ベティ・サイズモア | |
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映画の森てんこ森■映画レヴュー | |
ベティ・サイズモア (2000) | |
NURSE BETTY | |
ベティ・サイズモア |
【『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY
』の解説】 映画『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY 』を紹介します。映画『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY 』は、2000年カンヌ映画祭脚本賞、レニー・ゼルウェガーがゴールデン・グローブ賞最優秀主演女優賞を獲得した、ニール・ラビュート監督(『 抱擁 (2002) POSSESSION 』等)作品。『 ベティ・サイズモア 』は「オズの魔法使い」を思わせるストーリーに、コメディ、サスペンス、ロマンスなど、盛り沢山の面白い映画。 邦題の『 ベティ・サイズモア 』というのは、カンザスでウェイトレスをしているベティ・サイズモア(レニー・ゼルウェガー:『 ブリジット・ジョーンズの日記 (2001) BRIDGET JONES'S DIARY 』『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』等)という女性の名。ベティ・サイズモアは、性格の良い可愛い女性だが、中古車販売のセールスマンである、浮気好きでどうしようもない夫デル(アーロン・エッカート:『 エリン・ブロコビッチ (2000) ERIN BROCKOVICH 』『 抱擁 (2002) POSSESSION 』等)との結婚は破綻していた。看護婦になりたいという夢もあったが、結婚が夢を台無しにしていた。そんなベティがはまっているのが、昼メロ「愛のすべて」。彼女はそのドラマの主人公デヴィッド・ラベル外科医師(グレッグ・キニア:『 ギフト (2000) THE GIFT 』等)にゾッコンなのだ。 彼女の誕生日に、事件が起きる。麻薬売買に手を染めていたデルが、殺し屋に残酷に殺されるのを目撃したベティは、その恐ろしい現実から逃避する為に、大好きなドラマの世界に浸ってしまう。実在しないデヴィッド・ラベルを求めて、ロサンゼルスに旅に出る。そんな彼女を殺し屋の二人(モーガン・フリーマン、クリス・ロック)が追うが…。 |
■映画『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY
』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)※ご注意:『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY
』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 ベティ・サイズモア 』の感想(ネタばれご注意) >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 | |
■『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY
』のデータ 上映時間 112分 製作国 アメリカ 公開情報 Uni=UIP 初公開年月 2001/05/12 ジャンル コメディ/サスペンス 《米国コピーTagline》She's chasing a dream... they're chasing her. |
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【『 ベティ・サイズモア 』のスタッフとキャスト】 | |
監督: ニール・ラビュート Neil LaBute 製作: スティーヴ・ゴリン Steve Golin ゲイル・マトルー Gail Mutrux 製作総指揮: モリッツ・ボーマン Moritz Borman スティーヴン・ペヴナー Stephen Pevner クリス・ジーヴァニッヒ Chris Sievernich 原案: ジョン・リチャーズ John C. Richards 脚本: ジョン・リチャーズ John C. Richards ジェームズ・フラムバーグ James Flamberg 撮影: ジャン=イヴ・エスコフィエ Jean-Yves Escoffier 音楽: ロルフ・ケント Rolfe Kent 出演: レニー・ゼルウェガー Renee Zellweger ベティ・サイズモア モーガン・フリーマン Morgan Freeman チャーリー クリス・ロック Chris Rock ウェズリー グレッグ・キニア Greg Kinnear デヴィッド/ジョージ アーロン・エッカート Aaron Eckhart デル ティア・テサダ Tia Texada ローサ クリスピン・グローヴァー Crispin Glover ロイ プルイット・テイラー・ヴィンス Pruitt Taylor Vince バラード アリソン・ジャネイ Allison Janney ライラ キャスリーン・ウィルホイト Kathleen Wilhoite スー・アン エリザベス・ミッチェル Elizabeth Mitchell クロエ(ドラマの登場人物) スーザン・バーンズ Susan Barnes 同僚のウェイトレス |
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<もっと詳しく> | |
ネタばれ御注意! このレヴューは「テキストによる映画の再現」を目指して作文しています。よって、ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE
BETTY 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 【ベティ・サイズモア 第01段落】 カンザスでウェイトレスをしているベティ・サイズモア(レニー・ゼルウェガー:『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY 』『 ブリジット・ジョーンズの日記 (2001) BRIDGET JONES'S DIARY 』『 ホワイト・オランダー (2002) WHITE OLEANDER 』『 シカゴ (2002) CHICAGO 』『 恋は邪魔者 (2003) DOWN WITH LOVE 』『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』『 ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12カ月 (2004) BRIDGET JONES: THE EDGE OF REASON 』等)は、昼メロにはまり込んでいる無邪気で無垢な女性。その「愛のすべて( A Reason to Love )」というドラマは、ハンサムで優秀な外科医デヴィッド(グレッグ・キニア:『 恋愛小説家 (1997) AS GOOD AS IT GETS 』『 ユー・ガット・メール (1998) YOU'VE GOT MAIL 』『 ギフト (2000) THE GIFT 』『 恋する遺伝子 (2001) SOMEONE LIKE YOU 』『 ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスター (2002) AUTO FOCUS 』等)を主人公にした、メロドラマ版「ER」のような内容。ベティは仕事中でもドラマの放映中はTV画面から目が離せない。食堂内にあるTVを見続けながらコップにコーヒーを注ぐという離れ業をやってのける。 【ベティ・サイズモア 第02段落】 その姿に客である黒人の二人組みの年老いたほうの男(モーガン・フリーマン:『 ドライビング Miss デイジー (1989) DRIVING MISS DAISY 』『 許されざる者 (1992) UNFORGIVEN 』『 ショーシャンクの空に (1994) THE SHAWSHANK REDEMPTION 』『 セブン (1995) SEVEN 』『 アウトブレイク (1995) OUTBREAK 』『 アンダー・サスピション (2000) UNDER SUSPICION 』『 トータル・フィアーズ (2002) THE SUM OF ALL FEARS 』『 ハイ・クライムズ (2002) HIGH CRIMES 』『 ドリームキャッチャー (2003) DREAMCATCHER 』『 ブルース・オールマイティ (2003) BRUCE ALMIGHTY 』『 ビッグ・バウンス (原題) (2004) THE BIG BOUNCE 』等)が好感を持つ。可愛くて愛想のいいベティは、職場の同僚や、常連の新聞記者のロイ(クリスピン・グローヴァー)や、保安官のバラード(プルイット・テイラー・ヴィンス)からも気に入られている。 【ベティ・サイズモア 第03段落】 今日はベティの誕生日。レストランの仲間からプレゼントをもらう。大好きな「愛のすべて」の主人公デヴィッドの等身大写真パネル、小さなカップケーキのバースデーケーキ。そして「あの旦那をどうにかしなきゃ。」と言いながら、看護学校へ行けるようにと金一封がベティに手渡された。みんなの心遣いに涙ぐむベティ。 【ベティ・サイズモア 第04段落】 中古車販売の会社を経営しているベティの夫のデル(アーロン・エッカート:『 ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY 』『 エリン・ブロコビッチ (2000) ERIN BROCKOVICH 』『 抱擁 (2002) POSSESSION 』『 ザ・コア (2003) THE CORE 』『 ペイチェック 消された記憶 (2003) PAYCHECK 』等)は、妻のことをろくに理解もせずに会社の事務員の女性と不倫している超自己中心的なサイテー男だ。ベティは誕生日の夜に近所の友達のスー・アン(キャスリーン・ウィルホイト)と出掛ける為に、新車のビュイックを借りようと夫デルの会社に電話をかけるが、まさに彼は浮気の真っ最中。しかし、留守電にビュイックを用意して欲しいという妻の声が聞こえると、デルは慌てて受話器を取り、ビュイックではなくコルシカに乗るように言う。 【ベティ・サイズモア 第05段落】 仕事が終わりデヴィッドの写真パネルを持って、デルの中古車販売店にやって来たベティ。やっぱりビュイックに乗りたいので、夫の浮気相手である事務員の目を盗んで、コルシカではなく赤いビュイックに乗って行く。しかし、友人スー・アンに用事ができてしまい、その夜の約束はキャンセルになってしまう。 【ベティ・サイズモア 第06段落】 自宅でデルに夕食を作るベティ。デルはビュイックを買うお客が家に来るので、ベティが出掛けるのは好都合だと話す。ベティはビュイックをスー・アンの家のガレージに入れてあることも、今夜の約束がなしになったこともデルには話さなかった。誕生日のお祝いの言葉もなく、無神経にカップケーキのバースデーケーキをかじった夫は、客が来るから部屋を片付けておけと言って出掛けていった。ベティは自分の祖父母から届いたバースデーカードを胸に抱きしめる。 【ベティ・サイズモア 第07段落】 スー・アンに録画しておいてもらっている「愛のすべて」のビデオを家で見ているベティ。そこにお客を連れてデルが帰ってくるが、奥の部屋でビデオを見ているベティの存在には気付かない。ベティは部屋のドアをそっと閉めて、ビデオ鑑賞に熱中する。 【ベティ・サイズモア 第08段落】 デルの状況は最悪だった。実はデルは麻薬売買に手を染めていた。今夜の商談は車ではなく麻薬だ。デルの客は黒人の年のいった男と若い男(クリス・ロック)の二人組みだ。ベティがコーヒーを注いだあの二人組みである。しかし、彼らは客ではなかった。不正な方法で麻薬を入手したデルから、その麻薬を取り戻す為に依頼を受けてやって来た、そのスジのプロだった。年のいった方の男は、体を椅子に縛られ靴下の猿轡をはめさせられたデルに、 150 年前に行われていたインディアンの拷問の話を聞かせた。「先住民たちは剥いだ。侮辱したものの頭の皮をね…。」若い男がデルの額にナイフで切れ目を入れ、血が流れると、デルは麻薬のありかを吐いた。「ビュイックに積んでるよ…。」 【ベティ・サイズモア 第09段落】 デルの叫び声を聞いたベティは、ドラマに惹かれつつも隣の部屋の様子をうかがうと、ナイフで頭の皮を剥がれている夫の姿があった。あまりにも残酷な光景にベティは声も出ない。皮を剥いだ若い黒人の男は動揺し、年老いた方の男は何て事をしたと若い男を叱り付け、パニックに陥って逃げ惑うデルを銃で撃つ。ベティは恐ろしい出来事から逃避する為に、「愛のすべて」の世界に入り込んだ。ビデオを巻き戻し、お気に入りのデヴィッドの台詞に聞き惚れる。「僕には素晴らしい出会いの予感が…、誰かと出会える。レズリー(デヴィッドの亡妻)を失ってからそういう予感が。」画面いっぱいのデヴィッドのアップに微笑むベティ。 【ベティ・サイズモア 第10段落】 ベティの為にバースデーケーキを持って来たスー・アンは、家の中の悲惨な光景に叫び声を上げる。ベティの家に警察や新聞記者のロイがやってくる。ベティにお悔やみを言うが、ベティには悲しそうなそぶりが全くない。質問をするロイに、ベティは「犯人はクロエよ。」と、「愛はすべて」に登場する悪者の女性の名前を挙げ、スーツケースに荷物をまとめて家から出て行った。 【ベティ・サイズモア 第11段落】 ベティは警察で精神状態の診断を受けていた。保安官のバーディはベティを疑い、ベティのコーラス仲間でもあるロイは彼女の疑惑を否定する。そこに診断を終えた医師が現れ、ベティの状態を説明する。ベティは別世界に逃避して何事もなかったように思い込むというショック状態にある。 【ベティ・サイズモア 第12段落】 心配して家にやって来てくれた仕事仲間やスー・アンが帰ったあと、ベッドで何かを考えているベティ。起きだして「愛するデル、…思い切って自立して自分の道を歩んでみることにしました…」と、もうどこにもいない夫に手紙を書き、赤いビュイックに乗って旅立っていった。 【ベティ・サイズモア 第13段落】 新聞にベティ行方不明の記事。それを見た例の二人組みの年老いたほうの男チャーリーは、ベティが麻薬を持って逃げ出したと推測し、彼女を探し出すことにする。若い方の男ウェズリーは、亡くなった夫の保険金がベティにはいると保険会社員の振りをしてスー・アンに近づき、オクラホマにベティの祖父母がいるという情報を得る。一方チャーリーは刑事の振りをして、ベティの同僚のウェイトレスから彼女が昼メロにはまっていたことを聞き、誕生日のときに撮った彼女の写真をもらう。 【ベティ・サイズモア 第14段落】 アリゾナの酒場にやって来たベティは、そこのTVでかかっていた「愛はすべて」に見入る。コマーシャルの合間に友人のスー・アンに電話をかけ、自分の現在の居所と安全を告げる。デルの悲惨な死から逃避しているベティに、スー・アンはデルが死んだとはっきり言おうとするが、ベティは電話を切ってしまう。酒場の女将はいい女性で、ベティの辻褄の合わない突拍子もない話を否定もせずに聞いてくれた。それはたぶん彼女自身も、『 ローマの休日 (1953) ROMAN HOLIDAY 』で憧れたイタリアに、周りの反対を押し切って旅をし、人生が変わるような経験をしたことがあるからだろう。彼女も昔は<オズの魔法使いのドロシー>だったのだ。 【ベティ・サイズモア 第15段落】 ベティの話では、ベティは車のセールスマンの夫を捨て、最初のフィアンセである外科医のデヴィッド・ラベルを求めて、ロサンゼルスにあるロマ・ビスタ病院へと向かっている。ショック状態のベティは「愛はすべて」の主人公デヴィッド・ラベルが実在の人物であると思い込んでいるのだ。ベティの思い人が想像上の人物だと知った女将は「うまくいかなかったらどうするの?」と訊くが、ベティは「生まれて初めての冒険なのよ。あきらめないわ。」と健気に答え、目的地に向かって旅を続けるため、酒場を後にする。 【ベティ・サイズモア 第16段落】 ドラマで主人公デヴィッドがロマ・ビスタ病院と掛け持っているという設定のロサンゼルスの病院にナース姿でやってきたベティ。自分が看護婦であると思い込んでいる彼女は、大胆にも看護婦長との採用面接を受け、デヴィッド・ラベル医師の話をする。もちろん推薦状と履歴書を持たないベティは断られる。病院を出てきたベティは、病院のロータリーで起きた事件に遭遇する。ロータリーに突っ込んできた車に救急車が激突。激突された車に乗っていた男がスペイン語で叫びながら銃を撃ちまくる。救急車からヒスパニックの女性が現れ、「誰か助けて、早くしないと弟が死ぬ!」と大声をあげるが、警察と銃を持った男の間の膠着状態で誰も助けに行けない。 【ベティ・サイズモア 第17段落】 ちょうどその渦中にいたベティは、銃を持った男に微笑みつつ救急車に向かう。救急車の中には、銃に撃たれて息ができない瀕死の状態の少年がいた。長らく病院モノのドラマを見続けていたベティは、少年の息ができないのは胸に空気がたまっているからだと判断し、ドラマ通りの応急処置をやってみせる。管を胸の横にあいている穴に差し込むと少年の息が返り、その管から血が噴出した。ベティのお陰で少年の命は助かった。銃を持った男は警官に射殺され、事件は解決した。ベティを見た医師から「あの優秀な看護婦は?」と尋ねられた看護婦長は、ベティの採用を決定する。しかし、看護婦免許証と推薦状が届くまでベティは患者に対応することは許されず、薬局で働くことを言い渡される。 【ベティ・サイズモア 第18段落】 ベティが助けた少年の母親は、元婚約者を求めてロサンゼルスにやって来たばかりでモーテルに暮らしているベティに、感謝の意を示すため、自分の娘のローサ(ティア・テサダ)にベティと暮らすように言う。ベティはローサのアパートで生活をすることになる。ベティの元婚約者の外科医が実在の人物だと思っているローサは、彼を探す手伝いをすると言う。しかし、ローサが自分の職場の弁護士事務所でベティの話を上司にしてみたところ、ベティの相手がドラマの登場人物であることを知る。折角親身になって協力を申し出たのに、その男が実在していないドラマの人物とは…!ローサは病院の薬局に勤めるベティのところにやって来て怒りをぶちまけるが、ショック状態のベティに何を言っても無駄。ローサは怒り呆れて帰って行く。 【ベティ・サイズモア 第19段落】 ローサは上司から「愛のすべて」の主人公デヴィッドを演じる俳優のジョージ・マッコートが出席するパーティの券を二枚もらう。ベティをギャフンと言わせるチャンスだと思ったローサは、ベティとの仲直りを装って彼女をパーティへと連れて行くことにする。 【ベティ・サイズモア 第20段落】 そんな頃、老練なチャーリーと若くてキレやすいウェズリーの二人組みは、ベティを探す旅をしていた。彼女のオクラホマの祖父母の家を訪れたりして彼女のことを調べ、毎日彼女の写真を見ているうちに、チャーリーはベティに好意を抱くようになっていた。チャーリーは今度の仕事で今の仕事から足を洗おうと考えていた。何故だか分からないが、ベティは最後のヤマの特別な女性のような気がする。祖父母の家から持ってきたベティの日記には、「将来は看護婦や獣医師のような人を助ける仕事につきたい。」と、優しい少女の気持ちが綴られている。本当にベティは殺された夫の麻薬を持って逃げるような悪女なんだろうか。はにかみ微笑む写真の中のベティ。 【ベティ・サイズモア 第21段落】 旅の途中にグランド・キャニオンに立ち寄ったチャーリーとウェズリー。グランド・キャニオンなんか見たくもないウェズリーは車の中に入ったきりだが、チャーリーは夜のグランド・キャニオンの雄大な姿に感激する。そして、頭にティアラをつけ、「オズの魔法使い」のドロシーを髣髴させるドレスを着たベティの幻覚を見る。その幻覚の彼女を抱きしめキスをするチャーリー。その様子を車の中から見ていたウェズリーは「いい加減にしろ!」と戻ってきたチャーリーを怒る。 【ベティ・サイズモア 第22段落】 ベティはローサと一緒にパーティに来ていた。番組のスタッフと一緒に現れたジョージ・マッコートを見つけたローサは、ベティに彼と話をしてくるようにと意地悪に勧める。マジにデヴィッドが自分の元恋人だと思っているベティは、やっと見つけた彼の姿に喜び、話をする為に近づいていく。自分と婚約していたと言うベティに戸惑う、俳優ジョージ・マッコートだったが、彼も番組スタッフたちも、女優志願のベティが役を得る為に即興で演じている芝居だと思い込む。ベティを気に入ったジョージは、自分たちと一緒に行こうと誘う。ジョージと腕を組みながら外に出て行くベティを見たローサは憤懣(ふんまん)やる方ない。ドラマの悪役ロニーを演じている俳優がベティを見て「新顔か?」と言うと、本当に彼が悪者だと思っているベティはその俳優をひっぱたくが、周りのスタッフたちにはウケる。「君、誰?」と訊くその俳優に「私はあなたを知っているわ!」と怒ってジョージの車に乗るベティ。 【ベティ・サイズモア 第23段落】 ウェズリーを本当に保険会社の人だと思っているスー・アンは、ウェズリーの携帯に電話をかけてきて、ベティがアリゾナの酒場にいることを教える。チャーリーとウェズリーはその酒場へと向かう。刑事だといってベティの写真を見せて彼女について訊こうとするが、酒場の女将は彼らが刑事でないことを見破り、ベティについて話そうとはしない。こうなったらもう暴力的にいくしかない。ウェズリーは客の男を捕まえ、チャーリーは女将の手を掴んだ。ベティはロサンゼルスにいる。 【ベティ・サイズモア 第24段落】 ベティの不思議な魅力に取りつかれたジョージは、番組プロデューサーのライラ(アリソン・ジャネイ)にベティの起用を訴える。ジョージの熱意にライラも仕方なく納得。ローサの部屋にベティをデートに誘いに来たジョージは、彼女を自宅に連れて行き、二人でロマンチックな時を過ごす。 【ベティ・サイズモア 第25段落】 次の日、ジョージはベティに目隠しをして、ドラマの制作スタジオへ連れて行く。ベティはいきなりリハーサルでカメラの前に立たされる。ベティの頭の中では実在の人物である人々が、セットの病院の中で、台詞を言い始める。ベティは気持ちが悪くなってきた。何だか辺りがぼんやりとする。呆然と立ちつくして台詞を言おうとしないベティに、ジョージは怒る。ジョージに責められている間に、自分を取り戻したベティ。目の前にいる男は俳優のジョージ・マッコートで、自分はドラマのセットの中にいる。ジョージも、ベティは女優志願の女の子ではなく、ドラマの熱烈なファンであることに気付く。「俺に触らないでくれ、このいかれ女!」とジョージに言われ、ベティはスタジオを出て行く。 【ベティ・サイズモア 第26段落】 ベティがジョージと一緒にいるパーティでの写真が新聞に載っているのを見たチャーリーとウェズリーは、撮影スタジオに赴き、警察の振りをしてジョージにベティの事を聞く。ジョージがベティの居所を教えて去ろうとすると、ウェズリーがドラマの登場人物のジャスミンに会わせろとジョージに頼むが断られ、キレる。暴れるウェズリーをチャーリーは連れて行く。 【ベティ・サイズモア 第27段落】 ローサが家に戻ってくると、ベティは荷物をまとめていた。その時、チャーリーとウェズリーは外に停めてある赤のビュイックのトランクの中を調べ、麻薬がそっくりそのまま入っているのを確認した。ウェズリーのカンは「ブツを持ち帰り、ゼニを」と主張するが、「ベティを最後までフォローし、ローサの家ですべての決着をつける」と、チャーリーは自分のカンを優先させる。 【ベティ・サイズモア 第28段落】 ベティが自分の夫が殺されたことをローサに話しているときに、刑事の振りをしたチャーリーとウェズリーがドアの呼び鈴を鳴らす。ベティが彼らを呼んだと思ったローサはドアを開ける。二人を見たベティは彼らがニセ刑事であることをローサに教えるが、もう遅い。手をテープで縛られる。そんなところにまた呼び鈴が鳴る。今度は新聞記者のロイと保安官のバラードだ。保安官はベティがデル殺しの犯人だと疑ってやって来たのだ。銃を持つチャーリーに二人を追い払うように言われているベティは、今はまずいと二人の入室を断るが、ドアの外で二人がゴタゴタ言い始めたので、チャーリーは二人に銃を突きつけ、部屋の中に入れる。ウェズリーが二人を殴って弱らせると、チャーリーはベティを連れて奥の部屋に入る。 ・・・ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【ベティ・サイズモア 第29段落】 チャーリーはベティの腕のテープをナイフで切り、デルの麻薬ビジネスにベティが関わっていたかどうか訊く。勿論答えはノーだ。ベティは麻薬には絶対反対だ。チャーリーはホッとしたようだ。「何しに来たの?」というベティの質問に、チャーリーは「会いに来た」と答える。彼はベティに告白する。「おれはクズどもの中で暮らしてきて、生き延びる為に魂を切り売りしてきた。あんたは違う。望めばなんでも手に入るような美しい女性なのに、欲がない。」「おれは…言うなれば柔軟性のある保守主義者、あんたの後を追って旅をして、今こう感じている。おれたちは似たもの同士。」そんなチャーリーにベティは「でも、あなたはクズを相手にしてるって」と言うが、「今後はそれを変えたい」と彼は答える。微笑むベティ。 【ベティ・サイズモア 第30段落】 実は「愛はすべて」の登場人物であるジャスミンの大ファンだったウェズリーは、彼女がレズビアンであるという話の展開を聞いて怒る。確認する為に、ウェズリーはローサが録画していたビデオを見る。彼がビデオに熱中している間に、水槽の下に縛られていたバラードは、足を水槽にまで上げ、靴下に忍ばせてあった銃を水槽の中に落とす。そしてロイに目配せし、水槽を倒すように指示する。ロイが水槽を倒すと、驚いたウェズリーはロイに殴りかかっていくが、後ろからローサに抑えられる。彼女を振り払ったとき、銃を拾ったバラードがウェズリーを撃つ。「父さん!」とチャーリーを呼ぶウェズリーに、バラードがとどめに一撃を加え、彼は息絶える。 【ベティ・サイズモア 第31段落】 銃声を聞いたチャーリーが部屋を見に来ると、息子のウェズリーが死んでいる。ショックを受けるチャーリーは、ベティに「おれはあんたのために来た。」と言ってから、隣の部屋にいるロイやバラードに銃を撃つが、逆にロイに肩を撃たれる。そのときにチャーリーが落とした銃を拾ったベティは、彼に銃口を向ける。「すべての発端はあの昼メロ。息子が死んだのも、あんたがその医者に、ニセ医者に惚れたから。」とベティに告げるチャーリーの耳にパトカーのサイレンの音が聞こえる。チャーリーは銃を渡すようにベティに言う。惨めなムショ暮らしはしたくない、おれの死を誰かの手柄にされたくない、プロとしての誇りがあると訴えるチャーリー。そして言っておきたいことがあると、ベティに話す。「ベティ、あんたにはあの俳優もあの医者も必要ない。男も要らん。 ‘40 年代じゃないんだ。独りで生きられる。そのわけを?あんたには自分がある。」チャーリーはベティから銃を取り、彼女の頬にキスをして部屋から出て行く。チャーリーの言葉で、誰かに依存する夢ではなく、今度は自立した自分の夢を追いかけるベティは、外での銃声にハッとする。 【ベティ・サイズモア 第32段落】 この事件は大きく報道された。昼メロのファンをロサンゼルスまで追いかけてきた殺し屋の父子は、壮絶な銃撃戦の末、命を落としたと。ドラマのプロデューサー、ライラはメディアの注目を浴びたベティを見逃さなかった。彼女にドラマに出るようにジョージに説得させようとする。ジョージは嫌がるが、ライラに役がなくなると脅かされ、カンザスまでベティに会いに行く。 【ベティ・サイズモア 第33段落】 「愛はすべて」に出演しているベティを、レストランの仲間達、スー・アン、恋人同士になったロイとローサが見ている。ベティは 63 本に出演し、そのギャラで看護学校に入学。現在本物のヨーロッパで休暇中である。イタリアのローマのカフェで、カプチーノを飲むベティは、イタリア語に翻訳された自分が出演している「愛のすべて」に気付く。カフェのウェイターは、以前ベティがそうだったように、TV画面から目を離さないでお客に対応する。酒場の女将が言ったように、イタリアは人生が変わるところなのだ。 【映画『 ベティ・サイズモア 』の感想】 現代の<オズの魔法使いのドロシー>であるベティは、夫の残虐な死というトルネイドウ(竜巻)によって、ドラマ「愛のすべて」の世界に入ってしまう。そしてベティにとってのオズであるデヴィッド・ラデルを求めて、赤い靴を履くのではなく赤いビュイック・ルセーバーに乗って、黄色い道ではなくハイウェイを通って、ロサンゼルスというエメラルド・シティに向かうのだ。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず9546文字/文責:幸田幸 参考資料:IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com 「ベティ・サイズモア」日本語版オフィシャルサイト |
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(■解説とネタばれ:2002/11/07アップ ◆俳優についてリンク更新:2003/10/03) ■テキスト一部とリンクおよびファイル書式更新:2004/07/15 |
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