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★シャイな幸の独り言@映画の森てんこ森
2003年03月16日日曜日

銀行系消費者ローン
幸田 幸@映画の森てんこ森

 昨日、TVを観ながら夕食を食べている時、父がいきなり某大手銀行に勤める友人のことを思い出して、「あいつも大変やな!銀行も落ちたわ!サラ金と同じ商売しているわな。たっかい給料もろてるから、形振り(なりふり)構わんと商売せなしゃーないわな。消費者の足許に付け込んで高いサラ金のような金利取るんやで。預金の金利は0.001%やで。ないのも同じや。仕入れがタダ同然で商売できる。(銀行にとって)こんなオイシイ金貸しないわな。幸、カードで金借りたアカンで!」と言った。

 幸は余り経済に詳しくないので何のことか完全に分らず、父には無反応に見えたのか、「メシの後説明したる!」と言って、また例の、筋が通っているのかいないのか、詭弁なのか分りにくい論法でいつもの薀蓄デス。

 幸の大きな疑問は、なぜ大手銀行がサラ金と同じなのかということ。そこが分らなかった。父に聞くと、「有名タレントを使っているけど、内容は悪いで。若い子に軽いノリで消費者ローンで金を借りるのを煽る。それも旅行や食事で金が入用やからと言う理由でな。ようこんな宣伝を銀行のえらいさんは許したな?訳分らんワ。金借りたら元本に利子つけて返さなアカンのやで。債務者になるんやで。そのうち銀行は若い子にババかけられるで。(これ彼の俗語で、「貸し倒れ=デフォルト」の意味デス。)そしたら親が責任とって返すんか?アホか。」と言う。一理あるかなと少し思う。

 そういえば、加藤晴彦くんが彼女と旅行代理店へ行ったとき、彼女が「たまにはババンと!」と言うと加藤茶がアロハを着て、♪ババンババンバンバン♪と歌いだすTVCM。これって銀行系消費者ローンの宣伝なのかと思い出した。ユースケ・サンタマリアが、ギターを弾きながら、♪あっ!とその時〜アットローン♪と謳い叫ぶCM。これも銀行系消費者ローンの宣伝だワ。竹中直人と桃井かおりの卓球のCM、これも銀行系消費者ローンの宣伝。順番に、三井住友銀行系「アットローン@Loan」、東京三菱銀行系「東京三菱キャッシュワン」、UFJ銀行系「モビットmobit」のCMだ。

 少し、分ってきたので一体どのくらいの金利なのか、サラ金とどう違うのか調べて勉強することにした。貸出金利は、消費者専業大手が、平均25〜29%台なのに対し、15〜18%台が主だ。因みに、東京三菱銀行系「東京三菱キャッシュワン」のHPから引用すると、
 ○金利/年15%〜18%。
 ○ちょっとしたご利用(1万円)から大きな出費(最大300万円)までご利用可能。
 ○入会金・年会費・ATM手数料は一切不要。
 ○パート・アルバイトの方もお申し込みいただけます。
 ○東京三菱銀行・三菱信託銀行・アコム・コンビニエンスストア等の全国約1万台のATMでご利用可能。
 ○ インターネットから24時間いつでも好きな時にお申し込みいただけます。
 となっている。

 ふーむ。なるほど簡単に借りれそうで便利だなと思う。あれ、幸ももう扇動されている?これなら消費者専業大手のプロミスやアコムより金利がずっと安い。さぞかし、プロミスやアコムは客のシェアを奪われて、銀行系消費者ローンはホクホクだろうと思ったがそうでないらしい。

 消費者金融は十兆円市場といわれ、利幅も大きい「おいしい業界」といわれてきた。不良債権処理に苦しみ、日本国から莫大な公的資金を注入されている大手銀行が相次いで参入したのも、新たな収益源と期待してのことだ。しかし、実際のところ、大手三行は伸び悩み、収益力強化のために始めた消費者ローン事業が成功しているとは思えない。理由は、長引く不況で自己破産者が増加していることもあるだろう。しかし、大きな原因は、消費者の動向が読めない、いわゆる市場分析ができない旧態依然とした運営の仕方にあるようだ。借り手には色々な事情がある。大銀行の鼻高の、自分がエリートだと思っている(TVでコメンテータが言っていた)銀行スタッフに、一人でも多くのシェアをと思ってカウンター越しに快い営業ができるのだろうか。もしできているなら、今では、コンビニのATMでも借りれるようになり、無人貸出し機のような手軽なツールを開発した金利の高いプロミスやアコムなどの消費者金融に負けないと思うのだが。

 それに、クレジット会社や消費者金融などのノンバンクは預金を集めることができないから、多くの場合、銀行から資金(貸し出すお金)を借りてこなければならない。するとどうしても市場の論理からいくと、銀行の貸出金利の方が安くなる。現実にそうなっている。正確には、前述の東京三菱銀行系「東京三菱キャッシュワン」の金利は年15%〜18%となっている。しかし消費者金融は、29.2%である。この高い金利は「出資法」の上限である。銀行系クレジット会社の金利は「利息制限法」の上限に設定されているから、ここで利息制限法の貸出基準金利について知っておく必要がある。元本10万円未満は年20%以下、10万円以上100万円未満は年18%以下、100万円以上は年15%以下となっている。

 ここで疑問が起こる。こういう利息制限法があるのになぜ消費者金融は、それ以上の金利を設定できるのだろうか。なぜなら、この利息制限法には罰則規定はなく、そのうえ「貸し金業の規制等に関する法律」では、契約書の交付や顧客による任意の支払いなどを条件に、利息制限法の上限を超える利息を債務者に請求できる「みなし弁済」の規定が設けられている。ほとんどの消費者金融業者はこの「みなし弁済」を利用して出資法の上限金利(年利29.2%)で貸出しを行なっているためらしい。

 さて、銀行系にとってこれほど優位な、決定的な条件があっても、銀行系消費者ローンはノンバンクのシェアを奪えないのである。そのためか知らないが、アットローンは三洋信販、モビットはプロミス、キャッシュワンはアコムに審査や債権回収のノウハウを提供してもらって勉強しているのだそうだ。もし、銀行系が続々と個人向けローンに参入し始めた当初の目論見のように、消費者金融業界の莫大な利益を銀行に移転させることができれば、日本経済を悩ます不良債権問題も大半が解決したのではないかというのが父の意見。

 銀行を取り巻く環境は、数度の金融危機を経て大きく変わった。いわゆる変革の時代である。UFJの寺西頭取やその他の大手銀行のトップが国会で言い開きするニュースを見たことがある。公的資金を約束どおり返済しないと銀行は国有化され、経営者は責任を追及される。そして辞任を迫られる。退職金などない。会社の経営において背任や違法決算で訴追され、犯罪人として裁判になる可能性もある。有罪になれば当然刑務所に放り込まれる。

 これほどの重大な局面を迎えている銀行という法人は、ひょっとして、大きな責任を感じることなく、ユースケ・サンタマリアのように軽いノリで、国民の血税である公的資金をアット・ローンして、最後は返せなくて自己破産を申し立てる図式に似ているといえば、叱られるでしょうか?
 スミマセン…これ父の酒の上の訳の分らないボクリをそのまま頂きました。

coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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