEAD GORGEOUS 』『 チェンジング・レーン (2002) CHANGING LANES 』『 エデンより彼方に (2002) FAR FROM HEAVEN 』『 エレファント (2003) ELEPHANT 』『 カレンダー・ガールズ (2003) CALENDAR GIRLS 』『 ステップフォード・ワイフ (2004) THE STEPFORD WIVES 』等のマット・マロイらがいる。当初、リーランド役は、アレン・ハリス役のクリス・クレインがすると発表されていたが、実際にはライアン・ゴズリングが演じることになった。

 ※『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』のライアン・ゴズリングについて
 ライアン・ゴズリング Ryan Gosling は、向こうでは16歳の少年リーランドの演技が絶賛されたと聞くが、この『 16歳の合衆国 』時点では21〜22歳だ。ワタシ目には、「16歳」にしてはふけ過ぎているように見えてちょっと抵抗を感じた。顎(あご)の辺りかなあ?アメリカではあんな高校生もいるだろうけど...。
 彼のことを調べると、彼は、1980年11月12日、カナダ・オンタリオ州コーンウォール Cornwall, Ontario, Canada 生まれの現在23歳。ジャズギターがプロ並だそうだ。『 16歳の合衆国 』でのリーランドの哀しいそうな憂いのある目は、小学生時代虐めにあって学校を休んでいて母親に教育されていた頃に刷り込まれた影を映しているのかも知れない。しかし、この目がこの映画では大いに効果的だ。
 この『 16歳の合衆国 』の後、2005年お正月映画としてギャガ配給のラブ・ロマンス映画『 きみに読む物語 (仮題) (2004) THE NOTEBOOK 』で主役で出ている。『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』のジュード・ロウとまでは行かぬとも、ひげを生やしてのベッドシーンのスチルはそれなりだ。一体役者は自分の実際の年齢よりも上下何歳ぐらいまでの幅で演じ分けられるのだろうか。
 ライアン・ゴズリングの過去の映画では、幸はレヴューはしていないが、『 完全犯罪クラブ (2002) MURDER BY NUMBERS 』 『 タイタンズを忘れない (2000) REMEMBER THE TITANS 』がある。これから 『 ステイ(原題) (2004) Stay 』の公開、『 Che (2005) 』 の撮影が待たれ、着実にキャリアアップして行っているように思う。2004年のピープル誌などの最も熱い独身男性50人の一人として選ばれているライアン・ゴズリングは、今ハリウッドでは注目の伸び盛り俳優だ。これから共演・競演していく有名・大物俳優が認める演技でサクセス・ロードを歩んでください。頑張っていい映画に出てください。

■映画『 16歳の合衆国 』の幸の勝手な解釈
 この映画『 16歳の合衆国 』の幸なりの解釈は(1)「不条理」、(2)「哀しみの連鎖」→「弱い人間の為す悪」→「束の間の善」だ。

 暑いある日、太陽だけがその問いに答えているのかも知れない。アルベール・カミュ〔Albert Camus フランスの作家・評論家、1913-60〕の「異邦人 L' Étranger 」の主人公ムルソー Mersault は照りつける太陽の下で銃を何発も撃った。『 16歳の合衆国 』の16歳の少年リーランドは何回ライアンを刺したのだろうか?何発何回が殺意の決定的な裏付けになる。ムルソーのように殺人を犯した不条理とも言うべきリーランドの犯行と心を、大人社会は一体解き明かせるのだろうか?社会の法規範に則(のっと)って?無頓着な大人の正義に照らして?それとも本人自らの告白が?そんなメッセージも聞こえてきそうな不可解な衝撃的な出来事だ。

 16歳のリーランドは“I think I made a mistake.(僕は間違いを犯したと思う。)”と犯行後自分の部屋に戻ってTVを観ながら、母に告げる。落ち着いている。左手には自分で感触を知るために刺した傷。少年院で「あの日のことは憶えていない。嘘じゃなく、本当に憶えていないんだ。---」と教師に語る。

 リーランドの恋人ベッキー・ポラード(ジェナ・マローン Jena Malone:『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』「 海辺の家 (2001) LIFE AS A HOUSE 」『 ドニー・ダーコ (2001) DONNIE DARKO 』等)の知的障害の弟ライアンを殺す動機は?
 6歳の時から父親に会っていない寂しいリーランドの哀しみ。偉大な作家の父から感じ取ったリーランドへの無関心と大人の鈍感さ。ニューヨークでの心と体の冒険と虚しさ。恋人ベッキーへのちょっと不器用な愛と失恋と失意。麻薬中毒ベッキーへの怒り。

 しかし、そのどれもが決定的な動機とは言い難い。敢えて一つあげるならベッキーへの遣る方(やるかた)のない愛かもしれない。しかし、リーランドのこれらの幾つかの負の感情は彼の心の底でヘドロのように蓄積されていったに違いない。限界点に達したヘドロは暑い日差しの中で発酵し、臭いガスを発生させ、そのヘドロを吐き出すかのようにガス爆発を起こした。リーランドは常識では有り得ない自分の容量を超えた暴挙をやってのけたのだ。急度(きっと)リーランド自身も想像もできなかった未知の行為だ。ライアンにナイフで凶行に及ぶ。優しい心で接することのできた弱いライアンにだ。賢明な大人やよき相談者なら制止できる時間もなく突発的に起こった、刹那的な犯行なのか?それとも前もって計画してナイフを隠し持っての犯行なのか?映画では語られていない。しかしこのライアン殺害行為自体は鬼畜の犯行である。罪を犯して少年院に入っている生徒も、下の下だと軽蔑する。

 リーランドの残酷な行為は、絶えることのない深い悲しみと苦しみと怒りの混濁の飛沫(しぶき)となって津波のようにポラード一家に打ち寄せる。そしてまた哀しい連鎖が始まる。
 津波の後に平穏な生活が訪れるのだろうか? リーランドの不条理な凶行は、少なくとも天使と悪魔=善と悪の混在する弱い人間の自分勝手な鈍感な心に、反面教師として善行の大切さを思い起こさせる。

 少年院教師パールは一時の寂しさを紛らわせるため同僚と浮気をした。仕事でLAにいる恋人ミランダに電話で謝った。でも、心底侘びを入れるためにLAまで会いに行く。パールの真剣さが、ただパリまでの航空券を送りつけてくるリーランドの父にあっただろうか?殺人を犯したわが子のメモを作って本を書こうとする父親を持つリーランドは余りにも哀しい存在だ。

 哀しみは連鎖する。

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 感想文は話の流れ上当然ネタばれを含みます。映画『 16歳の合衆国 』をご覧になった方のみお読みいただければ幸いと考えていますので、十分ご注意下さい。
 映画の内容やネタばれを望まれない方はくれぐれも読まないようお願いします。ATTN: Please stop reading here because my review reveals the movie content.

参考資料:「16歳の合衆国」公式サイト http://16sai.jp/
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
※トップタイトル画像はアスミック・エース・エンタテインメントに使用許諾申請中
Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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