ローマの噴水 | |
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ローマの噴水@映画の森てんこ森 | |
ローマの噴水 | |
2004年02月21日土曜日 | |
2004 年 2 月、ローマ Roma に又もややって来ました。\(*^o^)/ ローマを初めて訪れたのは、 2003 年の 4 月。 あの時は余りのポカポカ陽気で暑く、あちこち巡る気力が削(そ)がれてしまった。晴れた空に茶色の建物とイタリア松と道に溢れる小汚い自動車の風景は、清しいものではなく、暑苦しさを助長した。せっかくローマに来るチャンスを得たというのに、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂 Monumento Vittorio Emanuele Uの横の木陰で、ぼんやりフォロ・トライアーノ Foro Traiano やフォロ・ロマーノ Foro Romano を眺めていた。 ところが今回、冬真っ盛りの 2 月にやって来てみると、前回とは違って、ローマはひんやりと美しく心地よい。日本では冬とは思えないような青い空の下、悠久の歴史をそのまま伝える石造りの建造物を仰ぎ見ながら、永遠の都ローマの町を精力的に歩いた。歩いていると、至る所に噴水を発見する。ヨーロッパ猛暑の去年見た噴水は”焼け石に水”状態だったけど、今回はその美しさを堪能できたかも。 因みに映画『 ザ・リジー・マグワイア・ムービー (原題) (2003) THE LIZZIE MCGUIRE MOVIE 』は、ローマの名所が満載、ローマ観光の前に観るとローマの楽しみが倍増するかも。(この頁は、エッセイ「シャイな幸の独り言」内の「チップ」、「ローマの休日(副題:タダのローマの休日)」、「ローマの噴水」の三部作の一つです。) ローマの噴水その1は、トレヴィの泉(トレビの泉) ローマの噴水その2は、トリトーネの泉 ローマの噴水その3は、蜂の噴水 ローマの噴水その4は、河の噴水 ローマの噴水その5は、ムーア人の噴水 ローマの噴水その6は、ネプチューンの噴水 ローマの噴水その7は、パンテオンの噴水 ローマの噴水と言えば、レスピーギの「ローマの噴水」も思い浮かぶ。オットリーノ・レスピーギ Ottorino Respighi (1876-1936) は 交響詩 「ローマの噴水 Fontane di Rome フォンターネ・ディ・ローマ」を書いている。<第1楽章 La fontana di Valle Giulia all'alba 夜明けのジュリアの谷の噴水><第2楽章 La fontana di tritone al mattio 朝のトリトーネの噴水><第3楽章 La fontana di Trevi merriggio 昼の トレヴィの噴水><第4楽章 La fontana di Villa Medici al tramonto 黄昏のメディジ荘の噴水>構成だ。 ▲TOPへ |
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トレヴィ(トレビ)の泉 ジェラートは冬でも食べた トリトーネの泉 蜂の噴水 |
【ローマの噴水その1】 ローマをこうして再び訪れることができたのは、前回トレヴィの泉(トレビの泉)
Fontana di Trevi でコインを一回投げたからかもしれない。また来れる様に今回も投げておこう。トレヴィの泉に右手で左肩越しにコインを一つ投げると、再びローマに戻れ、二つ投げると好きな相手と結婚でき、三つ投げると離婚できるらしい。 ローマの数百もある泉の中、トレヴィの泉(トレビの泉)が有名になったのは、オードリー・ヘプバーン Audrey Hepburn ( 1929-1993 )演じるアン王女がコインを投げた名作『 ローマの休日 (1953) ROMAN HOLIDAY 』のおかげ。アン王女が髪をバッサリ切ったトレヴィの泉(トレビの泉)近くの美容院は、今はカバン屋さんになっている。 ローマでは、ニコラ・サルヴィ Nicola Salvi ( 1697-1751 )の作品であるトレヴィの泉(トレビの泉)以外に、今回は 6 つの噴水を見に行った。 6 つのうち 4 つは、ナポリ Napoli / Naples 出身のイタリアン・バロックの巨匠ベルニーニ Giovanni Lorenzo Bernini ( 1598-1680 :イタリアの彫刻家・建築家。流動的構成・豊かな官能美をもつ大理石彫刻のほか、サン-ピエトロ大聖堂などの宮殿・教会の建築・装飾に活躍。作「アポロンとダフネ」など。「大辞林」)の作品だ。 ▲TOPへ 【ローマの噴水その2】 一つ目の噴水は、バルベリーニ広場 Piazza Barberini 中心にある”トリトーネの泉 Fontana di Tritone ”で、ベルニーニの 1643 年の美しい作品。ギリシャ神話の海の神ポセイドン(ローマ神話ではネプトゥヌス Neptunus /〔英〕 ネプチューンNeptune)の息子である半身半魚の海の神トリトーネ(〔英〕トリトン Triton )が、イルカの尻尾に支えられた貝の上で、ほら貝を吹いている。トリトーネがほら貝を吹くと、海が鎮まるそうだけど、バルベリーニ広場の周りの車や人はそんなことお構いなしって感じ?! ▲TOPへ |
【ローマの噴水その3】 二つ目の噴水は、この泉のすぐ近く、ヴェネト通り
Via Vittorio Veneto を下ったところにある”蜂の噴水
Fontanella delle Api ”。ベルニーニは、トリトーネの泉を作るとすぐに、この小さな水飲み場の建設依頼を受けたそうだ。開いた貝に三匹の蜂がとまっている愛らしい噴水だが、なぜ蜂なのかというと、ベルニーニの依頼者がウルバヌス8世
Urbanus VIII /Urban VIII (1568-1644 ローマ教皇〔在位
1623-1644 〕。フィレンツェ出身。教会改革を行なってラザリスト会などを認可して布教に努めた一方、ガリレイ・ヤンセンらを異端として迫害した。「大辞林」)だから。ウルバヌス8世は、三匹の蜂を紋章にしているバルベリーニ家出身。バルベリーニの名を冠する広場にある、同じくウルバヌス8世依頼のトリトーネの泉にも、海をモチーフにしているのに、法王を象徴する三重冠と天国の鍵の下に蜂が飛んでいる。 あとの三つ噴水は、ナヴォーナ広場 Piazza Navona にある、”河の噴水 Fontana dei Fiumi ”、”ムーア人の噴水 Fontana del Moro ”、”ネプチューンの噴水 Fontana del Nettuno ”だ。 【ローマの噴水その4】 ナヴォーナ広場中央の”河の噴水 Fontana dei Fiumi ”は、イノケンティウス10世 Inocencio X / Innocence X (在位 1644-1655 )の命で、 1651 年にベルニーニが完成させたもの。Circo di Massenzio マクセンティウスの競技場から持ってこられたオベリスクの下の岩に世界の4つの大河の神々− Il Nero アフリカ大陸のナイル川 、Il Gange アジア大陸のガンジス川、Il Danubio ヨーロッパ大陸のドナウ川、Il Rio della Plata 南アメリカ大陸のラプラタ川−がおり、当時の科学で知りうる範囲の世界が表現されている。 ナイル川の神が布を被っているのには、2つの説がある。一つは、ナイル川の源を知らないというローマ人の無知を表現しているというもので、もう一つは、噴水の向かいにある、ベルニーニのライバルであったボッロミーニ Francesco Borromini ( 1599-1677 )が 1652-1655 年に建設したサンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会 S.Agnese in Agone を見たくないということだとか。また、ラプラタ川の神が教会に向かって手を上げているのも、ボッロミーニへの批判らしい。神は教会が壊れるのを恐れて、こういうポーズをとっているそうだ。伝えられているところによると、最初、イノケンティウス10世はボッロミーニに噴水の作業を任せようとしていたが、ベルニーニが法王の義理の姉(妹?)に賄賂(自分の企画の銀の模型)を渡して仕事を奪ってしまったそうだ。恐るべし、ベルニーニ! ▲TOPへ |
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河の噴水 |
河の噴水 |
ちょっと乗ってみたかったり… |
サンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会は工事中 |
【ローマの噴水その5】 ナヴォーナ広場南側の”ムーア人の噴水 Fontana
del Moro ”は、現在はブラジル大使館のパンフィーリ宮殿
Palazzo Pamphili 前にある。元々あったジャコモ・デッラ・ポルタ
Giacomo della Porta ( 1540-1602 )設計の水盤中央に、ベルニーニがデザインの彫刻が立っている。
16 世紀に水盤の縁に配置されたトリトン像は、オリジナルではなく、19世紀に作られたコピーだ。中央のベルニーニがデザインした彫刻の顔が”河の噴水”のラプラタ川の神に似ているとローマ市民が気付いた頃から、市民たちがその像をムーア人
il Moro / the Moor と呼ぶようになったらしい。南アメリカ大陸の神様に似た像を、ヨーロッパ人が北西アフリカに住むイスラム教徒をさした呼称で呼んだのはおかしい話だけど、当時のローマ市民にとってはアフリカも南アメリカも同じようなものだったのかなぁ。 【ローマの噴水その6】 ナヴォーナ広場北側の噴水が、”ネプチューンの噴水 Fontana del Nettuno ”。ジャコモ・デッラ・ポルタが 1574 年に設置した水盤が原型となっている。その当時は、”カルデラーリ噴水 Fontana dei Calderari ”と呼ばれていたそうだ。300 年も飾りの彫刻がない状態だったらしく、 1873 年のコンペの優勝者2人が水盤に飾りの彫刻を付け足した。 ▲TOPへ |
ムーア人の噴水の背景にあるのがパンフィーリ宮殿 ネプチューンの噴水 |
パンテオンの噴水 パンテオンの大きな入り口 |
パンテオン パンテオン内部の丸天井もスゴカッタ! |
【ローマの噴水その7】 ローマのナヴォーナ広場まで辿り着くまでに、パンテオン
Pantheon を見学した。パンテオンの広場にももちろんパンテオンの噴水
Fontana del Pantheon がある。噴水の起源は、
1575 年にグレゴリウス 13 世 Gregorio XIII
/ Gregory XIII ( 1502-1585 :ローマ教皇(在位
1572-1585)。ルターらの宗教改革に対して内部の改革を推進した。グレゴリオ暦を制定。)がジャコモ・デッラ・ポルタに広場に優雅な噴水を作るのを命じたことから始まるらしい。 ローマ時代そのままの姿を最もよく残しているパンテオンの起源はもっともっと古い。紀元前 27 年にアグリッパ Agrippa (前 63 頃-前 12 :古代ローマの政治家。オクタビアヌスを助けアクチウムの海戦に勝利。オクタビアヌスの女婿。パンテオン建築など大土木事業を行なった。「大辞林」)の命令で完成したパンテオンは破壊されたが、 2 世紀にハドリアヌス Adriano / Hadrian ( 76-138 :古代ローマ皇帝〔在位 117-138 〕。五賢帝の一人。帝国内の整備充実をはかる一方、パルティアと和し、ブリタニアに長城を築くなど辺境防衛に努めた。「大辞林」)によって再建された。ローマの全ての神々のために建造された神殿は、 609 年にキリスト教の教会となり、ラファエロ、エマヌエーレ二世、ウンベルト一世等、有名人のお墓がある。 長い歴史のローマには沢山の噴水がある。キーワードを”噴水”として、「映画の森てんこ森」内のネット検索をしてみると、弊サイトの映画レヴューでは、『 ラ・マスケラ (1988) LA MASCHERA 』『 MON−ZEN [もんぜん] (1999) ERLEUCHTUNG GARANTIERT (原題) / ENLIGHTENMENT GUARANTEED (英題) 』『 オーシャンズ11 (2001) OCEAN'S ELEVEN 』『 トゥー・ウィークス・ノーティス (2002) TWO WEEKS NOTICE 』『 キス・オブ・ザ・ドラゴン (2001) KISS OF THE DRAGON 』『 ターン・レフト・ターン・ライト (原題) (2003) 向左走・向右走 (中国題) / TURN LEFT, TURN RIGHT (英題) 』の6本に噴水という言葉が記載されていることが判明。”トレビの泉”だと『 リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY 』がある。”トレヴィの泉”だと『 ザ・リジー・マグワイア・ムービー (原題) (2003) THE LIZZIE MCGUIRE MOVIE 』『 トゥー・ウィークス・ノーティス (2002) TWO WEEKS NOTICE 』が検索結果で上がってくる。まだ2年の歴史しかもたない「映画の森てんこ森」には噴水が少ない。皆様、これからも宜しくお願いします。 この度のローマ滞在では、たった 7 つの噴水にしか気がいかなかったけど、もしまたローマを訪れることがあれば、他の色んな噴水も巡ってみたい。 トレヴィの泉(トレビの泉)に投げたコインのご利益(りやく)がありますように! 因みにトレヴィの泉(トレビの泉)に投げられたコインは、ユニセフ UNICEF に寄付されるそうだ。 ちょっとイイことした! ▲TOPへ ※エッセイ「シャイな幸の独り言」の「チップ」、「ローマの休日(副題:タダのローマの休日)」、「ローマの噴水」の三部作の一つへ進む・・・。 ※イタリアについての歴史は、「旅行の森てんこ森」参照 「イタリアと言えば」 http://trip.coda21.org/italia/index_italia.htm ●オードリー・ヘプバーン出演映画 『 初恋 (1951) SECRET PEOPLE 』 『 オードリー・ヘップバーンのモンテカルロへ行こう (1951) NOUS IRON A MONTE CARLO (原題) /WE WILL ALL GO TO MONTE CARLO (英題) 』 『 ローマの休日 (1953) ROMAN HOLIDAY 』 『 麗しのサブリナ (1954) SABRINA 』 『 戦争と平和 (1956) WAR AND PEACE 』 『 昼下りの情事 (1957) LOVE IN THE AFTERNOON 』 『 パリの恋人 (1957) FUNNY FACE 』 『 許されざる者 (1959) THE UNFORGIVEN 』 『 緑の館 (1959) GREEN MANSIONS 』 『 尼僧物語 (1959) THE NUN'S STORY 』 『 ティファニーで朝食を (1961) BREAKFAST AT TIFFANY'S 』 『 噂の二人 (1961) THE CHILDREN'S HOUR / THE LOUDEST WHISPER 』 『 パリで一緒に (1963) PARIS - WHEN IT SIZZLES 』 『 シャレード (1963) CHARADE 』 『 マイ・フェア・レディ (1964) MY FAIR LADY 』 『 おしゃれ泥棒 (1966) HOW TO STEAL A MILLION 』 『 暗くなるまで待って (1967) WAIT UNTIL DARK 』 『 いつも2人で (1967) TWO FOR THE ROAD 』 『 ロビンとマリアン (1976) ROBIN AND MARIAN 』 『 華麗なる相続人 (1979) BLOODLINE 』 『 ニューヨークの恋人たち (1981) THEY ALL LAUGHED 』 『 おしゃれ泥棒2<TVM> (1986) LOVE AMONG THIEVES 』 『 オールウェイズ (1989) ALWAYS 』 以上。 ▲TOPへ |
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Text by Sati |
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。 coda_sati@hotmail.com |
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