「サバ(さば・鯖)」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サバ(さば・鯖)は、スズキ目・サバ科のサバ属
Scomber・グルクマ属 Rastrelliger・ニジョウサバ属 Grammatorcynus などに分類される魚の総称。日本近海ではマサバ・ゴマサバ・グルクマ・ニジョウサバの計4種が見られる。
□「サバの塩焼き」:サバ(さば・鯖)の種類-日本産サバ類
生物学的側面は各記事を参照のこと。
- サバ属 Scomber
- マサバ S. japonicus - 腹側は無地の銀白色
- ゴマサバ S. australasicus - 腹側に黒い斑点が多数ある
- グルクマ属 Rastrelliger
- グルクマ R. kanagurta - 背中は曲線模様ではなく斑点列。日本では南西諸島だけで漁獲される
- ニジョウサバ属 Grammatorcynus
- ニジョウサバ G. bilineatus - 側線が背側と腹側に分岐する。南西諸島で稀に漁獲される
▲この記事の| TOPへ|目次へ |
□「サバの塩焼き」:サバ(さば・鯖)に関する文化
古くから日本人になじみの深い食用魚である。「さば」の名称は古く、一説には、小さい歯が多いことから「小(さ)歯(ば)」の意であるという。
平安時代には中男作物として貢納され、また鯖売りの行商が行われていたなどという記録がある。文化の面でも幾らかの影響を与えており、弘法大師が旅僧の姿で鯖を請うたのに、商人または馬子が荷物の鯖を与えなかったため罰せられたという伝説がある。徳島県海陽町の「鯖大師本坊」など、古い坂や峠には僧が鯖を手にもつ像を祭っていることがある。
サバ(鯖・さば)は一年中日本近海で漁獲されるが、特に漁獲量の多いマサバは秋が旬とされている。「秋鯖は嫁に食わすな」という嫁いびりに繋げた言葉があるが、現代では「脂肪が多いから嫁さんにはよくない」という解釈もある。
年を誤魔化す際の「サバを読む」という言葉は、サバ(鯖・さば)が大量に捕れ、かつ鮮度低下が激しいため、漁師や魚屋が数もろくに数えず大急ぎで売りさばいたのが起源という説がある。
相撲の鯖折りの語は、釣り上げたサバ(鯖・さば)の鮮度を保つために、エラから指を入れて頭部を上方に折り曲げるという手法がよく取られたことに由来する。
フランスでは四月バカ(エイプリルフール)のことを Poisson d'avril (4月の魚)という意味でサバ(鯖・さば)をさしているが、これはサバ(鯖・さば)が4月に入るとたくさん釣れるためという説もある。
▲この記事の| TOPへ|目次へ |
□「サバの塩焼き」:食材としてのサバ(さば・鯖)
〆鯖(しめさば : きずし)、焼き魚、味噌煮(鯖味噌)、缶詰などで食べられる。鰹節と同様の「鯖節」(さばぶし)にされることもある。九州地方などを中心に西日本では鮮度が良い場合刺身や胡麻鯖など生食で供される。鮮度の問題(下記参照)から、東日本の大部分では生食で供されることは一部のブランド魚を除き稀である。
DHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)などの高度不飽和脂肪酸が多く含まれている点も注目されている。その一方で「鯖の生き腐れ」と呼ばれるほど鮮度の低下が著しいという欠点もある。またヒスチジンを多く含むためにアレルギー源となるヒスタミンを生じやすく、蕁麻疹の原因となることがある。
近年では養殖技術の発達により、養殖もののサバ(鯖・さば)も市場に出回るようになっている。サバ(鯖・さば)の養殖は大分県や鳥取県で盛んに行われている。海外では主にノルウェーから輸入されており、主に塩蔵品(塩さば)に加工される。
マサバでは豊後水道の関さば・岬さば(はなさば)、三浦市松輪の松輪サバ、ゴマサバでは屋久島の首折れ鯖、土佐清水市の清水サバなどの地域ブランドが存在する。
▲この記事の| TOPへ|目次へ |
□「サバの塩焼き」:サバの生き腐れ
古来よりサバ(鯖・さば)は、食あたりが発生しやすい食材と知られており、サバの生き腐れ(生きているときから腐っているという意味)と呼ばれてきた。これは脂肪分が多く鮮度低下が比較的早いということと、アポトーシスの際にヒスタミンが生じることが原因である。鮮度の低下を防ぐために、釣りで捕獲した際はクーラーボックスに保管するのはもちろんの事、エラを毟るか首を折った後に海水に漬けて血抜きをする事が推奨される。
|