ファム・ファタール
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ファム・ファタール (2002)
FEMME FATALE
 映画『 ファム・ファタール (2002) FEMME FATALE 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の音楽
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』のスタッフとキャスト
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ファム・ファタール 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の結末
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』のポスター、予告編および映画データ
ファム・ファタール
ファム・ファタール

Links:  Official Web Site
 (commeaucinema.com)
Trailers:  Quick Time7.1Mb
上映時間 Runtime: 1:50
製作国 Country: フランス France
製作会社
Production Company:
Quinta Communications
配給会社 Distributer: ARP Selection [fr] (France)
Herald Film Company [jp] (Japan)
Medusa Distribuzione [it]
Paradiso Entertainment [nl]
Solo Film Verleih GmbH [de] (Germany)
Warner Bros. [us] (USA)
全仏初公開 Release Date: 2002/04/30
全米初公開 Release Date: 2002/11/06
日本初公開 R. D. in Japan: 2003/08/23 予定
日本公開情報 : 日本ヘラルド映画
ジャンル Genre: サスペンス/犯罪
Thriller / Crime
MPAA Rating 指定: Rated R for strong sexuality, violence and language.
日本語公式サイト
http://www.ffmovie.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の解説

 映画『 ファム・ファタール (2002) FEMME FATALE 』は、ブライアン・デ・パルマ監督の最新作。脚本もブライアン・デ・パルマ。彼は「ヒッチコックの再来」「現代サスペンス映画の第一人者」「映像の魔術師」と評価される大監督として有名。本作『 ファム・ファタール 』は、エロスと血と暴力とサスペンスは観客をススゴッー、ハラハラドキドキ、アッ!と言わせてくれる。「ファム・ファタール femme fatale 」とは仏語で「宿命の女、運命の女」という意味。
 映画『 ファム・ファタール 』のストーリー...ロール・アッシュ(レベッカ・ローミン=ステイモス)はカンヌ映画祭でダイヤモンド強奪に手を貸す。彼女は相棒を裏切り、ダイヤモンドを持ってパリに高跳び。パリで、偶然目の前で自殺した自分とそっくりな女に成り代わり、パリを発つ。7年後ロールはリリー・ワッツという名でアメリカ大使夫人に納まって、再びフランスに行くことになる。フランスでは、元パパラッチのスペイン人写真家ニコラス・バルド(アントニオ・バンデラス:『 バリスティック (2002) BALLISTIC: ECKS VS. SEVER 』)がカメラを構えて彼女のショットを撮る。彼女は本能的に自らの過去を暴かれはしないかと不安に…。一体彼女の宿命とは?
 『 ファム・ファタール 』のレベッカ・ローミン=ステイモスは綺麗だ。また、映画『 ファム・ファタール 』を観て、ブライアン・デ・パルマ監督映画も改めて楽しめる。

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■映画『 ファム・ファタール FEMME FATALE 』の音楽

 この映画『FF』の音楽担当は、デ・パルマ映画音楽と言えばこの人ピノ・ドナッジオ Pino Donaggio ではない。エンニオ・モリコーネ Ennio Morricone (『 ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS 』)でもなく、何と坂本龍一だ。レーベルの「Bolero」も聞き漏らさずに。過去のデ・パルマ監督への既成評価やあら捜しの姿勢を一旦横において、どうか純粋に本作を満喫してください。※ブライアン・デ・パルマ監督についてはここをクリック
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【『 ファム・ファタール 』のスタッフとキャスト】
監督: ブライアン・デ・パルマ Brian De Palma (Directed by)
製作: タラク・ベン・アマール Tarak Ben Ammar (Produced by)
    マリーナ・ジェフター Marina Gefter (Produced by)
    クリス・ソルド Chris Soldo (associate producer)
製作総指揮: マーク・ロンバルド Mark Lombardo (executive producer)
脚本: ブライアン・デ・パルマ Brian De Palma (screenplay)
撮影: ティエリー・アーボガスト Thierry Arbogast (Cinematography by)
編集: ビル・パンコウ Bill Pankow (Film Editing by)
衣装: オリヴァー・ベリオ Olivier Beriot (Costume Design by)
メイク: ニナ・スマルツ Nena Smarz (Makeup Department)
音楽: 坂本龍一 Ryuichi Sakamoto (Original Music by)

出演: レベッカ・ローミン=ステイモス Rebecca Romijn-Stamos ロール・アッシュ Laure Ash/Lily
    アントニオ・バンデラス Antonio Banderas ニコラス・バルド Nicolas Bardo
    ピーター・コヨーテ Peter Coyote ブルース・ワッツ Bruce Watts
    エリック・エブアニー Eriq Ebouaney ブラック・タイ Black Tie
    エドュアルド・モントート Edouard Montoute ラシーン Racine
    ティエリー・フレモン Thierry Fremont セーラ Serra
    グレッグ・ヘンリー Gregg Henry レオナルド・シフ Leonard Shiff
    リエ・ラスムッセン Rie Rasmussen ヴェロニカ Veronica
    フィオナ・カーソン Fiona Curzon スタンフィールド・フィリプス Stanfield Phillips
    シルヴァトーレ・インゴリア Salvatore Ingoglia トラック運転手 Truck Driver 

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ファム・ファタール 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【ファム・ファタール 第01段落】  先ず昔の映画『 深夜の告白 (1944) DOUBLE INDEMNITY 』の映像から始まって、観客はちょっと戸惑う。感じたのは、昔の英語は現代と大分違うなぁということ。フレッド・マクマレイの台詞が、まるで怒っているような発音の仕方なのだ。この映画はフレッド・マクマレイ Fred MacMurray とバーバラ・スタンウィック Barbara Stanwyck 主演で、ビリー・ワイルダー Billy Wilder 監督・脚本の、日本では未放映らしい作品だ。倍額保険(タイトル DOUBLE INDEMNITY の意味)を手に入れるための完全犯罪を思いつく映画らしい。< indemnity ━ n. (損害に対する)保障; 賠償(金); 刑罰などの免除.(EXCEED英和辞典より)>

【ファム・ファタール 第02段落】  これから『 ファム・ファタール 』という犯罪もののサスペンスが始まる為の序曲と捉えたらいいのだろうと初めは単に考えていたが、実はブライアン・デ・パルマ監督の意図することは遥かに深かった・・・。この'ダブル DOUBLE 'つまり、'二倍の'とか'二重の'という言葉がキーワードであるのだ。先ず、この劇中劇と本物の映画のスクリーンが二つ、つまり「ダブル」。

【ファム・ファタール 第03段落】  国際的な詐欺師であり泥棒でもあるロール・アッシュ(レベッカ・ローミン=ステイモス:
X−メン (2000) X-MEN
シモーヌ (2002) SIMONE/S1M0NE
X−MEN2 (2003) X2 / X-MEN 2
パニッシャー (2004) THE PUNISHER 』等に出演)は、その映画をテレビでベッドに寝そべって観ている。半裸で、暫くは顔をこちらに向けない。そこにボスのブラック・タイ(エリック・エブアニー)が、一体何時だと思っているのだ、と怒って入って来た。そして分刻みの何かのスケジュールを彼女に告げて確認させている。万が一、警察に捕まっても知らん顔しろとか、犯罪の匂いがプンプン。この映画、アクション・シーンもあり、スタントの一人エンリコ・ホーン Enrico Horn は
キス・オブ・ザ・ドラゴン (2001) KISS OF THE DRAGON
ボーン・アイデンティティー (2002) THE BOURNE IDENTITY 』等で活躍している人だ。

【ファム・ファタール 第04段落】  この 5' 11" (約 180 cm)もありブロンドで青い瞳のレベッカ・ローミン=ステイモスはオランダ系アメリカ人。カリフォルニア大学 Universty of California in Santa Cruz を中退して、パリでモデルとして大成功した。「エル French Elle 」の表紙を飾り、「スポーツ・イラストレイテッド Sports Illustrated 」「クリスチャン・ディオール Christian Dior 」「ヴィクトリアの秘密 Victoria's Secret 」のモデルをして、貧しい学生から大出世を果たす。ピープル誌の 1997 年と 1999 年の「最も美しい人々 50 人 People Magazine's 50 Most Beautiful People 」に選ばれているのだから、そりゃ美人だし、抜群のプロポーションだワ…。

【ファム・ファタール 第05段落】  窓のカーテンを開けると、そこは 2001 年カンヌ映画祭 the 2001 Cannes Film Festival の会場。赤い絨毯を踏みしめ、数々のセレブ達が笑顔を振り撒いて入場してくる。その中で、女優ヴェロニカ(リエ・ラスムッセン)が身につけた蛇 serpent の形をした一段と目立つ装飾が彼らの狙いだ。ビスチェといい、上半身が裸で、そこに金属製の蛇のようなものを体に巻きつけているだけ。それには 385 カラット相当の 500 個のダイヤモンドが散りばめられており、千万ドル($1=¥ 120 換算で約 12 億円)の値打ちもの。なお、リエ・ラスムッセンはデンマークはコペンハーゲン Copenhagen, Denmark の出身。この映画はフランス映画だけあって、出演俳優はヨーロッパの人が多数占める。台詞もシーンによって英語とフランス語が使われている。

【ファム・ファタール 第06段落】  ロール・アッシュは、女優ヴェロニカをレズビアンとして誘惑してトイレ個室に連れ込む役だ。トイレ内でロールとヴェロニカは女性同士ながら熱く燃え上がり、その間にイアリングや体に巻きつく蛇型のビスチェを落としていく。それをトイレの下の隙間からブラック・タイが偽物と取り替えていく、という泥棒のやり方だ。内偵用のカメラも登場するが、これは宝石の蛇の形と同じ、蛇のようにクネクネしている。ここでも蛇の「ダブル」が実践されている。ダイヤの本物と、摩り替えるガラス玉の偽物も、見た目は同じ、ここでも「ダブル」だ。

【ファム・ファタール 第07段落】  カンヌ映画祭会場の上映室では『 イースト/ウェスト 遙かなる祖国 (2000) EST-OUEST 』が映されている。その間に泥棒チームは色々な役割をして、モニター画面を隠す係とか、機械室の様子を探る係とかの連携プレーである。ラシーン役のエドュアルド・モントートは
TAXi (1997) TAXI
TAXi 2 (2000) TAXI 2
TAXi 3 (2003) TAXI 3 』に出ている俳優だ。ヴェロニカがちっともトイレから出てこないので、犯行がばれて撃ち合いとなり、ブラック・タイは負傷する。このドサクサでロール・アッシュはダイヤの蛇のビスチェを持って逃走してしまった。彼女は、パリのベルヴィル Belleville, Paris という所に女友達がいるから、そこに逃げた筈だと考えられる。

【ファム・ファタール 第08段落】  パリでプロのカメラのレンズを睨み続ける男、ニコラス・バルド(アントニオ・バンデラス:
フリーダ (2002) FRIDA
バリスティック (2002) BALLISTIC: ECKS VS. SEVER
レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード (2003) ONCE UPON A TIME IN MEXICO
ジャスティス 闇の迷宮 (2003) IMAGINING ARGENTINA
シュレック2 (2004) SHREK 2 』等に出演、スペイン出身)がいる。彼はパパラッチだったが、今はフリーのカメラマン。スクープを撮って生活の糧にしている男だ。アントニオ・バンデラスは甲高いスペイン語やスペイン語訛りの言葉を話すなぁ。『 バリスティック 』の時の暗い役と全然雰囲気が違う。エンパイヤ誌 Empire magazine の 1995 年度の「映画史上最もセクシーなスター 100 人 the 100 Sexiest Stars in film history 」にも、ピープル誌の 1996 年の「最も美しい人々 50 人 People Magazine's 50 Most Beautiful People 」にも選ばれている。数年前は彼の"旬"で、匂うように美しかったのかな。因みにアントニオ・バンデラスのメイク担当のニナ・スマルツは
コーリング (2002) DRAGONFLY 』でも仕事をしている人だ。

【ファム・ファタール 第09段落】  パリの街で、黒髪の魅力的な女性が見知らぬ老人夫婦に追いかけられている。老人たちは彼女を「リリー」と呼び、家族と間違えているらしい。その女性はシラトン・ホテル Hotel Sheraton のある部屋に入っていくと、男がカメラで写真を撮り、パスポート用の写真だと言っている。そして「ダイヤはどこだ!」 掴み合いになって、女性は数階から下に吹き抜けを転落してしまった。しかし運良くクッション状のものに落ちたためほどんど無傷で済んだ。後を追ってきた老人夫婦に保護されて、気がつくと、民家のベッドに寝かされていた。

【ファム・ファタール 第10段落】  彼女は状況を把握できた。そこの家の若夫婦の夫と幼い娘が死んでしまったばかり。それで、嘆き悲しむ妻リリー(レベッカ・ローミン=ステイモス:二役)とロール・アッシュが瓜二つらしくて、ロールはリリーと間違われたのだ。自分とそっくりな女性リリーと自分ロール・アッシュで、ここでも「ダブル」。ベッドのそばには自分と見間違う女性の写真とパスポートと航空券があるではないか。ロールは黒髪の鬘(かつら)をとって、ゆっくりとバスタブに浸かった。時計は 3:33 を指している。疲れと痛みと安堵感からか、お湯の中でロールはうとうとしてしまう。

【ファム・ファタール 第11段落】  すると、人の気配。髪を振り乱して半狂乱の若い女性が、居間の葬式の花束をひっくり返して何かを探している。ロールがさっき見つけたパスポートと航空券を探しているようだ。見つからないので、その女性リリーは遂に遺書を書き始めた。「アメリカに行こうと思っていました。私の英語は上手くないけれどすぐに覚えられるでしょう。飛行機の切符を買いすらしたのに、なくしてしまいました。私のティエリーとブリジット(夫と娘の名 Thierry ・ Brigitte )なしでは生きていかれません。神よ、お許しください。一緒にならせてください。」 こうしたためたリリーは拳銃自殺してしまった。・・・カーテンの陰で一部始終を見ていたロール。

【ファム・ファタール 第12段落】  機上。座席のコンピュータ・ミスで、エコノミークラスからファーストクラスへ案内されている女性。彼女こそリリーに化けたロールだ。この場面のように、エコノミーの切符でファーストクラスに乗れるほど嬉しいことはない。実際、私めも、二度もそういう経験に恵まれているのだ! シートは広くて大きいし、脚のスペースはゆったりしているし、ご馳走は分厚いフィレ・ステーキやらで、格段の差デス。ここでリリーに化けたロールは運命の出会いをする。隣の席は、カリフォルニア育ちだけどワシントンDC在住で政府機関に勤務のブルース・ワッツ(ピーター・コヨーテ:
パッチ・アダムス (1998) PATCH ADAMS
エリン・ブロコビッチ (2000) ERIN BROCKOVICH
ウォーク・トゥ・リメンバー (2002) A WALK TO REMEMBER 』等に出演)という中年男性。二人は英語とフランス語をチャンポンに話す。彼女が家族を失ったので新しい人生を求めてアメリカに向かうと知ったワッツは、心から彼女を可哀想に思い、いたわるのだった。(ここでも美人は得!)

【ファム・ファタール 第13段落】  7年後。ブルース・ワッツは在パリのアメリカ大使となっている。そして、その妻は何とリリー・ワッツ、即ちロールが大使夫人となって再びパリに来ているのだ。しかし、ロールはダイヤモンドをネコババした過去から隠れる為に、ちっとも公の場で顔を見せない。そこで、マスメディアは大使夫人の顔を撮るのに躍起となっている。ここでアントニオ・バンデラス扮するニコラス・バルドの本格的登場だ。ニコラスは大使夫人を盗み撮る方法を色々試みて、とうとう生の顔を撮ることに成功した。ロールとしたら、その写真が街に溢れれば、裏切った組織の者達に居場所が分かってしまうのを恐れ始める。

【ファム・ファタール 第14段落】  一方、裏切ってダイヤと共に姿を消したロールを恨んでいるブラック・タイとラシーンは、南フランスで刑期を終えて刑務所から出てきた( PRISON ROAD をバスから降ろされていたのでそうだと思う)。そして、パリに行って街角で迷彩服のロールの女友達を捕まえて問い正していると、トラックが突っ込んできて女性ははねられてしまう。この時、付近にアメリカ大使夫人の貴重なスクープのポスターが貼り出されているのを目にして、ロールの現在の地位を知ることとなる。劇中では写真撮影はアントニオ・バンデラスの役だが、映画の撮影は
ジャンヌ・ダルク (1999) THE MESSENGER: THE STORY OF JOAN OF ARC (英題)/ JEANNE D'ARC (仏題)
クリムゾン・リバー (2000) THE CRIMSON RIVERS (英題)/ LES RIVIERES POURPRES (仏題)』のティエリー・アーボガスト。ステデイカム担当のラリー・マッコンキー Larry McConkey は
愛しのローズマリー (2001) SHALLOW HAL
ブロンド・ライフ (2002) LIFE OR SOMETHING LIKE IT 』に携わっている。

【ファム・ファタール 第15段落】  その頃、アメリカ大使夫人となっているロールは、サングラスにスカーフという出で立ちで挙動不審な動き。場末の風俗ショップに入って、札束を渡してピストルを入手している模様だ。気になった写真家ニコラス・バルドはつけてみると、彼女はシラトン・ホテルの部屋に入る。彼女が自殺する様子だと感じたニコラスは、その部屋に探しものの振りをして彼女が嫌がるのを押して入り込み、引き出しからピストルを見つける。彼女が自殺しようとしていると勘違いしているニコラス。でも、ロールはそんなか弱い女性でないのだ。「ファム・ファタール」とは「魔性の女」「運命の女」のことだから(ダイアン・レインの
運命の女 (2002) UNFAITHFUL 』は全然ストーリーが違いますが)。さぁ、ロールは一体どんなことをやらかすのだろう。

【ファム・ファタール 第16段落】  ニコラスは、外に誘ってコーヒーを一緒に飲んで彼女を落ち着かせた(つもり)。アメリカでは無事に暮らせていたのに、フランスに来てたった一枚の写真のお蔭で生きていけなくなった、と彼女は愚痴を言う。ニコラスはロールの背景を知らぬままに、自分があの写真を撮った、申し訳ない、と謝る。カフェからシラトン・ホテルに戻ると、まだ自殺するのではないかと心配するニコラスに、常備薬が切れたから薬局に買いに行くように頼み、その際、愛車ベンツのキーも、毛皮つきの高級コートも、更にはハンドバッグまでニコラスに持って行かせ、その前に、彼を挑発さえする。

【ファム・ファタール 第17段落】  しかし、薬局に行っているニコラスを警察が囲んで逮捕した。ロールがニセの通報をしたためだ。ロールは目撃者の振りをして、ニコラスがお金持ちの婦人の車ごと盗んだと、トーンの高いイタリア語かスペイン語訛りのおばちゃん的フランス語で電話で警察に通報したのである。ロールは流石、国際的な詐欺師だ。やはり芝居が上手い。ニコラスは警察で、大使のワッツ夫人が自殺しようとしていたのを止めた旨を説明するが、信じてもらえない。大使のワッツ氏は、全て誤解であって、何も起こっていない、と警察に言って面目を保つ。

【ファム・ファタール 第18段落】  実は、ロールは悪女の知恵を使って、夫をも利用する大胆な計画を立てていた。自分が誘拐されたことにして、脅迫状を夫ワット氏にニコラスからのEメールで送ったのだ。奥さんを取り戻したかったら身代金千万ドル(約 12 億円)を持って、パスレル・ドゥビリー橋 Passerelle Debilly Bridge に午前2時に来い。警察に知らせたら奥さんの命はない、という内容だ。パスレル・ドゥビリー橋はセーヌ川 La Seine に架かる橋の一つ。ニコラスには、夜の 10 時にその橋に来るように伝えてきた。それを読んで悩むニコラス。どんどん彼女の手の内に入れられているとは知らずに。

【ファム・ファタール 第19段落】  ニコラスが困惑した表情で橋に赴くと、ロールは「リリーと呼んで」と軽く振る舞い、みんなニコラスが自分を誘拐したと思っている、と怪しく笑って話す。ニコラスがロールの写真を撮ってマスコミに売ったから、悪い男達が自分を追って集まってくる。だから、当然の酬いだと言いたそうな。そして、二時間ほど楽しみましょうと彼を酒場に誘う。ここでセクシーな下着姿になって男達を挑発する。衣装担当は
YAMAKASI ヤマカシ (2001) YAMAKASI (英題)/ Yamakasi - Les samourai des temps modernes (仏題)』のオリヴァー・ベリオで、レベッカ・ローミン=ステイモスの肉体的魅力を存分に出している。ニコラスは彼女の"魔性"にとうとう負けてしまって一線を越す。

【ファム・ファタール 第20段落】  午前2時になった。パスレル・ドゥビリー橋に、アメリカ大使のワット氏は妻の無事な解放を信じて身代金を運んで来た。ロールは哀れな人質の芝居をして夫にすがり付こうとする。その時、ニコラスは彼女が悪だくみを語った際に隠して録音しておいた証拠のテープを取り出して、この女は夫から千万ドルを取ろうとしているのだとワット氏に教える。しかし、その途端、ロールは夫を射殺。更に、ニコラスも撃つ。そして、そのピストルをニコラスに握らせた。大分悪い女だなぁ。その光景を静観していたブラック・タイらは裏切り者ロールを捕まえて、ダイヤの隠し場所を聞こうとして、ロールはセーヌ川に落とされた。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ファム・ファタール 第21段落】  川の中からもがいて浮き上がるロール。でも、服を着ていた筈なのに、裸体みたいだけど…。あれッ!? うとうとしてバスタブに沈んでしまって、目を覚めて顔を出したところだった。時計は 3:33 を指している。さっきのシーンのやり直し! 別のストーリー展開に。ロールは、夫と娘をなくしてピストル自殺しようとする自分と瓜二つの女性を止めて、銃で殺してあげようか、それともアメリカで新生活を送るか、二者択一させる。

【ファム・ファタール 第22段落】  次のシーンは引越しトラックに乗っている女性と運転手(シルヴァトーレ・インゴリア)。女性がしているペンダントをトラック運転手は気に入って、娘の十歳の誕生日にプレゼントしたいから買った店を教えてほしいと言う。すると女性はそのペンダントを外して、トラックのバックミラーに吊るして、こうすればいつでも娘さんのことを思っていられますよ、と上げてしまう。ダイヤみたいな超大粒のガラス状のペンダントだ。

【ファム・ファタール 第23段落】  7年後。ニコラス・バルドがカメラを構えていると、アメリカ大使夫人は迷彩服の女性と語っている。以前のシーンとそっくり。その後の、ブラック・タイらと押し問答までは同じだが、台詞が聞こえる。「お前とロールがやったな」と責めるブラック・タイ。しかし、女性は「あの時、取替えはしなかったのよ。」 そこに、バックミラーに吊るしたペンダントが日光で煌(きらめ)いて一瞬前が見えなくなったあのトラックが。そして轢いてしまうのは、女性の方でなく、ブラック・タイら男性二人だった。交通事故現場に野次馬がごったがえして集まり、ロールは路上に転ばされる。それを助け起こした男性がニコラス・バルド。「どこかでお目にかかったことが?」「夢の中でね。」・・・

【ファム・ファタール 第24段落】  こういう、ラスト近くにとんでもないどんでん返しがある。お風呂に浸かった後からの進展は、最初のと「ダブル」構造である。冒頭の「ダブル」の意図は、このように最後まで綿密に計算されていたのだ。これがブライアン・デ・パルマ監督のこの映画の流儀、或いは、お遊びなのである。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず7923文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      ファム・ファタール 公式サイト(英語版)
       http://www.femmefatalethemovie.com/
      PULP CULTURE column for NOV. 14, 2002: De Palma returns to his roots with 'Femme Fatale'
      http://home.hiwaay.net/~tfharris/pulpculture/columns/021114.shtml
      La Seine
      http://www.sobi.org/photos/places/Paris/seine/
■映画『 ファム・ファタール 』の更新記録
2003/07/21新規: ファイル作成
2004/12/25更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/12/11更新: ◆追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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