そして、ひと粒のひかり
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 そして、ひと粒のひかり@映画の森てんこ森
パリで映画 「そして、ひと粒のひかり」
そして、ひと粒のひかり
2005年2月16日水曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 映画『 そして、ひと粒のひかり (2004) MARIA FULL OF GRACE 』について、幸田幸の解説を紹介する。
 また、本作『 そして、ひと粒のひかり (2004) MARIA FULL OF GRACE 』をご覧になったフランス・パリ在住のYさんよりいただいた『 そして、ひと粒のひかり 』のレヴューを紹介する。

 映画『 そして、ひと粒のひかり (2004) MARIA FULL OF GRACE 』はなかなかいい映画らしい。本作の日本公開は、ムービーアイが配給する。

 『 そして、ひと粒のひかり (2004) MARIA FULL OF GRACE 』のタイトルだが、おおいに注意して映画を観たいものだ。神道や仏教に慣れ親しむ日本人としてはタイトルの奥深さは分かり辛いが、説明してもらうとなるほどネって思う。

 この映画『 そして、ひと粒のひかり (2004) MARIA FULL OF GRACE 』では、監督の ジョシュア・マーストン(Joshua Marston)と主演のカタリーナ・サンディーノ・モレノ(Catalina Sandino Moreno)の二人とも処女作とは驚きだ!

 映画の森てんこ森では、コロンビア映画は殆ど紹介していないが、キャストとスタッフの中には、『 暗殺者の聖母 (仮題) (2000) LA VIRGEN DE LOS SICARIOS (原題) / OUR LADY OF THE ASSASSINS (英題) 』『 フリーダ (2002) FRIDA 』『 シティ・オブ・ゴースト (2002) CITY OF GHOSTS 』『 ラブソング・フォー・ボビー・ロング (原題) (2004) A LOVE SONG FOR BOBBY LONG 』などに関連している人がいる。・・・もっと詳しく

■映画『 そして、ひと粒のひかり (2004) MARIA FULL OF GRACE 』のデータ
そして、ひと粒のひかり
そして、ひと粒のひかり (2004)
MARIA FULL OF GRACE
上映時間:101分
製作国:アメリカ/コロンビア
アメリカ公開日:2004/7/16 (Limited)
コロンビア公開日:2004/4/2
フランス公開日:2004/12/8
日本公開情報:ムービーアイ
日本公開日:2005/秋 予定
ジャンル:ドラマ/サスペンス

監督: ジョシュア・マーストン Joshua Marston
出演:
 カタリーナ・サンディーノ・モレノ Catalina Sandino Moreno
 イェニー・パオラ・ベガ Yenny Paola Vega
 ヴィルジーナ・アリーザ Virgina Ariza

 映画『 そして、ひと粒のひかり 』は第77回アカデミー賞の主演女優賞に、ヒロインを演じたカタリーナ・サンディーノ・モレノがノミネートされたと知ったので、急いで調べた。
 映画『 そして、ひと粒のひかり 』では、南米の貧しい暮らしを強いられていた 17 歳の美しい少女が、アメリカへの麻薬の運び屋としての仕事にありつく。麻薬の隠された白い大きなピルを飲み込んで(それも 60 粒も!)、飛行機が米国に到着するまで胃の中にピルを入れておく。見つからないか、気持ち悪くならないか、入国審査や税関で怪しまれないか。胃の中で丸薬が壊れたらヘロインを過多摂取して死に至る危険と紙一重だし。こういったサスペンス色の要素の強い前半に、後半はニューヨークでのドラマティックな人生の転換が待っているドラマである。
 世界中が注目しているカタリーナ・サンディーノ・モレノを観る価値あり!
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■映画『 そして、ひと粒のひかり (2004) MARIA FULL OF GRACE 』のレヴュー
文: Y女史(フランス・パリ在住)
”Maria、full of grace“に関して。

 コロンビアという国は、殆どの南米の国がそうであるように、決して裕福ではないカトリック系キリスト教の国です。又、麻薬輸出問題で国際的に何度も取り上げられているだけではなく、政府がこの問題に絡んでいるらしい情報が流れています。

 この映画の中でのマリアは、何事に対しても正面から取っ組む少女です。ある意味で世間知らずなので、そのお陰で余計な計算をせずに、決心する力を持っています。

 マリアの家族は女3人家族で、母親も、未婚の母となってしまった姉も仕事を捜す訳でもなく、たった一人、バラの卸業者の所で少ない賃金で働いているマリアからお金を巻き上げて(頼ってるなんてものじゃない)暮らしています。

 これは、発展途上国でしばしば見られる現実ですが、仕事を持っている一人が、家族全員を養って行くのが当然と見られている上に、女性の位置が、まだまだ低い。
 又、このバラの卸御者の所で働いている女性達の仕事場での扱われ方は、残念ながら、コロンビアだけでなく、多少違いはあれ、世界のあちこちで見られる物だと思います。

 バラの花だって、マリア達の生活からは遠く離れた物です。マリアのボーイフレンドは、マッチョな国で育っている現代の男の子で、これと言って将来の夢がありません。避妊などもあまり行き渡っていない風潮の中で、セックスした女の子から、妊娠したと言われると、即、結婚しかない、というような結論を出す若者です。

 でも、マリアはそんなボーイフレンドに、“アンタ、好きでもない人と結婚したいの?アタシ、あんたを愛してなんかいないわ、アンタはどうなの?”と、投げつけられる女の子です。とにかく、マリアは今の生活にオサラバしたいのです、家族からも、仕事からも、ボーイフレンドからも。
 おまけに妊娠してしまった。お金がいる。そんな時に通りかかったのは、麻薬輸出の手伝いをしている、これ又、綱渡り生活の青年。一度で大きくお金が入って来る、新しい可能性の話、やってみるか...。殆ど、そんなノリで引き受けた仕事。死ぬかもしれないけど...。

 その過程で知り合った人達。初めてのパスポート。初めての外国。人体検査。命を奪い取る事。命を与える事。嘘。真実。そして自分の為、もう一つの命の為に生きること。可能性があるかもしれない。

 マリアは、先の事など考えません。ぶつかった状況一つ一つに、必要以上に考えないで、向って行きます。その殆ど淡々とした、感情を内に込めた姿が美しく、マリアを演じるカタリナ・S・モレノのナチュラルな美しさが際立っています。

【注意!ここからネタバレあり!ご本人の責任でお読みください。】
 ネタばれになりますが、この‘雌ラバ’と呼ばれる運び屋から、麻薬入りの包みを回収する方法は、映画で見る限り、吐かせるより、下剤を飲ませて回収するようです。
 飛行機の中でもようしたマリアが、紙を沢山手にして便座に座り、次のシーンでは、包みを洗って飲み直します(!!!)。

 マリアは、アメリカでの入国検査に引っ掛かり、危うくX線検査を受けさせられる前、血液検査で妊娠している事がわかって、X線を逃れて通過を許されます。

 又、ルーシーは、麻薬回収前に死んでしまい(少なくとも意識不明になる)、彼女のお腹に残っている包みを取り出す為に、ディーラー達がやった事が解るシーンがあり、それを見たマリアは麻薬の包みを全部盗んで逃げ出します。

 れから、この映画に使われたタイトルを見た時、まず思い付く事があります。
“Ave Maria、gracia plana...(めでたしマリア、恵み溢れる方..)”
スペイン語で、“Ave Maria、llena de gracia...”。
 聖書の受胎告知の節で、大天使ガブリエルがマリアに近づいて、伝える言葉です。人間の生まれつきにして持っている罪(原罪)を一切持たず、処女のまま神を身ごもったマリアと、お腹の中に麻薬を隠しているマリア。そんな角度から見ると、監督がこのタイトルを選んだ理由を色々考えたくなってきます。

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参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      Mars Distribution
      CinemaClock.com
      シネムービー/Yahoo!
      allocine.com <http://www.allocine.fr/>
Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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