踊れトスカーナ! | |
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映画の森てんこ森■映画レヴュー | |
踊れトスカーナ! (1996) | |
IL CICLONE (原題) / THE CYCLONE (英題) | |
映画『 踊れトスカーナ! (1996) IL CICLONE
(原題) / THE CYCLONE (英題) 』をレヴュー紹介します。 映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』を以下に目次別に紹介する。 ■映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』の解説及びポスター、予告編 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。 ■映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』の映画データ ■映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』のスタッフとキャスト ■映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』の<もっと詳しく> <もっと詳しく>は映画『 踊れトスカーナ! 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。 ■映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』の結末 ■映画『 踊れトスカーナ! THE CYCLONE 』の更新記録 >>「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え) |
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幸の鑑賞評価: 8つ星 | |
■映画『 踊れトスカーナ! (1996) IL CICLONE / THE CYCLONE 』の解説及びポスター、予告編 | |
踊れトスカーナ! |
■映画『 踊れトスカーナ! 』の解説 映画『 踊れトスカーナ! (1996) IL CICLONE (原題) / THE CYCLONE (英題) 』は、本国イタリアで大ヒットし、ナストリ・ダルジェント賞( Nastri D'argento、英訳すると Silver Ribbon 。1946 年から行われている、映画記者組合が主催する権威あるイタリアの映画賞。)で、 1997 年の最優秀男優賞と脚本賞を受賞した作品。映画『 踊れトスカーナ! 』のほうが断然お笑い度が高いけど、 1999 年に同賞の助演男優・女優賞を獲得した、エットレ・スコーラ Ettore Scola 監督の『 星降る夜のリストランテ (2000) LA CENA 』とほのぼの感がちょっと似ていると思った。 映画『 踊れトスカーナ! 』の主人公は、ひまわり畑の美しい丘陵地帯が広がるイタリアはトスカーナ地方の農村で、風変わりな家族(構成:父・弟・妹)と暮らす青年レヴァンテ(レオナルド・ピエラッチョーニ:本作で監督・脚本・主演を兼任)。会計士をしている彼は、人生も帳簿のように割り切ったものだと考えていた。しかし、ある日道に迷ったスペインの美しいフラメンコ・ダンサー一行が乗るバスが彼の農家にやって来たことから、人生観が変わってしまう。 映画『 踊れトスカーナ! 』の原題と英題の意味であるサイクロンは、気象用語で低気圧、または、インド洋・ベンガル湾・アラビア海に発生する強い熱帯低気圧のこと。映画『 踊れトスカーナ! 』の楽しい登場人物たちのところへ、恋の嵐が訪れて…。 |
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。 Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com. Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc. |
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■映画『 踊れトスカーナ! (1996) IL CICLONE / THE CYCLONE 』の映画データ | |
上映時間:93分 製作国:イタリア 公開情報:ブエナ イタリア初公開年月:1996年12月20日 日本初公開年月:1999年7月17日 ジャンル:ロマンス/コメディ |
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【『 踊れトスカーナ! 』のスタッフとキャスト】 | |
監督: レオナルド・ピエラッチョーニ Leonardo
Pieraccioni 製作: ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ Vittorio Cecchi Gori リタ・チェッキ・ゴーリ Rita Cecchi Gori 脚本: ジョヴァンニ・ヴェロネージ Giovanni Veronesi レオナルド・ピエラッチョーニ Leonardo Pieraccioni 撮影: ロベルト・フォルツァ Roberto Forza 音楽: クラウディオ・グイデッティ Claudio Guidetti 出演: レオナルド・ピエラッチョーニ Leonardo Pieraccioni レヴァンテ・クァリーニ ロレーナ・フォルテッツァ Lorena Forteza カテリーナ バルバラ・エンリキ Barbara Enrichi セルヴァッジャ・クァリーニ マッシモ・チョッケリニ Massimo Ceccherini リーベロ・クァリーニ セルジオ・フォルコーニ Sergio Forconi オズヴァルド・クァリーニ アレッサンドロ・アベール Alessandro Haber ナルドーネ パオロ・ヘンデル Paolo Hendel ピッポ ナタリア・エストラーダ Natalia Estrada ペネロペ トスカ・ダクイノ Tosca D'Aquino カルリーナ パトリツィア・コルティ Patrizia Corti フランカ ジョヴァンニ・ペッレグリノ Giovanni Pellegrino ネッロ マリオ・モニチェッリ Mario Monicelli ジーノ(声) アレッシオ・カルーソ Alessio Caruso アレハンドロ ▲TOPへ |
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ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。 |
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■映画『 踊れトスカーナ! 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー 【踊れトスカーナ! 第01段落】 レヴァンテ・クァリーニ Levante Quarini は、イタリア Italia はトスカーナ地方 Toscana にある小さな田舎町の会計士。黒髪でメガネをかけ、温和な雰囲気の心優しいレヴァンテは、イタリア人にしては、几帳面且つシャイな性格みたい。日本人からすれば、ドしゃべりで積極的というタイプの男性に見え、全然そんなことないようにも思えるのだけれど、イタリア的にはそういう範疇かなぁ。ところで、大阪はイタリアに似ていると、イタリアへ行ってみて思った。イタリア人って大阪人をもっとドギツクしたような感じだったから。路上駐車とか信号無視(というか、信号のないところを強引に渡る)が多いところ、気さくで明るくておしゃべりなところ等、共通点が幾つかある。 【踊れトスカーナ! 第02段落】 レヴァンテの友達兼顧客たちは、イタリア人らしい個性豊かな面々だ。 カルリーナ Carlina (トスカ・ダクイノ)@『 踊れトスカーナ! 』 民間療法の薬を売っているような薬局の経営者である彼女は、おバカ(文系でめっぽう数字に弱い)でHで底抜けに明るい。彼女は昔レヴァンテと付き合っていたことがある(レヴァンテは酔った勢いだと弁明している)。この町で唯一の音楽通だと自認する彼女は、教会の聖歌隊の指導もし、女優経験もある(?)。カルリーナは、デミ・ムーア Demi Moore (『 G.I.ジェーン (1997) G.I. JANE 』『 チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル (2003) CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE 』等に出演、『 オースティン・パワーズ (1997) AUSTIN POWERS: INTERNATIONAL MAN OF MYSTERY 』『 オースティン・パワーズ ゴールドメンバー (2002) AUSTIN POWERS IN GOLDMEMBER 』等の製作)主演のラジー映画『 幸福の条件 (1993) INDECENT PROPOSAL 』が気に入っているようで4回も観ている。『幸福の条件』に出てきた綺麗なドレスについて話すカルリーナの流れるようなイタリア語は、面白かった。 "ピリピー"と言いながら鼻に手を当てる仕草が、カルリーナとレヴァンテの愛の合図だった。たぶんこの"ピリピー"はピノキオ(トスカーナ地方の州都フィレンツェ Firenze 生まれ:シャイな幸の独り言『イタリアと言えば』参照)と関係ありで、Hな解釈なのかなと思った。彼女の店の会計士でもあるレヴァンテが仕事でやって来ると、彼女は"ピリピー"と彼をからかう。 フランカ Franca (パトリツィア・コルティ)とピッポ Pippo (パオロ・ヘンデル)@『 踊れトスカーナ! 』 バール( bar :イタリア人の生活になくてはならないお食事処)のウェイトレス、フランカとバイク修理屋のピッポは、恋人同士。フランカにいつも生傷が絶えないのは、スケベで粗野なピッポとのデートが激しすぎるから。フランカはそんなピッポに嫌気がさしているようだけど、女心の分からないピッポは彼女の心の変化に気付いていない。 ネッロ Nello (ジョヴァンニ・ペッレグリノ)@『 踊れトスカーナ! 』 レヴァンテが会計士をしている食料品店の店主。小さな町の食料品店なので、何時、誰が、何を買うのかも大体わかっている。ナターリ先生が9時半にパン3つとマヨネーズとネクタリン(椿桃<つばいもも>)3つを買いに来ると、聖歌隊志望の男が「スピードくじある?」とやって来る。 【踊れトスカーナ! 第03段落】 レヴァンテは、携帯電話の電波もTVの電波も届かない、町から離れたド田舎の農家の長男でもある。とても綺麗なひまわり畑が広がる丘陵地帯にある家に、町の仲間達と同じくらい(それ以上?)に風変わりな家族と一緒に仲良く暮らしている。 祖父ジーノ・クァリーニ Gino Quarini (声:マリオ・モニチェッリ)@『 踊れトスカーナ! 』 77 歳のレヴァンテのお祖父さん、ジーノは、レヴァンテが父・弟・妹と住む家には一緒に暮らさず、広〜い農場の敷地内にある一軒家に独り住んでいる。誰とも顔を会わせたくないというのが、高潔な老人ジーノの望みなだけで、家族仲は良い。それにジーノの生活は周囲から隔絶されているわけではない。フランカとピッポのカー・デート等、彼の家の近くの農道で起こっている出来事を、彼は大まかに理解している。といっても通勤のレヴァンテが通るくらいで、あんまり人は通らないけど。彼はレヴァンテとその農道から大声でコミュニケーションをとるので、声だけしか登場しない。彼のレヴァンテへの言葉は、映画のストーリー展開を仄めかしている。 妹セルヴァッジャ・クァリーニ Selvaggia Quarini (バルバラ・エンリキ)@『 踊れトスカーナ! 』 ベリーショートなヘアスタイルの妹セルヴァッジャは、その風貌からの想像通りに、レズビアンである。精神的には男の子なんだと思う。しかし、こんな田舎では同性愛は容認されていないようで、父親に薬局の同僚イザベルとの関係をカミングアウトできないでいる。二人の関係を公にすべきだとする恋人との意見の相違で、別れの危機にあるセルヴァッジャは悩んでいる。 個性的な役どころを演じたバルバラ・エンリキは、イタリアの主な映画賞であるダヴィド・ディ・ドナテッロ David di Donatello 賞で助演女優賞を獲得している。 弟リーベロ・クァリーニ Libero Quarini (マッシモ・チョッケリニ)@『 踊れトスカーナ! 』 家で父と一緒に農業をしているリーベロの趣味は絵。彼の絵のテーマはいつも「神は存在するか? DIO C'E? 」。生や死について悩む(つまり欲求不満)青年のリーベロは、ジーノから貰った棺桶をベッドの下に仕舞っている。この弟リーベロのノリは、NHKイタリア語会話のダリオ・ポニッスィさんと似ていると思った。ストーリーの展開で、彼の絵画のテーマが、「神は存在する。その証拠を見つけた。 DIO C'E!! ORA C'HO LE PROVE. 」「神はここに存在した。 DIO E STATO QUI.. 」と変わっていくのが面白い。 父オズヴァルド・クァリーニ Osvaldo Quarini (セルジオ・フォルコーニ)@『 踊れトスカーナ! 』 鼾(いびき)がうるさい。肥満みたいだし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は大丈夫かな?なぜか父の大きな鼾は電波を発するようで、レヴァンテの黒いデッカイ携帯電話がその電波を感知する。子供達の名前が、レヴァンテ(イタリア語で"東"という意味)、リーベロ(イタリア語で"自由な"という意味)、セルヴァッジャ(イタリア語で"野生の"という意味)という風に普通と違うのは、彼が革命派だったかららしい。 愛犬(リッリィ Lilli )@『 踊れトスカーナ! 』 レヴァンテが出かける時、一緒に途中まで付いて来る可愛いクァリーニ家のペット。 【踊れトスカーナ! 第04段落】 町の4割の店の帳簿を4年間つけているレヴァンテの几帳面さをからかう人も居るが、自分が貸借表を作るために生まれてきたと思っている彼自身は人生も数学的に割り切って考えている。(と本人は言っているが、落ち込んでいる妹のために彼女の恋人イザベルにそれとなく話をしに行ってあげたりと、結構人情派だと思うけど。)そんな彼の人生を変えてしまった出来事は、 1979 年から愛用していたペダルバイク(モペット moped )を壊してしまった 1996 年の夏の"嵐( IL CICLONE :本作の原題)"。 【踊れトスカーナ! 第05段落】 モペットとは、原動機つき自転車の一種で、ペダルで走らせることもできる小型オートバイのこと<カタカナ語辞典・三省堂より>。レヴァンテのモペットは、フランスの自転車メーカー、モトベカン Motobecane 製。ピアジオ Piaggio 等のイタリアのバイクメーカーのモペットもあるのに、どうしてモトベカンなのかなぁ?モトベカンは 1940 年代から基本デザインが変わっていないそうなので、レヴァンテの田舎者度を出すのに、ちょうど良かったのかもしれない。 60〜70 年代頃、モペットは無免許・無試験で乗れるため、特にフランスでは2輪保有台数の9割以上を占めていたそうだ。フランス語ではシクロモーター cyclomoteur といい、モペット、モビレット mobylette ( mob )などとも呼ぶようだ。この映画の中では、イタリア語でモトリーノ motorino と発音されていた。私の是非乗ってみたい乗り物の1つ。 【踊れトスカーナ! 第06段落】 モトベカンのモペットは、ジャン=ピエール・ジュネ Jean-Pierre Jeunet 監督の『 アメリ (2001) LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』、レオス・カラックス Leos Carax 監督の『 ポーラX (1999) POLA X 』、ジャン=ジャック・ベネックス Jean-Jacques Beineix 監督(『 青い夢の女 (2000) MORTAL TRANSFER 』等を監督)の『 ディーバ (1981) DIVA 』等のフランス映画とか、ラッセ・ハルストレム Lasse Hallstrom 監督(『 サイダーハウス・ルール (1999) THE CIDER HOUSE RULES 』等を監督)の『 ショコラ (2000) CHOCOLAT 』等のフランスを描いたアメリカ映画に登場していると、http://www.motobecane.jp/index.htmlのサイトで見た。 【踊れトスカーナ! 第07段落】 ある夏の夜、レヴァンテの"嵐"がやって来た。マイクロバスに乗って、スペインのフラメンコ・ダンサー一行 un gruppo di ballerine spagnole di flamenco が一面ひまわり畑の農家に到着した。そのバスはホテルに行くつもりだったのだが、道路標識が倒れていたせいで、ド田舎のレヴァンテの家に辿り着いてしまったのだ。 【踊れトスカーナ! 第08段落】 映画の冒頭で、その標識が水色の大型バスの風圧で倒されるシーンがある。はっきりとそのバスに書かれた社名が見えないのでわからないが、私がローマ Roma のティブルティーナ Tiburtina からアッシージ Assisi に行くのに乗ったスルガ SULGA という長距離バス会社のに似ていた。詩的な運転手さんもイイ人だったし、ほとんど貸し切り状態でゆったりとしたバス旅行を楽しめたので、私のこの会社へのイメージはいい。映画に出ているのが、スルガのバスならなんだか嬉しいのだけど。それにしてもイタリアではベンツのバスをよく見かけた。スルガのバスもそうだったし、この映画でもフラメンコ・ダンサーたちのマイクロバスはベンツだ。 【踊れトスカーナ! 第09段落】 フラメンコ・ダンサーたちのマネージャー、ナルドーネ Naldone (アレッサンドロ・アベール)が、レヴァンテの家から予約していたホテルに電話を入れるが、時間が遅くなってしまったので、予約が取り消されていた。バスの燃料もなくなってきている。情熱の国スペインから来た美女5人の姿に心を奪われたレヴァンテたち一家は、一行を家に一泊させる事を快く承諾した。イタリア語とスペイン語は同じラテン語系の言葉なので、何となく彼らは理解し合えるようだ。 【踊れトスカーナ! 第10段落】 お礼代わりだろうか、ダイニング・テーブルの上でフラメンコを披露するダンサーの一人カテリーナ Caterina (ロレーナ・フォルテッツァ)。その官能的なダンスに心奪われるクァリーニ一家と、盛り上がるダンサー一行。皆の"気"が電波を引き寄せたのだろうか?カテリーナのダンスが終わると、今まではっきりと映らなかったTVにくっきりとした映像が映り、レヴァンテの携帯電話が鳴り始めた。それはもしかしたらレヴァンテの心のアンテナが恋の電波を発するようになったからなのかもしれない。 【踊れトスカーナ! 第11段落】 その晩、クァリーニ兄弟妹はドキドキで、寝るどころではなかった。寝ている父も興奮して鼾が普段より大きい。レズのセルヴァッジャは芝生の上で寝ているダンサーたちの寝姿を覗こうと眠れずに居るレヴァンテを誘いに来るし、気弱な欲求不満青年のリーベロは例の棺桶の中に寝転がって悶々とカプチーノ cappuccino を飲んでいる。レヴァンテの着ているTシャツに"癇癪(かんしゃく)持ち"という日本語が書かれているのが面白い。意味が分かって着ているのかな?これもレヴァンテの田舎者度を示す演出なのだろうか。それとも当時は 日本ブーム?後にも百武彗星が出てきたりするので、監督兼脚本兼主演のレオナルド・ピエラッチョーニはわりと親日派? 【踊れトスカーナ! 第12段落】 私が今年( 2003 年)の4月に行ったイタリアは、添乗員さん曰く、日本ブームだそうだ。そう言えば、ミラノ Milano のスーパー、ウピム Upim では漢字(何故か逆さまだったけど)がプリントされた可愛いTシャツ、旅の途中に連れられた免税店ではお寿司とか金の鯉の柄のモスキーノ MOSCHINO の衣服が売られていた。その日本ブームには、中国ブームも混ざっていると思った。(西洋人からすれば、日本も中国も変わりないと思うけど。)昔、日本人の子供が国内で白人を見かけたときにどこの国の人であろうと、" Hello! This is a pen! "と話し掛けていたように、私も海外に出ると、名勝に遠足などに来ている当地のウレシがりな学生に、" Konichiwa! "" Sayonara! "と声を掛けられる。(去年のフランスでは『 TAXi 2 (2000) TAXI 2 』の影響か、コニショワーがとても多かった。) ところが、今回の旅行では初めて"ニーハオ"と言われたではないか!中国経済のパワーを改めて感じた。 【踊れトスカーナ! 第13段落】 結局一番家族の中で積極的だったのは長男レヴァンテ。芝生の上で寝ているダンサー達のところにやって来て、お目当てのカテリーナを夜のデートに誘った。慣れないレヴァンテのつまらない話で、カテリーナは興ざめ。レヴァンテは彼女と一緒にジーノの家辺りまで散歩をすることにした。真夜中だというのに、レヴァンテの呼び声に 77 歳の老人はすぐに反応する。大声で会話をする3人。孫が連れてきた女の子がスペインから来た黒髪の美女だと理解したジーノは、レヴァンテに"結婚しろ!"とアドバイス。そのお陰だろうか、再び家に戻ったレヴァンテはかなり積極的になっていた。首筋の香水の匂いを嗅がせて欲しいとカテリーナに頼む。カテリーナがOKしたので、レヴァンテが顔を寄せると…。2階の窓が開いた。レヴァンテとカテリーナが驚いて顔を上げると、興味津々のセルヴァッジャが窓辺に居た。 【踊れトスカーナ! 第14段落】 翌日、町ではレヴァンテの家に5人の美しいダンサーが居ることがもう知れ渡っているようだ。小さな町では隠し事はできない。レヴァンテが食料品店でネッロに昨夜の出来事を話しているとき、ピッポがレヴァンテの家の方からスペイン風の音楽が聞こえるとやって来た。カテリーナたちがもうホテルへと発ってしまったと思っていたレヴァンテは、急いでモトリーノを走らせ家に戻った。家ではダンサーたちとクァリーニ一家が楽しくフラメンコに興じていた。ちょうど音楽が終わった頃、レヴァンテの乗るモトリーノが猛スピードで家に突っ込んできた。 1996 年 6 月 13 日、レヴァンテのモトリーノは名誉の戦死を遂げた。 【踊れトスカーナ! 第15段落】 そんな頃、町のバールに居たダンサー達のマネージャー、ナルドーネは憂鬱だった。営業許可証の更新がなされていないことを理由に、町長から公演の許可を得ることができなかったのだ。マティーニを 30 分で3杯も飲んだナルドーネを心配したウェイトレスのフランカが彼に声を掛けた。物悲しげなスペインの中年男は、フランカの琴線に引っかかったみたい。ピッポとのデート・スポットだったジーノの家近くのひまわり畑にバスを停め、フランカはナルドーネと愛し合った。 【踊れトスカーナ! 第16段落】 クァリーニ家に戻ったナルドーネは、どの町でも許可が下りず、公演を続けることができなくなったので、スペインに引き上げることをダンサーたちに話した。その晩、異国の美しいダンサーたちたちはバスに乗り、クァリーニ家を後にすることになった。モトリーノの激突で手首に軽く怪我をし、また、カテリーナが投げたブーメランを受け損ない、頭にも包帯を巻く羽目になったレヴァンテは、彼女達の出発を2階の自分の部屋から眺めていた。そこへカテリーナが別れを告げに現れた。彼女はレヴァンテにブーメランを渡し、キスをした。せっかくのチャンスなのに、レヴァンテはこれからの約束を何一つすることなく、彼女と別れてしまった。 【踊れトスカーナ! 第17段落】 再び静かになった家の庭のベンチに座りながら、クァリーニ一家は7万年に一度降って来るという百武彗星(ひゃくたけすいせい)を眺めようと待っていた。 1996 年に日本人の百武祐司氏によって発見された百武彗星は、非常に細長い楕円軌道を惑星とは逆の向きに約3万年周期で公転していると推定され、日本では 1996年 3 月に最接近した<「新辞林」より>。父が、彗星の名前である"ひゃくたけ"を"百タコ"と言い間違う台詞があるのだが、イタリア語にはタコという発音で何か別の意味があるのだろうか?まさか日本人と同じものを思い浮かべないよなぁ? 【踊れトスカーナ! 第18段落】 先に父と弟のリーベロが寝に行った。残されたレヴァンテとセルヴァッジャは、ダンサーとの一生忘れられない体験について話した。セルヴァッジャはレズのダンサー、ペネロペ Penelope (ナタリア・エストラーダ)に触られたこと、レヴァンテはカテリーナとのキスとブーメラン。彼女はブーメランのようにまた戻って来てくれるだろうか。 【踊れトスカーナ! 第19段落】 レヴァンテが町に行くと、フランカとピッポが口喧嘩をしていた。ナルドーネに本当の愛を感じたフランカは変態のピッポと別れることにしたのだ。レヴァンテはフランカからナルドーネ舞踊団がフィレンツェのホテルに居ることを聞く。セルヴァッジャと一緒にモトリーノに乗ってそのホテルに向かったレヴァンテ。ロビーに居たペネロペによると、カテリーナは駅へ行ったそうだ。レヴァンテはすぐに駅へ行き、ホームを歩いているカテリーナの綺麗な後姿を追った。ところがカテリーナは列車から降りてきた男と抱き合うではないか!彼女には恋人が居たのだ。 【踊れトスカーナ! 第20段落】 ショックのレヴァンテは、家に戻って落ち込んでいた。カテリーナから貰った思い出のブーメランでコツコツ床を叩くレヴァンテを、家族は" Che cosa c'e "という歌を歌って励ます。いい家族だ。元気になったレヴァンテは、ナルドーネとフランカ、カテリーナと彼女のカレシのアレハンドロ Alejandro (アレッシオ・カルーソ)も出席するフィレンツェのリストランテでの食事に行くことにした。ペネロペからその食事に誘われたセルヴァッジャが、兄レヴァンテに行くように勧めたのだ。一応出席者は皆カップルなので、惨めだと言うレヴァンテのために、セルヴァッジャが用意した相手は…。 【踊れトスカーナ! 第21段落】 "ピリピ〜"のカルリーナ。ビックリするようなヘンにセクシーな服を着て、妙に張り切っているカルリーナを見て、レヴァンテは家に帰りたい気分になった。 1996 年 6 月 14 日、 9 時 5 分にリストランテに入ったレヴァンテ達だったが、カテリーナに嫉妬をさせるという微かな望みは 1 時間半で消え去った。カルリーナが下ネタ話に張り切り過ぎたのだ。けれどもカテリーナの恋人アレハンドロもなかなか顰蹙(ひんしゅく)男だった。アレハンドロの狩猟の話は、カルリーナの話以上に皆を興ざめさせた。カテリーナもアレハンドロの話に退屈しているようだ。 【踊れトスカーナ! 第22段落】 食事をお開きにさせたのは、セルヴァッジャの恋人イザベルの登場。イザベルは自分の誕生日祝いを断って、ペネロペの誘いに乗ったセルヴァッジャに怒りをぶつけに来たのだ。しかし、何故かイザベルに殴られたのは、訳もわからず酔って彼女に文句を言ったカルリーナ。イザベルはカルリーナをブッ倒して帰って行った。 【踊れトスカーナ! 第23段落】 カテリーナはスタッフのために用意して空いているホテルの部屋を、酔って歩けなくなっているカルリーナのために使うように提案してくれた。カテリーナとアレハンドロの部屋の隣に泊まることになったレヴァンテとカルリーナ。ベッドで疲れて横になっているカルリーナをよそに、レヴァンテは隣の部屋から聞こえる激しい口論にバスルームから聞き耳を立てている。カテリーナとアレハンドロはかなり険悪な状態のようだ。ついにアレハンドロは部屋を出て行った。チャンス到来。レヴァンテはカテリーナの部屋に入り、ベッドにうつ伏せているカテリーナの側に座り、声を掛けた。 【踊れトスカーナ! 第24段落】 「出てってよ!」カテリーナに言われ、レヴァンテは部屋の外に出た。しかし、すぐに部屋のドアは開き、暴言を謝ったカテリーナは「お腹すいた」と、レヴァンテと一緒に夜のフィレンツェの街へと出かけた。アルノ川 Arno の堤防に座って話をする二人。レヴァンテは自己紹介し、心から夢中になっているものはフラメンコだと、彼らしく婉曲的にカテリーナに愛の告白をする。微笑んだカテリーナも自己紹介。こんなにセクシーで大人っぽいのに 23 歳(つまり私より少し年下)だなんて。どうりでイタリアでは私が十代に見られたわけだ(それはそれで嬉しかったけど)。もちろんカテリーナの心から夢中になっているものもフラメンコ。共通点があったと、レヴァンテはキスをしようとしたが、カテリーナはムードたっぷりのアルノ川の辺なのに「こんな所で?」とはぐらかした。 【踊れトスカーナ! 第25段落】 それで、2人で今までこんなに長く歩いたことがないくらい歩き、お互いの話をして共通点を 10 コ見つけた。カテリーナの好きなポルトガルの詩人フェルナンド・ペッソーア Fernando Pessoa の話をしていて辿り着いたのは、廃車置場。レヴァンテがカテリーナにキスを求めると、こんな所なのに何故か今度はOK。2人が4〜5時間キスを交わしている間に朝になり、カテリーナが「お腹すいた」と微笑んだので、ホテルに戻ることになった。それからレヴァンテは、スペインへと発つ飛行場のあるローマへと列車で向かうカテリーナをフィレンツェの駅のホームから見送った。イタリア人にしては、晩生なレヴァンテ。彼はカテリーナを見送ったきりだったのだろうか?・・・ ▲TOPへ ◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say ! 【踊れトスカーナ! 第26段落】 1997 年 6 月 16 日、町の教会でナルドーネとフランカが結婚式を挙げた。聖歌隊を指揮するのは、カルリーナ。参列者の中には、また仲良くなったセルヴァッジャとイザベル、リーベロや父オズヴァルドなどの姿がある。その時、レヴァンテは残念ながら世紀の結婚式に出席することができなかった。なぜなら彼は牛の季節で忙しいスペインに居たからだ。レヴァンテはスペインで牛を扱った農場を経営しているみたい。イタリア人以上(?)に杜撰(ずさん)なスペイン人の牛業者相手に、言葉もうまく伝わらず、レヴァンテは困っているようだ。通訳を呼んでくると、レヴァンテが向かった先には、大きなお腹をした美しい妻カテリーナがいた。2人は結婚して、もうすぐジーノと名付けられた子供が生まれるのだ。 【踊れトスカーナ! 第27段落】 レヴァンテのお祖父さん、ジーノは孫が生まれた日に亡くなった。レヴァンテは自分がスペインに発つ前日のジーノの一言が忘れられない。明日スペインに行くと大声で叫んだレヴァンテに、ジーノは答えた。"Ole!"(オーレ!) 【踊れトスカーナ! あとがき】 ナンニ・モレッティ Nanni Moretti 監督の『 息子の部屋 (2001) LA STANZA DEL FIGLIO 』は、暗いイタリア映画だったけど、本作はイタリアらしいコテコテなギャグが満載で面白かった。異国情緒漂うスペイン風の音楽もよかった。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず9987文字/文責:幸田幸 参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集 http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com FilmUp http://www.filmup.com イタリア語辞書 http://www.club-e.co.jp/~amore/words/ MOTOBECANE モトベカン リトルホンダPC50 http://www.honda.co.jp/news/1969/2690514.html Motoservices.com |
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■映画『 踊れトスカーナ! (1996) IL CICLONE (原題)
/ THE CYCLONE (英題) 』の更新記録 2003/04/29新規: ファイル作成 2004/07/10更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式 2005/03/09更新: ◆一部テキスト追記と書式変更 |
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幸田 幸 coda_sati@hotmail.com |
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