千年湖と新羅
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千年湖と新羅＠映画の森てんこ森
千年湖と新羅
2005年7月16日土曜日
【 千年湖と新羅 】 ■（１）映画『千年湖』はラブロマンス ■（２）映画『千年湖』は歴史活劇（時代劇） ■（３）映画『千年湖』に出てくる新羅ってどんな国？ ■（４）映画『千年湖』における朴赫居世（パク・ヒョクコセ）と歴史 ■（５）映画『千年湖』におけるジンソン（真聖）女王と歴史 ■（６）映画『千年湖』におけるジンソン（真聖）女王は負け犬？ ■（７）幸の作成した映画『千年湖』の紹介ファイル
■（１）映画『千年湖』はラブロマンス 　映画『 千年湖　(2003) THE LEGEND OF THE EVIL LAKE 』を観た。 　映画『千年湖』の配給会社（株）彩プロの御好意で、『千年湖』を日本公開前に観せていただいた。中々イケてる。『 グリーン・デスティニー　(2000) 臥虎藏龍 (原題) / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON 』的、『 ＨＥＲＯ　(2002) HERO (英題) / 英雄 (原題) 』的に仕上がっていて、ワクワクして観れた。映像も綺麗だった。 　映画『千年湖』のプロットは、滅ぼされた一族の怨念と呪詛。権力をめぐる陰謀。滅んでいく新羅の世に恨一千年が蘇る。ビハランとジャウンビの美しくも哀しい愛の物語が、時代に翻弄されていく。映画『千年湖』は、宿命を背負った二人の真のラブ・ストーリー。因みに『千年湖』は韓国語で「チョンニョノ」と発音する。 　映画『千年湖』は命を懸けたラブロマンスである。プレスシートの見出しでは＜愛は宿命を超える。千年の時を超える湖の謎。闇の歴史に翻弄される、男と女の哀しくも美しい愛。＞とあり、＜韓国発・究極の純愛ラブ・ストーリー＞と紹介されている。 　韓国の“ヒュー・グラント”と言われる（ワタシ的にはヴィジュアル的にチョッと違うかな？）チョン・ジュノのビハラン将軍を演じた武将姿はよく似合って映えていたし、“期待の新進女優”キム・ヒョジンはビハランを慕う娘ジャウンビとアウタが乗り移った悪霊ジャウンビを熱演している。そしてジンソン（真聖）女王役のキム・へリは、流石ミス韓国のキャリアがあるだけあって、女王に相応しい気品がありとっても美しい。映画『千年湖』はこの3人の愛を描く。 ▲TOPへ ■（２）映画『千年湖』は歴史活劇（時代劇）
千年湖と新羅 千年湖　(2003) ポスターはwww.moviemaster.de/より引用 日本語公式サイト／『千年湖』予告編 2005年8月6日、 シブヤ・シネマ・ソサエティ他 にてロードショー	一方で映画『千年湖』は歴史活劇（時代劇）だ。映画『千年湖』は、所謂“オリエンタル・ハリウッド”の中国浙江省のホンディエン（横店影視城）に長期ロケーションを敢行。そして製作は『 シルミド／ＳＩＬＭＩＤＯ (2003) SILMIDO / 実尾島 』を送り出した Hanmac Film。製作総予算はUS$ 8Million（1ドル＝110円換算で約8億8千万円）。戦闘シーンは総勢3,000人ものエキストラを動員して迫力満点、手や首が飛ぶ残酷な映像もあってチョッと怖い。映画『 コールド マウンテン　(2003) COLD MOUNTAIN 』の戦いや『 ギャング・オブ・ニューヨーク　(2001) GANGS OF NEW YORK 』の集団で殺しあうシーンを思い出した。 　映画『千年湖』の撮影に『上海ルージュ』でアカデミー賞ノミネートのリュウ・ユエ、音楽に、『シュリ』　『ブラザーフッド』のイ・ドンジュン、マーシャル・アーツ・ディレクターに『 ザ・ワン　(2001) THE ONE 』『 キス・オブ・ザ・ドラゴン　(2001) KISS OF THE DRAGON 』のユエン・タク等、アジア各国から最高のスタッフ陣がこの映画『千年湖』に集まって出来た韓国映画史上類を観ない歴史活劇（時代劇）ともいえる。 ▲TOPへ
■（３）映画『千年湖』に出てくる新羅ってどんな国？ 　私は朝鮮の歴史は中学・高校で出てくる程度のことしか知らない。三国時代の高句麗、百済、新羅の三国とか白村江（はくすきのえ）の戦い＜ 663年、白村江での唐・新羅軍と日本・百済軍との戦い。百済を救援した日本軍は敗れ、百済は滅亡、日本は朝鮮進出を断念。新羅が朝鮮統一に一歩を進めた。『大辞林』＞）ぐらいかも。 　韓国の歴史は、韓国（画面切替）を時々訪問して次第に興味を持つようになったレベルだ。因みに、フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』によると、新羅（しらぎ, 紀元前57年ごろ〜 935年)は、古代の朝鮮半島東南部に領し、7世紀には百済(百濟）、高句麗南部を併合して統一新羅を形成した国。首都は金城（現在の慶尚北道慶州市）にあった。※詳しくは、新羅／フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』参照 ▲TOPへ ■（４）映画『千年湖』における朴赫居世（パク・ヒョクコセ）と歴史 　この映画『千年湖』の冒頭では、朴赫居世（パク・ヒョクコセ）が登場する。朴赫居世（パク・ヒョクコセ）という人物は、朝鮮のルーツといわれる新羅千年の歴史（紀元前57年ごろ〜西暦 935年）の中で、新羅（当時の名はソラボル国）の初代王・赫居世居西干（朴氏）のことと知った。 　今年の冬、韓国を訪問したときに、ガイドさんから「朴赫居世（パク・ヒョクコセ）」誕生の伝説がある蘿井（ナジョン）と祠堂の楊山斎（ヤンサンジェ）に行くよう誘われたことがある。その時はまだ、恥ずかしくもこの映画『千年湖』の存在を知らなかったし、時間も無かったし寒かったので訪問しなかった。 　聞くところによると「蘿井（ナジョン）」は、「朴赫居世（パク・ヒョクコセ）」が赤い卵から生まれたという伝説を持つ「朴赫居世（パク・ヒョクコセ）」誕生の地だ。「楊山斎（ヤンサンジェ）」は「六部村長（ユックブチョンジャン）」の位牌を祀り祭祀を行うために、1970年建立された祠堂だということだ。シマッタ！ガイドさんに付いて行って観ておけば良かった。映画『千年湖』は韓国では2003年に封切られているのに...。勉強不足だわ。 　映画『千年湖』の冒頭で登場するシーンで、大樹を祀るシャーマン・族長アウタとその民が滅ぼされるシーンがある。シャーマン・アウタとその村人たちは、その六部村の一つで「大樹村（デスチョン）」の民の事かと、幸は勝手に思ったが、そうではないらしい。新羅国（当時の名はソラボル）は、「辰韓地域」にあった6つの村「楊山村（ヤンサンチョン）」「加利村（カリチョン）」「高耶（コヤチョン）」「高墟村（コホチョン）」「珍支村（チンヂチョン）」「大樹村（デスチョン）」が、突然の敵の襲来に備えて統合してできた国家で、その首長である朴赫居世（パク・ヒョクコセ）は、六村合議で満場一致の民主的決定によって選ばれた新羅の初代王なのだ。朴赫居世（パク・ヒョクコセ）は大樹村（デスチョン）を滅ぼしてはいない。因みに「ソラボル」とは現在の韓国の首都「ソウル」の語源らしい。 　朴赫居世（パク・ヒョクコセ）は選ばれるべくして選ばれたのかも知れない。朴赫居世（パク・ヒョクコセ）の姓の「朴（パク）」には「明るさ」が、名の「赫居世（ヒョクコセ）」には世を治めるという意味が含まれているらしい。また、朴赫居世（パク・ヒョクコセ）の「コセ」が「コソ」となって「社」を表し、朴赫居世（パク・ヒョクコセ）が日本の神社の起源だという説も読んで面白いと思った。今度韓国へ行くときに時間があれば、是非行ってみることにする。 ▲TOPへ ■（５）映画『千年湖』におけるジンソン（真聖）女王と歴史 　また、新羅の歴史では、ジンソン（真聖）女王は実在した人物だ。韓国では「真聖女主（Jinseong Yeoju）」とも呼ぶらしい。ジンソン（真聖）女王の生年は不明だが 897年没。 　新羅一千年の歴史上では、3人の女王の時代がある。ジンソン（真聖）女王は、女王としては統一新羅（676年−935年）時期の唯一の女王で、三国時代最後の女王である。映画『千年湖』では、ビハラン将軍を寵愛した女王として描かれている。実際のジンソン（真聖）女王はどんな人だったか気になる。 　映画『千年湖』のエピローグで＜ジンソン女王は王位を退き、その半年後に死亡　38年後新羅はその歴史に幕を閉じた＞とある。実際の新羅の56代王の歴史上では、このジンソン（真聖）女王の後に、孝恭王、神徳王、景明王、景哀王と続き、56代王敬順王の935年で新羅の治世が終わる。ジンソン（真聖）女王は887年−897年の11年間在位し、退位したその年12月に金城（慶州）の北宮で逝去した。ジンソン（真聖）女王にとっては、どうも政治が得意でなかったようである。エリザベス女王（『 エリザベス　(1998) ELIZABETH 』参照）の治世のようにはいかなかったらしい。 　ジンソン（真聖）女王は、＜真聖女王／フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』＞で調べると、ジンソン（真聖）女王は、名を「金曼」といい、新羅48代王・景文王（在位861年−875年）の娘で、新羅49代王・憲康王（在位875年−886年）や新羅50代王・定康王（在位886年−887年）の妹だ。この頃の新羅の王室は近親結婚が多かった為、遺伝的に子孫のない王が続き、王位継承範囲と定められている真骨（王族）には男性がいなくなっていたので、在位1年で病に倒れた新羅49代王・定康王の遺言に遵って、妹の曼が即位し新羅51代王・ジンソン（真聖）女王になったのである。 ▲TOPへ ■（６）映画『千年湖』におけるジンソン（真聖）女王は負け犬？ 　ジンソン（真聖）女王には結婚歴がない。当時婚姻できる王族の範囲に男子がいなかったかららしい。それで角干（大臣に当たる官位）の魏弘を愛人にして登用していた。映画『千年湖』のビハラン将軍も寵愛されていたので、歴史上の人物の魏弘がモデルなのかしら？ 　それから魏弘が死去すると、美丈夫な青年数名と密かに淫行して、彼らに政治の要職を授けて政治を行わせたらしい。よって国政と綱紀は乱れ、国内で反乱が続発し、後三国時代の幕開けとなっていく。 　ジンソン（真聖）女王は、映画『千年湖』では悪政を為したかどうかは明らかに描かれてはいない。しかし謀反を起こす側近の大臣（カン・シニル：『 シルミド／ＳＩＬＭＩＤＯ (2003) SILMIDO / 実尾島 』のヤクザ上がりの第2班長クンジェ）のセリフ（決め台詞）に「見苦しいお姿ですぞ　陛下　男におぼれて国をほろぼすか　まるで発情したメス犬だ」と蔑まれるクダリは歴史上の事実を語っているのかも。 　実際のジンソン（真聖）女王は、王族に生まれたが故に王族の規範に縛られ、なりたくも無い新羅の王になって、権威を笠に気に入った男を寵愛することによって、したくも無い政治から逃避して自暴自棄になっていたのかも？と思うのは幸の勝手な解釈？ 　もしそうなら、本当に好きな男性と添い遂げられないジンソン（真聖）女王は、満たされない孤独な一生を送ったのだろうな思うとチョッと哀しい。 ▲TOPへ
参考資料：「映画の森てんこ森」映画タイトル集 　　　　　　　http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm 　　　　　　映画『千年湖』公式ページ 　　　　　　　　　　　　http://www.seochon.net/sennenco/l 　　　　　　IMDb 　　　　　　allcinema ONLINE 　　　　　　Nostalgia.com 　　　　　　CinemaClock.com 　　　　　　フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 　　　　　　　　　　　　http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E7%BE%85l ※以上の「新羅や新羅王」に関する記述は、ネットや書物から得た情報の、幸の勝手な理解です。誤植や内容についての誤りはご容赦くださいますよう、そして本ページについてのご質問には答えられませんので宜しくお願いいたします。
Text by Sati

coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。 coda_sati@hotmail.com
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