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シャイな幸の独り言 | |
知らないで飛び込んだ店が超有名老舗だった。 |
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2003年11月21日金曜日 | |
到着した18日の午後あちこち観光して周って、夕方すすきのまでやって来た。札幌すすきのの夕方は、全く寒くもなく、道を行き交う人の服は本州の秋の装いとなんら変わりはなかった。札幌について全く知識のない私は、どんなにか寒いのかと思っていた。遠赤外線のオバシャツを中に着込んで、皮のロングコートを羽織っていたので、すすきのを歩いていて体中がホッカホッかと汗ばんでいて暑くさえ感じていた。偶々ソフトクリームの形をした看板を置いてある店に入った。折角北海道に来たのだから、夕張メロン味のソフトクリームをと思ったがバニラとストロベリーと抹茶しかなかった。買ったらイタリアでよくしたように食べながら歩こうと思っていたが、よく見ると店の中は和菓子屋さんだ。奥の方に大きな白い暖簾(のれん)が掛けてあって「大正十年 岡部式二 此処に創業す」とある。和菓子の老舗なのだ。屋号は、「千秋庵」とあった。興味があったので、通りに面した窓側に六脚ほど置いてあるテーブルの一つの席に腰掛けて店内をあちこち観察した。そしてソフトクリームを食べた。200円にしてはボリュームがある。オバはバニラ、私は抹茶。私は京都の清水寺の参道で美味しい抹茶ソフトを食べてから、このような三者択一の場合は必ず抹茶を選ぶ。 |
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千秋庵の店内 千秋庵の店内でお買物 千秋庵の山親爺の説明 千秋庵山親爺のお菓子 |
互いに少しずつ味見をした。何と言うかさっぱりとして、さほど柔らかくなく、渇いた口の中に溶け出す舌触りと冷たい甘さが、もう一舐めを急いでしまう。美味しい!しっかりした味だ。作り手が自信に満ちているような気がした。 元々、幸はソフトやアイスクリームが大好きで、イタリアのジェラートには目がない。この北海道では、全く寒さを感じなかったので、夏と同じペースで、結構ソフトクリームは食べた。大倉山の頂上、小樽の町、ポスフール、飛行場などなどでだ。あっという間に平らげた。「早いね、サッチャン」。オバもソフトクリームが大好きだ。「北海道はやはり乳製品が有名だから、ソフトも美味しいのかな〜?」「着いた時食べたのより美味しいね」など、食べ物の話は尽きない。 お店に陳列してある、色々な和菓子の中から、「山親爺(やまおやじ)」という面白い名のせんべいを見つけた。それに「山親爺のおきみやげ」なんて名のものもある。お菓子の名のことで盛り上がって話していると、お店の次長さん(名札に〜次長とあった)がこちらを見て挨拶をされたので、思わず「これいただきます!」と言って「山親爺」を数枚買った。 「山親爺だよ、山親爺!」幸には名前がうけた。そして興味津々で食べてみた。これって「瓦煎餅(かわらせんべい)」に似ているねとオバが言う。山親爺ってというのは北海道の方言で「ヒグマ」の愛称だと書いてあるヨ!などと言って二人でパリパリ、パリパリ。口に優しく後引く素朴な味だ。パリパリ、パリパリ。結局全部食べた。ホテルに持って帰って食べるつもりだったのに。 喉が渇いたのでコーヒー200円とあったので、安いわ、これ!と思って注文しようとしたとき、大学生のような男の子がスーと入ってきて、お店の人になんの断りもなしに、紙コップでなにやら飲み出した。一杯また一杯。結局二杯飲んでお礼も言わずに店の中を横切って出て行ってしまった。「礼儀知らずな奴!」と心の中で非難しながら「何なんだろうあいつは!」と不思議に思った。幸の席からは柱の陰で何を勝手に飲んでいたのか分らなかったが、それは店の中の壁に設けてある、絶えず流れ出ている湧き水だった。その無礼な青年は、このお店がお菓子を作るのに使っている美味しい湧き水を飲んで出て行ったのだ。お店の人も寛大だ。他にもそういう人がこの千秋庵にやって来るのかも知れない。私はコーヒーを注文するのを全く忘れて、その湧き水を、用意してくれてあるコップで受けて、飲んでみた。 |
ふむ、ふむ。結構ウマイわ。これは「六甲の水」や「南アルプスの天然水」と全く変わらない癖のないレベルの水だ。いやそれよりも美味しいかも知れないッ!なんて思いながら、幸も二杯頂いて飲んだ。 そうそう!ボトルに入れよう!明日の小樽観光に持っていく水にしようと思いついた。でもまだ、少し「燃焼系アミノ式」が残っている。無理に飲み干してボトルを空にして入れようか、それとも燃焼系を捨てようか?ちょっと悩んでしまう。ええい!飲みも捨てもできないので仕方なく燃焼系の上から、千秋庵の湧き水を注ぎ込んだ。 |
千秋庵の優しい次長さん |
どんな味になるかって?これがまた薄い砂糖水のような、スイカに少しレモンを入れてトコトン薄めたような水というか、訳のわからないボンヤリした味で、翌日の小樽観光の時は、結構歩いたので、疲れたときに喉を潤して随分イケてて役立った。美味しいブレンド水と言っても過言ではないほどだ。 それで、幸が名付けて「札幌小樽燃焼系・千秋庵山親爺の湧きみやげ」デス! |
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千秋庵のある南3条西3丁目 千秋庵の玄関 |
因みに、私たちが偶然立ち寄った店は、札幌市中央区南3条西3丁目にあるビル全体が北海道の老舗「千秋庵」だったらしい。それもこの店は北海道では(いや今では本州でも)超有名な店だったとは、幸は何も知らないで、次長さんに「この店は北海道では有名なんですか?」なんて聞いてしまって、次長さんが「ええまあ、一応大正創業ですから」と言葉少なにお応えになった。この何も知らない大阪弁の娘が、訳のわからない質問してゴメンナサイ。恥ずかしいことこの上ないデス、はい。 この恥を払拭するために、北海道の老舗「千秋庵」の事を少し調べてお勉強した。 なんと北海道の老舗「千秋庵」には、千秋庵製菓短期大学校まであるではないか。千秋庵のホームページには、<製造部所属の社員を対象に、昭和62年3月に全国初の企業内パン・菓子科短大「千秋庵製菓短期大学校」を開校。昭和45年に開設された千秋庵製菓高等職業訓練校より、現在までは1級製菓士57名、2級製菓士25名を輩出しております。>とある。 ただただ、お菓子を作って販売しているだけではないのだ。お菓子を学術的に位置付け、食文化ととしてしっかり捉えている。 |
そして、大きなビルは、1F お菓子売場、2F
喫茶・レストラン −ウィーン、3F 茶室、4F
焼物(洋菓子)づくり、5F 饅頭・打物・飴づくり、6F
上和生菓子づくり、7F 包装、8F 千菓子(半生菓子)づくりという、まさにお菓子のための構造になっている。また、工場は厚別にあるらしい。 そんな背景から製造される「山親爺」は北海道の新鮮なバターとミルクがたっぷり入ったクッキーに近い、いわば洋風お煎餅(せんべい)で、北海道の老舗「千秋庵」の代表的なお菓子として、「ノースマン」と共に北海道の地元の人たちに長い間愛されつづけているらしい。修学旅行のお土産にも人気がある商品だそうだ。あの中村汀女さんの好物とも書いてあった。とにかく有名なのだ。幸は知らなくてトホホ。ほんまに恥ずかしい(-_-;)>。 大正10年の創業以来お菓子づくり一筋。職人の技が見せどころの四季折々の季節菓子をはじめ、詰め合わせはご贈答にもご最適。北海道、札幌らしいお菓子ということで、素材も道産の良質なものにこだわり、パッケージにも北海道らしさを追求。年間400種類にものぼるバラエティに富んだ品揃えが、北海道の老舗「千秋庵」の強みなのだろう。 確かに、牛乳やバターを主原料とした製品は、北海道のものが優れている。「山親爺」の煎餅には、よーく見ると、丸々と太った熊がスキーをはいて鮭を背負った姿がレリーフされていて、なんとも素朴で可愛い。ヤマオヤジというゴツイ名前からは想像できない、優しい味だ。時には仄(ほの)かなメランコリーさえ感じる。 |
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イタメシヤLa pausa(ラ・パウザ) |
イタメシヤLa pausa(ラ・パウザ)。 |
アッ、それから、千秋庵の中から続きに「イタメシヤ La
pausa(ラ・パウザ)」という店が2階にあった。価格帯を見ていてお手ごろだったので入ってみることになった。本当はこの日の夜はジンギスカンと決めていたのだが、美味しそうなイタリア三色のチラシを見て、幸は急にイタメシが食べたくなったからだ。11月1日オープンしたばかりで、ドリンク券をプレゼントされた。 飲み物は3人がそれぞれ、ハウスワイン白\180、カンパリソーダ\320。スカイブルー\350を注文した。料理はシーザーサラダ\380、フライドポテトぺペロンチーノ\220、ヤリイカと明太子スパゲッティ\520、なすミートドリア\420、ムール貝のパン粉焼き\380、コロコロステーキ\480で税込みで合計\3423がドリンク券割引で支払ったのは何と!\2520だった。得した〜!って感じ。それに混んでいる割には料理の出てくるスピードも早かったし美味しかったから余計に得したよ。でも「サイゼリア」から見ると、まだ各皿の値段は\50〜100ばかり高いけど、北海道の老舗「千秋庵」ビルにあるのだからそんなもんか?食べ物は関西の安さを求めたらどこも高く感じてしまうから、これ以上注文はつけないでおこう。 因みに店名の「La pausa(ラ・パウザ)」はイタリア語の女性名詞で「休止、一休み」という意味だ。 |
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Text by Sati |
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。 coda_sati@hotmail.com |
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