アメリ
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アメリ (2001)
LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN
 映画『 アメリ (2001) AMELIE POULAIN / LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』をレヴュー紹介します。

 映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』を以下に目次別に紹介する。
■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』の解説及びポスター、予告編
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』の映画データ
■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』の主なスタッフとキャスト
■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』のスタッフとキャスト
■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 アメリ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 アメリ (2001) AMELIE POULAIN / LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』の結末
■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 アメリ (2001) LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』の解説及びポスター、予告編
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■映画『 アメリ AMELIE POULAIN 』の解説

 映画『 アメリ (2001) AMELIE POULAIN / LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』は、「デリカテッセン( DELICATESSEN )」( 1991 )、「ロスト・チルドレン( LA CITE DES ENFANTS PERDUS )」( 1995 )、「エイリアン4( ALIEN 4 )」( 1997 )、『 ロング・エンゲージメント (2004) UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES (原題) / A VERY LONG ENGAGEMENT (英題) 』のフランスの異才監督ジャン=ピエール・ジュネが、人を幸せにする映画を撮りたいと作成した 2001 年作品。その言葉どおりに観終わった後、何だかほんわか気分になれるこの映画『 アメリ 』は、フランスでも公開一週間で 120 万人を動員する大ヒット!シラク大統領やジョスパン首相もその評判を聞きつけ、映画『 アメリ 』を鑑賞した、政治家のプロパガンダとして用いられた事で、「右よりな映画」という批判も出たそう。しかし、そんな論争が起こるくらい、話題になった映画ということだろう。『 アメリ 』は、ジュネらしい凝った映像に、ヤン・ティルセンのノスタルジックな音楽がピッタリで、私は大好き!
  映画『 アメリ 』では、1997 年夏、空想の世界に生きる、内気な女の子アメリ・プランは、 モンマルトルのカフェで働くウエイトレス。彼女はある日、ちょっとした悪戯で人を幸せにすることに喜びを感じる…。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 アメリ LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』の映画データ
 製作年:2001年
 上映時間:120分
 フランス劇場公開:2001年4月25日
 日本劇場公開:2001年11月17日
 ジャンル:コメディ/ロマンス/ファンタジー
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■映画『 アメリ LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』の主なスタッフとキャスト
○『 アメリ 』の脚本: ジャン=ピエール・ジュネ
ピエロの赤い鼻 (2003) EFFROYABLES JARDINS (原題) / STRANGE GARDENS (英題)

○『 アメリ 』の音楽: ヤン・ティルセン
グッバイ、レーニン! (2003) GOOD BYE, LENIN!

○『 アメリ 』の編集: エルヴェ・シュネイ
サンサーラ (2003) SANSA 』等、
ジャン=ピエール・ジュネ監督を始め大部分のスタッフが『 ロング・エンゲージメント (2004) UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES (原題) / A VERY LONG ENGAGEMENT (英題) 』に携わっている。

●オドレイ・トトゥ as アメリ・プラン
スパニッシュ・アパートメント (2002) L'AUBERGE ESPAGNOLE (原題) / SPANISH APARTMENT (英題)
堕天使のパスポート (2002) DIRTY PRETTY THINGS
巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト) (2003) PAS SUR LA BOUCHE (仏題) / NOT ON THE LIPS (英題)
ロング・エンゲージメント (2004) UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES (原題) / A VERY LONG ENGAGEMENT (英題)

●マチュー・カソヴィッツ as ニノ・カンカンプワ
クリムゾン・リバー (2000) THE CRIMSON RIVERS / LES RIVIERES POURPRES
ミッション・クレオパトラ (2002) ASTERIX & OBELIX: MISSION CLEOPATRE (原題) / ASTERIX & OBELIX: MISSION CLEOPATRA (米題)
ゴシカ (2003) GOTHIKA
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【『 アメリ 』のスタッフとキャスト】
監督: ジャン=ピエール・ジュネ Jean-Pierre Jeunet
製作: クローディー・オサール Claudie Ossard
脚本: ジャン=ピエール・ジュネ Jean-Pierre Jeunet
    ギョーム・ローラン Guillaume Laurant
撮影: ブリュノ・デルボネル Bruno Delbonnel
編集: エルヴェ・シュネイ Herve Schneid
特殊効果: イヴ・ドマンジュー Yves Domenjoud
音楽: ヤン・ティルセン Yann Tiersen
ナレーション: アンドレ・デュソリエ Andre Dussolier

出演: オドレイ・トトゥ Audrey Tautou アメリ・プラン
    マチュー・カソヴィッツ Mathieu Kassovitz ニノ・カンカンプワ
    ヨランド・モロー Yolande Moreau マドレーヌ・ウォラス
    ジャメル・ドゥブーズ Jamel Debbouze ルシアン
    イザベル・ナンティ Isabelle Nanty ジョルジェット
    ドミニク・ピノン Dominique Pinon ジョセフ
    リュフュス Rufus ラファエル・プラン(アメリの父)

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ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 アメリ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

『 アメリ LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』の登場人物とストーリー紹介

【アメリ 第01段落】
*アメリ・プラン(オドレイ・トトゥ) @『 アメリ 』
  1997 年、モンマルトルのカフェ「ドゥ・ムーラン」でウエイトレスとして働くアメリは 22 歳。アメリが少女時代から孤独な彼女が好きなことは、サン・マルタンの運河で石を投げて水切りをしたり、クリーム・ブリュレの表面をスプーンで壊したり、指を穀物の中に突っ込んだりすることなど、幼児や少女の域を出ていない、アメリはいわばちょっと変わっている女性である。

【アメリ 第02段落】  内気なアメリは想像の世界で生きている。ピンクに塗られたステュディオに暮らしているが、アメリの広い心を分かち合ってくれる人はまだ誰もいない。そんなアメリにある日変化が訪れる。

【アメリ 第03段落】  8 月 30 日、ダイアナ妃の訃報を伝えるニュースがテレビから流れている時、アメリは部屋の壁の中からある箱を発見する。それは今ではもう大人になっているにちがいない少年の思い出の箱だった。アメリはその箱を元の持ち主に返すことにした。ドミニク・ボルトドーというその持ち主を懸命な捜査から見つけ出したアメリは、彼が歩いていた近くの公衆電話のベルを鳴らす。その公衆電話にはあらかじめ彼の箱が置かれてある。箱を見つけ色々なことを思い出した 50 がらみの男は涙を流すのだった。

【アメリ 第04段落】  ドミニク・ボルトドーがアメリのちょっとした悪戯というか親切のお陰で、人生の喜びを見出したことで、自分自身の喜びも発見したアメリ。アメリは自分の周りにいる孤独な人々が幸せを見出せるように、かなり変わったお節介を焼くことにする。そしてそんなある日、アメリは駅の3分間写真の前で、這い蹲って必死に捨てられた写真を回収している男ニノ(マチュー・カソヴィッツ)と出会う。

【アメリ 第05段落】  彼にすっかり恋してしまうアメリだが、臆病なアメリは彼に普通に接近していくことができない。ニノの大切な“3分間写真収集アルバム”をたまたま拾ったアメリは、それを彼に返すのに手の込んだ悪戯をしたり、仮面の正義の味方ゾロになってみたり。アメリのニノの思いはどんどん大きくなっていくが、カフェ「ドゥ・ムーラン」にアメリのメッセージを見つけてやって来たニノが、怪傑ゾロに変身したアメリの3分間写真を見せて、「君だよね?」と尋ねても、そうだと言う勇気がアメリには持てない。そんなアメリには、まさに「 LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 」、嘘みたいな運命が待っている。

【アメリ 第06段落】  アメリは最初、エミリー・ワトソン(
アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES
ゴスフォード・パーク (2001) GOSFORD PARK
パンチドランク・ラブ (2002) PUNCH-DRUNK LOVE
レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON 』等)が演じることになっていて、題名も「エミリー」だったそうだ。こんな古き良きフランスの魅力に溢れた映画のタイトルロールをイギリス人女優が演じては、おかしいんじゃない?(彼女の出演が決まっていた時は、脚本をイギリスから話が始まるように書き直したらしい。)

【アメリ 第07段落】  フランス女優のオドレイ・トトゥがアメリ(アメリはエミリーのフランス語だそう)になってよかった。オドレイ・トトゥは『 アメリ 』の後も、『 ロング・エンゲージメント (2004) UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES (原題) / A VERY LONG ENGAGEMENT (英題) 』等で台頭している女優さん。ニノのモビレットに乗って二人でパリの街を駆け抜けて行くラストシーンは、オードリー・ヘプバーンの『 ローマの休日 (1953) ROMAN HOLIDAY 』をちょっと髣髴させた。太い眉に印象深い目といい、どちらも Audrey なだけに、何か意味があるのかな。それに、この映画のキーワードみたいによく出てくるのが、「 Lady Di (レディー・ディー)」こと故ダイアナ妃。「ローマの休日」、ダイアナ妃に共通なのは、お姫様だということ。アメリはモンマルトルの市井に生きる、パリのお姫様ということなのかもしれない。

【アメリ 第08段落】  私もフランスに行ったら、モビレット mobylette (モビュレットとも日本語では表記できるかな?)に乗ってみたいな。ルノー・ヴェルレーの「個人教授」( 1968 )でモビレット(ソレックス solex か?)を見たときから、ずっと密かに興味を持っていた。自転車版バイクみたいなこの乗り物は、絶対面白いと思う。その気持ちを言ってみたら、現在のフランスではモビレットはダサくてオバサンの乗り物だと言われてしまった。でもやっぱり乗りたい。

【アメリ 第09段落】
*ニノ・カンカンプワ(マチュー・カソヴィッツ) @『 アメリ 』
 とてもすてきな乗り物モビレットに乗る彼は、ポルノビデオ店でレジのアルバイトをしている。フランスでは水曜日と土曜日と日曜日に学校がお休みなのだそう。子供の日である毎週水曜日には、 LA FOIRE DU TRONE (トローヌ祭り)の幽霊列車で、女の子たちの耳に囁いて怖がらせる骸骨の仕事も楽しんでしている。そんな彼の趣味は、3分間写真の客が捨てて行った写真を収集すること。そして彼にはその趣味に関する大きな謎があった。パリ中の3分間写真で、いつも同じ顔の写真が見つかることだ。その顔の男は一体何者なのかということがニノの最大の関心事である。その謎は、ニノが失ったアルバムを持っている、仮面をつけたゾロに恋に落ちた頃、解き明かされるのだ。

【アメリ 第10段落】  やさしく甘い微笑みのマチュー・カソヴィッツは、幸の好きな俳優ランキングのトップに踊り出そうな勢い。そんなステキな彼はフランスの女の子も大好きなのだそう。ランコムの香水「ミ・ラ・ク」の男性キャンペーン・モデルにもなっているそうで、是非彼の写った宣伝カタログのようなものが欲しいと思っている。

【アメリ 第11段落】  監督、俳優、モデルとマルチにこなす彼だが、「本業は監督、役者業にはとくに魅力を感じない」とおっしゃっていて、監督がメインなのだそう。確かに『 クリムゾン・リバー (2000) THE CRIMSON RIVERS / LES RIVIERES POURPRES 』は面白かったけど、監督では顔が映らない!俳優やモデルとしてもどんどん活躍して欲しいなー、と自分勝手に思ってしまう。お父上も監督だそうで、フランスのショービジネス界のプリンス?でハンサムなマチュー・カソヴィッツは、この映画の王子様役にピッタリだった。

【アメリ 第12段落】
*ラファエル・プラン(リュフュス) @『 アメリ 』
 アメリのお父さん。お医者さんの父親は月に一度幼い娘に身体検査を行うが、その時しかアメリに触れようとしなかった。そのため、いつもとは違う父親との触れあいにアメリの心は動揺し、心臓が激しく鼓動した。父親は彼女が心臓病だと診断し、学校や他人とのふれあいは適していないと考える。そんなラファエルは実直な人であった。妻に先立たれた後も、後妻をとらず、アメリと二人で暮らした。アメリが自立した後も、同じ郊外の一戸建ての家で独りで住んでいる。

【アメリ 第13段落】  退職してひっそりと暮らしていたラファエルに、突然奇妙なことが起こる。大切にしていた庭の置物の小人が、彼を見捨てて世界旅行に旅立ったのだ。次々の旅先から小人と名所が写った写真が送られてくる。実はこれも父親を思うアメリの悪戯なのだが、ラファエルは混乱する。しかし、小人が世界旅行から帰ってきて庭の元いた位置に戻ってくると、彼はついに旅に出るのだった。

【アメリ 第14段落】  アメリがした小人の悪戯と同じような悪戯をテレビで見たことがある。それは実際にアメリカの老夫婦に起こった事で、彼らの場合は小人ではなくカエルの置物だった。そして写真だけでなく、カエルからの手紙も諸外国の名所から送られてきたそう。こんなステキな悪戯は、する方もされた方も心ときめくにちがいない。

【アメリ 第15段落】
*アマンディーヌ・フエ・プラン(ロレーラ・クラヴォッタ) @『 アメリ 』
 アメリのお母さん。自殺を試みて金魚ばちから跳び出した金魚のクジラちゃんをアメリは母親と一緒に川に捨てに行った。そのことは数少ない母親との思い出の一つである。
 パリのノートルダム寺院で息子が授かるようにとアメリと一緒に感謝の蝋燭を捧げるが、天はアメリに弟を授けてくれるよりも、母親を奪うことを選んだ。寺院から出たアマンディーヌの上に、カナダのケベックからの観光客マルグリット・ブショーが落ちてきた。恋の痛手がマルグリットを自殺させ、アマンディーヌに死をもたらした。

【アメリ 第16段落】
*シュザンヌ(クレール・モーリエ) @『 アメリ 』
 カフェ「ドゥ・ムーラン」の主人で、アメリの雇い主。カウンターの中に立って、馬を愛する嘗てのサーカスの曲馬師。彼女は恋人たちがくっついたり離れたりするのを冷静に観察して、もう 30 年近くになる。彼女のおぼえているカクテルは「 LE COUP DE FOUDRE (一目惚れ)」。これで何組の男女をカップルにしてきただろうか。人を寛大で心優しくさせるこのカクテルの成功率はかなり高い。

【アメリ 第17段落】
*ジーナ(クロチルド・モレ) @『 アメリ 』
 アメリの同僚。祖母が祈祷師である彼女は、客の骨や関節をリラックスさせる技を身につけている。彼女の好きなことは指の関節をポキポキならすこと。恋人には恵まれないようである。

【アメリ 第18段落】
*ジョセフ(ドミニク・ピノン) @『 アメリ 』
 嫉妬深い、妄想症の男。彼は毎日カフェにいて、前の彼女であるジーナの色々な行動を調査している。そして客に言われたちょっとした言葉まで、小さなレコーダーに録音しているのだ。そんな彼にもアメリのちょっとした悪戯が忍び寄る。ジョセフはアメリのお陰で、別の女性の存在に気付く。彼のお陰でその女性は美しくなり、ジョセフはカフェのトイレで彼女の性欲を発散させた。カフェ中が振動するような勢いだった。しかし、ジョセフの異常なまでの所有欲がすべてを台無しにしてしまうのだった。 ジョセフの好きなことは、女性対してキレそうなる自分の心を静めるためか、プラスチックの包装材のプチプチを壊すことである。

【アメリ 第19段落】
*ジョルジェット(イザベル・ナンティ) @『 アメリ 』
 カフェのタバコ売り場でタバコを売っている彼女は、いつもどこか痛がっている心気症とでも言おうか…。真夏にプルオーバーを着ているという変てこな女性だったが、アメリの悪戯でジョセフが自分を気に入っていると思い込んだジョルジェットは、だんだんキレイになって行く。そしてカフェのトイレで日頃の欲求不満を解消できた彼女は、ウキウキした日々を過ごせるようになったが、すぐにジョセフの異常なまでの嫉妬深さで、また気が変になる。

【アメリ 第20段落】  タバコ売り場に近寄ってきたジョセフに、彼のことが気にかかっているジョルジェットは「 Vous me desirez? (ヴー・ム・デジリイエ=私をお望みですか?)」と言ってしまいすぐに「 Vous desirez? (ヴー・デジリイエ=何をお望みですか?)」と言い直す。 me が入ると入らないで意味が随分変わってしまう。興味深く面白かった。

【アメリ 第21段落】
*レイモン・デュファイエル(セルジュ・メルラン) @『 アメリ 』
 ガラス男。そう言われるのは、生まれつき彼の骨が折れ易いから。手を強く握るだけでも骨を折ってしまう危険性のある彼は、一度も外出したことが無い。彼はルノアールの傑作「船遊びの昼食」の複製を年に一作品のペースでこの 20 年間描き続けている。孤独な老人である彼は、アメリを助け、ルシアンに絵を教え、隣人のことは何でも知り尽くしている。彼には時刻を知るための変わった方法がある。通りの大時計にビデオカメラを向けて、接続したテレビ画面に映し出しているのだ。そんな彼はアメリの良き理解者である。ルノアールの友人達が描かれている「船遊びの昼食」であるが、レイモンがアメリに見立てて話すグラスを持つ女性は、アンジェラというルノワールのお気に入りのモデルの一人である。ポーズをとっている間も休みなくおしゃべりしたというアンジェラは、アメリと正反対のタイプのようである。レイモンは内気なアメリに勇気を持つように伝え続けているのだ。

【アメリ 第22段落】
*マドレーヌ・ウォラス(ヨランド・モロー) @『 アメリ 』
 アメリの住むステュディオの管理人。彼女は最低だった夫を懐かしんでいる。彼女は自分より若い女と南米に去り交通事故死したという、愛しくて優しい夫からの手紙を繰り返し読んでは涙を流している。彼女の名前マドレーヌ・ウォラス( Madeleine Wallace )とは涙とは縁深い名前である。 Madeleine とはフランス語でマグダラのマリアのことで、フランス語には pleurer comme une Madeleine で、「さめざめと泣く」という意味がある。

【アメリ 第23段落】  また、 Wallace はパリの街頭にある水のみ場 fontaine wallace のことである。管理人の仕事のことより、自分の境遇のことばかり考えては涙を流す孤独な彼女のために、アメリはまたもやお節介を焼く。 1969 年の南米からの郵便飛行機が発見された新聞記事を見たアメリは、マドレーヌの夫からの手紙がその飛行機に乗っていたような偽装工作をする。こっそり管理人の部屋から手紙を盗み出してコピーをし、彼女への優しい言葉が書かれた文を抜粋して新しく手紙を作ったのだ。約 30 年前の夫からのラブレターが届いたマドレーヌは、幸せな気持ちに浸ることができた。

【アメリ 第24段落】
*ルシアン(ジャメル・ドゥブーズ) @『 アメリ 』
 アメリの部屋の下にある、コリニョンの食料品店で働いている彼は、自分の売っている野菜を愛している。その野菜たちに細々と心を配って面倒を見ている彼は、誰に対してもやさしさと愛情がある青年である。彼は付近の住民に配達も行っている。もちろん外出しないレイモンのところにも配達に行き、そこで彼はレイモンから絵を教わっている。無私無欲そのものであるルシアンのことをアメリは大好きだ。そこで、彼を苛める食料品店主コリニョンを懲らしめる悪戯をする。

【アメリ 第25段落】  モロッコ系家族に生まれたジャメル・ドゥブーズのフランス語の発音は確かに聞きにくいし、面白い。彼の腕は幼いときに駅で電車に吹き飛ばされたそうだ。フランスでは有名なコメディアンである彼の才能は、この映画でも遺憾なく発揮されている。

【アメリ 第26段落】
*コリニョン(ウルバン・カンセリエ) @『 アメリ 』
 人種差別主義者のバカ野郎。食料品店の店主である。自宅の電話の短縮機能に Rungis 中央市場の電話番号の後に、母親の電話番号をあえて覚えさせているような、子供っぽい大人。弱者を侮辱し、異論を受け入れようとはしないキャラクターは、ジュネの今までの作品に出てくる卑怯で情けない奴にとてもよく似ていると思う。

【アメリ 第27段落】  アメリはいつもコリニョンに苛められているルシアンの敵を討つため、コリニョンの部屋に忍び込み、様々な悪戯をめぐらせて、彼を混乱させる。

【アメリ 第28段落】  これらの可笑しな登場人物とアメリが彼らに仕掛ける悪戯。そして、内気で臆病なアメリの恋。アメリはニノに思いを打ち明けることができるのか? ・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【アメリ 第29段落】  ニノは自分の人生に突如として現れた謎の女の子からのメッセージを読み、彼女に会うためla gare de l'estギャール・ドゥ・レスト(東駅)の3分間写真の前にやって来る。その様子をこっそり窺っているアメリ。先に3分間写真の男の謎を明らかにしたアメリが、ニノにその答えを教えるために仕組んだ悪戯だ。ニノは3分間写真に人が入っていることに気付く。外に出てきている写真を見ると、例のあの謎の男だ。ニノは押さえきれずカーテンを開いてみる。中にいたその男は3分間写真の修理をしていた。足元には工具。そうか、彼は3分間写真の修理の人だったんだ。まさに青天の霹靂。ずっと追っていた謎が明らかになり喜ぶニノ。アメリは今こそニノに思いを告げようと、ニノのほうに歩み寄るが、目の前を大きな荷物が通る。その間にニノはどこかに行ってしまった。

【アメリ 第30段落】  ニノは「ドゥ・ムーラン」に来ていた。自分に謎の答えを教えてくれたのは、この間ここで会った、黒髪の目がクリクリとした女の子にちがいないと思ったのだ。その時自分に給仕してくれたウエイトレスのジーナに尋ねてみる。

【アメリ 第31段落】  「ドゥ・ムーラン」にやって来たアメリは、常連客のジョセフから仕事が終わったジーナがプラスチックの鞄を持った男と出て行ったことを聞く。ニノはジーナと行ってしまった。傷心で自分のステュディオに戻ってきたアメリは、料理をしながらニノのことを思って涙を流す。そんなとき、玄関のベルが鳴る。アメリ?と呼ぶニノの声。なのにアメリは返事ができない。ニノは「また戻る」というメッセージを残して行ってしまった。そんな引っ込み思案なアメリに、電話がかかってくる。いつもアメリのことを見守っていてくれる、隣人のレイモンからだ。

【アメリ 第32段落】  電話のメッセージに従い、アメリが寝室へ行くと蝋燭が周りに灯されたテレビがある。ビデオテープを押し込むと、レイモンからのメッセージが流れる。「僕の小さなアメリ、君の骨は僕のガラスのような骨ではない。君は自分の人生をノックすることができるんだ。もしこのチャンスを逃すなら、君の心は僕の骸骨のように乾き壊れ易いものになるだろう。だから彼のところに行きなさい。幸運を祈ってるよ。」彼の言葉に勇気を得たアメリは、ニノを追うために玄関のドアを開けた。するとそこにはニノが立っていた。彼のジャケットをつかんで、部屋に引き入れるアメリ。アメリは心を共有する大切な人、ニノを手に入れた。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず7532文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      Dossier Amelie Poulain
      Great Artist 2 ルノアール
      AlloCine : Cinema
      公式サイト(仏語版)
       http://www.ameliepoulain.com/intro.htm
■映画『 アメリ LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』の更新記録
2002/07/22新規: ファイル作成
2004/07/08更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式
2005/03/09更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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