スターリングラード | |
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映画の森てんこ森■映画レヴュー | |
スターリングラード (2000) | |
ENEMY AT THE GATES | |
スターリングラード |
【『 スターリングラード ENEMY AT THE GATES
』の解説】 映画『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』を紹介します。 映画『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』の舞台は、1942 年秋、世界はスターリングラードでの戦闘の結果に注視していた。多くの兵士がスターリングラードで死んでいった。ナチス軍とロシア軍はスターリングラードに次々と兵隊を投入する。ロシア軍の一撃必殺の狙撃兵、ヴァシリ・ザイツェフ(ジュード・ロウ:『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』)は静かに敵に忍び寄って行く。彼の戦功はロシア中に広がり、ナチスから最高の狙撃手であるケーニッヒ少佐(エド・ハリス:『 白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』)がスターリングラードへと送り込まれてくる…。 『 スターリングラード 』は、第二次世界大戦から出現した英雄の一人である実在のヒーロー、ヴァシリ・ザイツェフを描いたウィリアム・クレイグの小説「 Enemy at the Gates 」を題材に作られた。しかし、ザイツェフの伝説はどれが本当なのかあまりわかっていないらしい。 『 スターリングラード 』のジャン・ジャック・アノー監督が「あまり戦争映画としてとらえてほしくない。」と発言しているように、『 スターリングラード 』は素晴らしい人間ドラマだと思った。『 スターリングラード 』のジュード・ロウ最高!!ミーハーかもしれないが彼のお陰で映画『 スターリングラード 』が余計に印象的だった。 |
■映画『 スターリングラード ENEMY AT THE
GATES 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)※ご注意:『 スターリングラード ENEMY AT THE GATES
』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 スターリングラード 』の感想 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 | |
■『 スターリングラード (2000) ENEMY AT
THE GATES 』のデータ 上映時間 132分 製作国 アメリカ/ドイツ/イギリス/アイルランド 公開情報 日本ヘラルド映画 初公開年月 2001/04/14 ジャンル ドラマ/戦争/ロマンス 《公開時コピー》愛するターニャ、今日も僕は君のために またひとり敵を撃つ。 《米国コピーTagline》Some Men Are Born To Be Heroes. |
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【『 スターリングラード 』のスタッフとキャスト】 監督: ジャン=ジャック・アノー Jean-Jacques Annaud 製作: ジャン=ジャック・アノー Jean-Jacques Annaud ジョン・D・スコフィールド John D. Schofield 製作総指揮: アラン・ゴダール Alain Godard アリサ・テイガー 原作: ウィリアム・クレイグ William Craig 脚本: ジャン=ジャック・アノー Jean-Jacques Annaud アラン・ゴダール Alain Godard 撮影: ロベール・フレース Robert Fraisse 音楽: ジェームズ・ホーナー James Horner 出演: ジュード・ロウ Jude Law ジョセフ・ファインズ Joseph Fiennes レイチェル・ワイズ Rachel Weisz ボブ・ホスキンス Bob Hoskins ガブリエル・トムソン Gabriel Thomson エド・ハリス Ed Harris ロン・パールマン Ron Perlman ロバート・スタッドローバー Robert Stadlober エヴァ・マッテス Eva Mattes マティアス・ハービッヒ Matthias Habich |
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<もっと詳しく> | |
ネタばれ御注意! このレヴューは「テキストによる映画の再現」を目指して作文しています。よって、ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 スターリングラード 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 【スターリングラード 第01段落】 多くの兵士が列車に詰め込まれ、ドイツ軍との激戦地スターリングラードへと送られていく。列車の中、ヴァシリ・ザイツェフ(ジュード・ロウ: 『 真夜中のサバナ (1997) MIDNIGHT IN THE GARDEN OF GOOD AND EVIL 』 『 リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』 『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』 『 A.I. (2001) ARTIFICIAL INTELLIGENCE:AI 』 『 ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION 』 『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』 『 スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー (2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW 』 『 アビエイター (2004) THE AVIATOR 』等)は読書にふける美しい女性に心惹かれ、静かに見つめる。 【スターリングラード 第02段落】 それはターニャ(レイチェル・ワイズ: 『 魅せられて (1996) STEALING BEAUTY 』 『 ハムナプトラ/失われた砂漠の都 (1999) THE MUMMY 』 『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』 『 ハムナプトラ2/黄金のピラミッド (2001) THE MUMMY RETURNS 』 『 アバウト・ア・ボーイ (2002) ABOUT A BOY 』 『 コンフィデンス (2003) CONFIDENCE 』 『 ニューオーリンズ・トライアル (2003) RUNAWAY JURY 』等)という女性だった。二人は後に出会うことになる。 【スターリングラード 第03段落】 列車の扉が開くと目の前には血の海と化したボルガ川。ロシア兵たちの敵はドイツ軍だけではない。恐れをなして逃げようとする兵士を次々に射殺するソ連の赤軍将校たち。人海作戦をとるソ連軍は、まず銃を持った兵士を突撃させ、その兵士が撃たれると、銃弾だけを手渡された後ろの兵士が倒れた兵士の銃を取っていくという進軍方法を採っていた。銃弾を渡されたヴァシリも他の兵士と同様に突撃して行く。 【スターリングラード 第04段落】 ナチスに敗北を続け、ソ連は崩壊の寸前だった。しかし、スターリングラードの地を明け渡すことは、最終的にヨーロッパにおけるナチスの勝利を決定付けるものとなってしまう。そこでスターリンはスターリングラードの街を守るために、フルシチョフ(ボブ・ホプキンス)を送る。ヴァシリ・ザイツェフは謙虚で自制心があり、特別な才能で義務を遂行していく普通の青年だ。戦場でヴァシリに助けられ、彼の見事な銃の腕前を見た、ソ連の政治士官であるダニロフ(ジョセフ・ファインズ: 『 魅せられて (1996) STEALING BEAUTY 』 『 エリザベス (1998) ELIZABETH 』 『 恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE 』 『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』 『 キリング・ミー・ソフトリー (2001) KILLING ME SOFTLY 』 『 シンドバッド 7つの海の伝説 (2003) SINBAD: LEGEND OF THE SEVEN SEAS 』等)は、ヴァシリが国民や兵士の戦意高揚のプロパガンダになると気付き、フルシチョフに進言。ヴァシリの戦功を新聞で配布し、彼をウラル山脈の羊飼いから国民的ヒーローへと仕立て上げていく。 【スターリングラード 第05段落】 ヴァシリはロシア軍によるプロパガンダのお蔭で、国内だけでなくドイツにおいても有名になっていた。ドイツ軍はヴァシリを殺害するために、彼ら最強の狙撃手であるケーニッヒ少佐(エド・ハリス: 『 アビス (1989) THE ABYSS 』 『 ザ・ファーム/法律事務所 (1993) THE FIRM 』 『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』 『 ザ・ロック (1996) THE ROCK 』 『 トゥルーマン・ショー (1998) THE TRUMAN SHOW 』 『 ポロック・2人だけのアトリエ (2000) POLLOCK 』 『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』 『 ビューティフル・マインド (2001) A BEAUTIFUL MIND 』 『 めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』 『 白いカラス (2003) THE HUMAN STAIN 』等)をスターリングラードに送り込む。数え切れない人間が周りで死んでいく中、類まれなる忍耐と技を持つ二人はお互いに忍び寄り、孤独に自分達の戦争を戦っていく。 【スターリングラード 第06段落】 そんな中、ヴァシリとダニロフは美しい女性兵士ターニャと出会い、二人とも彼女に恋をする。ソ連では、兵士不足のために女性の兵士も採用していた。ダニロフはモスクワの大学でドイツ語を学んでいたインテリのターニャを、戦闘部隊から敵の暗号を解読する部署に転属させるのだが、ターニャは国のヒーローであるが純朴なヴァシリに心惹かれる。そしてヴァシリとターニャは愛し合うようになる。 【スターリングラード 第07段落】 本当の自分ではない国民の英雄という重責に耐えられなくなってきたヴァシリは、プロパガンダをやめて欲しいと願うが、ヴァシリの活躍にクビがかかっているダニロフは聞く耳をもたない。そして化学工場にいるケーニッヒ少佐を襲撃するという計画をヴァシリに告げる。それは、二重スパイをしているターニャの従弟の少年サーシャ(ガブリエル・マーシャル=トムソン)からの情報によるものだった。彼はケーニッヒ少佐の靴磨きをしながら、チョコレートなどの食糧と引き換えにヴァシリの情報を漏らしており、ケーニッヒ少佐について少し情報を持っていたのだ。 【スターリングラード 第08段落】 化学工場で夜を徹してケーニッヒ少佐の出現に狙いを定めていたヴァシリは、居眠りをしたお蔭で戦闘に巻き込まれずに済む。多くの戦死した兵士が横たわる化学工場。そこに戦死者に盗みをはたらく兵士が現れ、眠っているヴァシリから身分証明書をとる。その盗人からヴァシリの身分証明書を手に入れたドイツ軍は、ヴァシリの死をスターリングラード中に放送する。 【スターリングラード 第09段落】 ヴァシリとターニャの関係に気付き、嫉妬にかられてヴァシリに対する中傷を新聞に出したダニロフ。彼の許に死んだはずのヴァシリが現れる。その場に居合わせたサーシャはヴァシリにケーニッヒ少佐が駅に潜伏していると伝える。ヴァシリの死を信用していなかった少佐は、ドイツへの帰還命令が出ていたにもかかわらず、ヴァシリを仕留めるためにソ連軍とも通じているサーシャに情報を流して、彼をおびき寄せようとしていたのだ。そして残忍にも、駅に現れたサーシャを縛り首にして殺害する。ヴァシリが生きていることを知って、駅に隠れる彼の許に現れたターニャは、サーシャが吊るされているのを見る。半狂乱になって銃を手に持ち外へ出ようとするターニャをヴァシリは抱きとめ、必ず自分がケーニッヒ少佐を殺すと誓う。 【スターリングラード 第10段落】 戦況が一層厳しくなったスターリングラードからサーシャの母親フィリポフ夫人(エヴァ・マッテス)を対岸へと連れ出すため、ダニロフはサーシャがドイツ軍に寝返り、彼らと共に行ってしまったと言う。サーシャの家を離れるわけにはいかないと反対していたフィリポフ夫人だったが、そのことを聞いてスターリングラードを離れる決心をする。ボルガ川の岸はスターリングラードを離れる人々でいっぱいだ。ターニャとダニロフがフィリポフ夫人を送り届けるため船へと向かっていたちょうどその時、ドイツ軍の爆撃が襲う。腹部から血を流し倒れているターニャ。フィリポフ夫人の必死の訴えで彼女も対岸へと移される。 【スターリングラード 第11段落】 銃を構えて狙いを定めているヴァシリに、ターニャの死を伝えるダニロフ。他人を羨むことがないとする社会主義の理想を信じてきたのに、国民からもターニャからも愛されたヴァシリを羨んでいる自分の存在に不条理を感じたダニロフは、身をもってケーニッヒ少佐の居所をヴァシリに知らせる。ケーニッヒ少佐に見えるように顔を出したダニロフは、その瞬間、頭に銃弾を受けて死ぬ。ヴァシリを仕留めたと思ったケーニッヒ少佐は、ヴァシリの死を確認するため、隠れていたところから出てくる。そんな少佐の横から、ヴァシリは自分の姿をあらわして狙いを定める。諦めたかのように帽子を脱いだ少佐の頭にヴァシリの銃弾が貫通する。 【スターリングラード 第12段落】 1943 年2月、ソ連からドイツ軍の撤退が始まる。野戦病院に入院しているターニャは、そのことを伝える放送を聞いて微笑む。そこに彼女を探してヴァシリが現れる。 【映画『 スターリングラード 』の感想】 スターリングラードでのドイツ軍とソ連軍の熾烈な戦いを描いた戦争映画でもあるが、途中ダニロフが発言したように、ドイツ・バイエルンの貴族とウラル山脈の羊飼い、そしてインテリ共産党員と無学な密猟者の間の階級闘争も描いている。ダニロフは、ケーニッヒ少佐とヴァシリの戦いを階級闘争とし、ソ連共産党の格好のプロパガンダとしていくが、実は自分とヴァシリとの階級闘争でもあったと最後に気付くのだ。そして、社会主義の不条理を説いて死を選ぶダニロフの姿に、 1991 年に起こるソ連の崩壊を予兆させている。 「…ジュードもジョセフも、イギリスの素晴らしい俳優であり、紳士でもあります。アメリカ人の俳優は1日分の自分のシナリオしか覚えてこないが、イギリス人の俳優はすべての、他人の分のシナリオまで覚えてくる。そこが両国の俳優の大きな違いです。(日本版Official Siteより引用)」とアノー監督が述べているように、私も常々俳優はイギリス人のほうがいいと思っている。[監督の発言は『 セブン・イヤーズ・イン・チベット (1997) SEVEN YEARS IN TIBET 』のブラッド・ピットに対する嫌味でもあるのだろうか?] そしてこの映画ではジュード・ロウに心を奪われた。ジョセフ・ファインズもインテリ青年をうまくこなしていたし、「ハムナプトラ」(1999)で一気に有名になったレイチェル・ワイズもケンブリッジ大卒の知性が光り、同じように知的な女性であるユダヤ人女性ターニャを見事に演じていた。「魅せられて」(1996)で見せたセクシーさも、この映画でしっかり発揮されている。ボブ・ホプキンスはフルシチョフに似せられていたので、ビデオ鑑賞中には気付かなかったくらいだ。 アメリカ人の俳優エド・ハリスもとてもよかった。戦争映画というと、やったことがやったことだけに、ドイツ人、日本人は必ず悪者だ。[戦争映画に限らないかもしれないが。] この映画『 スターリングラード 』でも、ケーニッヒ少佐は少年を吊るし首にするなど残忍に描かれている側面もある。しかし、本来ならスターリングラードのような激戦地には来なくてもよいはずの高位の軍人である彼がやって来たのは、息子がこの地で戦死したからだ。戦争などなければ、彼も故国で良き父親だったのだと思わせる。そして執拗にヴァシリに迫るのも、息子が死んだこの土地での死を心の奥で願っているからではないかとも感じさせるのだ。それなら、サーシャを犠牲にするなとも思うが、そんな狂気は戦争のなせる業なのかもしれない。誰も普通の状態では、ホロコーストや南京大虐殺をやったりしないのだ。そんな背景を全て感じさせる演技がエド・ハリスにはあったと思う。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず4761文字/文責:幸田幸 参考資料:IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com |
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(■解説とネタバレ:2002/08/24アップ ◆俳優についてリンク更新:2003/10/03) ■テキスト一部とリンクおよびファイル書式更新:2004/07/12 2005/03/30更新: ◆データ追加 |
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