マニトの靴
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 マニトの靴@映画の森てんこ森(シャイな幸の独り言)
マニトの靴
「マニトの靴」「スタスキー&ハッチ」等のバディ・ムーヴィー
2004年10月10日日曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 今日10/10(日)夜、ジャンクSPORTS(関西では関西テレビ/8ch.)で「パートナー」と題して、有名アスリートの親子コンビや師弟コンビや同僚コンビが出演していた。
 何事を為すにも一人ではできない。精神的・物質的・技術的にサポートする誰かがいる。一人よりは二人で事に当たる、二人三脚というか、良きパートナーと言える人が存在する。

 映画では、『 マニトの靴 (2001) DER SCHUH DES MANITU(原題)/MANITOU'S SHOE(英題)=荒野のマニト(ビデオ題)』や『 スタスキー&ハッチ (原題) (2004) STARSKY & HUTCH 』や『 マルセイユ・ヴァイス (2003) GOMEZ & TAVARES (原題) / PAYOFF (英題) 』のように、二人の主人公が活躍するお決まりのスタイルがある。これをバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)という。日本映画でも先日TVでも放送された、安倍晴明(野村萬斎)と源博雅(伊藤英明)の映画『 陰陽師 II (2003) 』もこのバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)の一つと言えよう。

 バディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)は古くはこんな形が主流だった: 白人の男がいて、別の白人の男と出会う。二人は喧嘩をし、それから犯罪を解決したりとんでもないことをやらかしたりして、結局仲良くなる。
スタスキー&ハッチ (原題)
スタスキー&ハッチ (原題)
スタスキー&ハッチ (原題) (2004) STARSKY & HUTCH 』のオリジナルがこれ。次は 1980 年代から: 『 リーサル・ウェポン (1987) LETHAL WEAPON 』〜『 リーサル・ウェポン4 (1998) LETHAL WEAPON 4 』シリーズや『 ビバリーヒルズ・コップ (1984) BEVERLY HILLS COP 』や『 アイ・スパイ (2002) I SPY 』のオリジナルのように、白人の男が黒人の男と出会う。やはり二人は喧嘩して、麻薬組織のボスをやっつけたり大金をゲットしたりする。
 こういうバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)では、白人がダンスがどんなに下手かとか、黒人独特の訛りなんかがジョークになって、新しいバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)の世界を作り出した。

 しかし、そういう流れも沈滞する。いわゆる「肌の色」のバリアが壊れてしまったのに、一体あとどんなことができるのか、と。 1990 年代も後半になり 21 世紀が近づいてくると、ハリウッド映画界は真剣にその答えを探した。
マニトの靴
マニトの靴
 先ず、刑事ものではないが東洋人ジャッキー・チェンと白人のコンビの『 シャンハイ・ヌーン (2000) SHANGHAI NOON 』『 シャンハイ・ナイト (2003) SHANGHAI KNIGHTS 』シリーズ。そして遂に生まれたのが、更に新しい型のバディ・ムービー: 黒人と東洋人が出会い、喧嘩し、借金に連著したりおべっかを言ったり外国政府を打倒したりして仲良しになるバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)。これはジェット・リーの『 ブラック・ダイヤモンド (2003) CRADLE 2 THE GRAVE 』がその典型である。 21 世紀には、アメリカ・インディアン(スミマセン...ネイティヴ・アメリカンと書くべき)と東洋人とのバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)が主流になるなんて予測もある。でも、アメリカ・インディアンでハリウッドスターっているかな?

 以前紹介した映画『 マルセイユ・ヴァイス (2003) GOMEZ & TAVARES (原題) / PAYOFF (英題) 』は典型的なバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)と言われる。バディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)とは、相棒映画 buddy movie / buddy film のことで、文字通り、二人が良きパートナー=相棒になって悪事を解決する映画のことだ。正確に定義すると、‘ movie about friendship: a style of film focusing on the adventures and friendship of two central characters of the same gender <MSN Encarta - Dictionary より>’ということ。直訳すれば「友情についての映画: 同性の二人の中心となる登場人物の冒険と友情に焦点を合わせた映画の形」となる。

 こういうバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)の流れは主にハリウッド事情のようで、フランスはまた別路線なのだろう。『 クリムゾン・リバー (2000) THE CRIMSON RIVERS / LES RIVIERES POURPRES 』『 ルビー&カンタン (2003) TAIS-TOI! (原題) / RUBY & QUENTIN (英題) 』『 クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち (2004) CRIMSON RIVERS 2: ANGELS OF THE APOCALYPSE 』等、白人同士のバディ・ムービーが続き、この『 マルセイユ・ヴァイス 』もポスターを見る限り、ゴメスとタバレス Gomez & Tavares は二人とも白人だ。もしかしたらヒスパニックとかアラブ系とかかもしれないけど。

 アッそうそう、随分以前に観たがレヴューを書いていないドイツ映画『 マニトの靴 (2001) DER SCHUH DES MANITU(原題)/MANITOU'S SHOE(英題)=荒野のマニト(ビデオ題)』は、アパッチ族と白人の歴然たるバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)だ。
 『 マニトの靴 』は、ドイツ本国では8人に一人が観たという、ドイツ映画史上最高動員を記録したコメディ活劇、ドイツの西部劇映画らしい。“血の兄弟”の契りを交わした二人の主人公、アパッチのアバハチ(ミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ)と白人レインジャー(クリスチャン・トラミッツ)、が秘宝「マニトの靴」を探し求める。この映画はドイツが製作国なので「ソーセージ・ウエスタン」といわれているが、嘗てのイタリアン・ウエスタンが「マカロニ・ウエスタン」と呼ばれたことからモジって誰かが言い出したのだろう。トリヴィアネタかもしれないけど、誰が名付け親か知りたい。「マカロニ・ウエスタン」といい「ソーセージ・ウエスタン」といい、巧い表現だ。
 簡単に『 マニトの靴 』のあらすじを紹介すると・・・アバハチは、悪徳不動産業者のサンタ・マリアから、荒野の真ん中にパブを一軒購入した。ところがそのパブは映画のセットのように見せかけの板一枚。購入資金はショショーニ族から借りたお金。サンタ・マリアはその金を持ち逃げ。おまけにショショーニ酋長の息子を殺す。アバハチとレインジャーはショショーニ族から息子殺害の汚名を着せられ、危うく処刑されそうになる。二人は先ず借金をショショーニ族に返すため秘宝「マニトの靴」を探しに旅に出る。そして息子殺しの無実も証明しなければならない。祖父のマッド・カウが遺した宝「マニトの靴」の在り処は4等分された地図に記されている。主人公アバハチを演じるミヒャエル・ブリー・ヘルビヒは女役ヴィネタッチの二役を演じ、製作・脚本・監督もこなす。名作のパロディ、ミュージカル、ジャーマンギャグの連発。私はドイツ的ユーモアセンスがないのか笑うツボが違うのか、『 MON−ZEN [もんぜん] (1999) ERLEUCHTUNG GARANTIERT (原題) / ENLIGHTENMENT GUARANTEED (英題) 』同様、ちょっとついていけないところもあったけど...頑張って作った映画、観てよかった印象はあることは確かだ。とにかく観る人が観るとナンセンスな面白さ満載って所らしい。
 詰る所、映画『マニトの靴』は、勧善懲悪、平和と自由と正義を求めて骨折り損のくたびれもうけ的なスラップスチック・コメディー slapstick comedy ドタバタ喜劇)バディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)だ。
 余談だが、「マニト Manitou」の言葉が気になって調べまくった。「マニト Manitou」とは“manito”とも表記され、アメリカの先住民オジブウエ Ojibway族やAlgonkian アルゴンキアン族の言葉で「偉大なる魂 Great Spirit」を意味する。カナダのマニトバ Manitoba 州やマニトリン Manitoulin island 島や合衆国コロラド州のマニト温泉 Manitou Springs, Colorado の語源でもある。調べると限(きり)がない。

 また、フランス映画『 ジェヴォーダンの獣 (2001) LE PACTE DES LOUPS (原題) / BROTHERHOOD OF THE WOLF (英題) 』の主人公二人、白人グレゴワール・ド・フロンサック(サミュエル・ル・ビアン)とアメリカ先住民モホーク族のマニ(マーク・ダカスコス)も、『 マニトの靴 』のアバハチとレインジャー同様、義兄弟の契りを交わした仲だ。『 ジェヴォーダンの獣 』はコメディではなくサスペンスで、残酷にもパートナーのマニは殺されてしまうが、やはりバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)に変わりはない。

 バディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)の厳密な定義からすると、パートナー=相棒は「同性の二人」でなくてはならないが、録画して殆ど観ている火曜サスペンス劇場「小京都ミステリーシリーズ」のフリーライターの柏木尚子(片平なぎさ)とカメラマンの山本克也(船越英一郎)や金曜エンターテイメント「赤い霊柩車」シリーズの京都の葬儀社社長・石原明子(片平なぎさ)と恋人の大学病院医師・黒沢春彦(神田正輝)のサスペンスドラマも一種のバディ・ムービー(バディ・ムーヴィー)だ。
 私もサスペンスの女王片平なぎさに肖(あやか)って、優しくて頼り甲斐のある良きパートナーに恵まれてコンビを組んで、バディ・ムーヴィーよろしく、人生の難題を解決していけるかしら・・・

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      http://www.cinemovies.fr
      Manitou Springs
       http://www.manitousprings.org/
      Manitouwadge
       http://www.town.manitouwadge.on.ca/Other/fallstours.pdf
      マニトの伝説
       http://www.etown.net/manitoulin-espanola/otherinf%5Cnative.htm
Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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