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 シャイな幸の独り言
チップ
チップがシステム化、ローマ・テルミニの公衆トイレ
2004年02月20日金曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 今日は「チップ」について書きます。
 この頁は、エッセイ「シャイな幸の独り言」の「チップ」、「ローマの休日(副題:タダのローマの休日)」、「ローマの噴水」の三部作の一つです。

 チップの習慣は日本にはありません。チップを日本語にすると「寸志」とか「心付け」とかいう言葉になるのでしょうか。例によって「チップ」をネット辞典で引いてみます。
 「チップは、コンサイス カタカナ語辞典では、< チップ2 [tip] [1] 心付け,祝儀,はな代,茶代.〈明〉 >とあります。さらに「チップ」の大辞林(国語辞典)における内容は、<
(1)(飲食・宿泊・運輸などの)サービス業の従業員に客が与える、料金以外の金。祝儀。心づけ。 >となっています。

 幸がレヴューや解説した映画でチップについて記述があるのは、『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』、『 タクシードライバー (1976) TAXI DRIVER 』、『 メイド・イン・マンハッタン (2002) MAID IN MANHATTAN 』、『 女神が家(ウチ)にやってきた (2003) BRINGING DOWN THE HOUSE 』などです。特に、『 メイド・イン・マンハッタン (2002) MAID IN MANHATTAN 』では、ホテルで働く、気の利くメイドが主人公なので、へえー、そんなことまでするのかという発見があって楽しいです。

チップ 01
ペルージアのトイレのあるプラットフォーム
 「チップ」について、態々(わざわざ)書く理由は、2月10日からイタリアのローマに旅行した時、ローマのテルミニ駅の有料トイレで「何でなの?」と思ってしまったからです。というのは、ユーロスターに乗りたくてテルミニ駅でインフォメーションしてもらおうと思って出かけました。朝から、ジュースを沢山頂いたせいか、急におトイレに行きたくなりました。テルミニの地下にある有料トイレは一度も使ったことがなかったので、旅のお土産話にでも一度試してみようと思って入ろうとすると、すりガラスの様な扉があります。改札口の機械の上にガラス戸が付いているようなものです。
 これこそ、「チップ」が機械でシステム化された一例です。確か自動改札機が2台設置してありました。コインを入れるとすりガラス扉が勢いよく横にスライドして開きます。流石、私は急を要したので写真は撮っていませんが、0.6ユーロ(60センチモ=1ユーロ140円換算で約84円)です。私の前の国籍不明の外国人?が小銭がなくてどこかに行きました。私はいつも小銭を沢山用意してあるので50と10コインを一枚ずつ入れて入りました。すると中では4人ほどの女性が並んでいます。しっかり数えていませんが5室ぐらいあったでしょうか、中は結構狭いのです。仕方なく待ちました。10分ぐらい待ってやっとトイレに入れました。「ギョッギョッ!」何と前の人が流していないのです。日本ではこんな状態は見た事がありません。さっきの人は「綺麗なイタリアーナ嬢なのに、なんて奴!」と思ってボタンを押しました。水が出るのに流れません。何度押しても流れません。「え!なんで?...」仕方なくそのままで用を足しました。次の人はきっと「あの東洋人め!汚い奴だ!」と思われたに違いありません。次の人も後の人にそう思われるでしょう。そのうちに汚物で一杯になると思うと!ひぇー、考えたくもありません。こんな時、トイレ番のおばさんが居れば、掃除係に連絡して、何とか綺麗に使えるのではと思うのですが...。そして、こんな詰まったトイレなら、チップを上げないで知らん顔して出て行くのに...。なんて思うのは浅ましいでしょうか?入り口は立派に機械化されているのに、中は汚いというのが、どうも違和感を覚えますが、これもイタリアだからありえるのかも・・・。

 私はイタリアのあちこちの町が好きです。日本なら、札幌も東京も横浜も名古屋も大阪も神戸も福岡も大都会の街角は殆どが同じ表情ですが、イタリアの町の表情は一様ではありません。それがイタリアの町の魅力でもあります。特にフィレンツェが大好きで昨年は一ヶ月余り滞在しました。フィレンツェでも色々「エー何でなの?」という経験をしたり印象をもちました。でもこれが、イタリアだと言ってしまえば、納得できますし、これだからイタリアは嫌だなとは思いません。寧ろ自分の日本人としての価値観が崩れていく発見が、時として楽しく感じることがあります。

 トイレのことで気が付いたこと後一つ。昨年7月にペルージアに行った時、列車の待ち時間にやはり駅のトイレに入りました。これは時間があったので写真を撮ってあります。この駅ではトイレは駅舎すぐ、フィレンツェに向かってプラットホームの後ろのほうにあります。入り口で机の上に小皿を置いて、背の高いおじさんが暇そうに立ちあがったり座ったりしていました。私はクラスメートと二人だったので安心して二人で1ユーロ支払いました。一人50センチモ(1ユーロ140円換算で約70円)と書いてあったからです。しかし私たち以外誰一人として利用者はいません。列車が来る間約30分近くホームにいましたが、やはり誰一人として利用していません。それなのに大(だい)の大人のイタリア人のおじさんがトイレのチップのお留守番です。暇人というか採算が合わないというか、余程の就職難なのでしょうか?それともこれがスローライフの一面なのでしょうか?効率を求める大都会ローマの有料トイレ詰まりは、機械化と人員整理のつまるところで、ペルージアの裏返しでしょうか。

 もともと、トイレに行くのにお金を払うというのは、日本人の私には馴染みません。日本なら駅、スーパー、コンビニ、百貨店、公園、映画館、大型電気店、ビデオレンタルショップなど等、トイレはどこにでも自由にチップなしで入れます。イタリア人が日本にやって来て、トイレにチップを払わないのは「しめた!日本は良い国だ!」と思うのでしょうか?彼らはチップは払いたくないと思っているのでしょうか?それともチップの習慣が身体に染み付いていて、払わなければ気持ち悪いのでしょうか?一体イタリアなどのチップのいる国は、どのような経緯でトイレにチップがいるようになったのでしょうか?

 「チップ」の起源をネットで調べてみると、全理連(全国理容生活衛生同業組合連合会)ホームページ http://www.riyo.or.jp に出くわしました。下に引用させていただきます。
 < 理容師が行っていた「瀉血」の料金は、当初、一定していませんでした。そこで、患者は身分や職業に応じて自分が出せるだけの金額を、あるいはその労働に値すると考えた金額を支払っていました。やがて、これがイギリス全土に広がり、宿屋や居酒屋などでもサービスに値する礼金を入れる小さな箱が置かれるようになりました。その箱にはなるべく多くのお金を入れてもらうために「To Insure Promptness(敏速を約束するために)」と書かれていましたが、この3文字をとって生まれたのがチップ(tip)という言葉で、もともと理髪外科医の瀉血から生まれたものだったのです。なお、「Take It Please(お気に召すまま)」から生まれた言葉という他説もあります。理容の歴史 こぼれ話篇より。 http://www.riyo.or.jp/library/etc_kobore_04.html >

 「チップ」は、相手のちょっとしたサービスへの感謝の気持ちを金額にして「心づけ」として位置付けるなら、トイレはどのようなサービスだったのでしょうか?用を済ました後、手洗い用の水盆やお手拭などサービスしてくれたのでしょうか?それとも、糞尿は不浄として、その不浄なものを始末してもらうことにチップを支払うことなのでしょうか?

 こう考えると「トイレ」は当然チップを払わなくてはならないように思えてきます。トイレにチップを払わないでも用が足せ、公衆トイレでも安全な日本が特殊なのかも知れません。

 トイレの話ばかりでスミマセン。余談ですが、弊サイト立ち上げて間もない頃に「USJ探探記」でトイレ事情を調べてエッセイしたことがありました。

 「チップ」について、幸が旅行した国について書いてみます。
 先ず、チップのいる国は、知っている限りでは、 EU諸国、アメリカ、カナダ、香港などです。まだ行ったことはありませんが中南米もいるようです。 トイレはトイレ番が居ると必ずチップはいります。でも小銭がなければ払えないので仕方ないです。但し、マクドナルドなどのファーストフード店や百貨店、スーパー、高速道路休憩所や市内のドラッグストアなどは不要です。公共の乗り物は当然いりません。
 チップのいらない国は、知っている限りでは、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国、台湾、日本、その他です。基本的には、団体旅行でレストランに入った場合やガイドさんが案内してくれる免税店などのトイレはいらない場合が多いですが、ガイドさんや添乗員さんによって様子が違うことがあります。今回のナポリ・ポンペイ観光は、団体バスで移動したのですが、途中立ち寄ったドライブイン(イタリアでは「autogrill」の表示があった)やお店では、トイレはチップが必要でした。

 それでは、チップはどんなシチュエーションや誰に渡せばいいのでしょうか。
 チップが必要なのはタクシー、ベルボーイ(ドアボーイ)、ルームサービス、ルームメイド、レストランが一般的だと思います。私は、子どもの頃は両親と一緒に海外に出ていたのでチップのタイミングや習慣については全く分りませんでした。今では、結構自分で滞在したり旅行したりするのでチップについては最近は随分わかってきましたし、上手く渡せるようになりました。さて、チップを渡す金額ですが、幸は一般的に日本円に換算して100円ぐらいが妥当だと思っています。一応、簡単な表に纏めておきます。
貨幣 レストラン タクシー ベルボーイ ホテルのサービス
イタリア ユーロ 10%
10%
1エウロ
枕銭 1エウロ
フランス ユーロ 10% 10% 1ユーロ 枕銭 1ユーロ
イギリス ポンド 10% 10% 50ペンス 枕銭 50ペンス
アメリカ ドル 10〜15% 10% 1ドル 枕銭 1ドル
香港 香港ドル 10% 10% 5HKドル 枕銭 5HKドル
 表のホテルのサービスは、幸が表の列数の都合で、広義に捉えて、朝食の配達から、ラゲッジサービスやベッドメイキングなどのハウスキーピングまでも含んでいます。北米では何らかのサービスに対して必ずチップを払う慣習があります。これはチップだけで生計を立てている労働者がいるからだと聞いたことがあります。このため、サービスによって払うべき額やパーセントがほぼ決まっているようです。私は最低額で1ドルを「Thank you.」と言って手渡しています。これに比べ、ヨーロッパ、アジアなどではそれほど厳密な基準はないようですが、イタリアではチップを渡すのと渡さないのとでは態度が露骨に違うのを経験したことがあります。まあ人によるのでしょうけど。実際小銭がなければ次の機会でもよいし、1エウロでなくても残っている小銭でもいいと思っています。イタリアでは「Grazie グラツィエ」と少しトーンを上げて微笑んで言って手渡しています。因みにイタリア語でチップは「mancia マンチャ」と言うそうです。でもこの言葉は使ったことはありません。タクシーなどでチップを払う時も、端数の釣銭を ”Per Lei." (For you.と同義)と言って渡しています。

 ローマのヴェネチア広場にあるヴィットリオ・エマヌエレ2世記念堂(Monumento Vittorio Emanuele II, Piazza Venezia)の屋上のトイレ、ここはトイレの表示がないので所在が分りにくかったけれど、やっと見つけたのに、偶々(たまたま)小銭がなかったので、トイレ番のシニョーラに、”Scuzi, la piccola moneta, non c'è l' ho. A la prossima volta, per favore.”(スクージ、ラ・ピッコラ・モネータ、ノン・チェロ。ア・ラ・プロッシマ・ヴォルタ、ペル・ファヴォーレ。すみません、小銭がありません。次の時にお願いします。)と言うと、”Si, si.”(はい、はい。)と嫌味なく言ってくれました。流石途轍(とてつ)もなく広くてでっかいヴィットリオ・エマヌエレ2世記念堂だけあって、トイレで働くシニョーラの心もひろいです。

 上の表のチップ金額は幸が自分勝手に実行しているだけなので何の信頼性もありませんが、このチップ金額で文句を言われたり意地悪された事がないので一つの目安になるのではないかと思っています。私の趣味の一つにピンバッチ集めがあります。旅先で買っては集めているのですが、泊まったホテルに純正のボールペンがあれば、メイドさんにルームサービスと同額の金額をチップして、よくボールペンを貰います。いい思い出になるのでホテル毎に集めています。メイドさんと顔を合わす機会がない時はできるだけその国の言葉でメモを書いてチップを添えておきます。大概はスペアのボールペンが部屋に置いてくれてあります。これも趣味かも分りません。

 チップの金額で未だにあれで良かったのかと思っていることがあります。ローマやポンペイでカンツォーネの流しのアーチストさんに対してです。リクエストした時、一体幾ら渡したらいいのでしょうか?ローマのカンツォーネディナー(上のタイトルイメージ)では「ゴッド・ファーザー」の主題歌をリクエストしました。歌ってもらった後大いに拍手して、一応「Lei canta bravissimo!」と言って歌手 cantatore の彼女(Lucia ルチーア)に5エウロ渡しました。この金額については多いか少ないか分りません。でも手渡した時喜んでくれたので、あれでよかったのかも?と思ったりしているのですが・・・。

 歌詞の通り♪Nessuno sa la verità ・・・♪(ネッスーノ・サ・ラ・ヴェリタ 誰も真実は知らない・・・)でしょうか?


※エッセイ「シャイな幸の独り言」の「チップ」、「ローマの休日(副題:タダのローマの休日)」、「ローマの噴水」の三部作の一つへ進む・・・。

※参考資料:
 全理連(全国理容生活衛生同業組合連合会)ホームページ
   http://www.riyo.or.jp

Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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