16歳の合衆国
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16歳の合衆国 (2003)
THE UNITED STATES OF LELAND
 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』をレヴュー紹介します。邦題は「16歳の合衆国」だが、半角で「16歳の合衆国」も一応あげておく。

 映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の主なスタッフ
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』のあらすじ
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の他のキャスト
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の映画祭
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』のスタッフとキャスト
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の結末
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の感想(ネタばれ注意)
■エッセイ「16歳の合衆国を観て」(シャイな幸の独り言)
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』のポスター、予告編および映画データ
16歳の合衆国
16歳の合衆国

Links:  Official Web Site
Trailers: QuickTime
上映時間 Runtime: 1:48
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
MDP Worldwide [us]
Media 8 Entertainment [us]
Thousand Words
Trigger Street Productions
全米配給会社 Distributer: Leland Productions Inc. [us]
MDP Worldwide [us]
Paramount Classics [us] (2004) (USA)
全米初公開 Release Date: 2003/01/18 (Sundance Film Festival) (premiere)
2004/04/02 (limited)
日本初公開 R. D. in Japan: 2004/08/07 予定
日本公開情報 : アスミック・エース
ジャンル Genre: ドラマ/犯罪
Drama / Crime
MPAA Rating 指定: Rated R for language and some drug content.
日本語公式サイト
http://16sai.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 16歳の合衆国 THE UNITED STATES OF LELAND 』の解説

 映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』は、 2003 年サンダンス映画祭ドラマ部門に出展されたマシュー・ライアン・ホージ監督・脚本作品。『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』は、見た目は普通だが優秀な高校生の男の子が元彼女の知的障害者の弟を刺し殺してしまい…というストーリー。ケヴィン・スペイシーが『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』出演だけでなく、『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』製作にも加わっている。
 『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』製作年である 2003 年は、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『 ボーリング・フォー・コロンバイン (2002) BOWLING FOR COLUMBINE 』がオスカーを、ガス・ヴァン・サント監督作品の『 エレファント (2003) ELEPHANT 』がカンヌでパルムドールを獲得した年。日本も他人事じゃないけど、アメリカでは青少年の心の闇が問題になっているのだろう。

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■映画『 16歳の合衆国 THE UNITED STATES OF LELAND 』の主なスタッフ

○『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の製作の経緯はこうだ。二年間ロサンゼルス青少年拘置所制度〔訳が正しいか不明〕 Los Angeles juvenile hall system の教師だったマシュー・ライアン・ホージ監督が書いた脚本を読んだケヴィン・スペイシー(
ユージュアル・サスペクツ (1995) THE USUAL SUSPECTS 』< 1996 年アカデミー助演男優賞受賞>
交渉人 (1998) THE NEGOTIATOR
アメリカン・ビューティー (1999) AMERICAN BEAUTY 』< 2000 年アカデミー主演男優賞受賞>
光の旅人 K−PAX (2001) K-PAX
ライフ・オブ・デビッド・ゲイル (2003) THE LIFE OF DAVID GALE
ビヨンド the シー 夢見るように歌えば〜 (2004) BEYOND THE SEA 』等)が、ホージ監督とじっくり話し合った結果、『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』映画化を決定。

○『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の製作総指揮にはマーク・デーモン(
フィアー・ドット・コム (2002) FEAR DOT COM
Re:プレイ (2003) THE I INSIDE
モンスター (2003) MONSTER 』等)とスチュワート・ホールとサミー・リー。

○『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の美術のエドワード・T・マカヴォイも
モンスター (2003) MONSTER 』に参画している。

○『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の撮影は
アバウト・シュミット (2002) ABOUT SCHMIDT 』等のジェームズ・グレノン。

○『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の衣装は
カントリー・ベアーズ (2002) THE COUNTRY BEARS
フォーチュン・クッキー (2003) FREAKY FRIDAY 』等のジュヌビエーヴ・ティレル。

○『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の編集は
グッド・ガール (2002) THE GOOD GIRL 』等のジェフ・ベタンコート。

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■映画『 16歳の合衆国 THE UNITED STATES OF LELAND 』のあらすじ

 それはいつものような普通の日。しかし、ひどく不可解な犯罪が起こる。『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の邦題の通り、きっと16歳であろう少年。このうわべは普通に見える高校生のリーランド・フィッツジェラルド(ライアン・ゴズリング:
きみに読む物語 (2004) THE NOTEBOOK 』等)が、元ガールフレンドであるベッキー・ポラード(ジェナ・マローン:
ドニー・ダーコ (2001) DONNIE DARKO
コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』等)の精神障害のある弟を刺し殺した。

 母メアリーベス(レナ・オリン:『 敵、ある愛の物語 (1989) ENEMIES, A LOVE STORY 』< 1990 年アカデミー助演女優賞ノミネート>
ナインスゲート (1999) THE NINTH GATE
ショコラ (2000) CHOCOLAT
ハリウッド的殺人事件 (2003) HOLLYWOOD HOMICIDE 』等)が自宅で手に包帯を巻いた息子リーランドを見つけたとき、彼は言った。“ I think I made a mistake. (僕は間違いを犯したと思う。)” 事件は、リーランドだけでなく、彼の家族や友人、そして“なぜ”を解き明かそうとする一人の教師の人生をすっかり変えてしまうことに。永遠に全てが元通りになることはない。

 少年拘置所〔訳が正しいか不明〕 juvenile hall に送られ、裁判を待つリーランドだが、将来を約束された自分が、なぜこのような残酷な犯罪を犯したのかという謎について明らかにしようとはしなかった。そんなリーランドは、温情派だが疲れ果てている少年拘置所の教師パール(ドン・チードル:
ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS
ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS
オーシャンズ11 (2001) OCEAN'S ELEVEN
オーシャンズ12 (2004) OCEAN'S TWELVE 』等)に出会う。

 パールは、これまでリーランドのような青年に出会ったことがなかった。有名で知的な作家アルバート・フィッツジェラルド(ケヴィン・スペイシー)の息子であるリーランドは、全てに恵まれた青年で、殺人犯とは程遠い人物のようだ。利口なリーランドは洞察力があり、物事に対してはっきりとした解釈を持っている。リーランドは、パールが思い描いている、人間の儚(はかな)さと複雑さについての小説の恰好の題材だった。実は、アルバート・フィッツジェラルドのような有名な作家になるのがパールの長年の夢だ。秘密のカウンセリングを行うために、パールは少年拘置所の規則を無視してリーランドに会う手はずを整えた。

 探偵のようにパールがリーランドに事件の背景を打ち明けさせようとするにつれ、その物語に関わっている人々の入り組んだ関係が一層明るみになる。父アルバートは、リーランドを省みなかった。被害者の姉であり、リーランドの元ガールフレンドであるベッキー・ポラードは麻薬常習者。彼女は事件が起こる前にリーランドをふった。そしてベッキーの姉ジュリー(ミシェル・ウィリアムズ:『 私は「うつ依存症」の女 (2001) PROZAC NATION 』等)と、ポラード家で彼女と同棲中のボーイフレンド、アレン(クリス・クレイン)、被害者の両親(マーティン・ドノヴァン:『 エージェント・コーディ (2003) AGENT CODY BANKS 』等とアン・マグナスン)らも、物語に新たな様相をもたらす。

 パールが探ろうとすればするほど、答えが理解をすり抜けていく。そして今度はリーランドがパールに質問をし始める。最初、パールは不快に思うが、自分の行動に対して自分自身が適切な答えを持たないことに気付いた。自分のしているどんなことに対しても正当性を本当に示せるだろうか。恋人に内緒で浮気をしていたり、少年拘置所のルールを破ったり、本のためにリーランドとの壊れやすくて得難い友情を利用していたり…。パールは秘かに怖くなる。

 リーランドが起こした殺人事件は関係者の生活にさざなみを立て続け、更なる暴力を呼ぶことになる。今、パールは自分自身がまれなチャンスに遭遇していると思った。パールが、リーランドの人生が彼に相応しいものでなくなっていった理由を正確に理解することはないかもしれない。しかし、パールは、リーランドの多大な後悔や深い洞察力から示唆を受け、自己の人生をより良いものに変えていくことができるのだ。

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■映画『 16歳の合衆国 THE UNITED STATES OF LELAND 』の他のキャスト

 映画『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』の他のキャストには、
9デイズ (2002) BAD COMPANY
白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』
ファイティング×ガール (2004) AGAINST THE ROPES 』等のケリー・ワシントン、

わたしが美しくなった100の秘密 (1999) DROP DEAD GORGEOUS
チェンジング・レーン (2002) CHANGING LANES
エデンより彼方に (2002) FAR FROM HEAVEN
エレファント (2003) ELEPHANT
カレンダー・ガールズ (2003) CALENDAR GIRLS
ステップフォード・ワイフ (2004) THE STEPFORD WIVES 』等のマット・マロイらがいる。

 当初、リーランド役は、アレン・ハリス役のクリス・クレインがすると発表されていたが、実際にはライアン・ゴズリングが演じることになった。

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■映画『 16歳の合衆国 THE UNITED STATES OF LELAND 』の映画祭

  『 16歳の合衆国 (2003) THE UNITED STATES OF LELAND 』が出展された 2003 年サンダンス映画祭ドラマ部門では、
サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと (2003) THIRTEEN
パーティ★モンスター (2003) PARTY MONSTER
キャンプ (2003) CAMP
エイプリルの七面鳥 (2004) PIECES OF APRIL 』等の作品も正式出展され、
アメリカン・スプレンダー (2003) AMERICAN SPLENDOR 』が審査員大賞に選ばれている。

 この年のサンダンス映画祭ドラマ部門では、性格俳優の実力派スティーヴ・ブシェミ Steve Buscemi (
ファーゴ (1996) FARGO
Mr.ディーズ (2002) MR. DEEDS 』
ビッグ・フィッシュ (2003) BIG FISH 』等)や、故ダイアナ妃のご学友らしい英国女優ティルダ・スウィントン Tilda Swinton (
アダプテーション (2002) ADAPTATION
コンスタンティン (2004) CONSTANTINE 』等)、名黒人俳優フォレスト・ウィッテカー Forest Whitaker (『 バード (1988) BIRD 』< 1988 年カンヌ国際映画祭男優賞受賞>
フォーン・ブース (2002) PHONE BOOTH 』)らが審査にあたった。
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【『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』のスタッフとキャスト】
監督: マシュー・ライアン・ホージ Matthew Ryan Hoge (Directed by)
製作: バーニー・モリス Bernie Morris (producer)
    ジョナ・スミス Jonah Smith (producer)
    ケヴィン・スペイシー Kevin Spacey (producer)
    パーマー・ウェスト Palmer West (producer)
製作総指揮: マーク・デーモン Mark Damon (executive producer)
    スチュワート・ホール  Stewart Hall (executive producer)
    サミー・リー Sammy Lee (executive producer)
脚本: マシュー・ライアン・ホージ Matthew Ryan Hoge (written by)
撮影: ジェームズ・グレノン James Glennon (Cinematography by)
美術: エドワード・T・マカヴォイ Edward T. McAvoy (Production Design by)
衣装: ジュヌビエーヴ・ティレル Genevieve Tyrrell (Costume Design by)
編集: ジェフ・ベタンコート Jeff Betancourt (Film Editing by)
音楽: ジェレミー・エニック Jeremy Enigk (Original Music by)

出演: ドン・チードル Don Cheadle as Pearl Madison
    ライアン・ゴズリング Ryan Gosling as Leland P. Fitzgerald
    クリス・クレイン Chris Klein as Allen Harris
    ジェナ・マローン Jena Malone as Becky Pollard
    レナ・オリン Lena Olin as Marybeth Fitzgerald
    ケヴィン・スペイシー Kevin Spacey as Albert T. Fitzgerald
    ミシェル・ウィリアムズ Michelle Williams as Julie Pollard
    マーティン・ドノヴァン Martin Donovan as Harry Pollard
    アン・マグナスン Ann Magnuson as Karen Pollard
    ケリー・ワシントン Kerry Washington as Ayesha
    シェリリン・フェン Sherilyn Fenn as Mrs. Calderon
    マット・マロイ Matt Malloy as Charlie
    マイケル・ウェルチ Michael Welch as Ryan Pollard

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレあり)
※映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』では、断片的に映像が組み合わすことで、状況や登場人物たちの心理を浮き彫りにしようとしている所があるので、映画の進行どおり文字に書き起こすのは難しい。だから、繋がりのあるシーンは、ある程度まとめて書くことにする。

【 16歳の合衆国 第01段落 】  知的障害者のライアン少年(マイケル・ウェルチ)が芝生の広がる公園に佇んでいる。映像がゆれるのは、足早にライアンに近づいている 16 歳の少年リーランドの視界を表わすため。突然暗くなる画面。リーランドは“その時”のことを思い出せない。リーランドは思う。記憶というのは、おかしなもので、肝心なことは思い出せないのに、 5 歳の時に父さんに買ってもらったアイスクリームのことを鮮明に覚えていたりする。思い出せなくても事実は変わらない。首に当たる太陽が暑い春の日、リーランドは公園でライアンをナイフで刺した。リーランドは友人が自分に言った言葉を思い出した。“ You have to believe that life is more than the sum of its parts, kiddo. (信じて、人生は断片の総和以上なのよ。)”ライアン少年は眠るような顔で青い芝生に倒れ、赤いトレーナーを着たリーランドは、血が流れる自分の手をジッと見つめた。

【 16歳の合衆国 第02段落 】  リーランドがライアンを殺した時、ライアンの姉のベッキー(ジェナ・マローン)は自分の部屋のベッドの上で、ドラッグでハイになる準備をしていた。そこへノック。ライアンの不在を心配する父親のハリー(マーティン・ドノヴァン)がベッキーのところにやってきたのだ。父ハリーは娘ベッキーの異常には気付かず、ライアンを探しに出かけていった。ポラード家の母親カレン(アン・マグナスン)と長女のジュリー(ミシェル・ウィリアムズ)、そしてジュリーの恋人のアレン(クリス・クレイン)は、車で自宅に帰るところだ。ジュリーとアレンは、大学進学を控える高校生。 2 人でアリゾナ州立大学へ進学するつもりのようだが…。

【 16歳の合衆国 第03段落 】  リーランドの母親メアリベス(レナ・オリン)が家に戻ってきた時、玄関ポーチの電球が急に切れた。メアリベスが電球を付け替えると、玄関マットに血痕があるのに気付いた。彼女は心配になって息子の部屋をノックした。熱帯魚の水槽だけがぼんやりと光る真っ暗な部屋の中、リーランドはベッドの横でひざを抱えて座っていた。リーランドは呟いた。“ I think I made a mistake. (僕は間違いを犯したと思う。)”メアリベスは、包帯で左手をぐるぐる巻きにしているリーランドを病院に連れて行くことにした。

【 16歳の合衆国 第04段落 】  リビングのソファでベッキーがアイスキャンデーを食べながらTVを観ていると、公園で頭を抱えて座り込んでいる父親の姿が映し出されていた。キッチンで夕食の準備をしている母カレン、ジュリー、アレン。そこへ父ハリーからの電話。奈落のそこへと突き落とされる家族。部屋に閉じこもるベッキー。彼女の部屋のドレッサーの鏡には、一枚の写真がある。ベッキーと彼女の弟ライアンを殺した 16 歳の少年リーランドの睦まじい姿がそこにはあった。

【 16歳の合衆国 第05段落 】  病院で逮捕されたリーランドは、少年の矯正施設へ入所。リーランドはシャワーを浴び、オレンジ色の制服(囚人服と呼ぶ?)を着て、収監される部屋へと向かった。暗い殺風景な部屋をぐるりと見回す。リーランドの母メアリベスは、息子は報道されているようなことは何もしていない、一分でいいから息子に会わせて欲しいと、車から施設の警備員に頼んだ。もちろん警備員はにべもなく断った。リーランドとの面会が許されるのは、毎月第二日曜日だけだ。

【 16歳の合衆国 第06段落 】  翌朝、少年矯正施設の黒人教官、パール(ドン・チードル)が出勤してきた。いつものように警備員に鍵を渡し、ブリーフケースを持ってセキュリティ・チェックを通る。ピピッと音が鳴った。ブリーフケースの中身がセキュリティ・チェックに反応しているようだ。しかし、それはいつものことのようで警備員はパールを検査したり咎めたりはしない。昨夜の同僚からの電話が示唆した通りに、知的障害者を殺害した白人の少年は、パールのクラスに入ることになった。パールはその少年の父親が有名作家のアルバート・T・フィッツジェラルド(ケヴィン・スペイシー)であることを知り、驚いた。アルバートは酒びたりで女性嫌悪症と噂される作家だが、作家志望のパールは彼のファンだった。

【 16歳の合衆国 第07段落 】  少年矯正施設での初めての授業。授業が始まる前、、同じクラスの陽気なヒスパニックの少年が「お前みたいな白人のガキはとんでもないことをする」と言うのを、リーランドは無視した。又、ランチ(?)をとる時、隣席のアフロな黒人の少年も悪魔崇拝であんな事件を起こしたのかと、リーランドに訊いてきた。自分で左手を傷つけたのは、どんな感じか知りたかったからと答えるリーランドに、アフロの少年は俺に言えば刺してやったのにと言って、別の席に移った。食事の前に、紙のナプキンを膝の上に広げるリーランドは、起こした事件の残酷さといい、ここでは異質な存在だ。

【 16歳の合衆国 第08段落 】  パールは初めての授業で、他の少年犯罪者たちとは明らかに違うリーランドに強く惹き付けられた。授業の初め、少年達にノートと鉛筆が配られる。自由の女神の写真が表紙のノートには、 「the United States 」と印刷されている。リーランドは鉛筆の後ろで青いノートの表紙を削り、“ of Leland P. Fitzgerald ”と付け加えた。パールは少年達にイタリアのヴェニスの映像を見せた。教官のパールでさえまだ行った事がないのに、パリ在住の有名作家の息子であるリーランドは、 16 歳にしてすでに車の通らないヴェニスの町に響く人々の足音を知っている。

【 16歳の合衆国 第09段落 】  授業の終わりにノートと鉛筆を集めるパールに、リーランドは書きたいことがあるのでノートと鉛筆を持っていってもいいかと尋ねた。規則に則り、パールはリーランドの申し出を却下した。ところが、「 the United States of Leland P. Fitzgerald (リーランドの合衆国)」のノートに一行だけ書かれた文章を読んだパールは、ランチをとっているリーランドのところへ行き、ノートと鉛筆を渡した。もちろんこれは二人の秘密だ。今までノートに文章を書いた少年はいなかったし、リーランドが書いた一文はパールの心に取り付いた。「彼らが何を求めているか分かっている。」彼らはリーランドの“理由”を求めているのだ。パールも自分の本のためにリーランドの“理由”が知りたかった。

【 16歳の合衆国 第10段落 】  リーランドはパールの名前の由来を尋ねた。パールのダンサーだった母親が父親と一緒にバスケットボールの試合を観に行ったとき、ダンスのような詩的な動きをするパールという苗字の選手に釘付けになった。その晩、試合でエキサイトしたパールの両親は愛し合い、その結果、パールが産まれた。物事には全て原因と結果があるのだ。

【 16歳の合衆国 第11段落 】  夜、リーランドは暗がりでノートを認(したた)めながら、ベッキーのことを思い出した。私の守護天使になってほしいとリーランドに甘えようとするベッキー。問題を抱えている、情緒不安定な女子高生のベッキーは、“Everything is OK. (何も心配ないよ。)”と言って、不安な心を安心させて欲しかった。でも、流石作家の息子というか、言葉に誠実でありたいリーランドは、中々ベッキーの望む答えを与えない。“いつも傍にいる”とか、恋人同士の言葉には、嘘がいっぱいだけど、好きな人だからこそ嘘はつきたくないリーランドは、甘い言葉がささやけない。しかし、ついにはベッキーに頼まれて、彼女に呟いた。“Everything is OK. (何も心配ないよ。)”

【 16歳の合衆国 第12段落 】  ライアンを失ったポラード家は、悲しみと絶望の淵にあった。もちろん息子を殺された家族の心は想像に絶するが、その家庭に居候するアレンもかなり大変だろう。止めていたタバコを再び手に取り、リーランドが何故無害なライアンに残酷な仕打ちをしたのか嘆く母カレンに、アレンは自分にできることがあればと慰めようとする。家族の一人ひとりがライアンを惨い形で失った悲しみに沈み、孤立していってしまうようにアレンは感じた。ジュリーに届いたアイオワ州立大学からの手紙。アレンはジュリーと一緒にアリゾナ州立大学へ行くつもりなのに、何故ジュリーにこんな手紙が?

【 16歳の合衆国 第13段落 】  ベッキーはカバンに部屋の中の物をつめてどこかへ出かけようとしている。その荷物の中に彼女は、ドレッサーから取ったリーランドとの写真も入れた。バスを待つベンチに座りながら、ベッキーはリーランドとの出会いを振り返っていた。…それは町の音楽店。カトリック系の高校に通い、制服を着たベッキーは、魅力的な女の子で、その風貌が変態のオジサンを惹き付けた。リーランドは、ヘンなオジサンに付きまとわれて怯えているベッキーに声をかけ、彼女に連れがいるように見せかけて、ヘンタイを追っ払ってくれた。…ベッキーが向かったところは、麻薬を腕に打ってくれる男の所だった。

【 16歳の合衆国 第14段落 】  リーランドの母メアリベスは、リーランドの部屋で“べスに捧ぐ”と印刷された夫アルバートの本を見ていた。アルバートは、リーランドが 6 歳の時からずっと家族をアメリカに残したままパリに長く暮らしていた。「 America is too loud (アメリカは騒がしすぎる)」という著作があったりするので、きっとアルバートはパリのアメリカ人としてアメリカをシニカルに描いた作品を執筆しているのだろう。アメリカ生まれのイギリスの小説家、ヘンリー・ジェイムズ Henry J. James ( 1843-1916 )チックな心理主義小説家なんだろうか。リーランドは毎年 2 回父アルバートに会いにヨーロッパへ渡っているようなのだが…。昼間、そのアルバートがリーランドの事件でアメリカに戻ってきた。でも、アルバートはこの家にはいないようだ。メアリベスは息子の部屋で一人泣いている。

【 16歳の合衆国 第15段落 】  パールにはダンサーの恋人ミランダがいたが、ダンス公演でミランダは遠く離れたLAにいた。パールはミランダと電話をしながら、昼間出会った、少年矯正施設で新しく事務の仕事に就いた魅力的なアフリカン・アメリカンの女性アイシャ(ケリー・ワシントン)の電話番号を書いた紙を手に取った。自分が単なる間女だとは知らないアイシャは、パールの性急な誘いに乗った。

【 16歳の合衆国 第16段落 】  翌日、パールは上司エルデンにリーランドと授業以外でも話をしたいと申し出た。しかし、パールの熱意が彼の本のネタのためであることを知る上司は、パールの願いを聞き入れなかった。パールはめげずにリーランドの部屋へ行き、初公判で黙秘をするように助言した。罪をあっさりと認めてしまうと、刑務所へ入れられてしまい、パールはもうリーランドと話ができなくなる。リーランドはパールに女性の香りがするのに気付いた。リーランドからそのことを指摘されたパールは動揺する。

【 16歳の合衆国 第17段落 】  ポラード家の父ハリーは、箱の中に隠していた銃を取り出した。翌朝、彼は車の助手席の下に銃を隠した。ハリーはリーランドの初公判が行われる裁判所へと出かけた。裁判所の前、警察に連れられたリーランドが車を降りた。遠くからリーランドを見ているハリーは、コートのポケットに手を入れている。きっとそのポケットの中には銃がある。しかし、ハリーにはポケットから銃を取り出してリーランドを撃つことはできかった。リーランドの裁判には、メアリベスと一緒にアルバートも傍聴席に来ていた。優しさか見せ掛けか、アルバートはメアリベスの手をそっと握った。公判の後だろうか、アルバートとメアリベスはレストランで話をした。メアリベスは、リーランドが最後にアルバートに会いに行ってから、様子が違ったと話した。アルバートは原因は女の子だろうと答えた。

【 16歳の合衆国 第18段落 】  リーランドがライアンと初めて出会ったのは、ライアンを養護施設に迎えに行ったベッキーに会いに行った時だった。ライアンは歌を歌って欲しがったが、ベッキーが歌うと耳を塞いで嫌がった。また、リーランドは道で偶然出会ったライアンをポラード家に送り届けてあげたこともあった。ライアンが道に倒れている木に自転車ごと突っ込もうとしていたのを、リーランドが助けたようだ。ライアンを連れて初めてポラード家を訪れると、父ハリーが玄関に出た。優しく息子を気遣うハリーに、父がいなくて寂しさを抱えるリーランドは何か惹かれるところがあったのだろうか、中々玄関から立ち去ろうとはしなかった。母に連れられて階段を上がっていくライアンはリーランドを振り返る。そんなライアンを見るリーランドの目は優しげだ。リーランドはポラード家の居候であるアレンに車で送ってもらうことになった。

【 16歳の合衆国 第19段落 】  アレンが野球の練習に行くついでにリーランドを送ってくれるというポラード氏の話だったが、アレンはもう野球はやっていなかった。リーランドは恋人の家に居候しているアレンのことを咎めたり、揶揄したりしなかった。無関心なリーランドを気に入ったのか、車の中、アレンは身の上話を少しした。アレンがポラード家で暮らすようになったのは、アレンの母親が交通事故で亡くなったことがきっかけだ。もちろんアレンには父親がいるが、父親は姉の方を可愛がり、アレンが家を出て行っても気にしなかった。ここを離れてジュリーと一緒にアリゾナ州立大学に進学することが、アレンの目下の希望のようだ。リーランドが車を降りるとき、アレンはベッキーが特殊な学校に通っている理由を話してくれた。去年、ベッキーはケヴィンという 20 歳ぐらいの年上の男性と家出した。ポラード家の大騒動だった。麻薬常習犯のその男が今日、出所したそうなのだ。

【 16歳の合衆国 第20段落 】  パールは看守に賄賂であるバスケットの試合のチケットを渡し、リーランドと図書室で話をする手はずを整えた。看守もパールが本のためにこんな危険を冒していることに気付いている。ハエ一匹殺しそうにない雰囲気のリーランドに、看守も特殊なものを感じているようだ。図書室の丸いテーブルについたリーランドは、取調べにあうような気がしたのだろう、パールに対し、ライアンを殺したことに理由なんかなく、ただ事が起こっただけだと言った。パールはリーランドに気を許してもらおうと、助けたいと彼に伝えた。リーランド自身、自分の“理由”を知りたかったのだろう、彼はパールと話をし始めた。

【 16歳の合衆国 第21段落 】  悲しみを帯びた不安な目のリーランドは、大人っぽい冷めた考え方を持った 16 歳の少年だ。リーランド曰く、彼自身のものの見方は二つ。問題ごとに気付かない肯定的な見方と、現実の直視。後者の見方では、喜びは長くは続かず、人は感情を押し殺しながら悲しみに沈んでいく。リーランドが最後に泣いたのは、祖母が死んだ時。お葬式が行われている教会で、近くにいた同じ年頃の親戚の子供に泣いているところ見られたくなくて、小さな 5 歳のリーランドは母メアリベスに体を寄せた。その時はまだ父アルバートもリーランドの傍にいた。泣いても祖母は生き返らない。幼い時に、リーランドは感情を押し殺して悲しみに沈むことを知った。

【 16歳の合衆国 第22段落 】  若さゆえに純粋なリーランドは、善と悪の区別をしっかりつけたい。この世は善と悪のせめぎあいで、人は天使と悪魔が起こす戦争の兵隊だと感じることもある。そんな潔癖な少年のリーランドは、浮気をしているパールをチクリと責めた。恋人のミランダにはバレないからいいと言うパールに、「それでいいの?」とリーランドは食い下がる。パールが自分は弱い人間だと認めると、リーランドはそれは悪いことをした人間が言う言い訳だとコメントした。パールはギクリとする。

【 16歳の合衆国 第23段落 】  アルバートが自筆の小説の登場人物の名前でホテルにチェックインしていると推測したパールは、町のホテルに電話をかけ、それぞれの名前の人物が宿泊しているかどうかを確かめた。パールはその結果見つけたホテルのバーに行き、アルバートにアポなしで接近。作家志望のパールが処女作品を売り込みに来たと思ったアルバートに、パールは自分がリーランドの施設の保護職員であることを明かした。リーランドの“理由”を知ろうとしているパールに対し、アルバートは昔から息子の心に自分の居場所はないと、自分に質問しても無意味であることを伝えた。しかし、パールは質問をし始めた。洞察力のあるアルバートは、すぐにパールがリーランドを題材にした本を出版しようとしている作家志望の男であることを見抜いた。パールはリーランドのことを書いても彼を利用するつもりはないと弁解したが、気を悪くしたアルバートは席を立った。

【 16歳の合衆国 第24段落 】  再びパールはリーランドと図書室で密会した。リーランドは、本当は父アルバートと 6 歳の時から一度も会っていないことを明かした。 12 歳の時から父アルバートが春と冬の年に二回、リーランドに航空券を送っていたこと、又、クリスマスにお金を送ってきたこともあったということを、リーランドは忌々しく話した。リーランドは祖母の死だけでなく、父との関係においても感情を押し殺して悲しみに沈んでいたのだ。 12 歳のリーランドは冬にニューヨーク経由でパリに行くことになったが、ニューヨークに着いたとき、パリに行かないことを決めた。リーランドは父に電話をし、ニューヨークが楽しいのでここに残ると伝えた。アルバートは反対しなかった。実際、ニューヨークは小さなリーランドに冷たかった。ホテルは子供のリーランドを泊めさせなかった。リーランドは雪の降る町に出された。

【 16歳の合衆国 第25段落 】  寒さをしのぐため、リーランドは映画館に入った。そこでリーランドはお金持ちの夫婦に出会った。その夫婦はリーランドの状況を理解してくれ、休暇の間、家に泊めてくれると言ってくれた。夫妻の豪邸には、同じくらいの年頃の娘もいた。娘はリーランドと仲良くしたそうだったが、リーランドは無視した。リーランドは助けてくれた夫婦の奥さんに釘付けだった。リーランドがカルデロン夫人(シェリリン・フェン)と呼んだその女性は、瞳がとても美しく、傍にいてくれると“ Everything is OK. ”と思わせてくれた。毎回違う国へ行って、世界を見るようにという父アルバートの意向で、リーランドが次にニューヨークへ行けたのは今年の春だった。

【 16歳の合衆国 第26段落 】  アレンはポラード家の車の助手席の下に銃が隠されているのを見つけた。ポラード家の父ハリーが隠したものだ。アレンはベッキーを救いに、彼女のケヴィンというボーイフレンドの家に乗り込んだ。アレンは「彼女の家族を苦しめるな。」と叫んでケヴィンをボコボコに叩きのめした。ライアンが殺されたことでポラード家は揺れていた。父に見捨てられた自分に手を差し伸べてくれた優しいポラード一家が崩壊していくように感じ、アレンは不安だった。

【 16歳の合衆国 第27段落 】  アレンの不安は的中した。アレンがジュリーがアリゾナ州立大学ではなくアイオワ州立大学に入学手続きをしたことに言及したとき、ジュリーはアレンに別れを切り出した。ジュリーはいまや夫婦のようになってしまった 2 人の関係から脱したかった。アレンは今の 2 人の幸せを持続させたかったが、ジュリーは変化が欲しかったのだ。

【 16歳の合衆国 第28段落 】  パールとリーランドは愛の定義について話した。それはいつも相手のことを思っていること。パールはリーランドにベッキーのことを思っているか尋ねた。“ All the time. (いつも)”リーランドは答えた。リーランドは夜中の 2 時にベッキーに呼び出された日のことを思い出した。ベッキーは出所したケヴィンとリーランドとの間で揺れていた。彼女の気持ちが伝わってくるリーランドも不安だった。リーランドに体を寄せたベッキーは“ Everything is OK. ”と言った。家に戻ってベッドに入ったリーランドに、母メアリベスは“ Everything is OK? ”と尋ねた。リーランドはウィンクを返した。

【 16歳の合衆国 第29段落 】  パールの浮気が恋人のミランダにバレた。浮気相手のアイシャがパールの家に泊まっていたとき、彼女がミランダからの電話をとってしまったのだ。リーランドはパールからの話しを聞いてコメントする。違う女とヤリたくて平気で恋人を裏切ったと言われたパールはムッとするが、リーランドの言葉は事実だ。静かにパールを非難したリーランドだが、自分を裏切り、元カレに走ったベッキーを責めることはしなかった。リーランドはベッキーに愛していると声を上げたが、そんなことをしても何も変わらないということも知っていた。感じないように心を閉ざして生きてきたリーランドにとって、初めて感じた異性への愛情が行き場を無くしてしまったことは、彼の心の容量を超えてしまう出来事だったと思われる。

【 16歳の合衆国 第30段落 】  ライアンのお葬式が行われた。葬儀の後、車で帰ろうとするポラード一家に記者が近づいてきた。父ハリーは、自分達に罪はないと激しくその記者に怒った。ハリーにしてみれば、話を聞きに行く対象は、被害者の遺族である自分達ではなく、鬼畜の業をなした加害者の両親だ。ハリーは記者を追っ払ったが、苦しみは一生続くと妻と抱き合って泣いた。そんなポラード夫妻を近くで見るアレンは、ある決意を持ったようだ。

【 16歳の合衆国 第31段落 】  アレンは以前ポラード夫人と一緒に行った自動車修理店へ向かった。店内に入った彼は、レジの男に銃を突きつけ、お金を要求した。アレンが持っている銃は、ハリーがリーランドを撃つために用意し、車の助手席に隠していたものだ。お金を受け取ると、アレンは“ Thank you. ”と言って店を出た。アレンはポラード家の近くで警察に逮捕された。喪服を着ているポラード夫人とジュリーが外に出ると、アレンはパトカーへと引っ立てられながら、夫人に謝った。犯行の原因は町を出たかったからだと言うアレンを、ジュリーは何ともいえない気持ちで見つめた。

【 16歳の合衆国 第32段落 】  パールが隠れてリーランドと会っていたことが上司のエルデンにバレた。本を書くために規則を破ったパールだが、免職にはならず、今もっているクラスの担任を外されることになった。そんなことを知らないリーランドは、教室で荷物をまとめているパールに、クラスの皆がバスケットボールをしたがっていると願い出た。アフロの黒人の少年と心を通わせるようになっていたリーランド。外で元気にバスケットボールをする少年達を鉄格子の窓から眺めながら、そのアフロの少年が、全てを奪われると自分が価値のない人間だと思うようになるとリーランドに話したことがあったのだ。パールはリーランドに自分が別のクラスを担当することになったと伝えた。

【 16歳の合衆国 第33段落 】  もうパールと話をすることができない。リーランドはお腹のところに隠し持っていた「 the United States of Leland P. Fitzgerald 」のノートをパールに渡した。今年の春に行ったニューヨークのことを読んでくれれば、パールになら“理由”が見つかるかもしれないとリーランドは言った。パールはもう二度と会えないかもしれないリーランドに、彼を心配する大人として助言した。これからリーランドに何が起こるかに興味を持ち、弁護士の話をよく聞くように。過去に起きてしまったことは取り返しが付かないが、人生を諦めてはいけない。

【 16歳の合衆国 第34段落 】  パールは再びアルバートをホテルのバーに訪ねた。上司にリーランドとの密会についてバラしたのは、アルバートだったからだ。責めるパールに、アルバートは息子を利用させるものかと対抗した。リーランドと深く話をし、彼の悲しみの根本に父との関係があることを知るパールは、なぜ 10 年間もリーランドと会わなかったのかアルバートに怒りを込めて問うた。そしてアルバートがリーランドに無関心だっただけだと言い捨てた。過ちを犯し、承知しているからこそ本が書けると言うアルバートこそが、息子の事件を仕事に利用しようとしている。なぜならアルバートの手元には、本を書く資料となる、頭に思いついた文章を記憶にとどめておくためのレコーダーがあるからだ。アルバートは冷静に今度の事件と自分を見つめ、本を書こうとしているのだ。(パールは非難しているけど、本を売って被害者への賠償金を作りたいこともあるのじゃないのかなぁ?)

【 16歳の合衆国 第35段落 】  部屋に隠していた麻薬を処分したベッキーは、姉ジュリーの部屋に行った。元ボーイフレンドのリーランドが最愛の弟を殺したことに罪悪感を感じているベッキーは、過ちを犯したことを後悔しているが、悪いことはしていないとジュリーに訴えた。そして、更生施設に入って、今度こそ麻薬を断ち切ると宣言した。姉妹は抱き合い、涙した。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【 16歳の合衆国 第36段落 】  パールが出勤する。いつものようにセキュリティ・チェックのブザーがなり、警備員はブリーフケースの中を確かめようとはしない。セキュリティ・チェックに反応しているのは、赤いタッパに入った果物を切るためのナイフだ。パールは看守を再びバスケットボールの試合のチケットで買収し、リーランドたちの願いを叶えてあげることにした。授業のあと、パールはミランダに電話した。彼は心を込めて恋人に謝罪し、彼女に会いに行くことを約束した。部屋の窓から見える外のグラウンドではリーランドたちのクラスがバスケットボールに興じている。リーランドは初めアフロの少年に全く歯が立たなかったが、一緒にバスケをしているうちに、彼からボールをカットできるようになった。リーランドは転がっていくボールを取りにグラウンドの端の方まで行った。

【 16歳の合衆国 第37段落 】  恋人への謝罪の電話を終え、ホッとしたパールは机の上の赤いタッパの中にナイフがないことに気付いた。慌てるパール。パールのナイフを持っているのは、強盗で矯正施設に収容されたアレン。グラウンドで整列させられているアレンは、隠し持っていたナイフを手に取った。そしてボールを取りに近づいてきたリーランドに向かって走っていく。リーランドは近くに立ち止まったアレンに気付いた。その瞬間、ナイフがリーランドの胸に突き刺さった。アレンは取り押さえられながら、「これで終わった。」と呟いた。

【 16歳の合衆国 第38段落 】  パールはリーランドから貰ったノートを読んで、事件に至るまでの彼の心の経緯を知ることができた。…ベッキーと別れた二ヵ月後、春のニューヨークでリーランドはカルデロン夫人と会った。リーランドは夫人との再会を楽しみにしていた。ところが、夫人の状況はリーランドが初めて彼女と出会ったときと変わっていた。夫人の瞳は輝きを失い、深い悲しみが映っていた。夫人は夫の浮気で離婚していたのだ。それでも夫人は、リーランドがベッキーのことを話すとこう言った。「それも人生の断片の一つよ。」「でも信じて、人生は断片の総和以上なのよ。」リーランドは同情してはいけないと思ったけれど、夫人と一夜を共にした。

【 16歳の合衆国 第39段落 】  ニューヨークから戻ってから、リーランドには世界に悲しみが溢れているように思えた。特に誰よりもライアンが悲しそうに見えた。ライアンは自分が同情や嘲笑の対象でしかないと知っていて、逃げ場を失い苦しんでいるようにリーランドには思えた。ニューヨークから帰ってからリーランドは眠れず、カルデロン夫人やライアンのことで胸がいっぱいになった。のしかかってくる悲しみを追い払いたかったリーランドは、無意識のうちにナイフを持ってライアンに突進していた。リーランドはあの日のことを覚えていない。本当に思い出せない。…

【 16歳の合衆国 第40段落 】  機内の中、パールは最後にリーランドと話したときのことを思い出した。リーランドはパールに言った。「今さらどうしようもないけど後悔している。」パールは、再びやり直すために飛行場で待つミランダと向き合った。

【 16歳の合衆国 第41段落 】  リーランドがライアンをポラード家まで送って行ったあの日。ライアンはいつも通る小さな小道に倒れた木を自転車で突っ切ろうとしていた。いつもと違うことに不安になり、ライアンは必死になっていた。そんなライアンをリーランドは抱き寄せ、“Everything is OK. I promise.(大丈夫だよ。約束する。)”と優しく囁いた。

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■映画『 16歳の合衆国 』の感想

 この項は幸の感想ですが、話の流れ上当然ネタバレを含みますので、十分ご注意下さい。
 映画の内容やネタバレを望まない方は是非読まないで下さい。
 ATTN: Please stop reading here because my review reveals the movie content.


【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第01段落】  “ You have to believe that life is more than the sum of its parts, kiddo. (信じて、人生は断片の総和以上なのよ。)”父親譲りの洞察力で、世の中をアンニュイに感じる 16 歳の少年リーランドは、折角(せっかく)のカルデロン夫人の言葉を理解することはできなかった。年若いリーランドは断片的に人生の真理を感じることはできても、それらを繋(つな)ぎ合わせてもっと大きな人生の真理を知ることができなかった。直感的・感覚的に物事を見るのは、情報化社会の子供達に特徴的なことだと思う。彼らはメディアから垂れ流される情報で耳年増(みみどしま)になり、まだ何の経験もしていないのに物事に自分の狭い見地からの考え方をこじつけてしまう。リーランドもそんな凝り固まった子供の一人で、父親の血をひいて、より洞察力の鋭い子供に成長している。情報過多になることは悪い事ではないが、より良いアドヴァイスをする人物の存在が子供には必要だ。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第02段落】  リーランドには“Everything is OK. I promise.(大丈夫だよ。約束する。)”と言ってくれる人が誰もいなかった。無条件で自分を受け入れてくれた祖母は 5 歳の時に亡くなり、夫に去られた母メアリベスは“Everything is OK?”と息子を頼るカルデロン夫人のように悲しい瞳の持ち主となり、そして父アルバートはリーランドに無関心だった。ちょっと大人びた冷めた考え方の、アンニュイなリーランドには、同世代の友達もできにくかっただろう。映画には、矯正施設以外のリーランドの友達が一切出てこない。もし父親のアルバートが、航空券を送るだけでなく、彼とコミュニケーションをとっておれば、彼の世の中に対する考え方にもっと幅ができ、このような愚かしい事件を起こすことはなかったと思う。そして祖母の死、父親の不在に対する心の持ち方として、何も感じないようにすることを選んだリーランドは、大好きなベッキーからの一方的な別れと、憧れの女性であるカルデロン夫人への幻滅というダブルショックに対して、自分の気持ちをどうコントロールすればいいのかわからなかった。思春期の子供が経験するそういった感情を許容する心が、精神的に幼いリーランドにはまだ育まれていなかったのだ。否(いや)育まれていたとしても、そんな謂(い)わば大人の鈍感さが許容できなくて無意識に拒んでいたのかも知れない。いずれにしてもリーランドの純粋さである。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第03段落】  映画のパンフには、「この脚本は実に不安定な素材を扱っており、手を出す勇気あるプロダクションを見つけるのは容易ではなかった」と書かれている。思うに、その第一の要因として、リーランドの知的障害者ライアンへの偏った考え方があるだろう。しかし、あえてプロットを変えなかったのは、犯罪を犯した未熟な人間であるリーランドを描き出すためには必要なことだと、映画製作者は考えたのだと思う。リーランドは社会的弱者であるライアンに自分を見たのだ。逃げ場を失って苦しんでいたのはライアンではなく、リーランドだ。苦しみから逃れるため、自分に刃を向けていれば、他人様(ひとさま)に迷惑をかけなくて済んだのに、リーランドはもう一人の自分のように感じたライアンを抹殺してしまった。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第04段落】  普通の少年が犯罪を犯すまでに、彼を犯罪に駆り立ててしまう、負の連鎖が不幸にも起こってしまうということが、ロサンゼルスの少年審判所で教師をしていたマシュー・ライアン・ホージ監督の意見だと思った。映画では、リーランド少年が、アルベール・カミュの傑作「異邦人」の主人公ムルソーを思わせる不条理な殺人を起こしているように描き始められるが、物事は原因と結果の因果律に支配されているというのがホージ監督の世界観だろう。ダンサーの母を持つパールの恋人がダンサーだったりと、映画の中にはそういう因果応報みたいなことが表現されている。そういう監督の思想で、映画の中で殺人を犯してしまう 2 人の少年の原因が、被害者家族であるポラード一家にも見出されるところにも、“不安定な素材”があると思う。ポラード夫妻は、障害を持つ息子を愛しみ、長女の不憫なボーイフレンドを家庭に入れるという、非常に優しい人々。映画の中で父ハリーが言っていたように、彼らに罪はない。しかし、罪のない家庭に負の連鎖が起こってしまう。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第05段落】  ベッキーが、ドラッグ常習者の年上の男に引っかかってしまい、自身もドラッグにはまってしまったのは、寂しかったからだろう。その寂しさは家庭に存在したと考える。一つは、ライアンに手が掛かり、三人姉弟の真ん中であるベッキーへの愛情が少し行き届かなかったこと。(初めの方のシーンで、父ハリーはライアンの不在が気に掛かり、ベッキーがドラッグを打っていることに気が付かなかった。)また、二つ目は、姉ジュリーのボーイフレンドを家に入れたことで、姉妹のコミュニケーションが減ったこと。(ライアンが殺された知らせが入った後、ジュリーは部屋でアレンに慰めてもらったが、ベッキーは部屋で一人ぼっちだった。また、アレンが逮捕されて家にいなくなった後、ベッキーはジュリーの部屋へ行って会話を交わし、立ち直ることを宣言している。)故に、ベッキーがジャンキーになってしまったのには、家庭に責任があると描かれていると思う。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第06段落】  ベッキーの持つ寂しさが、同じように寂しさを抱えるリーランドを惹きつけた。そして、その寂しさが生んだ薬物依存のせいで、リーランドと別れた。別れてからもベッキーの部屋にリーランドの写真があったし、ベッキーはリーランドが嫌いで別れたのではないと思う。それに、彼女がよりケヴィンを好きだったというよりは、ドラッグが好きだったのだろう。初めはベッキーの心の中だけの寂しいというちっちゃな負の気持ちが、生物濃縮みたいに次の個体に蓄積される濃度が高くなり、リーランドの抱える寂しさと相俟(あいま)って、大きな負のパワーとしてライアンを殺してしまったとも考えられるだろう。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第07段落】  アレンも寂しさを抱えた少年だ。彼もリーランドのように父親から愛されなかった。そしてリーランドのようにその寂しさの反動でガールフレンドを深く愛し、また、自分を迎え入れてくれたポラード一家を大切に思った。しかし、夫妻の優しさが徒(アダ)になる。アレンが四六時中ジュリーと一緒にいることで、ジュリーの気持ちが冷めてしまったのだ。それがアレンのきっかけだ。アレンはポラード一家が崩壊することを恐れていたが、それは自身の幸せが崩壊することであったから。しかし、その幸せの中心であるジュリーに去られてしまい、自分がポラード家の幸せに仲間入りすることができなくなってしまった。アレンは少年的な一途さで、恩のあるポラード家の悲しみにピリオドを打つためにとんでもない事をしでかす。正に悲しい因果応報である。でも、そうしたところで、一家の悲しみは終わらない。『 息子の部屋 (2001) LA STANZA DEL FIGLIO (伊題) / THE SON'S ROOM (英題) 』の家族のように、息子を亡くした悲しみは永遠に続くのだ。アレンも断片だけで物事を判断し、犯罪を犯してしまった。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第08段落】  私はこの映画『 16歳の合衆国 』に悲しみの連鎖=因果応報を見る。少年矯正施設の規則を侮り続けてきたパールにも大いに責任がある。規則を守り続けるのには、破るよりもパワーがいると思う。売れる本を書くために少年矯正施設の規則を破ってリーランドと会おうとするパールという人物には、他にも規則を破っている余罪があった。彼は果物を食べたいという自己の欲求のために、ナイフを当然のように施設内に持ち込んでいた。映画の中で、パール自身が言っていたように、彼は弱い人間だ。その弱い人間のちょっとした過ちが、いくつも重なり合い、目を覆うような悲惨な事件が起きてしまう。起こってしまったことは取り返しが付かない。しかし、それでもその悪に対して心の善を奮い立たせ、人生を諦めてはいけないというのが、映画のメッセージであるように思った。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第09段落】  映画『 16歳の合衆国 』は、主人公が犯罪者の少年であるので、その未発達な少年の考え方が描かれている。それがスタイリッシュな音楽と共に表現され、忘れていた思春期の頃感じていたピュアな気持ちを思い出させるのも、この映画の魅力。しかし、観る人によっては、映画が伝えたい本来のメッセージではなく、間違った価値観を受け取ってしまう人もいるだろう。このあたりがこの映画『 16歳の合衆国 』が映画祭で無冠で終わった理由なのかもしれない。しかし、何はともあれ、鑑賞後は、同じようにこの映画を観た人と意見を交え、特に大人も交えて、他の人の考えを知るこが大切だと思う。

【映画『 16歳の合衆国 』の感想 第10段落】
 この映画『 16歳の合衆国 』、家族で観て話し合えれば最高。また、映画のリーランドやアレンと同年代の未成年の若い人は、私よりは感受性が強いだろうから、この映画を観て、自分の気持ちを人に伝わるように言葉に置き換えて、大いに盛り上がる(?)のもまた最高。
 家族の対話と友人との対話、そして利害関係のない目上の尊敬する人との対話を通して人生に希望を見い出すことこそが、悲しみの連鎖を断ち切る唯一の手段だと、映画『 16歳の合衆国 』を観て感じ取った、肯定的な教訓として幸は締めくくりたい。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず15503文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      「16歳の合衆国」公式サイト http://16sai.jp/
      公式サイト(英語版)
       http://www.paramountclassics.com/leland/main.html
■映画『 16歳の合衆国(16歳の合衆国) 』の更新記録
2004/04/26新規: ファイル作成
2004/07/07更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式
2004/07/19更新: ◆<もっと詳しく>以下追加
2005/03/01更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/03/31更新: ◆データ追加
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幸田 幸
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