ブリジット・ジョーンズの日記
BRIDGET JONES'S DIARY

【解説】
 イギリス発の世界的に大ヒットした、ヘレン・フィールディング原作の同名小説「ブリジット・ジョーンズの日記」の映画化。 2001 年シャロン・マグワイア監督作品。
 酒ガブガブ、煙草プカプカ、ちょっとおデブの独身女ブリジット・ジョーンズ(レニー・ゼルウェガー)は 32 歳。このままの状態が続けば、彼女の未来は、獰猛な犬に死体を見つけられる老後か、「危険な情事」のグレン・クローズ。何とかそれは拒否したい。そんな彼女の前に現れた二人のナイス・ガイ。彼女の勤める出版会社の編集長ダニエル・クリーヴァー(ヒュー・グラント)。そして子供の頃彼女と裸で水遊びをしたという現在敏腕人権派弁護士のマーク・ダーシー(コリン・ファース)。果たして彼らの関係はどうなるのか?ブリジットに春は訪れるのか?
 在り得ない、こんな話!おデブで冴えない、口のくさい女(ヘビー・ドランカーでスモーカーならそうでしょう)にどうしてそんなカッコいい彼氏ができるの?でも彼女のいいところは度胸があって、いつも前向きなところ。それにしても、うらやましい。 
【スタッフとキャスト】

監督: シャロン・マグアイア Sharon Maguire
製作: ティム・ビーヴァン Tim Bevan
    ジョナサン・カヴェンディッシュ Jonathan Cavendish
    エリック・フェルナー Eric Fellner
製作総指揮: ヘレン・フィールディング Helen Fielding
原作: ヘレン・フィールディング Helen Fielding
脚本: ヘレン・フィールディング Helen Fielding
    アンドリュー・デイヴィス[脚本] Andrew Davies
    リチャード・カーティス Richard Curtis
撮影: スチュアート・ドライバーグ Stuart Dryburgh
音楽: パトリック・ドイル Patrick Doyle
 
出演: レニー・ゼルウェガー Renee Zellweger ブリジット・ジョーンズ
    コリン・ファース Colin Firth マーク・ダーシー
    ヒュー・グラント Hugh Grant ダニエル・クリーヴァー
    ジム・ブロードベント Jim Broadbent ブリジットの父
    ジェマ・ジョーンズ Gemma Jones ブリジットの母
    サリー・フィリップス Sally Phillips シャザ
    シャーリー・ヘンダーソン Shirley Henderson ジュード
    ジェームズ・キャリス James Callis トム
    エンベス・デイヴィッツ Embeth Davidtz ナターシャ
    セリア・イムリー Celia Imrie ジェフリー叔父さんの妻
    オナー・ブラックマン Honor Blackman ペニー
    ジェームズ・フォークナー James Faulkner ジェフリー叔父さん

<もっと詳しく>
 タバコ・お酒大好きのポッチャリ女、ブリジット・ジョーンズ(レニー・ゼルウェガー) 32 歳。出版会社に勤務。イギリスの典型的な中流家庭で生まれ、女子大[ウェールズ大バンゴール校というところらしい]卒だが、別にバリバリのキャリアウーマンになれるほどの学歴ではない。もちろん独身、彼氏もいない。

 今年の寂しいお正月も、恒例のママ(ジェマ・ジョーンズ)のターキー・カレー・パーティーに。また中年の独身男を紹介されるに違いない。ハァー。今年のママのおススメは、子供の頃一緒に裸で水遊びしたというマーク・ダーシー(コリン・ファース)。バツイチ。[やっぱりね。]先妻は日本人。[変わり者?]人権派の敏腕弁護士。[へぇー。]素敵な後姿。[もしかして私の運命の人はこの人かも?]げっ、トナカイの柄のセーター![ガックリ。]マークが彼の母親にヒソヒソ話。「おしゃべりで、酒ガブガブ、煙草プカプカの独身女など。」[ふん、これで進展なし!]

  30 を過ぎた独身女の夜は、お酒と煙草に「 30 歳以上の人へのFM音楽」。あーっ、もうイヤ!私は決意する。日記をつけ、前向きに生きよう。まずは約 10 キロのダイエット、そしてパンツは洗濯籠に入れること、良識のあるボーイフレンドを見つけること。

 私の上司で編集長のダニエル・クリーヴァー(ヒュー・グラント)は、プレイボーイ。二日酔いのために遅刻出勤した日、なんと彼から私のデスクにメールが送られてきた。お叱りのメールかと思いきや、「スカートをはき忘れた?」のメッセージ。今日の私のファッションは超ミニスカート。もしかして私に気があるの?だったら、次の日はもっと…!やった!またメールが来た。またまた独身女の悪い癖、かってに甘い夢を見てしまう。ダニエルと結婚だなんて。キャッ。そしてついに明日の新作本の発表会の後に食事に誘ってくれた。どうしよう、友達に相談しなきゃ。

 私の悪友3人。新聞記者のシャザ(サリー・フィリップス)。彼女は言葉が汚い。銀行勤めのジュード(シャーリー・ヘンダーソン)。いつも彼氏のことで会社のトイレから私のデスクに泣きながら電話をかけてくる。 80年代にビッグ・ヒット曲を書いたトム(ジェームズ・キャリス)は、もちろんゲイ。そのヒット曲で 90 年代はセックスに不自由しないと1曲限りで引退の一発野郎。彼らからのアドバイス。ジュード「ゴージャスに。」[無駄毛そりしなきゃ。でも難問は、パンツよ。成功の暁にはこのセクシーパンツ。成功にまでもっていくには、こっちの体型矯正用のデカパンツ。よしっ、デカパンで行こう。]トム「知性を発散させる。」[チェチェン問題では…?]シャザ「人の紹介は詳しく。」[こちらダニエルは<女好き>でーす。]

 新作本の発表会で、ちょっぴりスピーチをする私。それに今日はダニエルと…。髪をセクシーにアップして、露出の多い黒いミニのワンピースなんてどうかしら〜。ハリキッたけど、やっぱりいつもと同じで、ドジばっかり。それに、あのマーク・ダーシーも来てるじゃない。嫌味な上司パーペチュアを彼に紹介しなければ。えーっと、人の紹介は詳しく、詳しく…。ダニエルがこっちを見てる。マークと知り合いなのかな。

 スピーチも大失敗。だけど、落ち込んでいる私のところにダニエルが食事に誘いにきてくれた。エヘ。ダニエルとマークはケンブリッジの同窓で、なんとマークはダニエルの婚約者を寝取ったらしい。サイテーのマーク。そして、楽しい食事の後は…。やったわ!私は独りじゃなくなった。
 
 でも一つのことが巧く行くと、もう一方のことが巧くいかなくなる。ママだ。ママは私を呼びつけ、 35 年の結婚生活の不満をぶちまけた挙句に、ホーム・ショッピング番組のホストをするジュリアンという、パパ(ジム・ブロードベント)曰く、胆汁色の顔をした男に走っちゃった。ママはその番組のアシスタントをするんだって。もうっ!

 嬉しい週末!ダニエルが私を旅行に誘ってくれたの。こういうのって、彼が本気だって証拠じゃない?その上、私の家族が来る仮装パーティにも出てくれる。もう、これは本物の恋。セクシーな恋人ダニエルは素敵なオープンカーで私を迎えにきてくれた。勿論私の今日のファッションは、<グレース・ケリー>よ。

 到着したホテルは、結婚式があるらしく、滞在客は私たちを含め4人だけ。なんとその残りの2人というのが、サイテー男のマークとその彼女のいけ好かない女弁護士のナターシャ(エンベス・デイヴィッツ)。彼らも明日仮装パーティに出るんだって。私とダニエルが湖でボート遊びしている横で、彼らもボートの上で仕事の話をしている。遊びに来てるのに、バッカじゃない。それにしても、ダニエルって最高よね。下品だけど楽しいジョークに、意外性のある行動。今日なんて、私のボートへ移ってくるときに、湖にはまっちゃったのよ。カワイイー。その上夜は…。

 超幸せのはずだったのに、翌朝ダニエルが急に仕事でロンドンに戻ると言うの。仮装パーティもあるのに、こんな急に絶対おかしい。私のことが嫌になったの?でもダニエルがやさしく慰めてくれたお陰で、私はバニーガールとなってパーティーに出掛けることができたのだけれど、なんでみんな普通の服を着ているのよ!ジェフリー叔父さん(ジェームズ・フォークナー)ッたら、仮装じゃなくなったことを私に連絡してくれなかったのね。その上、いつものセクハラに独身女への嫌味。全くなんてジジイだ。馬鹿みたいな格好をしている私には、このパーティはつらい。ダニエルに会いにロンドンへ戻ろう。

 衝撃事件発生!私がダニエルの家に行くと、彼は快く迎えてくれた。うっかりだまされるところの私だったけど、浴室に発見したの、彼の本物の彼女を。もう大ショック!裸のその女は私を見て、落ち着き払って「痩せてる女だと」と一言。ラーラという彼女は、痩せてて、インテリっぽい、NY本社からやってきたヤンキーガール。最悪な私。

 会社に出勤しても、ダニエルの部屋にはラーラがいる。だめよ、見ちゃ。でも視線が自然といってしまう。そしてダニエルの口から、最悪の真実が語られる。ラーラとは彼がNYにいた時からの仲、その上二人は婚約したそう。過食とお酒に溺れる惨めな私。

 でも私は、獰猛な犬に死体を発見される人生の終焉を選ぶことを拒否した。完全に拒否したい。ダイエットのためにジムに通い、部屋に置くのは男の気持ちを書いた本から女の気持ちを書いた本に変え、新しい職を探した。今度はTV関係の仕事につくわ。メディアとして主流なのは、出版よりもTVよ。人生前向きに、私は負けないわ。

 いろいろTV局を回ったけど、転職理由に「上司と寝たから」と真実を話したのが効を奏して、見事就職決定。私を引き止めようとするダニエルに「ここで働くなら、サダム・フセインのお尻を拭くわ。」とガツンと言って辞職した。フン!

 でもやっぱり人生そんなに甘くないわ。消防署長さんのインタヴューを撮らなきゃならないのに、失敗して私のデカイお尻が全国放送に。イギリス国民の笑いものよ。両親は別居、それに今日は私以外夫婦ばっかりのパーティが。気が重い。パーティには未婚だけどマークとナターシャのカップルも来てる。その上、ほらほら既婚者たちからの可哀想な独身女への嫌味が始まった。耐えられない。帰ろう。

 「消防署の中継、楽しんだよ。」何?カップルばかりのパーティーから落ち込んだ気持ちで帰る私にまだ追い討ちをかけるの?マーク・ダーシー!あれ、でも何だかいつもと様子が違うみたい。そして意外なマークの言葉。「 I like you very much, just as yours. ありのままの君が好きなんだ。」

 今日の私は急遽正義と自由に燃えるジャーナリストに変身。アガニ/ヒーニー事件の判決取材をするのだ。アガニ/ヒーニー事件って何かって?私も知らなかったんだけど、カフィール・アガニはクルドの自由闘士で、エレノア・ヒーニーは彼を支える支援者で妻。アガニは本国に送還されると死刑が待ってるらしくて、その阻止の訴えの判決が今日出るらしいの。ビッグな仕事に緊張した私は、裁判所の前でちょっと煙草を買いに行ったわけ。ところがその間に渦中の二人が帰ってしまった!どうしよう、また失敗だ。

 そんな私の危機を救ってくれたのが、煙草を買いに行ったお店で偶然遭遇したマーク。なんと彼はアガニとヒーニーの弁護士だったの。優秀な彼はもちろんこの裁判で勝利したわ。マークは私にアガニとヒーニーの独占インタヴューをさせてくれたの。インタヴューは大成功、私ブリジット・ジョーンズはスターよ。

 今日は友人を招いての私の誕生日パーティー。仕事の成功でなせばなることを知った私は、料理にも挑戦!でも何これ?何この料理?おかしいなぁ。私が料理と格闘していたとき、マークが「新しいTVニュースの顔」の記事が載った新聞を持って、突然やって来てくれた。もちろん「新しいTVニュースの顔」って私のことよ。彼と楽しく料理をしている間に、3人の友達がやってきた。みんなマークを見て驚きの顔。だって、彼はありのままの私を好きでいてくれる、私の大嫌いな人だから。皆私のまずい料理を堪能し、楽しいパーティが開けたと思っていた矢先に、ダニエルがやってきた。ラーラに捨てられた彼は、私が独りで寂しい誕生日を過ごしているだろうと思ってやって来たみたい。ダニエルの甘い言葉によろめきかけた私だけど、彼の出現でマークが帰ってしまう。だめよ、だってせっかく…。一度部屋を出たマークはまた戻ってきてダニエルに「外へ出ろ!」と言い放つ。二人の確執は私を超えたところにもある。もうっ、どうしたらいいの?

 通りで喧嘩する二人。ギリシャ料理店の中まで入っての大乱闘。軍配はマークに上がった。ぶっ倒れるダニエル。ちょっと待ってよ。もともと悪いのはダニエルの婚約者を寝取ったマークでしょ?なのにこんな酷いこと。それで私は言ってやったの「本当に汚い人ね」とか色々。当たり前だけどマークは怒って帰っちゃった。ダニエルは「君とダメなら、他の人ともダメだ」なんて私に言うんだけど、それって欺瞞よね。さようなら、ダニエル。

 今年はいつもより寂しいクリスマス。だって、家にはパパと二人きりなんだもの、と思っていたら、ママが戻ってきた。よかった。その翌朝、ママは私をダーシー夫妻の結婚 40 周年パーティーに誘うんだけど、私は行きたくない。イカれ男マークに会いたくないもの。でも、ママから真実を聞いてびっくり。マークの離婚理由は、自分の結婚式の介添人と妻が駆け落ちしたから。その介添人って、ダニエルでしょ。ダニエルの話は嘘で立場が全く逆だったのね。私ったら、マークに何てこと言っちゃったのかしら。早くマークに会って、謝りたい。

 私はマークに謝って、マークが私に言ってくれた同じ言葉を彼に返したわ。「ありのままのあなたが好き。」でも、やっぱり物事って巧くいかないものね。彼の両親がみんなの前で発表したの。マークはNYに栄転、一緒に行くナターシャはいつか彼の妻になるって。私思わず叫んでしまった。「 No! 」

 傷心でロンドンに戻ってきた私。前向きに生きなきゃと思うけど、痛手は大きい。そんな私を心配して、例の友人3人が突然のパリ旅行に誘いに来てくれた。さぁ、行こう。でも鍵がないわ。ドアの前で鍵を探す私のところにアメリカから戻ったマークが。私に「君に別れのキスをするのを忘れたから」ですって。ロマンチック!パリはやめ。私の部屋に旅行よ。

 ちょっと待って、やっぱりこんな時はセクシーなパンツにしなくっちゃ。あれっ?ドアの音?私がパンツを着替えに行っている間に、マークが私の日記を見てしまった!あの日記にはマークの悪口がいっぱい書いてあるのに。マークが行ってしまう。違うのよ。この日記に書いてあることは。早くしないとマークに追いつかなくなっちゃう。モタモタしていられない!セクシーパンツ姿で街を走るわ。マークどこ?

 私は彼が見つからなくて雪の町の中を呆然としたんだけど、その向かい店からマークが出てきた。出直す為の新しい日記帳を持って。

 つくづく自分が影響され易い人間だと言うことがわかった。「イングリッシュ・ペイシェント」( 1996 )「恋におちたシェイクスピア」( 1998 )でファインズ兄弟の恋敵役をしたコリン・ファースである。この映画を見るまで、全然無関心の俳優さんだったのだが、マーク・ダーシー役の彼は背も高いし、とてもカッコよかった。意外な発見の心ときめく映画だった。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず5101文字/文責:幸田幸

参考資料:「ブリジット・ジョーンズの日記」日本語版オフィシャルサイト
       allcinema ONLINE
coda_sati@hotmail.com
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