パリの映画事情
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 パリの映画事情@映画の森てんこ森
パリの映画事情
フランス・パリの映画事情(仏映画通Yさん通信)
2004年12月23日木曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 フランスのパリに住む女性と時々メールしあう。
 彼女は映画が詳しい。彼女をここでは “Yさん” と仮に呼ぼう。
 私はYさんを大いに尊敬している。彼女のメールの内容は、私だけ読むには勿体無いと思い、時々彼女の文章をそのまま映画の森てんこ森の映画解説に引用する。例えば、『 5×2 (原題) (2004) 5x2 CINQ FOIS DEUX (仏題) / FIVE TIMES TWO (英題) 』。また、『 ボン・ヴォヤージュ (2003) BON VOYAGE 』で、結構気に入ったイケてるフランス人俳優グレゴリ・デランジェール Grégori Derangère の情報(時間がなくてまだ作成していないが)など、私の知らないことを教えていただいている。

パリ・シネマテック近く
パリ・シネマテック近く
 映画のメッカ・パリは映画通がひしめき合う。
 彼女もそんな映画通のお一人だ。映画は原語で観るというのが理想で私も同感だが、Yさんはそれが出来る。日本の映画評論家と称する方々もすごいかも知れないが、彼女はフランス語も英語も、勿論日本人なので日本語と同じぐらい堪能だ。いや 30 年はパリにお住まいなのでフランス語のほうが日本語より堪能かもしれない?ハリウッド映画もさることながら、フランス映画なら、日本の評論家は彼女に太刀打ちできないだろうと確信して尊敬している。

 私は、彼女に影響されてかパリに住むということ自体に憧れ、更に実際のところ、世界の映画が簡単に観れるパリ住まいに憧れる。勿論フィレンツェやプラハにも長く住んでみたいが、映画三昧生活ならパリが最適かも知れない。

 さて、海外移住の憧れの話はさておき、このページでは、「パリの映画事情」を紹介する。前述のYさんのメールを、ご本人の許諾を得て原文のまま掲載する。プライヴァシーに関わる箇所は一部割愛してある。
パリの今年の冬は・・・
パリ在住 Yさんより/パリ現地時間:2004年12月18日 16:03:14
 パリの今年の冬は、やたらとカラカラで寒い...と思ってたら、思いっきり雨が降って風が吹いて、いつも通りの薄暗くってドロドロの冬になりました。

 私がよく行く映画館は、Les HallesにあるUGC Cinécitéで、日本ではシネコンとか呼ばれているタイプの映画館です。ここには25の劇場があります。何年か前に、息子が私の誕生日に、”Illimité“カードをプレゼントしてくれて以来、続けて登録しています。
 このメンバーズカードは、誰にでも入会出来、月18ユーロで、フランス中のUGC系映画館で好きなだけ映画を見る事が出来ます。

 後、Gaumont-mk2-Pathé系のシネコンでも、同じようなカードを出しています。かかる映画はほとんど同じです。このタイプの映画館での普通の値段は、一本8ユーロくらいだと思いますが、その他にも、ウイークデーカードや7本カードがあり、一本6ユーロ弱で見る事が出来ます。又、お昼前上映分は、総ての映画が5ユーロ。学生割引、60才以上割引などは、月曜日から金曜日まで効きます。

 パリのシネコンでは、マイナー系・インディー系の映画も見られるので、カードは便利です。その他にも、パリ中に散らばっている”Arts et essais“系の映画館等を走り回ると、本当に世界中の映画を楽しめます。ただし、見たい映画の上映日と上映時間を確かめ無ければならない事もあります。値段は、だいたいどこでも同じ。割引も、似たような物です。失業者にも、割引が効きます。

 後、シネマテック、ヴィデオテック、ポンピドーセンターなどでも、テーマや監督毎に、映画祭が行われています。毎年行われる”Fête de cinema”では、何処かの映画館で、初めの一本を割引無しで見ると、パスポートがもらえ、後は、どこの映画館へ行っても1本1ユーロで見られます。ただし、ものすごい人出なので、私のようなおばさんは、家でおとなしくしてるか、美術館にでも行った方がよいのです。体力負け、ね。

 上映時間は、シネコン系では、朝の10時くらいから、夜の10時台上映分まで。金曜日と土曜日は、夜中の12時上映分というのがあったと思います。他の映画館では、お昼の12時前に(割りびき有)第一回が上映され、夜は10時の分までです。
 私は、やたらと映画を見る時期と、全く見ない時期があって、結構色々のがしているのです。でも、テレビの映画チャンネル(10局程かな?)で、少しは取り返しています。サブタイトルで見る事が出来るので。

 日本は、映画も公演もとても高いでしょう。DVDもCDも高いでしょう。インド映画が好きな私の姉は欲しいDVDがあると、タイトルを知らせてきます。で、私は、インド街へ出かけて行って、ビックリする程安いDVDを買って送っています。中華街へ行けば、香港映画やタイ映画のDVDもあります。映画好きには、たまらない町ですよ、パリは。

  オーシャンズ12を見てきました。もう、面白いったら!ハリウッド映画がいつもこんな風によくできているといいのに...。ま、監督が監督だし、出ている人達が人達だからね。あなたのお気に入りの、ヴァンサン・カッセルが頑張ってますよ。 長くなりました。 では、又。 Y

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パリで映画を観るには・・・
パリ在住 Yさんより/パリ現地時間:2004年12月20日 22:55:23
 映画の切り替え日は毎水曜日です。同時に、Pariscope誌とL’officiel des spéctacles誌が発売されます。この2週間誌は、日本のタウン誌(と呼ばれていたと思うけど)と同じで、映画、コンサート、演劇、ダンス、展覧会、アトラクション(子供用から大人用まで)、レストラン等などのその週のインフォメーションが載っています。だから、水曜日のメトロの中では、通勤電車の中でその週の予定を睨んでいる人達が見られます。又、誌のサイズが小さいので、しょっちゅう持ち歩いている人達が沢山います。
 この2誌には、それぞれ派があって、パリスコープで慣れていると、ロフィシエルが見づらく(又は、その反対)て、「アア、見にくい!...の方が良く出来てるのに!」「こっちの方がいいの!」と、道での文句のいい合は、今も変わらず世代が変わっても続いています。インターネットが広まった今日でも、この2誌が頑張っているのは、いかにもパリらしいです。

 上映会場はSalle(サル)と呼ばれ、席数が50席くらいの小さなSalleから、400席もある大きなSalleまであります。いわゆるシネコン系でも、小さなサルから大きなサルまで揃っています。集客数が大きな映画は、当然大きなサルで上映されます。だからといって、値段が高くなるわけではありません。一本の値段は、どれも同じ。だから、気に入った映画や、一度ではよく解らなかった映画を見直すのはごく簡単です。ましてや、メンバーズ・カードを持っていると、何回行っても平気。
 例えば、ロード・オブ・ザ・リングのように、一本が3時間を軽く越える映画で、一回では見逃してしまうシーンやついて行けない台詞が一杯ある映画の場合、値段が高いと懐具合が気になるでしょう。時間さえ都合が付けば、2回3回と見に行く事も簡単です。

 スクリーンのサイズは、席数に正比例しています。 立ち見席はありません。これは考えられません。満席になると“COMPLET”のサインが出て、次の回まで待たなくてはなりません。当日予約は、シネコン系では出来ますが、前売り券というのはありません。

 日本では、あるのが当然のパンフレット。フランスにはありません。映画館で買えるのは、せいぜい飲み物、アイスクリーム、ポップコーンかチョコレートのような物です。種類が多いのはシネコン系ですが、それでも、大した物はありません。ましてや、グッズなど、とんでもないです。

 私がパリに着いた頃(30年前、ウッ...)、オリジナルバージョンで上映しているのは、左岸の映画館が主で、後はシャンゼリゼの映画館でした。小さな映画館がほとんど消えてしまった今日、パリの主流は、オリジナルバージョン+サブタイトルの映画館です。小さな映画館がなくなったのは残念ですが、OV上映の映画館が増えたのはよい事です。

 これはウチの息子の受け売りですが、“映画を吹き替えで見るのは、その映画の味を半分捨てているような物だよ。”確かに、文化とは、歴史を伴い、国それぞれで違う物。言葉の重要性は無視出来ません。特に最近はヨーロッパ合作映画のせいで、出演者が自国の言葉で話す映画が多くなりました。このタイプの、国民性を尊重する映画を始めたのは、ウィン・ヴェンダースですが、言葉を一つにしてしまうと、意味がなくなってしまいます。イタリア人の手足と目を使ってのあの会話は、やはりイタリア語(幸さんも良くご存知なように)。フランス人の、時として小馬鹿にしたような顔つきと、エスプリにとんだ会話はやはりフランス語。ちょっと角張った、どことなく真面目が漂うのはやはりドイツ語。それに、なんともゾクゾクするイギリス英語は、イギリス人にしか話せない!そんな流れもあって、OVの映画が増えたのではないでしょうか。同じ感覚で、日本人が日本空間にいて、フランス語で話す映画なんて、チーズ巻き寿司よか気持ち悪い!ネ!
 ただし、これはパリの話で、少し外に出ると吹き替え版が幅を利かしています。まあ、映画祭無しで各国の映画に触れられるのは、又は、興味を持つのは、パリくらいな物でしょうけれど。

  レートですが、フランスの基準は、アメリカの物とは全く違います。男と女が素っ裸で出て来ても、はっきりしたセックスシーンがなければ、18才(成人)じゃなくても平気です。
 それに引き換え、暴力や血液が一杯の映画は、厳しくコントロールされています。息子がちょうど12歳になったばかりの頃、何の映画だったかは忘れましたが、チケットを買う時に、身分証明書を出さなければなりませんでした。
 10才以下禁止、12才以下禁止、16才以下禁止、18才以下禁止のレートの他に、“ショックを与える可能性のあるシーンがあるので、注意。”と言うレートもあります。これは禁止ではないが、各人の良識と付き添いの大人達の判断に任せます、という事です。いかにも、”見る見ないは、ア ンタの責任だからね〜。”でしょ。

 10才以下禁止というは、言葉や行動や態度が、子供達に見せるには猥褻すぎたり下品過ぎると、評価された時だったと思います。ラ ブ・アクチュアリーのように私達は、気持ちよく笑いながら楽しんでいる映画でも、10才以下禁止でした。アメリカへ女探しに行った若者が、3人の女の子 と楽しむ所くらいしか引っ掛かりそうなシーンは考えられないんですけどね。

 私が驚いたのは、フランスでは12才以下禁止の“指輪物語”は、日本では小学校低学年でも見られたという事です。あの映画は、確かに良く出来ていて、私もすごく楽しんだ人間の一人ですが、ただ、戦闘・殺戮場面が多く、おまけに、非常に込み入った内容(トᬢルキン!)の映画なので、そんな小さな子供達が見に行けたのには、首を傾げてしまいます。レートについては、色々ありますが、偽善的道徳の押しつけや、金儲けすりゃいいという物ではないと、思うのですが。

 後、鑑賞態度。なるべく静かに鑑賞しましょう。家でテレビを見ているのではないので、友達とコソコソ喋ると、『シッ!!』と、しかられます。
 笑いたければ大いに笑いましょう。それでしかられる事はありません。匂いのする食べ物、音のする食べ物は、映画が始まる前に食べてしまいましょう。食べてる方がビクビク物で、不味くなります。

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■オーシャンズ12を見て来て・・・
パリ在住 Yさんより/パリ現地時間:2004年12月21日 12:34:55
 昨日、息子氏がオーシャンズ12を見て来て、毎度の事ながら意見の交換をしました。彼はイレブンの方が好きだそうです。私は、どちらとは言えません。 で、結論は、“イレブンは、伝統的な料理を良く知った上で、画期的な料理を作るシェフが、趣向を凝らし、材料を吟味して新しい味付けをしたフルコース を、楽しくおいしく頂いた感じ。トゥエルブは、前の料理を頭に入れて食べに行ったら、シェフが出してくれたのは、彼式の中華フルコース、それも回転テーブルだった!一つ一つの料理をよく知りたかったら、もう一回は行ったほうがいいよ。の感じ。” 
 これ以上は言いませんので、幸さんが見たら感想を知らせて下さい。

では。

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      AlloCine : Cinema
      FilmUP http://www.filmup.com
Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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