ロード・トゥ・パーディション
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ロード・トゥ・パーディション (2002)
ROAD TO PERDITION
 映画『 ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ロード・トゥ・パーディション 』を以下に目次別に紹介する。
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の解説及びポスター、予告編
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の映画データ
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の主なキャスト
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』のスタッフとキャスト
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の結末
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ロード・トゥ・パーディション ROAD TO PERDITION 』の解説及びポスター、予告編
ロード・トゥ・パーディション ロード・トゥ・パーディション
Links:  Official Web Site
Trailers:  Quick Time 1.4Mb
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■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の解説

 映画『 ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION 』は公開前から何かと話題の多い作品。先ずこの映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の主演がトム・ハンクス。彼は「フィラデルフィア」( 1993 )、『 フォレスト・ガンプ/一期一会 (1994) FORREST GUMP 』でアカデミー主演男優賞を二度、それも二年連続で受賞という映画界の寵児。『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』『 グリーンマイル (1999) THE GREEN MILE 』のようないつもの生真面目なタイプの配役と異なり、今回はハードボイルドなタッチで、メイクもマフィアのギャングという役に合わせ、見る角度によってはトム・ハンクスだと気付かないくらい。『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』で気に入ったジュード・ロウは、あの時の完璧にカッコイイのとまた別の味でびっくり。そしてハリウッドの大御所ポール・ニューマンが白髪で貫禄たっぷりに親分を演じている。
 『 ロード・トゥ・パーディション 』の監督・製作のサム・メンデスは初作『 アメリカン・ビューティー (1999) AMERICAN BEAUTY 』でアカデミー作品賞・監督賞をとったつわもので、「ロード・トゥ・パーディション」はメンデスのたった二作目に拘わらず世界中で注目を浴びているから驚き。この『 ロード・トゥ・パーディション 』はマフィアという形をとりながら、組織と2組の父子の愛をどっしりと描いている。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ロード・トゥ・パーディション ROAD TO PERDITION 』の映画データ
 上映時間:119分
 製作国:アメリカ
 公開情報:FOX
 アメリカ初公開年月:2002年7月12日
 日本初公開年月:2002年10月5日
 ジャンル:ドラマ
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■映画『 ロード・トゥ・パーディション ROAD TO PERDITION 』の主なキャスト
●トム・ハンクス as レマイケル・サリヴァン
フォレスト・ガンプ/一期一会 (1994) FORREST GUMP
アポロ13 (1995) APOLLO 13
グリーンマイル (1999) THE GREEN MILE
ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (2002) CATCH ME IF YOU CAN
レディ・キラーズ (2004) THE LADYKILLERS
ターミナル (2004) THE TERMINAL
ポーラー・エクスプレス (2004) THE POLAR EXPRESS

●ポール・ニューマン as レジョン・ルーニー

●ジュード・ロウ as レハーレン・マグワイア
リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』< 2000 年アカデミー助演男優賞ノミネート>
スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES
ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION
コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』< 2004 年アカデミー主演男優賞ノミネート>
スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー (2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW
クローサー (2004) CLOSER
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 (2004) LEMONY SNICKET'S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS
アビエイター (2004) THE AVIATOR
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【『 ロード・トゥ・パーディション 』のスタッフとキャスト】
監督: サム・メンデス Sam Mendes
製作: サム・メンデス Sam Mendes
    ディーン・ザナック Dean Zanuck
    リチャード・D・ザナック Richard D. Zanuck
製作総指揮: ジョーン・ブラッドショー Joan Bradshaw
原作: マックス・アラン・コリンズ Max Allan Collins
脚本: デヴィッド・セルフ David Self
撮影: コンラッド・L・ホール Conrad L. Hall
音楽: トーマス・ニューマン Thomas Newman

出演: トム・ハンクス Tom Hanks マイケル・サリヴァン
    ポール・ニューマン Paul Newman ジョン・ルーニー
    タイラー・ホークリン Tyler Hoechlin マイケル・サリヴァン・ジュニア
    ジュード・ロウ Jude Law ハーレン・マグワイア
    ダニエル・クレイグ Daniel Craig コナー・ルーニー
    スタンリー・トゥッチ Stanley Tucci フランク・ニッティ
    ジェニファー・ジェイソン・リー Jennifer Jason Leigh アニー・サリヴァン
    ディラン・ベイカー Dylan Baker アレキサンダー・ランス 
    シアラン・ハインズ Ciaran Hinds フィン・マックガヴァン
    リーアム・エイケン Liam Aiken ピーター・サリヴァン 
    ダイアン・ドーシー Diane Dorsey 伯母サラ

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【ロード・トゥ・パーディション 第01段落】  派手な映画ではない。初めのクレジットの流れる雰囲気からしてそう感じられる。波の音をバックに暗黒の背景に白のシンプルな出演者名。マフィアの映画と来れば先ず思い浮かべるのは「ゴッドファーザー」シリーズだろう。フランシス・フォード・コッポラ監督・脚本、マーロン・ブランドとアル・パチーノ主演の「ゴッドファーザー」は、NYを根城にするイタリア系マフィアであり、豊潤で濃厚で甘く熱く切ない印象を私は持っていた。それに対して、この「ロード・トゥ・パーディション」は舞台はシカゴ周辺、それも冬の場面が多い。そして同じギャングでも、アイルランド系マフィアだ。だから硬派で地味で男クサイ。

【ロード・トゥ・パーディション 第02段落】  冒頭は一人の少年が波打ち際に立っている後ろ姿。父マイケル・サリヴァンと僕が一緒に過ごした1931年の冬の6週間の物語です、と少年のナレーションで始まるから、これはただのギャング映画ではないな。

【ロード・トゥ・パーディション 第03段落】  舞台は雪の降り積もるイリノイ州のロックアイランド郡。 12 歳のマイケル・サリヴァン・ジュニア(タイラー・ホークリン)は当時の旧式自転車で労働者達をかいくぐって疾走している。吐く息も白い真冬の街を、新聞売りをして廻っているのだ。かと言って少年が貧しいわけではない。新聞のバイトを終えて自転車を滑り込ませた自宅は庭が運動場みたいにだだっ広く、屋敷も立派だ。帰宅すると、マイケルは弟のピーター(リーアム・エイケン:
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 (2004) LEMONY SNICKET'S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS 』)と雪投げっこしてじゃれ合う。弟役のリーアム・エイケンはジュリア・ロバーツ主演の「グッドナイト・ムーン」( 1998 )の子役等、数回のメジャー映画出演歴があるが、兄役のタイラー・ホークリンはメジャー映画はこの作品が初めて。全米二千人の中から、このビッグな役を獲得したラッキー・ボーイ。この映画では、主演トム・ハンクスの長男役として父と子の愛や葛藤を描く非常に重要な役どころをもらっている。

【ロード・トゥ・パーディション 第04段落】  マイケル達の母親アニー(ジェニファー・ジェイソン・リー:
イン・ザ・カット (2003) IN THE CUT
マシニスト (2004) THE MACHINIST 』)は優しく子供たちを見守る良妻賢母型だ。夕食の支度ができたから父さんを呼んできて、とマイケルに夫の部屋まで呼びに行かせる。マイケル、正しくはマイケル・ジュニアの父は、名はやはりマイケル(トム・ハンクス)。ちょうど仕事から帰ってきていて、寝室で背広を脱ぎ、持ち物をベッドに置いていた。おや、ピストルも置いている。それをマイケルJr は廊下で目撃してしまった。お父さんはお仕事に行っている、と単純に子供の心で今まで思っていたので、内心びっくりする。だから、直後のディナー・テーブルでも、何となく雰囲気が硬く、ぎごちない。

【ロード・トゥ・パーディション 第05段落】  お父さんの"会社"のダニー・マックガヴァンのお通夜に、一家揃って夜に出かける。外国でもお通夜ってやはりあるのだ。遺体を棺おけに寝かせて、そばで拝む。弟のピーターは死体を怖がって、そばまで行かないので、マイケルJr は父と拝む。すると、棺おけから水滴がポタポタ。何でも、 1930 年代当時の風習として、遺体の腐食を防ぐのに氷を山ほど棺おけに詰めたそうだ。そして解けた水は棺おけの下部に予め開けておいた穴から滴り落ちる仕組みだそうで。この映画は氷や雪や雨といった「水」が表現方法の一つとして多用されているのが特徴だ。

【ロード・トゥ・パーディション 第06段落】  この場面で、お父さんの"会社"の"社長さん"ジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)が登場し、マイケルJr とピーターを孫のように可愛がっている。実は、ジョン・ルーニーはアイルランド系マフィアのボスで、トム・ハンクス演じるマイケル・サリヴァンはその下で殺し屋として働いているギャングの幹部なのだ。それも、ジョン・ルーニーは、実の父母のいないマイケル・サリヴァンの親のように何から何まで面倒を見てくれている。豪華な邸宅も、生活も、この親分であり父親のようなジョン・ルーニーのお陰なのだ。

【ロード・トゥ・パーディション 第07段落】  アイルランド系の人たちの集まりだから、お通夜でも、ノッてくると、当然アイリッシュ・ダンスが出てくる。陽気な曲に合わせて、足を強烈に前後に蹴る独特の踊り方。確か
タイタニック (1997) TITANIC 』でも、地下の移民達が陽気に踊っていたと思う。そんな中、ピアノに座ったジョン・ルーニーはゆっくりだが鍵盤をたたき始める。そこに全く自然体でマイケル・サリヴァンが並んで座り、二人が連弾する場面が最高にいい。強く、寂しく、心を打つ旋律。このシーンは、二人の血は繋がっていないが実の親子のように堅く心が結ばれていることを示しているのだろう。

【ロード・トゥ・パーディション 第08段落】  ギャングとは知らない子供たちは、お父さんの仕事は何か考える。兄マイケルJr は弟ピーターにこう説明する。「お父さんにはお父さんがいないので、ルーニーさんが面倒見てくれているんだ。ルーニーさんに言われた仕事をして、危険な仕事なのでピストルを持っているんだ。」と。ローン・レンジャーのイラスト付きの本を読みながら兄弟で話をしている、ごく普通の明るく純粋な子供だ。親が人殺しをする職業だとは思いもよらない。

【ロード・トゥ・パーディション 第09段落】  お通夜のスピーチでダニーの兄のフィン・マックガヴァン(シアラン・ハインズ:
トータル・フィアーズ (2002) THE SUM OF ALL FEARS
ヴェロニカ・ゲリン (2003) VERONICA GUERIN 』
ヴェロニカ・ゲリン (2003) VERONICA GUERIN 』
トゥームレイダー2 (2003) LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE
カレンダー・ガールズ (2003) CALENDAR GIRLS
オペラ座の怪人 (2004) THE PHANTOM OF THE OPERA 』)は、酒に酔った勢いでボスのジョン・ルーニーのことを悪く言う。マイケル・サリヴァンはボス思いだから、そんなフィンを車に無理やり乗せて帰宅させる。また、ジョン・ルーニーには実の息子コナー・ルーニー(ダニエル・クレイグ)がいるが、コナーは父がマイケル・サリヴァンに一目置いて、しかも自分の子供のように接していることに嫉妬している。このコナーとマイケル・サリヴァンは、数日後の大雨の日、用があってフィンを訪れることになる。この時、二組の父と子の葛藤の始まりとなる出来事が起こってしまうのだ。…だから、やはり普通のギャング映画ではない。

【ロード・トゥ・パーディション 第10段落】  大雨の日、アタッシュケースを提げてガレージから車を出して行く父マイケル・サリヴァンを、息子マイケルJr は車の座席の下に隠れてついて行く。ここで思ったのだが、昔の車は本当に家のミニチュアだな、ということ。窓ガラスも今のように曲線を描くことなく、平面で四角く、ウィンドーとウィンドーの間の柱も直線的な木製のようで、家具のように茶色のニスが塗ってある感じ。またリア・シートは持ち上げられて、下が物入れになっている。マイケルJr はこの物入れの中に潜んだのだ。多分、父親の仕事を確かめたかったのだろう。途中、コナーを同乗させて、ある屋敷に着いた。二人はアタッシュケースから何やらカチカチさせて、それを持って屋敷に入っていった。大雨だから帽子を被り、レインコートを着て。

【ロード・トゥ・パーディション 第11段落】  マイケルJr は隠れていたシート下から出て、びしょ濡れになりながら屋敷の細長い窓の隙間から中を覗く。父を含めて三人の男達がちょっと怖い感じで言い合っているのが見える。と、その時、コナーが突然フィンを射殺した。それに驚いたマイケルJr はその場から逃げ出そうとして感づかれる。父親マイケル・サリヴァンは、捕まえたのが自分の息子だと分かり苦い顔をする。コナーはその子がサリヴァンの子だと知って、殺すことも出来ず、絶対誰にも言うなと釘をさす。こうして、マイケル・サリヴァンとマイケルJr の父子は、親が人殺しもするギャングの幹部だと知らなかったこれまでの平和的な温かい親子の関係から、ギクシャクした関係になり始めるのだ。

【ロード・トゥ・パーディション 第12段落】  フィンを浅はかに殺してしまったかどで、コナーは父ジョン・ルーニーからはこっぴどく叱られる。それに父はマイケル・サリヴァンを可愛がっている。その上、目撃したのはサリヴァンの息子だ。こういう諸状況から、コナーはマイケル・サリヴァンの一家撲滅を図るのだ。この辺りのコナー役ダニエル・クレイグは嫉妬と憎しみを巧みに演じている。コナーはサリヴァン家に出向いて、マイケルの妻アニーと次男ピーターを殺してしまう。長男マイケルJr は学校に遅くまで残されていて無事だった。一家の主マイケル・サリヴァンは、コナーのはかりごとで間接的に殺されそうになったが、危ういところで無事だった。

【ロード・トゥ・パーディション 第13段落】  一家四人のうち二人が殺され、残ったマイケル・サリヴァンとマイケルJr は呆然となる。それに、先日来、二人の親子関係は冷えているではないか。でも、こんな危機の場面でそんなことは言っていられない。マイケルは、これ以上、マイケルJr まで殺されないように、また、コナーに復讐する為、二人でシカゴまで行ってフランク・ニッティ(スタンリー・トゥッチ:
アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS
メイド・イン・マンハッタン (2002) MAID IN MANHATTAN
ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方 (2004) THE LIFE AND DEATH OF PETER SELLERS 』
ターミナル (2004) THE TERMINAL
Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス? (2004) SHALL WE DANCE?
ロボッツ (2005) ROBOTS 』)というイタリア系マフィアのドンに助けを請いに行った。ところが…ジョン・ルーニーとコナー・ルーニーの親子も来ていた。やはり、悪名高いアル・カポネの後にシカゴという大都会のマフィアの親分に収まっているフランク・ニッティは、マイナーなギャング達から見たら、格の違うスーパー親分なのだろう。

【ロード・トゥ・パーディション 第14段落】  ジョン・ルーニーにとってはコナーは実の息子、マイケル・サリヴァンは子供のように思っている直臣。その"子供"同士が反目する羽目になってしまったのだ。どちらを選んだらよいかジョン・ルーニーは悩む。でも結局は血の繋がった方の息子コナーを選ぶ。ポール・ニューマンは出来の悪い息子と、ずっと可愛がって面倒を見てきたサリヴァンとの狭間で悩む姿がリアルだ。なぜかというと、ポール・ニューマンは 30 歳前後のブロンドで青い澄んだ瞳の若かれし頃と大分変わってしまって、顔つきも細く、本当に老人になっているので、そういう悩む姿が実に哀れで感傷的に見えるからだ。それに、台詞の言い方も(演出かもしれないが)口がまわりにくそうに聞こえる。颯爽としたハンサムなハリウッド俳優が年をとるのを見るのは忍びないなァ。

【ロード・トゥ・パーディション 第15段落】  標的がマイケル・サリヴァンの方と決まって、フランク・ニッティは殺し屋ハーレン・マグワイア(ジュード・ロウ)を用意する。このジュード・ロウはいつものカッコイイのとイメージが大違い。髪の毛は薄く少なく、歯茎を多くして歯の高さを短くし、全体に不健康な雰囲気。マグワイアはおもての顔は写真屋で、裏は殺し屋なのだ。写真屋といっても<死体>を撮るのが趣味の、気味が悪い奴だ。ナイフを胸に刺されて息絶えそうな太った男が苦しんでセキをする場面はやけに現実的。マグワイアの部屋には死体の写真が壁にたくさん飾られている。殺しの連絡を受けた彼は、マイケルJr の年齢が 12 歳と聞いて何とも言えない顔をする。

【ロード・トゥ・パーディション 第16段落】  マイケル・サリヴァンとマイケルJr はパーディションという町にいる伯母サラ(ダイアン・ドーシー)の所まで車で逃走することに決めた。<per・di・tion ━━ n. (霊魂の)喪失, 地獄(に落ちること); 〔古〕 滅亡, 全滅. EXCEED 英和辞典より>こんな意味もあるパーディションという町だが、湖のほとりの美しい所だと、父は息子に話す。こうして父と子は旅を共にすることに。この映画のタイトル「ロード・トゥ・パーディション」の由来だ。

【ロード・トゥ・パーディション 第17段落】  車では、父が運転、息子はリア・シートで不機嫌な顔をしている。あれ以来、息子はまだ父に対して他人行儀。どうもしっくりしていない。腹減っただろう、と訊いても、減ってないとブスッと応える有り様だ。途中の道路脇のレストランに父だけが入って一人で食事をしている。息子は車の中でスネ寝。居所をつかんだハーレン・マグワイアがレストランに追って入って来た。食事中のマイケル・サリヴァンに話しかけ、自分は死体を撮るカメラマンだとか変なことを言うので、感づいたマイケル・サリヴァンはトイレの裏口から逃げて、息子の乗ったままの車に戻って猛発進。ピストルの用意をしていたマグワイアは"してやられた"という顔で、丁度居合わせた警官を撃つ。それに、サリヴァンたちの走り去る車のリア・ウィンドーを撃って割る。

【ロード・トゥ・パーディション 第18段落】  "二度と離れるなよ"とマイケル・サリヴァンは息子に言って、"覚えて欲しいことが一つあるんだ。"そう言って父が息子に教えたのは、何と車の運転! 12 歳なら勿論、運転はまだやっていけない筈だが、そんな堅いこと関係ないみたい。現代の自動車と違って、当時はオートマティックでなくてクラッチで操作する方法だから、マイケルJr は四苦八苦。でも速く飛ばせるようになって大はしゃぎだ。凄く子供らしく素直に変わっていく。

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ロード・トゥ・パーディション 第19段落】  車の運転を覚えさせたのは訳があった。パーディションへの道中で、マイケル・サリヴァンは小規模の銀行強盗を軒並みにしていく。銀行強盗のシーンはギャング映画の必須アイテム。
ボニーとクライド/俺たちに明日はない (1967) BONNIE AND CLYDE
バンディッツ (2001) BANDITS 』等でも色々な強盗方法が描かれている。この映画のマイケル・サリヴァンの場合、金庫からお金を出させ、全部をとらないで、紙幣の束のうち二束をその銀行員に渡してネコババさせるのだ。そうすれば誰にも言わないで、大ごとにならないで済む。そういう理屈を息子に話して聞かせ、パパって凄いね、っていう感じで、マイケルJr は明るく生き生きと変身していく。何かあればホーンを2回鳴らす、車から決して出ないこと。これが約束事で、外で息子は運転席で待機し、父が"銀行強盗"から出てきたら、息子の運転で急発進して逃げる。非常に活発な親子に変身だ。獲得した札束は座席下の例の物入れのスペースに放りこむ。僕の分け前はいくら?とか訊いて、二人は仲が良く信頼関係の親子に戻っていく。

【ロード・トゥ・パーディション 第20段落】  そこに執拗に追いかけてくる殺し屋マグワイアの銃口…。ジョン・ルーニーとコナーの父子に、このマイケル・サリヴァンとマイケルJr の父子。それにジョン・ルーニーとマイケル・サリヴァンの情の上の"父子"。ギャング組織の掟をからませながら、この人たちの親子関係の微妙さ、疎遠と愛情の交錯を、「ロード・トゥ・パーディション」つまりパーディションの町、或いは地獄への道中で皆さんも体験していってください。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず6721文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      ロード・トゥ・パーディション 公式サイト(英語版)
       http://www.roadtoperdition.com/upgradeFlash.html
■映画『 ロード・トゥ・パーディション 』の更新記録
2002/09/19新規: ファイル作成
2005/01/03更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/03/30更新: ◆データ追加
2005/10/06更新: ◆追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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