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チャーリーズ・エンジェル
CHARLIE’S ANGELS

【解説】
 70 年代後半に人気を誇った米TV界最大のヒット作のリメイク作品。姿を見せないボス、チャーリーの探偵事務所に所属する美人三人組の探偵の活躍を描いた痛快アクション。この同題作品のTVと映画版の両方ともレナード・ゴールドバーグのプロデュース。彼は「刑事スタスキー&ハッチ」「特別狙撃隊SWAT」等の人気TV番組シリーズ、映画「ダブル・ジョパディー」も製作したヒットメーカー。
 主演の美人探偵に扮する一人目はキャメロン・ディアス、「ベスト・フレンズ・ウェディング」「バニラ・スカイ」で小悪魔的な雰囲気が魅力。次はドリュー・バリモア。大伯父・大伯母・祖父・父・母が芸能人というバリモア一家出身。 82 年、「E.T.」のガーティ役で人気爆発、近年は「 25 年目のキス」「チャーリーズ・エンジェル」など自ら出演しながら製作にも当たっているやり手。三人目ルーシー・リューはTVのお馴染み「アリー my ラブ」と映画「シャンハイ・ヌーン」など出演のニューヨーク生まれの東洋系美人。
【スタッフとキャスト】

監督: マックG McG
製作: ドリュー・バリモア Drew Barrymore
    レナード・ゴールドバーグ Leonard Goldberg
    ナンシー・ジュヴォネン Nancy Juvonen
製作総指揮: ジョセフ・M・カラッシオロ Joseph M. Caracciolo
    アーロン・スペリング Aaron Spelling
    ベティ・トーマス Betty Thomas
    ジェンノ・トッピング Jenno Topping
脚本: ジョン・オーガスト John August
    ライアン・ロウ Ryan Rowe
撮影: ラッセル・カーペンター Russell Carpenter
音楽: エド・シェアマー Ed Shearmur
武術指導: ユエン・チュンヤン
 
出演: キャメロン・ディアス Cameron Diaz ナタリー
    ドリュー・バリモア Drew Barrymore ディラン
    ルーシー・リュー Lucy Liu アレックス
    ビル・マーレイ Bill Murray ボスレー
    ティム・カリー Tim Curry
    クリスピン・グローヴァー Crispin Glover
    ケリー・リンチ Kelly Lynch
    サム・ロックウェル Sam Rockwell
    ルーク・ウィルソン Luke Wilson
    マット・ルブラン Matt LeBlanc
    トム・グリーン Tom Greene
    LL・クール・J LL Cool J
 
声の出演: ジョン・フォーサイス John Forsythe チャーリー

<もっと詳しく>
 先ず、この映画がリメイクされるきっかけとなったTV番組「地上最強の美女たち!/チャーリーズ・エンジェル」のことを調べてみよう。このシリーズは 1976 〜 1981 年に放映され、全米で高視聴率を記録した大ヒット作で、アクション・サスペンス・アドベンチャーが盛だくさん。

 チャーリー探偵事務所で働く三人組の美人探偵。彼女らはエンジェルと呼ばれる。当初のレギュラーは、サブリナ(ケイト・ジャクソン)、ジル(ファラ・フォーセットのちにメジャース)、ケリー(ジャクリン・スミス)の三人で、このうちファラ・フォーセットに人気集中、彼女はブロンドの豊かな長髪をなびかせ、当時、世界的に人気抜群のアイドルだった。ジル役のファラが抜けた後、ジルの妹クリス役でシェリル・ラッドが新入り。その後は、シェリー・ハック、タニア・ロバーツも出演。シリーズを貫いてレギュラー出演したのはケリー役ジャクリン・スミスと、エンジェル達の世話役ボスレーのデヴィッド・ドイルと、いつも所長チャーリーの「声の出演」ジョン・フォーサイスのみ。

 さて、映画版の「チャーリーズ・エンジェル」。物語自体は重要ではなく、エンジェルを演じる三人の女優陣の魅力を見せるための映画だと考えた方がよいだろう。それで、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューのことをたくさん調べてみた。

 こんな最高に楽しい映画のプロデューサーはドリュー・バリモア。フラワーフィルムというドリューの会社が作ったというから、ディラン役で出演だけでなく、製作までするのはスゴイ。まさにハリウッド4世と言われるドリューは、経営者の鏡。女優がプロデューサーをするのは最近のハリウッド映画の流れらしく、ドリューが「チャーリーズ・エンジェル」のTVシリーズのファンで、「私もエンジェルやりた〜い」と言って製作まで進めた次第。

 そこで自ら総指揮をとって、胸チラや裸、コスプレ、クンフー、刺青、と観客に大サービス精神で当たっている。 1999 年撮影当時恋人だったトム・グリーンを、おかしなキャラクターの「チャドちゃん」役で出演もさせているから、公私混同。でも、自分がプロデューサーだから、文句言えないか…。トム・グリーンはゲテモノ芸人・監督・脚本・製作、と捉えどころのない不思議な人だが、ドリューと彼は 2001 年に結婚した。付き合うキッカケとなったのは、パーティでドリューの髪に火が燃え移って、トムが消してあげたことらしい。

 ナタリー役のキャメロン・ディアスの父はキューバ系アメリカ人、母はドイツ・イギリス・ノルウェー・ネイティブアメリカン、と4つの混血だから、キャメロンは5つの血をひいている。キャメロンとは「曲がりくねった流れ」という意味。子供の頃から背が高く痩せていたため、男の子たちからガイコツとからかわれていた。 16 歳でハリウッドのパーティでモデルに引き抜かれ、 最初の海外は「安全な国」日本で1ヶ月、そしてパリ・メキシコ・オーストラリア・モロッコでモデルの仕事をした。その後、映画のオーディションを受け、「マスク」( 1994 )に出演したことをきっかけに演技力をつけていった。

 1997 年にやっと好期がおとずれる。ベテラン女優ジュリア・ロバーツ出演の「ベスト・フレンズ・ウェディング」で見事にハリウッド・メイン・フィルムでロバーツを食うほどの評判に上がった。「メリーに首ったけ」( 1998 )で最も有名になり、「マルコビッチの穴」「エニー・ギブン・サンデー」等と好調に続く。そして、この「チャーリーズ・エンジェル」がわずか公開2週間(米国)で1位になり、とうとうハリウッドを代表するスターになったのだ。

 アレックス役のルーシー・リューは、外見はキリッとした東洋系美女だが、生粋のニューヨーク生まれ。でも、ミシガン大学でアジアの言語と文化を学んだので中国語は上手い。大学4年の時に舞台のオーディションを受け、演技に興味を持つようになり、TV「ビバリーヒルズ青春白書」の端役出演。TV「アリー my ラブ」のレギュラー出演で有名になり、この「チャーリーズ・エンジェル」映画版で、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモアという女優たちと共に、遂に主演を演じるまで出世した。

 ルーシー・リューは、西洋人女優とは違ってこじんまりしたスタイルとアジア系の容貌だが、そのエキゾチックな魅力が発揮されて、ファッション誌でも注目され米国の大手化粧品会社のイメージガールにも選ばれたくらいだ。恋愛面では、マット・デイモンやジョージ・クルーニーなど数々のハリウッド・スターと噂になったりしている。

 さあ、ストーリーに行こう。姿なきチャーリー(声の出演:ジョン・フォーサイス)の探偵事務所で働くのは、とびっきり美しく、知的で、タフで、キュートな三人の凄腕探偵たち。ナタリー・クック(キャメロン・ディアス)、ディラン・サンダーズ(ドリュー・バリモア)、 アレックス・マンディ(ルーシー・リュー)の美人三人組のエージェントだ。三人はいつも明るく陽気。キュートな笑顔と淑やかに鍛え上げられた身体を武器に、事件に立ち向かうのだ。マネージャーとして中年男ジョン・ボスレー(ビル・マーレイ)がついており、エンジェル達を何かと面倒を見る。

 さて、まず冒頭は飛行機の中、黒人かアラブ系の民族衣装の男が、突然、飛行機から空中ダイビングする。それを横の空中からスゴイ勢いで別の人物が飛んできて、キャッチ、海上のボートに上手くランディング。すると、その民族衣装の男、おもむろに顔面を手でむしり、現れたのは、綺麗なドリュー・バリモアの顔。変装していたのだ。それに抜群の運動神経を見せるキャメロン・ディアスとルーシー・リューが微笑む。呆気に取られているのはトム・グリーン扮する「チャド」。ちょっと、頭がいかれている感じで、「チャドちゃん、何々…」と言って、途中で何度も顔を出して映画に味付けをしている。

 事務所では必ず「グッモーニン、エンジェルズ!」「グッモーニン、チャーリー」の掛け合いで1日が始まる。所長のチャーリー・タウンゼントは絶対に姿を現さない。この謎のボス、チャーリーからの指令はいつも、ドアフォンのような変なスピーカーから来る。ミッション・インポシブルの乗りと同じだ。

 今回、エンジェルたちに下された指令は、誘拐されたノックス・テクノロジー社の創立者エリック・ノックス(サム・ロックウェル)を救出するというこどだ。依頼人は、ノックス社の美人社長、ビビアン・ウッド(ケリー・リンチ)だ。ノックスが開発中の「音声追跡ソフト」が悪用されれば世界中が大混乱となるから、そうなる前に救出してくれと言う。

 優秀なプログラマーでもあるノックス・テクノロジー社の創立者エリック・ノックスは、若くハンサムで、女性にもてそうな男。彼が企業秘密的に開発し、まもなく完成する「音声追跡ソフト」ごと、自分のオフィスから拉致されてしまったのだ。このシステムによると、ターゲットの音声を記憶しておけば、その声の主が地球上のどこにいても、通信衛星を使って盗聴が可能になるという優れものソフトだ。エンジェルたちは、巨大企業オーナーでノックスのライバルであるロジャー・コーウィン(ティム・カリー=「レッドオクトーバーを追え」「三銃士」出演)が犯人だと狙いをつけて、危険な潜入捜査を実行に移す。はたしてエンジェル達はノックスを無事救出する事ができるだろうか。そして敵の本当の狙いは何だろうか。

 ストーリーはいたって単純だ。だから、ストーリーでなく、アクション・セクシーさ・可愛さ・ユーモア・突っ込み・CG、と、ありとあらゆる要素の見せ場が用意されているのだ。

 キャメロン・ディアスのナタリーは可愛い。笑顔が凄く可愛い。最初にT-シャツにパンティ1枚のシーンの姿で踊り出す。そうして後の場面で「ソウルトレイン」を発見し、踊っていいよ!と言われて、何とも嬉しそうな顔をする。能天気で無邪気で可愛い、ちょっとオツムが弱いのでは?と思うくらいの可愛さだ。踊りが上手いかと言うと、そうではないのだ。ナタリー独特の一生懸命踊りで、いわゆるダンスマニアから見たらダサイなぁ〜。でも、本人は踊るのが好きなので、それで幸せ。見るほうも思わず微笑んでしまう。また別のシーンで、アルプスのチロル風のコスチュームで愛らしく歌い踊るのは、可愛いったらない!

 ドリュー・バリモアのディランは太目の健康的お色気がいっぱい。プロデューサーなわけだから、主人公としてイイ所をたくさん用意してある。ディランのF1か何かの青い革のレイシング・スーツ姿もカッコいい。服は大体、胸元をアラワにして、男性の目を釘付けにする。

 企業のビルの中には男装で入っていく。ナタリーはつげ髭をして、ボルサリーノ・ハットを被り、背広を着て、さっそうと。スリムで 175 cm の長身だから、男みたいに見える。また、モデルだっただけあって歩き方が上手い。教授の真似をして企業マンたちに発破をかける、コワーイ先生は、アレックス。黒革のぴっちりした上着とパンツの女王様ルックで、ヘナチョコ男性社員たちにムチで特訓する。このように、捜査には、三人とも色々変装して侵入していく。

 企業内の秘密金庫室の中に、盗まなければならないものがあれば、全身白づくめ、体の線丸出しのピッタリタイツで宙返りをしながら目的物をゲット。ここの金庫部屋は、内装が完全に白色なので、同じ真っ白を着ていけばレーダーに感知されないからだ。まあ、三人とも服には凝っている。

 犯人と狙いをつけたコーウィン主催の日本人パーティに、黒いストレートの髪のかつらを被ってコンパニオンの振りをして情報収集するナタリー。彼女はここでバーテンダーをしているちょっとトム・クルーズ似の男性ピート(ルーク・ウィルソン)と気が合い、早速デートの約束。ケータイで連絡を取るようになる。ストーリー後半のバトル中にさえ、ラブラブの彼からケータイがかかると、バトルそっちのけで愛しの彼と話すシーンもコミカル。このクルーズ似の男は悪げが全然ない。最後まで純粋で、ナタリーと明るくさわやかに付き合う。

 また、この日本人パーティは、ふぐの刺身が出てくるし、BGMには坂本九さんの「上を向いて歩こう(英題 SUKIYAKI )」がかかっているし(パーティにですよ!)、肉襦袢で身を包んでパーティ会場の真中で相撲したり。なーんか変。また、後半、ディランが撃たれそうになってビルから裸で普通の家の庭に落っこちてきて、助けを求めるのだが、この時、家の中で男の子二人がしているのは、ファイナルファンタジー8。このように、全編を通して日本ブームが感じられる。近年アメリカでは「漢字」ブームや「日本」ブームがあるから、それを反映させたのか、それとも、この映画の日本市場を意識しているサービスなのかも。

 エンジェルたちは後半、空から、海から、狙いをつけた犯人のもとへ潜入捜査を開始する。チャドのボートで海上から孤島に忍んで上陸し、三人は三手に分かれて悪人たちに立ち向かっていく。難事件を解決する任務で。

 ここから特に注目すべきは、主演三女優大熱演のアクション。女性ながらの迫力あるクンフー等のマーシャル・アーツが炸裂する。パンフにあるようにかなり特訓を重ねたて努力したというアクションがすごい。そしてCGが巧みに自然に用いられ「おっし!」「決めポーズ!」というのがカッコイイ。ディランのウェットスーツ姿も魅力的。ナタリーの長い脚が飛び、ディランが蹴り、アレックスの香港的アクションがバッチリ決まる。

 絶対、素手で闘うのが彼女たちの暗黙のルール。銃は一切使わずに悪人たちをやっつけるのだ。エンジェルたちがクンフーをこんなに綺麗に力強くできるのも、訳がある。何と、ユエン・ウーピンの弟のチョンヤンが、本気で指導してくれたそうだ。ワイヤーアクションもキレがある大技だ。
 
 特訓の成果はちゃんと見応え十分。ナタリーは華麗な足技の「双龍脚」で敵を倒す。ディランは椅子に縛られ両手を拘束された状態から「ぶちのめし術」で意外に力強いファイト・スタイルを見せる。アレックスは敵側ヒットマン(クリスビン・グローバー)と塔の上で鉄鎖を使って応戦する。これぞブルース・リーのヌンチャク・アクションだ。

 こうしてエンジェルたちと悪党との攻防アクションが展開し続け、遂に敵の親分はヘリコプターで逃亡しようとする。そうはさせない三人。この可愛い顔をした若き乙女達のしたことは?敵をミサイルで退治したのだ!その上、ミサイル命中で大喜び。人間一人を殺して「木っ端微塵」と大爆笑するのには、エっ?これはないだろう…という感じ。いくら悪人でも道徳的許されないことだ。このラストは、やはりアメリカ映画だからこその最大のツッコミシーンか。

 敵はミサイルで撃ち落される前に「音声追跡ソフト」でチャーリーの居場所を探し当てていた。チャーリーはあわやと言うところで姿を消していて、どこかで無事。敵を倒して、海辺を行く三人娘。チャーリーの居場所が目の前に迫る。ここで三人は「チャーリーに会える!」とウキウキ。この時の彼女らの「嬉しい」という顔は本当に可愛くチャーミングだ。

 最後は楽しめるNG集のオマケつき。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず5393文字/文責:幸田幸
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