キル・ビル
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キル・ビル (2003)
KILL BILL: VOLUME 1
 映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』を紹介します。

 映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の背景
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』のスタッフとキャスト
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 キル・ビル 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の結末
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』のポスター、予告編および映画データ
キル・ビル
キル・ビル
Links:  Official Web Site
Trailers:  Official Web Site
上映時間 Runtime: 1:53
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Miramax Films [us]
A Band Apart [us]
Production I.G. [jp]
Super Cool ManChu [us]
全米配給会社 Distributer: Miramax Films [us]
全米初公開 Release Date: 2003/10/10
日本初公開 R. D. in Japan: 2003/10/25
日本公開情報 : ギャガ=ヒューマックス
ジャンル Genre: アクション/コメディ/犯罪/ドラマ/サスペンス
Action / Comedy / Crime / Drama / Thriller
MPAA Rating 指定: Rated R for strong bloody violence, language and some sexual content.
日本語公式サイト
http://www.killbill.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の解説

 映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』はタイトル通り「 Kill Bill ビルを殺せ!」というプロット。アメリカでは今年 2003年 10 月 10 日公開、日本公開は半月遅れの 2003 年 10 月 25 日と、世界でほぼ同時の封切りである。映画『 キル・ビル 』のストーリーは、嘗てのボスで恋人のビルに裏切られ、仲間や身内までも殺され、自らも5年後に昏睡状態から生き返ったヒロイン、ザ・ブライドが復讐に燃え、日本刀で悪を斬りまくるという超エンターテインメント! 『 キル・ビル 』映画内でルーシー・リューが「ヤッチマイナー」と日本語で啖呵(たんか)をきるのが印象的だ。

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■映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の背景

 最初、映画『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』の原題は『 KILL BILL 』となっており、この一作だけの筈だった。それが、復讐相手を数人討ち取る過程を撮影していったら長くなりすぎると分かって、今回の「 キル・ビル」を『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOL. 1 』とし、次回のを
キル・ビル Vol.2 (2004) KILL BILL: VOL. 2 』と、二つの映画に分けたらしい。前編を観たらどうしたって後編は観たくなるのが常だから、興行的にも考えているのだろう。監督・製作・脚本のクエンティン・タランティーノは
パルプ・フィクション (1994) PULP FICTION
フェティッシュ (1996) CURDLED
リトル★ニッキー (2000) LITTLE NICKY
HERO (2002) HERO (英題) / 英雄 (原題)
レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード (2003) ONCE UPON A TIME IN MEXICO 』等に携わる鬼才だから、何かと話題の多い作品である。
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【『 キル・ビル 』のスタッフとキャスト】
監督: クエンティン・タランティーノ Quentin Tarantino (Directed by)
製作: ローレンス・ベンダー Lawrence Bender (producer)
    クエンティン・タランティーノ Quentin Tarantino (producer)
    ディード・ニカーソン Dede Nickerson (associate producer)
製作総指揮: E・ベネット・ウォルシュ E. Bennett Walsh (executive producer)
    エリカ・スタインバーグ Erica Steinberg (executive producer)
    ボブ・ワインスタイン Bob Weinstein (executive producer)
    ハーヴェイ・ワインスタイン Harvey Weinstein (executive producer)
脚本: クエンティン・タランティーノ Quentin Tarantino (written by)
撮影: ロバート・リチャードソン Robert Richardson (Cinematography by)
編集: サリー・メンケ Sally Menke (Film Editing by)
音楽: Rza RZA / Ruler Zig-Zag-Zig Allah (Original Music by)
    リリイ・シュシュ Lily Chou Chou (background music)
    D・A・ヤング D.A. Young (background music)
武術: ユエン・ウーピン 袁和平 Yuen-Woo-ping (martial arts advisor)
剣術: 千葉真一 Sonny Chiba (fight choreographer: Kenjutsu)
 
出演: ユマ・サーマン Uma Thurman as ザ・ブライド The Bride (Black Mamba)
    デヴィッド・キャラダイン David Carradine as ビル Bill
    ルーシー・リュー Lucy Liu as オーレン・イシイ O-Ren Ishii/Cottonmouth
    ダリル・ハンナ Daryl Hannah as エル・ドライヴァー Elle Driver (California Mountain Snake)
    ヴィヴィカ・A・フォックス Vivica A. Fox as ヴァニータ・グリーン Vernita Green (Copperhead)
    マイケル・マドセン Michael Madsen as バド Budd/Sidewinder
    千葉真一 Sonny Chiba as 服部半蔵 Hattori Hanzo
    栗山千明 Chiaki Kuriyama as GOGO夕張 Go Go Yubari
    ジュリー・ドレフュス Julie Dreyfus as ソフィー・ファタール Sofie Fatale
    ゴードン・リュウ Gordon Liu as ジョニー・モー Johnny Mo
    大葉健二 Kenji Ohba as 服部半蔵の弟子 Sushi Bar Assistant
    クリス・ネルソン Chris Nelson as 花婿 The Groom

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 キル・ビル 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前にイタリアで字幕スーパーなしのイタリア語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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 (前半は観る前の2003年08月19日「観たい度」解説で、後半★印からが観た後のレヴューです。)

【キル・ビル 第01段落】  鬼才、クエンティン・タランティーノ監督が、『 ジャッキー・ブラウン (1997) JACKIE BROWN 』から、6年間の沈黙を破り、スーパー・バイオレンス・アクションを制作! かつて史上最強と呼ばれた闇の女エージェント、ブライド(ユマ・サーマン)が、黄色に黒の一本ラインが入ったジャージーを着て、日本刀で悪を斬りまくる!公式サイトで予告編を観たが、結構面白そう。タランティーノ監督曰く、「アクション・スタイルは、『パルプ・フィクション』に70年代カンフー、日本のカルチャー, マカロニ・ウエスタン、007シリーズ、シカゴのギャング物フィルム・ノワールを混合させたものだ。監督5作目でタランティーノ作品の集大成を目指す!」です。ふむふむ、やっぱり面白そうだ。先日書いた観たい度映画
ラスト・サムライ (2003) THE LAST SAMURAI 』もトム・クルーズが二刀流で日本刀を持ったポスターだった。ハリウッドでは日本刀ブームなのかな?

【キル・ビル 第02段落】  アメリカ国内のほか、メキシコ Mexico、日本は東京 Tokyo,Japan、中国は北京 Beijing, China、香港 Hong Kong, China と海外4カ国ロケを行って撮影、
マスター・オブ・リアル・カンフー/大地無限 (1994) 太極張三豊/TAI-CHI/THE TAI-CHI MASTER
マトリックス (1999) THE MATRIX
グリーン・デスティニー (2000) 臥虎藏龍/CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON
ブラックマスク2 (2001) BLACK MASK 2: CITY OF MASKS (英題) / 黒侠II (原題)
マトリックス リローデッド (2003) THE MATRIX RELOADED 』
マトリックス レボリューションズ (2003) THE MATRIX REVOLUTIONS 』のカンフーアクションを手掛けたユエン・ウーピン 袁和平 Yuen-Woo-ping がカンフーコレオグラファーとして加われば、これは絶対痛快アクションだ。白い着物の振袖姿のルーシー・リューも似合っている。千葉真一も健在だ。

【キル・ビル 第03段落】  ストーリーは、嘗てのボスで恋人のビルに裏切られ、仲間や身内までも殺され、自らも5年後に昏睡状態から生き返ったヒロイン・ブライドが復讐に燃え、タイトル通り「Kill Bill ビルを殺れ!」というプロットらしい!
 アメリカでは今年2003年10月10日公開だ。日本公開は、2003年10月25日に決定された。(2003/10/17更新)

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 以上は、幸の鑑賞する前に幸の「2003年観たい度」映画リストにアップしたテキストです。
以下に「テキストによる映画の再現」として「読む映画試写会」ファイルとしてラインナップします。

---2003年11月08日更新

【キル・ビル 第04段落】  ブライド(花嫁/ユマ・サーマン:近年では
ペイチェック 消された記憶 (2003) PAYCHECK 』出演)は頭部に銃弾を受けて、教会の床に血まみれで横たわっている。両目・鼻・口と血のりでベッタリの瀕死の彼女に白いハンカチで血をぬぐう男の手。そのハンカチには「 Bill 」と刺繍されている。そう、彼女を撃ったこの「ビル」を復讐するストーリーだから『キル・ビル』なのだ。マカロニ・ウェスタン調にBGに流れるシェール Cher の『♪Bang Bang (バン・バン)』の歌が、身重の花嫁の瀕死の姿を哀愁を込めて包み込む。映画ではナンシー・シナトラ Nancy Sinatra が歌っている。「♪・・・Bang bang he shot me down. Bang bang I hit the ground. Bang bang that awful sound. Bang bang my baby shot me down. (・・・バンバンと私の恋人は私を撃った)」

【キル・ビル 第05段落】  “私の恋人”とは、ブライドの属していた国際的暗殺組織 DEADLY VIPER ASSASINATION SQUAD (毒ヘビ暗殺団)略して“DiVAS”のボスで恋人でもあったビルのことである。ビル役のデヴィッド・キャラダインは 70 年代のTVシリーズ『 Kung Fu (1972- ) 燃えよ!カンフー 』での達者なカンフーぶりで有名な俳優で、今回第1作ではハンカチの手と、ブライドを撃つ回想シーンでちらっと姿を見せるだけであるから、第2作の方で沢山の登場場面があり、タイトル通り『キル・ビル』のクライマックスを迎えるのだろう。

【キル・ビル 第06段落】  ヒロイン、ユマ・サーマンの演じるブライドは文字通り「花嫁」ということであるが、その暗殺組織では「ブラック・マンバ Black Mamba (アフリカ産毒ヘビ)」と呼ばれていた凄腕のエージェントであった。その日はブライド(本名は明かされないのでブライドとしておく)の結婚式で、臨月のお腹を抱えて、新しいまっとうな人生を始めようとしていた。テキサス Texas の教会で結婚式を挙げている時に毒ヘビ暗殺団のメンバー達が襲撃して、挙式に臨席の全員を無惨にも銃殺したのだ。花婿(クリス・ネルソン)も、お腹の赤ちゃんも死んだ。しかし、ビルは、瀕死のブライドの息の根は止めないで、薄ら笑いをして去って行った。

【キル・ビル 第07段落】  この時の暗殺にいたメンバーは、ボスの「ビル」の他に、ビルの弟で「サイドワインダー(ヨコバイガラガラヘビ)」ことバド(マイケル・マドセン:
007/ダイ・アナザー・デイ (2002) DIE ANOTHER DAY 』)、「コパーヘッド(北米産の毒ヘビ)」ことヴァニータ・グリーン(ヴィヴィカ・A・フォックス)、「カリフォルニア・マウンテン・スネーク(加州山蛇)」ことエル・ドライヴァー(ダリル・ハンナ)、それに「コットンマウス(毒ヘビの一種)」ことオーレン・イシイ(ルーシー・リュー)である。皆、蛇の名がコードネームとなっているから「毒ヘビ暗殺団」なのだ。

【キル・ビル 第08段落】  これから数年たって、ロサンゼルス Los Angeles 近郊のパサデナ Pasadena, California という町の明るい街並。派手なピックアップに乗ったブライドは、一軒の家を訪れる。「生きていたの?」と驚くヴァニータ・グリーン(ヴィヴィカ・A・フォックス:
バナナ★トリップ (2002) BOAT TRIP 』等に出演)。今は普通の主婦になっているようだ。ブライドとヴァニータはカンフーと包丁で格闘する。双方とも傷で血が出て互角の勝負の所へ、ヴァニータの娘で小学校低学年くらいの女の子がスクールバスで帰宅する。二人は子供の前なので勝負を一旦中止するが、ヴァニータがコーンフレークスのおやつを出す振りをして銃で撃ってきたので格闘は再開。遂にブライドはヴァニータを討った。放心する娘に、ブライドは「大人になったら私に仇討ちに来なさい」らしき事を言い残して去って行く。ブライドの毒ヘビ暗殺団への復讐の一人目だ。これから回想シーンになっていく。

【キル・ビル 第09段落】  結婚式で頭部を撃たれたブライドは意識不明で病院へ運ばれた。そこへ、片目に眼帯をしたブロンド長髪の女性が看護師のユニフォームでブライドの病室へ侵入する。毒ヘビ暗殺団のメンバー、エル・ドライヴァー(ダリル・ハンナ:
ウォーク・トゥ・リメンバー (2002) A WALK TO REMEMBER
ハードキャッシュ (2002) HARD CASH / RUN FOR THE MONEY 』等に出演)である。ブライドの腕に薬剤を注射しようとした時、ビルからケータイが鳴り、何やら話す(何しろ、フィレンツェ Firenze で観たので、台詞は英語でなく、吹き替えでイタリア語。しかも英語の字幕すら無いのだから大変だった…)。それから五年間、ブライドは昏睡状態になるのだ。

【キル・ビル 第10段落】  映画は Chapter1〜Chapter5(第一章〜第五章)と表示が出て、進行したり回想になったりする。オーレン・イシイ(ルーシー・リュー:
シャンハイ・ヌーン (2000) SHANGHAI NOON
チャーリーズ・エンジェル (2000) CHARLIE'S ANGELS
HOTEL (2001) HOTEL
バリスティック (2002) BALLISTIC: ECKS VS. SEVER
シカゴ (2002) CHICAGO
チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル (2003) CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE 』等に出演)の生い立ちは長時間を費やして劇画で紹介されるから驚いた。まさにクエンティン・タランティーノの大好きな世界。

【キル・ビル 第11段落】  オーレンが十歳くらいの頃、暴力団に襲われて自宅で父親は無惨に殺される。オーレンはベッドの下に隠れて全てを目撃している。親が殺される場にいても幼い少女にはなすすべは無いのだ。母親もベッドの上で日本刀で刺し殺された。その後、ヤクザ達はオーレンの豪邸に火をつけて去って行った。こういう不幸な少女時代を送ったオーレンは、毒ヘビ暗殺団に入って情け知らずの刺客となり、ビル達と、ウェディングドレスのブライドと親戚・友人達を皆殺しにした一人である。

【キル・ビル 第12段落】  シーンは病院の昏睡病棟 Coma Ward に戻る。あれから五年、ある日、ブライドは突然、昏睡状態から目覚める。ペチャンコになったお腹を触って悲鳴を上げて慟哭するブライド。そして結婚式の日の惨事を鮮明に思い出す。そんな時、医師が賄賂を受け取って、男に昏睡状態のブライドの“体”を売っているのを耳にする。この辺りで、
マグノリア (1999) MAGNOLIA 』のマイケル・ボーウェン Michael Bowen や
ルールズ・オブ・アトラクション (2002) THE RULES OF ATTRACTION 』の Stevo Polyi や、アダム・サンドラー Adam Sandler 組で、
リトル★ニッキー (2000) LITTLE NICKY
パンチドランク・ラブ (2002) PUNCH-DRUNK LOVE
変身パワーズ (2002) THE MASTER OF DISGUISE
ナショナル・セキュリティ (2003) NATIONAL SECURITY
N.Y式ハッピー・セラピー (2003) ANGER MANAGEMENT 』等に出演のジョナサン・ローラン Jonathan Loughran らが登場しているようだ。

【キル・ビル 第13段落】  男が彼女の上に乗った途端、ブライドは男の舌を噛み千切って殺害し、戻って来た医師も殺す。先ずアキレス腱を鋭く切って倒し、その後はドアに頭を挟んで打ちつけるという殺し方だ。数年間も寝たきりだから筋肉はなくなって、脚は麻痺している。ブライドは病院内を床を這って駐車場に出て、医師から奪ったキーでピックアップに乗り込む。麻痺した体では乗り込むことも席を移動する事も困難を極め、とうとう 13 時間後に脚がピクッと動いた。こうして、運転席についてアクセルを踏めるようになった彼女は、冒頭のヴァニータ・グリーンの家に車で向かったわけだ。昏睡から目覚めたブライドの思いはただ一つ、ビルら五人を復讐して抹殺すること。

【キル・ビル 第14段落】  マンガチックな地図で、飛行機が米国から沖縄へと飛ぶ。そして舞台は沖縄の寿司屋。ブライドの白いTシャツの柄にオキナワの文字が。映画『キル・ビル』のポスターにもカタカナが縦書きで書かれているし、タランティーノ監督はそんな文字に異国情緒を感じ取るのだろう。寿司屋の板前だと思って見ていたら、それは表の姿で、実は凄い腕前の剣術家及び日本刀を作る名人の服部半蔵(千葉真一/サニー・千葉)だった。ブライドは、服部半蔵に復讐用の最高の日本刀を作ってもらおうと頼みに来たのだった。

【キル・ビル 第15段落】  ご存知のように千葉真一さんは野際陽子さんと結婚・離婚し、真瀬樹里さんという娘もいる。この樹里さんも『キル・ビル』にオーレン・イシイの手下の一人として Juri Manase と Julie Manase という表示で出演しているし、剣術の女優トレーナーとしても名を連ねている。やはり親子だな。千葉真一さんは服部半蔵という重要な役も演じている上に、剣術の振付師もしているのだ。千葉真一さんの武芸の実力は、柔道二段の黒帯、忍術四段の黒帯、剣道初段の黒帯、少林寺拳法初段の黒帯という輝かしいものである。こんなに強くて、海外で俳優として成功して、尊敬してしまう。この『キル・ビル』でも変な日本人像を演じずに、ごく自然にいい味を出していて安心した。

【キル・ビル 第16段落】  服部半蔵はもう刀作りは引退していたが、ブライドの熱意に負けて作ってやることにする。その刀が出来上がると、服部半蔵も、弟子(大葉健二)も、ブライドも、白装束に身を包んで厳かに伝授式をする。ここからブライドは片言の日本語を口にする。なお、服部半蔵と弟子は日本語で台詞を言うのでよく分かってホッとした。イタリア人には、こういう日本語の台詞の時はイタリア語の字幕スーパーが出た。

【キル・ビル 第17段落】  次は、片道切符を買ってブライドは沖縄から東京へ飛ぶ。機内に日本刀を持ち込んでいるのは映画、映画! 東京では、高速道路を黒塗りの車にオーレン・イシイが乗り、家来達が前後左右をバイクで固めて疾走する。それを見極めるブライドは、黄色地に黒のストライプがサイドに一本入ったレザ−スーツ姿にヘルメットを被ってバイクで追走する。この黄色に黒のストライプのレザ−スーツは、英語では tracksuit (トラックスーツ)と表現し、ブルース・リー 李小龍 Bruce Lee が『 ブルース・リー/死亡遊戯 (1978) GAME OF DEATH 』で着用していたのと同じだそうだ。ブライド役のユマ・サーマンは元モデルだけあって二人の子がいるとは思えぬスタイルのよさ。身長は 6' ( 1.83 m ) もあるからこそ、こんな格好をしてもサマになっているのだ。

【キル・ビル 第18段落】  オーレン・イシイはヤクザの親分に収まっていて、この晩はヤクザ親分衆の食事会だった。『 魔界転生 (2003) 』の国村隼や『 女理髪師の恋 (2003) 』の北村一輝や『 ツィゴイネルワイゼン (1980) 』の麿赤兒(まろ あかじ)がヤクザの親分の役で出演している。オーレンは気に食わない男には日本刀で首をバッサリ斬り落として、その冷酷さを見せ付ける。勿論血しぶきも。ルーシー・リューは台詞を日本語で言うのデス! 非常に聞き取りにくいけど、自信が無くてはにかんだような発音に聞こえて微笑ましかった。アップの黒髪と白い着物姿は、さすが東洋人だけあってよく似合っていた。

【キル・ビル 第19段落】  後半は、オーレン・イシイとその部下たちとブライドとのチャンバラで占められる。オーレン・イシイには「 Crazy 88 Fighters (クレージー88)」という手下の軍団がいるし、ボディガードの 17 歳の少女GOGO夕張(栗山千明)がいる。この少女は『 バトル・ロワイアル (2001) 』の時と同じように高校の制服を着ているヘンな目つきの怖〜いお姉さんである。また、
少林寺2 (1983) 少林小子 / SHAOLIN TEMPLE 2 』や
ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ 烈火風雲(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地雄覇)(1993) 黄飛鴻鐡雎門蜈蚣 (原題) / CRAWS OF STEEL / THE LAST HERO IN CHINA 』等のジェット・リー Jet Li の映画にも出ている本格的な武術派俳優ゴードン・リュウもジョニー・モーという直臣の役で出演している。

【キル・ビル 第20段落】  オーレン・イシイとその直臣たちが宴会に来たのは「 The House of Blue Leaves (青葉亭)」という不思議な空間。これにはチトまいった! ステージでは日本人のスタイルの良くない旧式の女性バンドが演奏し、広間ではゴーゴーダンスに興じている客達。そしてオーレン・イシイ達を愛想よく迎える女将と、チャーリー・ブラウンに似ているとからかわれる男性店員。オーレン・イシイ達は二階の座敷に案内される。黄色のトラックスーツを着たブライドは後を追ってこの料亭に侵入して、スキを見計らっている。

【キル・ビル 第21段落】  一昔前に日本にいたフランス人のジュリー・ドレフュスがちっともテレビで見ないなぁと思っていたら、ハリウッドの女優になっていた。『キル・ビル』ではオーレン・イシイの秘書のソフィー・ファタール(宿命の・致命[破滅]的なという意味)という役で登場する。とっても綺麗だし、日本語もルーシー・リューやユマ・サーマンと比べ物にならないほど流暢だった。フランス人と中国人のハーフという役どころなのか、チャイナドレスをまとって東洋的な化粧を施している。このソフィー・ファタールがトイレに立った際にブライドは襲って、片腕を日本刀で斬り取るのだ。ソフィー・ファタールは痛がってのたうち回る。彼女は復讐の対象の五人ではないので殺しはしなかった。

【キル・ビル 第22段落】  この後はオーレン・イシイの部下数人ともチャンバラでブライドは勝つ。GOGO夕張やジョニー・モーとの一騎打ちも見所で、ブライドは勝つ。ここで玄関からなだれ込んで来たのは「クレージー88 」の軍団である。半数が日本人で半数は中国人だそうだ。全員がヤクザの黒いスーツに身を包み、顔には目の辺りにマスクをしている。その名の通り 88 人かと思うと、正確には違うそうで、兎に角、百人くらいとブライドは立ち回りをするのである。「やっちまいな!」というルーシー・リューの啖呵(たんか)は可愛らしかった。悲鳴と共に腕や脚が斬り取られ、床は地の池だ。銃は一切使わないで、日本刀ばかりの本当にチャンバラだ。皆がブライドに斬られて床でもがいていると、「命のある者は持って帰りな」とユマ・サーマンの怪しい日本語が轟く。

【キル・ビル 第23段落】  ここで最後の一人、本命のオーレン・イシイとの対決となる。二階の座敷で刀合わせが先ずあるが、これはシルエットが最高に美しく撮れている。撮影は
サハラに舞う羽根 (2002) THE FOUR FEATHERS 』のロバート・リチャードソンによる。編集は
DADDY AND THEM (2001) 』のサリー・メンケ。製作総指揮は
イナフ (2002) ENOUGH 』のE・ベネット・ウォルシュ。

【キル・ビル 第24段落】製作総指揮のボブとハーヴェイのワインスタイン兄弟は
イングリッシュ・ペイシェント (1996) THE ENGLISH PATIENT
恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE
マレーナ (2000) MALENA
ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD
フル・フロンタル (2002) FULL FRONTAL
ビロウ (2002) BELOW
WAKING UP IN RENO (2002)
シカゴ (2002) CHICAGO
コンフェッション (2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND
白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003) THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING 』等で有名だ。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【キル・ビル 第25段落】  さて、オーレン・イシイとブライドが座敷の襖(ふすま)を開けると、何とそこは雪の日本庭園。日本人の見慣れた時代劇そのものだ。タランティーノ監督はこういうものに憧れているのだろうとつくづく思った。雪の中で竹製の柵を挟んで二人が横に並行して小走りでする刀の構えも時代劇でよく見るパターンだ。よく研究しているナ。二人とも毒ヘビ暗殺団の凄腕のエージェントだったから、勝負はなかなかつかない。それでもオーレン・イシイが先手を切ってブライドに斬り込んた。深手を負って一瞬倒れるブライドであるが、これでへこたれない。今度はブライドがオーレンの頭部を斬りとって、オーレンの黒髪は頭頂部と共に雪の地面に落とされた。

【キル・ビル 第26段落】  河童のお皿が割られたような無様な格好になったオーレン・イシイは「馬鹿にして悪かった…」と言い残して、鮮血と共に真っ白な雪の庭に崩れ落ちる。こうして五人の内の二人の仇討ちを実行したブライドは、血まみれの黄色いトラックスーツで感慨深く立ち尽くす。BGMには、タランティーノ監督が惚れ込んでいると言う梶芽衣子さんの「♪怨み節」がエンディングテーマとして流れる。また、挿入歌として同じく梶芽衣子さんの「♪修羅の花」も聞かれる。「♪怨み節」は完全な日本の演歌であるから、私達日本人にはスッと入っていけて、あぁ、映画が終わったと、満足して体を伸ばして充実感に浸ってイタリアの映画館を出るのであった。

 『 キル・ビル Vol.2 (2004) KILL BILL: VOL. 2 』が待ち遠しい!

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず8730文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      キル・ビル 公式サイト(英語版)
       http://www.kill-bill.com/
      Bang Bang (My Baby Shot Me Down)
      http://www.videomusica.it/articoli/2003/10/20/473838.php
      The Annotated Kill Bill: Volume 1
      http://www.geocities.com/lost-highway.geo/
■映画『 キル・ビル 』の更新記録
2003/08/09新規: ファイル作成
2003/10/17更新: ◆一部テキスト追記
2003/11/08更新: ◆レヴュー
2004/12/24更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/10/06更新: ◆追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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