カサブランカ | |
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映画の森てんこ森■映画レヴュー | |
カサブランカ (1942) | |
CASABLANCA | |
映画『 カサブランカ (1942) CASABLANCA
』をレヴュー紹介します。 映画『 カサブランカ CASABLANCA 』を以下に目次別に紹介する。 ■映画『 カサブランカ CASABLANCA 』の解説及びポスター、予告編 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 カサブランカ CASABLANCA 』の映画データ ■映画『 カサブランカ CASABLANCA 』のスタッフとキャスト ■映画『 カサブランカ CASABLANCA 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 カサブランカ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 カサブランカ (1942) CASABLANCA 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 カサブランカ CASABLANCA 』の結末 ■映画『 カサブランカ CASABLANCA 』の感想 ■映画『 カサブランカ CASABLANCA 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |
■映画『 カサブランカ (1942) CASABLANCA 』の解説及びポスター、予告編 | |
カサブランカ |
■映画『 カサブランカ (1942) CASABLANCA
』の解説 映画『 カサブランカ (1942) CASABLANCA 』は、1943 年アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞に輝いた" Here's looking at you, kid. (君の瞳に乾杯。)"等の♪ピカピカのキザ♪な台詞が心に残る名作。従姉が好きだった 1979 年の沢田研二氏のヒット曲「カサブランカ・ダンディ」(詞:阿久悠、曲:大野克夫)の"カサブランカ"とはこの映画のことだと知ったのは、だいぶ成長してからデス。今回初めてこの映画『 カサブランカ 』を観て、ボギーが♪聞き分けのない女の頬をひとつふたつはり倒して♪みたいなことをする乱暴な男性ではないことが分かりました。確かに♪背中を向けて煙草を吸えば♪というように、やけに映画の中で煙草を吸っていたので、ボギーは 1957 年 1 月 14 日に 57 歳の若さで喉頭癌のために亡くなってしまったのかもしれません。 『 カサブランカ 』の舞台は、第二次世界大戦下のフランス領モロッコの都市カサブランカ。余談だが、カサブランカは英語ではホワイトハウスで白い家だ。この街でナイトクラブを経営するアメリカ人リチャード・ブレイン。彼の店にレジスタンス運動家が美女を伴ってやって来た…。 |
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 カサブランカ (1942) CASABLANCA 』の映画データ | |
上映時間:103分 製作国:アメリカ 公開情報:WB=セントラル アメリカ初公開年月:1942年11月26日 日本初公開年月:1946年6月 ジャンル:ドラマ/ロマンス |
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【『 カサブランカ 』のスタッフとキャスト】 | |
監督: マイケル・カーティス Michael Curtiz
製作: ハル・B・ウォリス Hal B. Wallis 原作: マーレイ・バーネット Murray Burnett ジョアン・アリソン Joan Alison 脚本: ジュリアス・J・エプスタイン Julius J. Epstein フィリップ・G・エプスタイン Philip G. Epstein ハワード・コッチ Howard Koch 撮影: アーサー・エディソン Arthur Edeson 音楽: マックス・スタイナー Max Steiner 出演: ハンフリー・ボガート Humphrey Bogart リチャード(リック)・ブレイン イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman イルザ・ランド・ラズロ ポール・ヘンリード Paul Henreid ヴィクター・ラズロ クロード・レインズ Claude Rains ルイ・ルノー コンラート・ファイト Conrad Veidt ハインリッヒ・シュトラッサー ピーター・ローレ Peter Lorre ウガーテ シドニー・グリーンストリート Sydney Greenstreet フェラーリ ドゥーリイ・ウィルソン Dooley Wilson サム モンテ・ブルー Monte Blue アメリカ人 マルセル・ダリオ Marcel Dalio エミル(賭け金を集めたり支払ったりする係) マドレーヌ・ルボー Madeleine LeBeau イヴォンヌ(リックのガールフレンド) ▲TOPへ |
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ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 カサブランカ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 【映画『 カサブランカ 』の背景】 「映画の森てんこ森」内にある第二次世界大戦に関する映画は・・・ 『 カサブランカ (1942) CASABLANCA 』 『 イングリッシュ・ペイシェント (1996) THE ENGLISH PATIENT 』 『 シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE 』 『 ライフ・イズ・ビューティフル (1998) LA VITA E BELLA / LIFE IS BEAUTIFUL 』 『 スターリングラード (2000) ENEMY AT THE GATES 』 『 マレーナ (2000) MALENA 』 『 9000マイルの約束 (2001) SO WEIT DIE FUBE TRAGEN (原題) / AS FAR AS MY FEET WILL CARRY ME (英題) 』 『 パール・ハーバー (2001) PEARL HARBOR 』 『 ウインドトーカーズ (2002) WINDTALKERS 』 『 エニグマ (2002) ENIGMA 』 『 戦場のピアニスト (2002) THE PIANIST 』 『 ピエロの赤い鼻 (2003) EFFROYABLES JARDINS (原題) / STRANGE GARDENS (英題) 』 『 ボン・ヴォヤージュ (2003) BON VOYAGE 』 『 ヘルボーイ (2004) HELLBOY 』 (04/07/10現在) 1939 年 9 月 1 日、ドイツ軍がポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。 1939 年 9 月 3 日、イギリスとフランスがドイツに宣戦布告。 1940 年 5 月10日、ドイツ軍がフランス侵攻開始。 1940 年 6 月14日、ドイツ軍によるパリ陥落。 1940 年 6 月22日、フランスがドイツに降伏。 引き続きフランスでは、 1940 年 7 月、ヨーロッパの主要な温泉保養地の一つであるヴィシー Vichy に、対ドイツ協力政権が樹立された。第一次世界大戦では、ベルダンの戦いでドイツ軍の侵攻を抑えてヒーローとなったアンリ・ペタン Henri Petain が、ヴィシー政府 The Vichy government の首相となった。この政権は連合国からは認められていなかったが、事実上その支配は占領されていないフランスやその植民地へと広がっていった。 1942 年 11 月に連合国が北アフリカに侵入した時、ヒトラーは 1940 年の休戦を廃棄し、フランス全土を占領した。ヴィシー政府はドイツが1945年 5 月に降伏するまで続いた。 連合軍がフランス領モロッコ Morocco (現首都ラバト)の大都市カサブランカに侵入したのは、 1942 年 11 月 8 日。 1943 年の春頃公開の予定だった映画『カサブランカ』には連合軍侵入は描かれていない。そこで、スタジオ幹部は連合軍の侵入を組み入れるよう変更を提案した。ジャック・L・ワーナー Jack L. Warner (ワーナー・ブラザーズの創立者の一人)は反対したが、結局屈服し、プロデューサーのハル・B・ウォリスがボガートとレインズが侵入について聞くというエピローグの撮影を準備しかかった。しかし、バーグマンと契約するスタジオの所有者、デイヴィッド・O・セルズニックが映画を試写し、ワーナーにできるだけ早く公開するように促した。ワーナーはすぐに同意し、 1942 年 11 月 26 日にニューヨークでプレミアを行った。ロサンゼルスでは翌年 1 月の一般公開まで放映しなかったので、 1943 年の映画としてアカデミー賞で審査された。戦時中に製作された映画ならではのハプニングである。 その第 16 回目のアカデミー賞授賞式で、本作品『 カサブランカ 』が作品賞に呼ばれた。プロデューサーのウォリスがステージに上がる途中に、ジャック・L・ワーナーが先にスタジオを代表してオスカー像を受け取ってしまった。当時、作品賞のオスカー像は慣習的にスタジオに置かれたそうなのだが、ジャックの公の場での無作法は、2つの結果を引き起こした。1つは、抗議してウォリスがワーナー・ブラザーズを辞めたこと。2つは、プロデューサーがアカデミーと一緒になって、より権力を振るい始めたこと。それから8年後の『 巴里のアメリカ人 (1951) AN AMERICAN IN PARIS 』からずっと、オスカーの作品賞はスタジオの代わりに映画プロデューサーが行くことになっているそうだ。 これもまた戦時中だからなのかもしれないが、アカデミー賞3部門に輝いた本作『 カサブランカ 』は 95 万ドル(1ドル=約 120 円換算で約 1 億 1400 万円)の低予算映画で、空港の背景で本物の飛行機を使えず、ボール紙の小さな切り抜きで代用したそうだ。飛行機が標準サイズであるという錯覚を与えるのに、飛行機の離陸を準備する乗組員を小さい人が演じているらしい。しかし、戦時中だからこそ、この映画『 カサブランカ 』の内容には意味があったと思うし、上記のような戦史をリアルタイムに感じている当時の観客は、現代人よりもっとこの映画に感動しただろう。私だってフランスの国歌「ラ・マルセイエーズ La Marseillaise 」を皆で歌うシーンにはジーンっときてしまったもん。 【映画『 カサブランカ 』のストーリー】 【カサブランカ 第01段落】 ドイツ占領下のヨーロッパから、多くの人々が自由の国アメリカを目指したが、船の出るポルトガルのリスボンへ向かうのは難しく、回り道をせざるを得なかった。パリ Paris 、マルセイユ Marseille 、アルジェリアのオラン Oran, Algeria 、そしてモロッコのカサブランカへ。お金やコネのある者はそこで出国ビザをもらい、リスボンを経由してアメリカへと旅立つことができたが、それ以外の多くの人々はここでひたすら幸運を待ち続けた。 【カサブランカ 第02段落】 ドイツの連絡員2人を列車内で殺害し、通行証を奪って逃走した犯人がカサブランカへと向かった。ヴィシー政権下のフランス領カサブランカでは、犯人検挙のための厳しい捜査が行われている。粛清する為か、ドイツ人のハインリッヒ・シュトラッサー少佐(コンラート・ファイト)がカサブランカに到着し、フランス人のルイ・ルノー警察署長(クロード・レインズ)が空港に丁重に出迎える。シュトラッサー少佐を演じたコンラート・ファイトはナチス嫌いで有名で、この映画ではナチス党員を演じた俳優の多くがユダヤ人だったそうだ。 【カサブランカ 第03段落】 このとき、ドイツの少佐に媚を売ろうとするイタリアの大尉が出てくる。この映画では、快進撃を続けるドイツに引っ付いて、 1940 年 6 月 10 日にイギリスとフランスに宣戦布告をした敵国イタリアに対して冷ややかな演出がなされている。ウガーテ(ピーター・ローレ)、フェラーリ(シドニー・グリーンストリート)、街のスリといったナチス以外の不愉快な登場人物は、イタリア人なのだ。ファシズム国家を糾弾する映画の意図は理解するし、当時の世界情勢では仕方が無いとも思うが、映画の中で軽蔑されることの多い日本人としては、ステレオタイプな一国の悪いイメージをメディアで流すことには反対だ。 【カサブランカ 第04段落】 ルノー警察署長のシュトラッサー少佐への話では、通行証を奪った犯人が今夜"リックの店 Rick's Cafe Americain "に現れる。"リックの店"はアメリカから国外追放になった 37 歳のアメリカ人リチャード(リック)・ブレイン(ハンフリー・ボガート)が経営しているクラブ。もちろんお酒も飲めるし、黒人ピアニストのサム(ドゥーリイ・ウィルソン)、エキゾチックなギタリストの女性、楽団たちがそれぞれ奏でる音楽も楽しめるし、カジノでギャンブルもできる、カサブランカのナイト・スポットだ。ビザ取得の為にカサブランカにやって来た人々が憂さを晴らしたり、怪しげな取引をしたりする、彼らの溜まり場だ。この"リックの店"はモロッコのタンジェ(タンジール) Tangiers にある五つ星ホテル「エル・ミンザ El Minzah 」がモデルになったそうだ。 【カサブランカ 第05段落】 リックはお客と一緒に飲まなかったり、怪しいお客には断固とした態度を示したりと、商売人らしくない経営者だが"リックの店"は繁盛している。従業員にも信頼されており、カサブランカの悪徳事業家フェラーリがサムをヘッドハンティングしようとしたが、もちろんサムは断る。イタリア系のフェラーリが黒人のサムを買収しようとするこのシーンは、イタリアのエチオピア侵略への批判であると思った。 【カサブランカ 第06段落】 渋くてハンサム(?)なリックは女性にもモテる。そして女性への態度はニヒルだ。彼のガールフレンドのイヴォンヌ(マドレーヌ・ルボー)との有名な会話がリックのキザぶりを表している。 イヴォンヌ: Where were you last night?(昨夜はどこにいたの?) リック: That's so long ago, I don't remember.(もう忘れたよ。) イヴォンヌ: Will I see you tonight?(今夜会える?) リック: I never make plans that far ahead.(先の事は分からない。) もし私がイヴォンヌなら、「何言うてんねん!」とツッコミを入れたくなるような台詞だ。 【カサブランカ 第07段落】 一匹狼のリックは小悪党にも信頼されているようだ。出国ビザを売って儲けているウガーテは、" You know, Rick, I have many a friend in Casablanca, but somehow, just because you despise me, you are the only one I trust. (リック、カサブランカには沢山友人がいるが、君は僕を軽蔑しているから、僕が信頼するのは君だけだ。)"と、例のドイツ人の通行証2つをリックに預けた。ルノー警察署長が話していた今夜リックの店に現れる犯人は、このウガーテだったのだ。 【カサブランカ 第08段落】 また、ルノー警察署長も今夜店で殺人犯を逮捕するとリックに声をかけてきた。 ルノー: Rick, there are many exit visas sold in this cafe, but we know that you've never sold one. That is the reason we permit you to remain open.(リック、このカフェでは沢山の出国ビザが売られているが、君が売っていないことは分かっている。だから君が店を開いていることを許可しているんだ。) リック: Oh? I thought it was because I let you win at roulette.(えっ?あなたをルーレットで勝たせているからだと思ってましたよ。) ルノー: That is another reason.(それはもう一つの理由だ。) 現在( 2003 年 2 月下旬)のイラク情勢における巧妙なフランス外交にも見られるように、なかなか一筋縄ではいかないフランス人のルノー警察署長である。彼もウガーテのように出国ビザで儲けを得ている一人だ。それもイタリア人のウガーテよりずっと高額でビザを売っているらしい。 【カサブランカ 第09段落】 ルノー警察署長は"リックの店"に有名なレジスタンスの闘士ヴィクター・ラズロ(ポール・ヘンリード)がアメリカに渡るために通行証を買いに現れると話した。チェコスロヴァキア出身のヴィクター・ラズロは、プラハの新聞でナチスを中傷し、ドイツによる占領後は地下に潜って活動を続け、強制収容所に入れられたが脱出したというレジスタンス運動の物凄いカリスマのようだ。チェコスロヴァキアというと、最近の映画では 『 ダンサー・イン・ザ・ダーク (2000) DANCER IN THE DARK 』 『 9デイズ (2002) BAD COMPANY 』 『 変身 (2002) Prevrashcheniye (原題) / METAMORPHOSIS (英題) 』 『 アンダーワールド (2003) UNDERWORLD 』 『 セイブ・ザ・ワールド (2003) THE IN-LAWS 』等を思い出す。 【カサブランカ 第10段落】 ルノー警察署長はフランス警察の威信をかけて、ヴィクター・ラズロをカサブランカに留まらせるつもりだ。そこで、案外情にもろいリックが彼らを手助けするのではと、探りに来たようなのだ。ルノー警察署長がリックを温情派だと思っているのには訳がある。 ルノー: In 1935, you ran guns to Ethiopia. In 1936, you fought in Spain, on the Loyalist side.( 1935 年に君はエチオピアへ武器を売り、 1936 年にはスペイン内乱で人民戦線政府側の義勇兵として戦った。) リック: I got well paid for it on both occasions.(どちらも金になったよ。) ルノー: The winning side would have paid you much better.(勝った側に付いていたなら君はもっと儲かっただろうね。) リックも嘗てはファシズムと戦う闘士だったのだ。因みに「エチオピアに武器を売った」というルノーの台詞は、イタリア語ヴァージョンでは「中国に武器を売った」となっていたのだそうだ。 【カサブランカ 第11段落】 リックはラズロの脱出成功に2万ドルを賭けると言ったが、ルノー警察署長は" I'm only a poor corrupt official. (自分は貧しく堕落した役人だ)"と賭け額を1万フランに下げさせた。しかし、ケチな役人のルノー警察署長がリックの話に乗ったのは、ラズロが一人ではなく、物凄い美女を伴っていることに、自分のほうに勝ち目があると考えたからのようだ。 【カサブランカ 第12段落】 シュトラッサー少佐がリックの店にやって来た。ルノー警察署長は、ここぞとばかりにルーレットに興じていたウガーテを逮捕させた。リックの面前で、彼に助けを求めたウガーテは警官隊に連行されていった。ウガーテを助けようとしなかったことに嫌味を言った客の一人に、巻き添えはごめんだと答えるリック。リックはファシズムと戦う昔の熱い心を忘れてしまっているのだろうか?彼がこんなに変わってしまったのは何故だろう? 【カサブランカ 第13段落】 ウガーテの逮捕で騒然となった店内が元通りになった頃、ヴィクター・ラズロが美しい女性を連れ立って現れた。その美女を見て、ピアノ弾きのサムは驚く。お互い顔見知りのようだ。もちろんルノー警察署長とシュトラッサー少佐もラズロの出現に気付く。シュトラッサー少佐はヴィクターに明朝 10 時に警察に来るように伝えた。 【カサブランカ 第14段落】 ウガーテが現れないことを不審に思ったヴィクターが、状況を探りにテーブルから離れていた間、彼の連れの美女イルザ(イングリッド・バーグマン)はピアノ弾きのサムを呼んで、思い出の曲を弾いてくれるように頼んでいた。 イルザ: Play it once, Sam. For old times' sake.(もう1度弾いて。昔の思い出のために。) サム: I don't know what you mean, Miss Ilsa.(あなたのおっしゃる意味が分かりません。イルザさん。) イルザ: Play it, Sam. Play "As Time Goes By."(弾いて、サム。「時の過ぎゆくまま」を。) サム: Oh, I can't remember it, Miss Ilsa. I'm a little rusty on it.(覚えていませんよ、イルザさん。ちょっとその曲は下手なんです。) イルザ: I'll hum it for you. ♪ Da-dy-da-dy-da-dum, da-dy-da-dee-da-dum …♪(あなたのために口ずさむわ。…) イルザ: Sing it, Sam.(歌って、サム。) サム: ♪ You must remember this / A kiss is still a kiss / A sigh is just a sigh / The fundamental things apply / As time goes by. / And when two lovers woo, / They still say, "I love you" / On that you can rely / No matter what the future brings …♪ 【カサブランカ 第15段落】 「 As Time Goes By 」という曲は、1931 年のブロードウェイ・ミュージカル「 Everybody's Welcome 」で初登場し、フランシス・ウィリアムズ Frances Williams によって歌われた。生涯独身だったハーマン・ハプフェルド Herman Hupfeld が作詞・作曲であるこの曲のほとんどは、作曲家サミー・フェイン Sammy Fain と作詞家 Irving Kabal によって考案されたそうだ。映画の公開後、「 As Time Goes By 」はラジオ番組「ヒット・パレード Hit Parade 」に 21 週間留まったそうだ。 【カサブランカ 第16段落】 ワーナー・ブラザーズは、別の曲を「 As Time Goes By 」の代わりにして、イングリッド・バーグマンのシーンを再撮影しようとした。それは音楽のマックス・スタイナーが著作権使用料の資格を得る為に、オリジナルの曲を作曲したいと言ったからだった。しかし、バーグマンは『カサブランカ』の完成後すぐに撮影を始めた『 誰が為に鐘は鳴る (1943) FOR WHOM THE BELL TOLLS 』の役作りで髪を短く切っていたので、その考えは却下された。 【カサブランカ 第17段落】 「 As Time Goes By 」がお気に入りだった、本作の原作者である脚本家で高校教師のマーレイ・バーネットが南フランスを訪れた時、カフェで黒人のピアニストが、ナチス党員、フランス人、難民といったごちゃ混ぜの群集を楽しませていたのを見て、彼は影響を受けた。彼は 1940 年に「 Everybody Comes To Rick's 」というメロドラマをジョアン・アリソンと共同作製した。そのストーリーが 1941 年 12 月 8 日にワーナー・ブラザーズのストーリー局 Story Department に到着し、プロデューサーのウォリスによって題名が変更され映画となったのだ。当初はリック役に後のアメリカ第 40 代大統領ロナルド・レーガン Ronald Reagan 、イルザ役にアン・シェリダン Ann Sheridan 、ヴィクター役にデニス・モーガン Dennis Morgan という配役予定だったそうだ。 【カサブランカ 第18段落】 また、ウォリスはサム役を女性にしようと思っており、ヘイゼル・スコット Hazel Scott 、レナ・ホーン Lena Horne、エラ・フィッツジェラルド Ella Fitzgerald が候補に上がっていたそうである。サムを演じたドゥーリイ・ウィルソンはプロのドラマーで、ピアノの演奏は見せかけ。カーテンの後ろでエリオット・カーペンター Elliot Carpenterが弾いている音楽が、映画の撮影と同時に録音されていたのだ。ウィルソンが真似できるように、カーペンターは自分の手の動きが見せられる場所にいて、ピアノを弾いていた。 【カサブランカ 第19段落】 「それは歌うな」とサムのところに急いでやって来たリックは、イルザを見てハッとする。ちょうどそのとき、ヴィクターがルノー警察署長を連れてテーブルに戻ってきた。リックは前例を破って、ヴィクターたちのテーブルに同席する。リックとイルザは昔かなり親しい仲だったように見受けられるが…。 【カサブランカ 第20段落】 その晩、閉店した店で、お酒を飲むリックは、心配するサムに「 As Time Goes By 」を弾かせて、昔の思い出に浸った。それはパリでのイルザとの夢のような日々である。イルザは自分の過去について語らなかったが、二人は現在の気持ちに忠実に激しく愛し合った。しかし、その甘い思い出は、ドイツ軍のパリ陥落と共に終わってしまった。最後に二人が会ったのは、パリが侵攻される前日、オーロラという店だった。サムはその店のピアニストだったみたい。身の危険に気持ちが高まったリックはイルザにプロポーズする。一緒にパリを脱出するはずだったのだが、翌日待ち合わせの時間にイルザは駅に現れなかった。雨が降りしきる駅で、リックの許にやって来たのは、サムが携えたイルザからの別れの手紙。リックはサムと一緒に列車に乗り、その手紙を丸めて捨てた。 【カサブランカ 第21段落】 リックが誰にも心を閉ざしたように、このカサブランカで暮らしているのは、最愛の女性に去られたせいなのだ。その晩、リックの予想通り、話があるとイルザが訪ねて来た。オスロから出てきた自分が夢のような著名な人物にパリで出会い、彼への尊敬の念を愛だと思ったと話すイルザ。すっかり酔っ払って、スネているリックは、イルザの指す"著名な人物"がヴィクター・ラズロなのか自分なのかそれとも別の誰かなのかといった嫌味を言う。カチンときたイルザは続きを話すことなく、店を出て行った。しかし、翌日、リックは衝撃の事実を彼女の口から聞く。イルザはリックと知り合う以前からヴィクターと結婚していたのだ。 【カサブランカ 第22段落】 イルザと一緒に警察を訪れたヴィクター。シュトラッサー少佐はレジスタンス運動の各地指導者の名前を明かせばビザを出すとヴィクターに言うが、高潔な彼がそんな取引に応じるはずがなかった。その後、カサブランカの闇市の帝王フェラーリを訪ねるが、警察がヴィクターの監視をしている状態で、イルザと二人一緒にカサブランカを出ることは難しいことを知る。ヴィクターはイルザに先に一人でアメリカに行くように言うが、イルザは承知しなかった。カサブランカで出国ビザを手配できるのは、ルノー警察署長、ウガーテ、フェラーリであるが、その誰からも2つのビザを用意してもらえそうに無い。最後に頼れるのは、ウガーテの通行証を持つリックだ。警察でも、闇世界でも、例の通行証を持っているのは、リックだというのが専らの噂になっていた。 【カサブランカ 第23段落】 映画のラストシーンが撮影されるまで、イルザがリックとヴィクターのどちらの男性を選ぶのか誰も知らなかったそうだ。バーグマンがカーティス監督に自分が演じるキャラクターがどちらを愛しているのか尋ねた時、彼女はその中間を演じるように言われた。しかし、エンディングが最後の撮影シーンではなかったので、彼女は徐々に幾つかのシーン撮影で気付いていった。結末のヒントとなっているシーンの一つが、上記のフェラーリの「青いオウムの店 the Blue Parrot 」にヴィクターとイルザが訪れた場面である。 【カサブランカ 第24段落】 警察が通行証を見つけるためにリックの店を捜査したが、サムのピアノに隠した通行証は誰にも見つからなかった。ルノー警察署長は、通行証を持つリックがヴィクターたちを助けるかどうかを試すためか、出国ビザを手に入れたい若いブルガリア女性を遣してきた。彼女はお金が無いので、出国ビザを手に入れるために、夫に内緒でルノーの自由になることをリックに伝えた。リックは口では彼女にブルガリアに戻るように言っていたが、ルーレットで彼女の夫が勝つように仕向けた。そして見事その夫はビザを買えるだけの大金を得た。やっぱりリックは情にもろい。 【カサブランカ 第25段落】 このシーンでブルガリア人妻を演じたジョイ・ペイジ Joy Page は、スタジオのオーナー、ジャック・L・ワーナーの義理の娘だ。本作にクレジットされたキャストの中で、この彼女とハンフリー・ボガートとドゥーリイ・ウィルソンだけが、アメリカ生まれの俳優だ。カーティス監督のハンガリー訛りの英語は、セット上で混乱を引き起こすことがよくあったそうだ。(カーティス監督は、ブダペスト出身である。) 【カサブランカ 第26段落】 リックはブルガリアの若夫婦は助けたが、嘗て自分を捨てた最愛の女性とその夫となれば話は違ってくるだろう。ヴィクターが大金を積んだにも拘らず、リックは通行証を渡さなかった。そして通行証を譲らない理由は、イルザが知っているとリックはヴィクターに伝える。リックも昔はヴィクターと同じ理想を持っていた。ヴィクターは今もその理想に生きる闘士であり、その世界の重要人物である。一方、自分は地の果てのようなカサブランカで国にも帰れず、ナイトクラブの経営をしている。そうなった原因である、最愛の女性が…。それはやっぱり惨めだなぁ。 【カサブランカ 第27段落】 ラズロがリックの部屋から出てくると、店内でナチス党員がサムのピアノを使って、ドイツの軍歌" Die Wacht Am Rhein (ラインの守り)"を合唱していた。すぐにラズロは楽団に「ラ・マルセイエーズ」を演奏するように指示。戸惑う楽団だったが、リックが頷(うなず)くのを見て演奏を始めた。店内の客が総立ちになってフランス国家を歌い、ドイツ軍歌を蹴散らしてしまう。イルザは皆の中心となって、高らかに「ラ・マルセイエーズ」を歌う夫ヴィクターを尊敬の眼差しで見つめる。ナチス党員とデートをしていたイヴォンヌも、涙を流して国家を歌い、歌の終わりには" Viva la france! (フランス万歳)"と叫んだ。 【カサブランカ 第28段落】 ワーナーは、ナチス党歌"ホルスト・ヴェッセル Horst Wessel "を上記の一連のシーンで使いたかったのだが、ドイツの会社がその著作権を持っていたので、ちょっと気に入らないが、「ラインの守り」を選んだそうだ。 【カサブランカ 第29段落】 ドイツの威信が傷つけられたため、シュトラッサー少佐はリックの店の営業停止を命じ、ヴィクターに圧力をかけるため、イルザを脅した。二人が占領下のフランスに戻るか、カサブランカの強制収容所に入るか、それとも、いつの間にか殺されているか…。ホテルに戻ったヴィクターとイルザ。ヴィクターはリックとの関係について薄々気付いていたが、イルザを責めるようなことはしなかった。イルザは自分を深く愛してくれているヴィクターを守る為、彼が運動集会へと出かけた後、こっそりリックの店へと出かけていった。 【カサブランカ 第30段落】 イルザは通行証を渡そうとしないリックに、銃口を向けた。しかし、それでも怯まないリックに、イルザは今でも愛していると告白した。もちろんずっと彼女を愛し続けていたリックは彼女を受け入れる。イルザは悪意からヴィクターと結婚していたことをリックに黙っていたわけではないことを説明した。パリでヴィクターが強制収容所で死んだという知らせを受け、絶望している時に彼女はリックと出会った。ヴィクターとの結婚を伏せていたのは、ラズロの意思で、イルザを危険な目にあわせたくなかったからだそうだ。そして待ち合わせの駅にイルザが現れなかったのは、ちょうどその日に友人から病気のヴィクターがパリ郊外で匿われていることを知ったからだった。自分はリックと一緒に残るから、ヴィクターがアメリカへと出国できるようにして欲しいとイルザは頼む。リックはイルザの嘘にだまされた振りをした。 【カサブランカ 第31段落】 店内で物音がするので、リックが階下を覗くと、店のウェイターのカールがヴィクターの軽傷を手当てしていた。彼らは集会でドイツ軍に襲われたのだ。リックは機転を利かせて、ヴィクターに気付かれないように、カールにイルザを送らせた。ヴィクターはリックにイルザだけアメリカへ出国させてくれるように頼んだ。夫婦が考えることは同じらしい。ちょうどその時、店内にドイツ兵が押し入り、ヴィクターは逮捕されてしまった。 【カサブランカ 第32段落】 翌日、ヴィクターを釈放させる為、リックは警察を訪れた。そこで彼はルノー警察署長にヴィクターを陥れる計画を話した。リックはイルザと一緒に逃げたいが、イルザがヴィクターの妻だということで、色々知っていると思われ、足止めされたくない。そこで、ヴィクターを強制収容所送りにしたい。ヴィクターがリックから通行証を手に入れたところを、ルノー警察署長が捕まえるという算段だ。ルノーは自分の手柄になる話に飛びついた。その後、リックは"リックの店"をフェラーリに売り、カサブランカを去る準備をする。 【カサブランカ 第33段落】 警察から釈放されたヴィクターがイルザと一緒に通行証を手に入れるため、リックの店にやって来た。リックはヴィクターに当面のお金と通行証を渡した。そこで計画通りにルノー警察署長参上。しかし、リックはルノーを裏切り、彼に銃を突きつけた。リックはルノーに空港に手配の電話をかけさせた。その時ルノーは空港の職員に話す振りをしながら、実はシュトラッサー少佐に電話をかけていた。非常事を悟った少佐は、警官隊を派遣させ、自らも空港へ向かった。・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【カサブランカ 第34段落】 ヴィクターは飛行機へ向かい、リックはルノー警察署長にラズロ夫妻の搭乗手続きを命じた。リックと一緒にカサブランカに残ると思っていたイルザは、自分の知らない展開に驚く。リックは初めからこうするつもりだったのだ。もしイルザが自分と一緒に残ったとしても、二人に待っているのは、強制収容所での暮らしだ。 【カサブランカ 第35段落】 イルザ: But what about us?(でも、私たちはどうなるの?) リック: We'll always have Paris. We didn't have, we, we lost it until you came to Casablanca. We got it back last night.(僕たちにはいつもパリがあるよ。君がカサブランカに来るまで失っていたが、僕たちは昨夜取り戻したんだ。) イルザ: When I said I would never leave you.(私はあなたの許を去らないと言ったわ。) リック: And you never will. But I've got a job to do, too. Where I'm going, you can't follow. What I've got to do, you can't be any part of. Ilsa, I'm no good at being noble, but it doesn't take much to see that the problems of three little people don't amount to a hill of beans in this crazy world. Someday you'll understand that. Now, now... Here's looking at you kid.(そうだよ。しかし、僕にはやらなきゃならない仕事がある。僕の行くところには、君はついて行けない。君は僕のしなければならないことには関われないんだ。イルザ、僕は高潔なことは全然ダメだが、この狂気の世界ではちっぽけな三人の問題なんか、大したことではないんだ。いつか君も理解するよ。さあ、君の瞳に乾杯。) 【カサブランカ 第36段落】 イルザを説得すると、次は後のラズロ夫婦の関係を慮って、ヴィクターに成り行きを説明するリック。ヴィクターのために通行証を得るのに、イルザはリックを愛している振りをした。リックも信じた振りをした。それでここに通行証がある。リックに礼を言ったヴィクターは " Welcome back to the fight. This time I know our side will win. (闘いによく戻って来てくれたね。今度は我々が勝つ。)"と、イルザと二人飛行機に乗った。 【カサブランカ 第37段落】 シュトラッサー少佐が到着し、飛行機が飛べないように管制官に電話をかけようとした。飛行機を離陸させなければならないリックは、自分に対して発砲しようとした少佐を撃ち殺した。警官隊もその現場にやって来た。リックが逮捕されてしまう!?ところが、ルノー警察署長が彼を庇ってくれた。" Major Strasser has been shot. Round up the usual suspects. (シュトラッサー少佐が撃たれた。犯人を捜せ。)"とルノー警察署長は警官隊に命令した。 【カサブランカ 第38段落】 ルノー警察署長がヴィシー水 Vichy water (対ドイツ協力政権のあるヴィシーの発泡性ミネラル・ウォーター)のボトルをゴミ箱に捨てた時、飛行機が飛び立った。 【カサブランカ 第39段落】 ルノー: It might be a good for you to disappear from Casablanca for a while. There's a Free French garrison over at Brazzaville. I could be induced to arrange a passage.(暫くカサブランカから消えたほうがいい。ブラザヴィルに自由フランス軍の駐屯地がある。私が通行の手配をしよう。) リック: My letter of transit? I could use a trip. But it doesn't make any difference about our bet. You still owe me ten thousand francs.(僕の通行証をかい?旅で使えるな。でも、これはあの賭けとは関係が無いよ。君はまだ僕に1万フラン負けてるんだぜ。) ルノー: And that ten thousand francs should pay our expenses.(あの1万フランはオレたちの旅費だ。) リック: Our expenses?(オレたちの?) ルノー: Uh huh.(ふむ。) リック: Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship.(ルイ、美しい友情の始まりだな。) この最後の台詞は、映画史上最も引用(間違って引用)されている台詞の一つらしい。今度機会があったら、使ってみよう。 【カサブランカ 第40段落】 リックがルノーと去るか、イルザと去るか、脚本家たちは数回論議し合い、ラストシーンは何度も書き直されたそうだ。ヴィクターと結婚しているイルザがリックと一緒になるのは、検閲官には認められなかっただろうし、主な問題は明らかにリックを愛しているにも拘らず、イルザがヴィクターと去ることに妥当性があるようにしなければならないことだったそうだ。でも、私は、イルザはやっぱりヴィクターの方を愛していたと思うんだけど。だから、上のストーリーもそういう視点から書いてしまったよ。 ▲TOPへ 【映画『 カサブランカ 』の感想】 ♪ボギー、ボギー、あんたの時代は良かった♪確かに、大儀のため、愛する女性のため、自己を犠牲にしたボギーはカッコよかったが、ちっぽけな三人の問題なんて大したことない狂気の世界の時代が良かったとは思えない。不穏なニュースが流れる昨今、ボギーのような時代が来ないことを願う。 イングリッド・バーグマンは本当にキレイな女優さんだ。ハンフリー・ボガートの3番目の妻メイヨー・メソット Mayo Methot が夫にバーグマンとの浮気を責め、撮影前の楽屋でよくやり合ったので、ボガートはカッとなって現場に現れたそうだ。浮気の真相はわからないけれども、あんなに美しい女性が夫のそばにいたら、誰だって疑っちゃうだろうな。 1915 年 8 月 29 日(乙女座)、スウェーデンのストックホルム Stockholm, Sweden で生まれたイングリッド・バーグマンの幼少期は辛そうだ。2歳の時に母親、 12 歳のときに父親が亡くなり、彼女は初老のおじと一緒に暮らした。 18 歳のときに女優になることを決心した、寂しい恥ずかしがり屋の女の子は、スウェーデンのスター女優になり、そしてハリウッドへ進出!本作『カサブランカ』でメジャーになり、『 ガス燈 (1944) GASLIGHT 』でアカデミー主演女優賞を受賞。名実共にハリウッドのトップ女優となる。 しかし、本作のイルザのように、夫がいるにも拘らず、男に走ってしまい、ハリウッド追放の憂き目に会う。 1937 年にペーター・リンドストロム Peter Lindstrom 医師と結婚し、娘ピーア Pia (後に女優)をもうけていたのだが、ネオ・リアリズモのイタリア人監督ロベルト・ロッセリーニ Roberto Rossellini と『 ストロンボリ/神の土地 (1949) STROMBOLI, TERRA DI DIO 』の撮影中に不倫。イルザと違うのは、バーグマンは夫の元には戻らなかった。ロッセリーニとの間に息子ロベルティーノ Robertino を出産した一週間後に、リンドストロム医師と離婚し、 1950 年にメキシコで監督と結婚した。 1952 年に双子の娘イゾッタ Isotta (後にメイクアップ・アーティスト)とイザベラIsabella (後に女優)を出産。 1951 年から 1955 年までロッセリーニ監督の作品に出演するが、彼女は夫の映画では成功できないと思ったようだ。ハリウッドに戻って出演した『 追想 (1956) ANASTASIA 』で見事アカデミー主演女優賞に輝き、1957年に監督と離婚した。翌年、スウェーデンの裕福な海運業一族出身の劇場企業家ラルス・シュミット Lars Schmidt と結婚( 1976 年に離婚)。そして三度目のオスカー獲得!『 オリエント急行殺人事件 (1974) MURDER ON THE ORIENT EXPRESS 』でアカデミー助演女優賞に輝く。かなり激しく生きた、寂しい恥ずかしがり屋の女の子は、 1982 年の 67 回目の誕生日に、乳癌手術に続くリンパ腫の併発で亡くなった。遺灰はスウェーデン沖合いの海に撒かれたそうだ。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず15286文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com 公式サイト(英語/仏語版) Vincent's CASABLANCA HomePage Information Please: On-Line Dictionary, Internet Encyclopedia, Atlas, & Almanac Reference |
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■映画『 カサブランカ (1942) CASABLANCA 』の更新記録 2003/03/12新規: ファイル作成 2004/07/10更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式 2005/03/11更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 |
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