ニュースの天才
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 ニュースの天才@映画の森てんこ森(シャイな幸の独り言)
ニュースの天才
映画「ニュースの天才」を観て
2004年09月20日日曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 2004年秋、日本公開予定のギャガ=ヒューマックス配給の映画『 ニュースの天才 (2003) SHATTERED GLASS 』を観た。面白かった。そして、『 ニュースの天才 』のカタログがお洒落で気が利いていて嬉しかった。

 映画『 ニュースの天才 』の原題は、“Shattered glass(粉々に割れたガラス)”という意味だが、『 ニュースの天才 』の主人公スティーヴン・グラス(ヘイデン・クリステンセン:『 ヴァージン・スーサイズ (1999) THE VIRGIN SUICIDES 』『 海辺の家 (2001) LIFE AS A HOUSE 』< 2002 年ゴールデン・グローブ助演男優賞ノミネート>『 スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 (2002) STAR WARS: EPISODE II - ATTACK OF THE CLONES 』< 2003 年ラジー賞のワースト助演男優賞受賞>)が、ジャーナリストとして、粉々になってしまった(シャッタード SHATTERED)グラス君(GLASS という苗字)とモジッている思われる。邦題は「ニュースの天才」とあるのも、映画を観れば「フムフム、なるほどね...」と納得する。

 映画『 ニュースの天才 』のあらすじは...。 1998年、ニュー・リパブリック誌の編集者となったわずか数ヵ月後、チャールズ・レイン(ピーター・サースガード)は、”WASHINGTON SCENE: HACK HEAVEN”という見出しのでっち上げ記事を書いた主人公スティーヴン・グラスを解雇した。それは十代のコンピューター・ハッカーについての記事だった。
 これがグラスが書いた最後の記事となったが、グラスが真実を弄(もてあそ)んだのはこれが初めてではなかった。グラスがニュー・リパブリック誌で書いた 41 の記事のうち 27 の記事において、一部もしくは全てが捏造であり、フリーランス・ライターとして、ローリング・ストーンズ誌 Rolling Stone 、ジョージ誌 George 、ハーパース誌 Harper's Magazine でも嘘を書いて高収入を得ていた。・・・もっと詳しく

 実話を基にしたこの映画『 ニュースの天才 (2003) SHATTERED GLASS 』は、脚本家として活躍するビリー・レイ監督の初監督作品で、もちろん脚本も手がけている。文字で仕事をする脚本家ビリー・レイにメガホンをとる気にさせたのは、 1998 年 9 月にヴァニティ・フェア誌 Vanity Fair に掲載された一つの記事が切っ掛けだった。
ニュースの天才 ポスター
ニュースの天才 (2003) SHATTERED GLASS
 ニュー・パブリック誌 The New Republic で働く当時 25 歳の記者スティーヴン・グラス Stephen Glass が、いくつも捏造(ねつぞう)報道しているという、ピューリツァー賞受賞歴のあるジャーナリスト、バズ・ビシンガーの記事だ。
 タイムリー(?)なことに、映画『 ニュースの天才 (2003) SHATTERED GLASS 』がアメリカで公開される年の春に、かのニューヨークタイムズ紙 the New York Times でも、 27 歳の黒人記者ジェーソン・ブレア Jayson Blair が 35 以上の記事を剽窃(ひょうせつ)したり、でっち上げたりしたという事件があったけど、アメリカではこういう事件が頻繁に起こるのかしら?それとも日本ではアメリカのようにジャーナリストの内部を暴くような「公益情報」的な土壌が育っていないのかしら?それにしても活字を信じられなくなる時代って、怖いなぁ…。
 私はテレビや新聞を信じやすい。すぐにメディアに載った情報に振り回されてしまう。だから映画『 ニュースの天才 (2003) SHATTERED GLASS 』はとても衝撃!アルシネテランさんから頂いた映画のパンフに書かれていた、ニュースの職人鳥越俊太郎氏のコメントに“日本でもアメリカでも時々こうした「ニュースの捏造」ということが起こる。”とあり、よりビックリした。“時々”もそんなことが起こってるの?

 ときどき…(副)たびたびではないが、ある間隔をおいて物事が行われるさま。ときおり。「大辞林」

 うーん、ってことは、ニュースを信じるのは時々にしないとダメってこと?“ヤラセ報道”のニュースが出る度に、メディアを信じやすい自分を自重しなきゃと思うんだけど…。

 芸能やオカルトもの等が記事になる雑誌なら、ある程度“ウソ”を楽しむことができる。最近では、例えば、あのマイケル・ムーア Michael Moore 監督(『 ボウリング・フォー・コロンバイン (2002) BOWLING FOR COLUMBINE 』)がよく作ったねと拍手喝采したくなる映画『 華氏911 (2004) FAHRENHEIT 9/11 』は面白いし、確かに映像は実際に現場で起こった事実の記録だ。でもドキュメンタリーのタッチだが、ホントにドキュメンタリー映画のジャンルなのかなと首を傾げる。「編集でストーリーを変えている」「細かい事実誤認がある」「一方的でフェアじゃない」、そして「ドキュメンタリーとしての客観性を問う」というような批判があるが、映画『華氏911』は「ブッシュ再選を阻止しようとする政治的宣伝映画だ」と思えば、気楽に楽しんで観れる。映画なのだから当然作り手の主義主張は盛り込まれてある。自分から進んで映画館に足を運んで、前もって観る準備をして観るからどんなストーリーでもメッセージでも映画という「作り物」だから、私は許せる。

 しかし、ある程度権威のある雑誌や新聞などの公共の報道に対しては、そんな心構えはできていない。“ウソ”なんてとんでもない!しかも、アメリカ大統領機エアフォースワン(『 エアフォース・ワン (1997) AIR FORCE ONE 』参照)で唯一読まれている雑誌というマジメでお堅い「ニューリパブリック」誌で、スティーヴン・グラスが、嘘っぱちのでっち上げの記事を書いたのは、自分の野心のため。ただただ自分が愛されたいからだというお坊ちゃまの甘えん坊的心情からだという。どうして、このような自己中心的な人間が見抜けず、見逃されたのだろう。彼のジャーナリストとは言いがたい、むしろ小説家かシナリオライターか映画監督に向いているような行為は、厳重な「ニューリパブリック」誌のチェック機能が正常に働いていれば簡単に見抜けたはずなのに。何故チェック機能が働かなかったのだろう。

 鳥越俊太郎氏によると、全くの捏造であるニュースは見破りにくいそうだ。そして、スティーヴン・グラスの場合は、口がうまく、人付き合いが上手という性質にもよるところが大きかった。また、 1991 年から 10 年も続いた戦後最長の好景気のクライマックスに起こったクリントン前大統領の不倫事件で沸いた当時のアメリカの風潮がスティーヴン・グラスのウソを助長させた。

 なんでも自分の思い通りになると思っているエリートには虫唾(むしず)が走る。そんな“ニュースの天才”スティーヴン・グラスを、『 スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 (2002) STAR WARS: EPISODE II - ATTACK OF THE CLONES 』のハンサム俳優、ヘイデン・クリステンセンが好演している。映画の中でピーター・サースガードが演じたチャールズ・レーン本人から、「君があまりにもグラスに似ているから、彼を思い出して気味悪くなったよ。」というコメントが出たほどだ。美形な俳優に虫唾が走るわけはないが、グラスを演じているヘイデン・クリステンセンには虫唾が走るのだ。不ッ思議〜。観ていてホントにムカついたもん!そんなグラスが徐々に追い詰められていく様も、この映画の楽しいところだ。

 ジャーナリズムは真実を語らなければならないが、メディアが流す情報には、“時々”ウソが紛れ込むみたい。情報の受け手である私達は、そんな情報に振り回されない自己を作り上げることが先決かもとマジで思った。
 そういえば、私も個人運営だけども、インターネットという媒体を通して、このように映画等の情報を流している。小規模だけど、一応情報発信者かも。現在弊サイトには、嬉しいことに個人サイトにしては膨大な数のアクセスがある。つれづれなるままにネット運営しているだけの、一市民だけども、サイトのアクセス数を見ると、こんな私にもジャーナリズムの責任というものがあるのかなぁとちょっと怖くなりました。

…幸田幸の「映画の森てんこ森」、これからも御贔屓にね。ホッ〜(^.^)

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
      「ニュースの天才」公式サイト
       http://www.news-tensai.jp/
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      
※トップのタイトル画像は、「ニュースの天才」公式サイトより引用しています。画像およびポスター使用許可申請中。     
Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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