ピアノ・レッスン
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映画の森てんこ森■映画レヴュー
ピアノ・レッスン (1993)
THE PIANO
 映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』を以下に目次別に紹介する。
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の解説及びポスター、予告編
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の映画データ
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の主なキャスト
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』のトリビア
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』のスタッフとキャスト
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ピアノ・レッスン 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の結末
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の感想
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』の解説及びポスター、予告編
ピアノ・レッスン
ピアノ・レッスン
■映画『 ピアノ・レッスン THE PIANO 』の解説

 映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』は、1993 年カンヌ国際映画祭のパルム・ドールに輝いた、ニュージーランド出身ジェーン・カンピオン監督作品。女性の監督としては初受賞である。映画『 ピアノ・レッスン 』で、沈黙の意志強いスコットランド女性エイダを演じたホリー・ハンターはカンヌをはじめアカデミー賞などの女優賞を獲得。また、映画『 ピアノ・レッスン 』で、エイダの娘フローラを演じ、 11 歳という最年少でアカデミー助演女優賞を受賞したアンナ・パキンがとても可愛い!映画『 ピアノ・レッスン 』を観終わった後は、マイケル・ナイマンの音楽が頭に回って離れない。(因みに私は、映画『 ピアノ・レッスン 』のサウンドトラックCDを買いました。)
 19 世紀、写真でしか知らない男性スチュアート(サム・ニール)に嫁ぐため、エイダは幼い娘フローラを連れて、遥々スコットランドからニュージーランドまで渡ってきた。話すことができないエイダはピアノをとても愛していた。しかし、浜辺に迎えに来たスチュアートは、彼女のピアノを持って帰ろうとはしなかった。刺青の男ベインズ(ハーヴェイ・カイテル)が、そのピアノをスチュアートから買い取るが…。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』の映画データ
 上映時間:121分
 製作国:オーストラリア
 公開情報:フランス映画社
 オーストラリア初公開年月:1993年8月5日
 日本初公開年月:1994年2月
 ジャンル:ドラマ/ロマンス
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■映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』の主なキャスト
●ホリー・ハンター as エイダ・マグレイス
ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE
レビティ (原題) (2003) LEVITY
サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと (2003) THIRTEEN
Mr.インクレディブル (2004) THE INCREDIBLES 』

●ハーヴェイ・カイテル as ジョージ・ベインズ
タクシードライバー (1976) TAXI DRIVER
リトル★ニッキー (2000) LITTLE NICKY
レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON
ナショナル・トレジャー (2004) NATIONAL TREASURE

●アンナ・パキン as フローラ・マグレイス
X−メン (2000) X-MEN
戦争のはじめかた (2001) BUFFALO SOLDIERS
25時 (2002) 25TH HOUR 』
X−MEN2 (2003) X-MEN 2
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■映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』のトリビア
 「映画の森てんこ森」内にあるカンヌ国際映画祭パルムドール作品
タクシードライバー (1976) TAXI DRIVER
ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO
ロゼッタ (1999) ROSETTA
ダンサー・イン・ザ・ダーク (2000) DANCER IN THE DARK
息子の部屋 (2001) LA STANZA DEL FIGLIO (伊題) / THE SON'S ROOM (英題)
戦場のピアニスト (2002) THE PIANIST
エレファント (2003) ELEPHANT
華氏911 (2004) FAHRENHEIT 9/11 』 (2005/03/13 現在)
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【『 ピアノ・レッスン 』のスタッフとキャスト】
監督: ジェーン・カンピオン Jane Campion
製作: ジェーン・チャップマン Jan Chapman
製作総指揮: アラン・ドパルデュー Alain Depardieu
脚本: ジェーン・カンピオン Jane Campion
撮影: スチュアート・ドライバーグ Stuart Dryburgh
音楽: マイケル・ナイマン Michael Nyman

出演: ホリー・ハンター Holly Hunter エイダ・マグレイス
    ハーヴェイ・カイテル Harvey Keitel ジョージ・ベインズ 
    サム・ニール Sam Neill スチュワート
    アンナ・パキン Anna Paquin フローラ・マグレイス
    ケリー・ウォーカー Kerry Walker モラグおばさん
    ジュヌヴィエーヴ・レモン Genevieve Lemon ネッシー
    タンジア・ベイカー Tungia Baker ヒラ
    イアン・ミューン Ian Mune 牧師

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ピアノ・レッスン 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

【ピアノ・レッスン 第01段落】  エイダ(ホリー・ハンター)は何故だか自分自身でも分からないが、6歳で話すことをやめた。彼女の父親はそれが彼女の"暗い才能"で、息を止める決心もしかねないほどの、意志の強さからだと思っていたらしい。また、エイダ自身も自分に声がないとは思っていなかった。なぜなら彼女にはピアノがあったから。ピアノが彼女の声であり、感情を表現する感覚器官だ。 19 世紀のスコットランドで、エイダは口のきけないシングル・マザーだった。父親はそんなエイダに縁談を決めてきた。神も口をきかない動物を愛するという理由で、エイダの声がないことを気にしないというお見合い相手は、スコットランドから遥か遠く離れたニュージーランドに住んでいた。 彼は 1840 年にイギリスの植民地になったばかりであるニュージーランドの入植者だ。 1852 年、意志強い目をした女性エイダは9歳の娘フローラ(アンナ・パキン)と共に写真でしか知らない未来の夫の許に旅立つ。旅の間ピアノを弾けないのが淋しくなるだろうとエイダは思う。

【ピアノ・レッスン 第02段落】  時化(しけ)の海の中、エイダとフローラはニュージーランドの浜辺にボートで到着した。フローラはすっかり船酔い。灰色の空、海、浜辺、眼前に広がる丘陵に、エイダは地の果てに来たような気がする。その上、天気が悪いせいで迎えは来なかった。スカートの張り骨に布をかけてテントを作り、エイダとフローラは浜辺で一夜を過ごした。フローラに手話で優しく寝物語をするエイダ。迎えに来ない父親となる人に怒ってフローラは言う。「パパと呼ばないし、顔も見てやらないわ。」フローラとエイダは一心同体母娘なので、この言葉はエイダの言葉でもあるだろう。

【ピアノ・レッスン 第03段落】  次の日、ニュージーランドの深い森の中を、エイダの夫となるスチュワート(サム・ニール:『 ウィンブルドン (2004) WIMBLEDON 』)は、荷物運びに雇った先住民マオリの人々と、彼らとの通訳兼交渉人である入植者ジョージ・ベインズ(ハーヴェイ・カイテル)と一緒に浜辺を目指して歩いていた。スチュワートはエイダの写真を見ながら、髪を櫛で撫で付けた。

【ピアノ・レッスン 第04段落】  スチュワートとエイダの出会いは、お互いへの幻滅から始まった。青白い顔でテントから出てきた小柄なエイダを見て、スチュワートはちょっとがっかりしたようだ。到着日に迎えに来なかった上に、スチュワートはエイダの大切なピアノを重過ぎると言って持って帰ろうとはしなかった。エイダはフローラを通してスチュワートにピアノを運んでくれるよう訴える。エイダの他人とのコミュニケーション手段は、手話を理解するフローラの通訳であり、自分の首につってあるケースの中のメモ帳に書く文字であった。ピアノを置いていくということは、エイダにとっては腕を切り取って置いていくのと同じこと。しかし、スチュワートにそのことが理解できる筈がない。彼はエイダの要求を無視した。

【ピアノ・レッスン 第05段落】  エイダが嫁いだニュージーランドのこの地域は雨と泥地が多かった。土砂降りの雨の中、エイダは簡易ウェディングドレスを着て、結婚の記念写真を撮った。彼女はスチュワートの所業に怒っていたので、結婚式をせずに記念写真だけにしたのだった。家の中に戻ってきたエイダは、ドレスを破って脱ぎ捨てた。そんな彼女を見て、スチュワートのおばモラグ(ケリー・ウォーカー)や彼女の娘(?)ネッシー(ジュヌヴィエーヴ・レモン)は驚く。窓辺に寄り添ったエイダは、雨に濡れる浜辺のピアノを思う。

【ピアノ・レッスン 第06段落】  スチュワートがマオリの土地を買いに行くので、数日家を開けることになった。本国からやって来た無口な新妻との関係はギクシャクしていたが、それは時間が解決してくれるだろうと彼は楽観していた。戻ってきたら第一歩から始めようと、エイダに言って出かけて行く。

【ピアノ・レッスン 第07段落】  ピアノが弾きたくてたまらないエイダは、泥地を必死に歩き、浜辺に連れて行ってもらうためにフローラと一緒にベインズの家を訪ねた。顔にマオリ人のような刺青がある男ベインズの小屋のような家は、森の奥にひっそりと建っている。エイダはベインズに自分の要求を書いたメモを渡すが、彼は字が読めなかった。そこでフローラに通訳を頼み、エイダの意思は通じるが、ベインズは断った。しかし、家の外で待ち続ける二人を見て、ベインズは折れて浜辺へ連れて行った。

【ピアノ・レッスン 第08段落】  到着するや否やエイダはピアノに走り寄り、早速弾いた。彼女のピアノに合わせて浜辺をダンスするフローラはまるで妖精のよう。そして何より、心を解き放ってピアノを弾くエイダはとても美しかった。エイダの弾くピアノ曲は、彼女独自のもので、どこかの作曲家が作ったものではない。ピアノは彼女の心を表現する、肉体の一部なのだ。エイダはピアノを弾くことで、障害を持たない一人の人間になれた。ベインズはピアノを弾くエイダを見て恋に落ちる。ピアノ、それを弾く黒いドレスを着たエイダ、流れるエイダだけの音楽、その母の音にはしゃぐフローラ、フローラが貝殻で砂浜に作った絵、エイダに感動する男ベインズ、砂浜の足跡…。ニュージーランドの灰色の浜辺に広がるそれらの光景は、とても詩的で美しい。

【ピアノ・レッスン 第09段落】  スチュワートが家に戻ってきたとき、エイダは食卓の木のテーブルに彫ったピアノの鍵盤の絵を弾いて、フローラに歌わせていた。スチュワートはエイダが声だけでなく、頭もおかしいのではと心配になり、教会の劇の準備に忙しいモラグおばさんに相談に行った。「無言はかまわない、慣れれば愛情を示してくれるだろう」と言うスチュワートに、「口をきかないペットと同じですよ」と答えるモラグおばさん。そんな二人の会話をベインズが聞いていた。エイダとスチュワートの仲が巧くいっていないことを知ったベインズは、ある行動に出た。

【ピアノ・レッスン 第10段落】  「向こう岸の 80 エーカー( 32ha )の土地をピアノと交換しよう。」ベインズはスチュワートに申し出た。ベインズの真意を知らないスチュワートは願ってもない申し出に喜んだ。ピアノのレッスンがしたいと言うベインズに、スチュワートはエイダにピアノを教えさせると約束した。その話をスチュワートから聞いたエイダは激怒する。部屋に干した洗濯物を引き落とし、カップを割って怒りを表すエイダだったが、「犠牲に耐えるのが家族だ。奴に教えろ。」とスチュワートはまたしてもエイダの気持ちを無視した。スチュワートは、ピアノと一緒にエイダをベインズの許へ行かせる事が、どういうことなのかを理解していなかったのだ。

【ピアノ・レッスン 第11段落】  エイダはフローラを連れ、レッスンのためにベインズの家を訪ねた。文字も読めない粗野な男が、ピアノを弾ける筈がないと考えているエイダは、「音の外れたピアノでは教えられない」と、フローラにベインズを教えさせようとした。ベインズの家には入らず、外で待とうとしたエイダだったが、フローラが弾くピアノの音を聞き、引き寄せられるように家の中に入ってきた。最初のレッスンに先立って、スチュワートと違って本当のエイダを知るベインズは、マオリ人に運ばせたピアノを盲目の調律師に調律してもらっていたのだった。ベインズは自分がピアノを弾いて練習するのではなく、エイダの弾くピアノの音を聞いて練習したいと言う。

【ピアノ・レッスン 第12段落】  その夜、何度も聞いている自分の父親についての話をフローラはエイダにせがんだ。二人の会話から推測するに、フローラの父親はエイダのピアノの先生だったのではないかと思う。それにピアノと一緒のときにエイダは本当のエイダになるのだから、ピアノ込みのエイダと接しなければ、彼女と心通わせることはできないだろう。エイダとフローラのベッドにスチュワートがお休みのキスをしにやって来たが、エイダは彼に応えなかった。この状況からもわかるように、スチュワートは結婚して以来、まだエイダと一夜を共にしたことがない。

【ピアノ・レッスン 第13段落】  エイダがベインズの家でピアノを弾いているとき、雨が降る中フローラはスチュワートの犬フリンと外で遊んでいた。ピアノを弾くエイダに女性を感じるベインズは、いきなり彼女の白い首筋にキスした。驚いてピアノから離れるエイダに、ベインズは取引をしようと話し掛けた。エイダがピアノを弾く間にしたいことをさせてくれれば、一回来るごとに鍵盤が一本ずつエイダのものになる…エイダは究極の選択に悩むが、黒鍵の数で数えるようにと条件を出した。ベインズはエイダの主張を受け入れ、取引は成立した。

【ピアノ・レッスン 第14段落】  それからフローラはエイダのピアノ・レッスンの間、ベインズの家に入ることができなくなった。フローラのストレスは溜まる。レッスンの回を重ねるごとに、ベインズのエイダへの要求はエスカレートしていった。その度にベインズは取引の鍵盤の数を増やして、エイダを渋々納得させた。

【ピアノ・レッスン 第15段落】  教会で地域の親睦を深めるための劇が行われた。他の入植者たちはもちろん、マオリの人々も招待された。フローラが他の子供達と一緒に、天使の役で出演するので、保護者としてスチュワートとエイダも出席した。姿を見せたベインズに、他の男達はピアノのレッスンを始めた彼をからかった。ベインズは椅子を一個飛ばしてエイダの隣に座ったが、子供達の天使の演目が始まったとき、スチュワートがエイダの手を握るのを見て、居たたまれなくなり席を立った。エイダはそんなベインズを知って、ほくそえむ。教会の牧師(イアン・ミューン)が演出・出演の大人達の劇の演目は「青ひげ」だ。演劇という文化のない(?)マオリの人々は、現実と虚構の区別がつかず、そのおどろおどろしい演出をすっかり真に受けてしまった。妻を襲おうとする青ひげの影が、舞台に張られた白い布に映ったとき、マオリの若い男達は妻を助けようと舞台に跳びかかっていった。劇は台無しに。モラグおばさんはマオリの人たちに出演者を紹介し、劇が真実でないことを教えた。多分ニュージーランドへの入植初期には、こんなトラブルが本当にあったのかもしれない。

【ピアノ・レッスン 第16段落】  次にエイダがベインズのレッスンに訪れたとき、彼はすっかり落ち込んでいた。何の要求もせず、エイダに好きにするように言うベインズ。エイダはピアノを弾き始めるが、ベインズの気配がなくなったのに気付く。心落ち着かないエイダはベインズを探すために、部屋の仕切りのカーテンを開けた。素っ裸のベインズの姿がエイダの目に入った。うろたえるエイダに、ベインズは「君も裸になってくれ」と要求する。エイダは少し考え、鍵盤 10 本で承諾した。こんな要求に応じるなんて、エイダもベインズに惹かれ始めていたのだろう。

【ピアノ・レッスン 第17段落】  フローラは外で遊んでいたが、ピアノの音がやんだのを不思議に思い、ベインズの家の中を板の壁の隙間から覗いた。家の中には、裸で重なり合うベインズと母エイダがいた。しかし、幼いフローラにはそれがどういうことを意味するのかはっきりとは分からない。別の日、フローラはマオリの子供達と木にしがみついて体を摺り寄せる遊びをする。キリスト教的価値観からすれば淫らな遊びをしているフローラを見たスチュワートは、その遊びを止めさせた。そして木を汚した罰としてフローラに木を拭かせた。スチュワートに叱られて、こんな掃除をしなければならないのは、全部母エイダのせい。自分と遊ばずにベインズと遊んでいるエイダに腹を立てたフローラは、スチュワートにピアノのレッスンの状況を教えた。「レッスンは進んでないわよ。ママが勝手に弾くんですもの。全然弾かない日もあるのよ」

【ピアノ・レッスン 第18段落】  スチュワートが妻とコミュニティーの変わり者の仲を疑い始めたとき、ピアノがベインズから返されてきた。ベインズは強迫まがいにエイダを自分の意のままにしたことを後悔していた。森の中でマオリ人たちがピアノを運ぶのを見て、急いでベインズの家にやって来たエイダに告げる。「ピアノを君に返す。君を淫売にしては自分が情けない。君はおれを愛せない。帰ってくれ。」ピアノが戻ってきたことで、ベインズから手に入れた土地を返さなければならなくなったと焦ったスチュワートだったが、ベインズが無料でピアノをエイダに返すというのを聞いて愚かにもホッとする。

【ピアノ・レッスン 第19段落】  しかし、せっかくピアノが自分のところに帰ってきたというのに、エイダはピアノを弾こうとはしなかった。弾こうとするのだが、ベインズのことが気になり、ピアノに集中できない。エイダはついて来ないでとフローラに言って、一目散にベインズの家に向かった。エイダとフローラが森の中で言い合っているのを偶々目撃したスチュワートは、一人残されたフローラに「ママはどこへ行った?」と尋ねる。怒り心頭のフローラは「地獄よ」と叫んだ。不審に思ってエイダの後を追うスチュワート。

【ピアノ・レッスン 第20段落】  急に訪ねてきたエイダに、彼女を思う苦しい恋心を話すベインズ。「おれのことを思っていないなら、行ってくれ。」と言われたエイダは、座り込み頑として帰ろうとしなかった。二人の気持ちは通じ合い、愛し合う。

【ピアノ・レッスン 第21段落】  エイダを追ってベインズの家に来たスチュワートが、恐る恐る板の壁の穴から中を覗くと、よその男と愛し合う自分の妻がいた。その妻は、自分の知る警戒心を露にした女性ではなく、開放的で美しい、今まで一度も見たことがないエイダだった。スチュワートは家の中に踏み込んでいくのも忘れて、エイダの官能的な姿を観察し続けた。帰る身支度をするエイダに、本気なら明日も来てくれとベインズが頼むのを、スチュワートは家の床下で聞いていた。

【ピアノ・レッスン 第22段落】  次の日、エイダはベインズの家に急ごうとしたが、途中スチュワートに遮られてしまう。自分に襲いかかるスチュワートからなんとか逃れようとするエイダ。そんな時、フローラの叫び声が森に響いた。「ママ、あいつらがママのピアノをいじっているわよ。」スチュワートの家にあるピアノをマオリの人たちが勝手に触りにやって来たのだ。

【ピアノ・レッスン 第23段落】  表向きには家族をマオリ人から防ぐため、実際はエイダを家に閉じ込めるために、スチュワートは家の窓に板を張り、ドアには外からかんぬきをつけた。エイダはベインズとの約束を果たすことができなくなった。「行っちゃいけないのよ。私とパパを怒らせて。」と言うフローラにも返事をせず、エイダは呆然とベッドで横になったまま。夜中、スチュワートはエイダのピアノの音で目を覚ました。エイダは無意識のうちにピアノを弾いていた。以前イギリスで、今のように意識のない状態のエイダがロンドンの方へさ迷って足を傷だらけにしたことがあると、フローラはスチュワートに教えた。多分それはフローラの父親を失ったときのことだろうと思う。

【ピアノ・レッスン 第24段落】  ある日、モラグおばさん達がスチュワート宅を訪れたとき、エイダは、彼女たちの話からベインズがこの土地から離れることを知る。エイダはおのずとピアノに向かい、辛い自分の気持ちを表現した。スチュワートとフローラにはそのピアノの音の意味がわかったが、モラグおばさんたちには分からない。帰る途中、便意を催したおばさんは、ネッシーと召使のマオリの女性に布で自分を隠させて、用を足す。その間もおしゃべりなおばさんは、エイダの気分を蝕むような、ピアノの弾き方がヘンだとしゃべった。全てし終わると、モラグおばさんは猫のように自分の排泄物に足で砂をかけて隠した。昔の女性はこんな風にしたんだなぁと、面白いシーンだった。

【ピアノ・レッスン 第25段落】  ベインズが恋しいエイダは、夜な夜なスチュワートの部屋へ行き、ベインズの代わりにスチュワートの体を触るようになった。しかし、スチュワートがエイダに触れようとすると、彼女はさっと身をひく。堪らなくなったスチュワートが「抱きたい。何故嫌がる?僕が嫌いか?」と訊いても、エイダは応えなかった。

【ピアノ・レッスン 第26段落】  スチュワートはエイダを信頼することにした。窓の板もドアのかんぬきも外し、彼は仕事に出かけていった。エイダは夫が家を出て行くと、ピアノの鍵盤を1本外し、火であぶった針金のようなもので、その鍵盤に美しい文字を書いた。「ベインズ、私の心はあなたのものよ、エイダ。」エイダはそれを布で包んで、嫌がるフローラにベインズの所へ持っていくように強いた。フローラはベインズの所に行く振りをして、エイダの贈り物をスチュワートの所へ持っていった。

【ピアノ・レッスン 第27段落】  丘陵の上で、スチュワートはマオリの若者達に手伝わせて、自分の土地の境界線に杭を打っていた。「あんたはずるいよ。」マオリの青年はスチュワートに言う。その言葉に返事することなく仕事を続けるスチュワートに、フローラが例の物を持ってきた。鍵盤に書かれた文字を読んだスチュワートは、裏切られた怒りに燃え、斧を持って丘陵を駆け降りていった。また、雨が降ってきた。

【ピアノ・レッスン 第28段落】  「信じていたのになんて女だ!裏切りは許さんぞ。」家で本を読むエイダにスチュワートは斧を振り上げた。エイダは咄嗟(とっさ)にかわすが、外に連れ出され、切り株の上に右手を押さえつけられた。「奴が好きか?」とスチュワートに訊かれたエイダは、その問いに反論することなく、自分の身に起こる恐ろしいことに身構えた。そばにいたフローラの「 No! 」という叫び声が空しく響くと同時に、斧は振り下ろされた。エイダは右手を抑え、ふらふらと立ち上がり、ベインズの家の方に向かおうとしたが、その場にふんわりと倒れて動かなくなってしまった。スチュワートは「今度ベインズに会おうとしたら、次々に指を落とすと言え!」と、布に包んだエイダの人差し指をフローラにベインズの所へと持って行かせた。

【ピアノ・レッスン 第29段落】  フローラは激しく降る雨の中、泣きながらベインズのところへ向かった。スチュワートのエイダへの仕打ちに怒ったベインズだったが、自分が何かすれば、またエイダの指が落とされるかもしれない。一緒にいたマオリの女性に諭されたベインズは、パニックに陥るフローラをなだめることしかできなかった。

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ピアノ・レッスン 第30段落】  その夜、意識を失ってベッドで眠るエイダに、スチュワートは話しかけた。「奴に愛を送るなんてあんまりだ。君を愛したい。だから翼を切った。」気持ちを押さえられなくなったスチュワートが、ベッドでぐったりしているエイダに触れたとき、彼女は意識を取り戻した。気まずそうなスチュワートをじっと見つめるエイダ。その時、スチュワートはエイダの声を聞いたような気がした。

【ピアノ・レッスン 第31段落】  スチュワートはフローラと一緒にぐっすりと眠っているベインズに銃口を当てた。目を覚ましたベインズに、スチュワートはエイダの声を聞いた気がしたことがあるか尋ねた。ないというベインズに、自分は頭で彼女の声を聞いたと話すスチュワート。そして自分が聞いたエイダの話をベインズに教えた。「自分の意思が怖い。何をするか分からない強い意志が。ここを立ち去らせて、ベインズと一緒に。彼なら私を救える。」スチュワートはベインズにエイダと一緒にこの土地を立ち去るように言った。

【ピアノ・レッスン 第32段落】  エイダはベインズと一緒に、マオリ族の船に乗って、北の町に移ることになった。もちろんフローラも一緒だ。マオリはエイダの重過ぎるピアノを船に乗せるべきではないというが、ベインズは降ろさせようとはしなかった。しかし、沖に出た船はピアノのせいで一向に進まなかった。ベインズがエイダの手を握ったとき、エイダはピアノを海に捨てることを決心した。ベインズは納得しなかったが、エイダは言い出したら聞かない。ピアノは海に投げ捨てられた。その時エイダはピアノを固定していたロープの中に足を入れた。そのロープに足をとられ、エイダもピアノと一緒に海の中へ沈んでいく。このままエイダはピアノと一緒に死んでしまうのだろうか。

【ピアノ・レッスン 第33段落】  息が苦しくなったエイダはもがいて、足をロープが絡まった靴から滑りぬかせることができた。エイダは海面に浮上し、マオリの男達によって船の上に助け上げられた。 What a death! What a chance! What a surprise! (何という死!何という運命!何という驚き!)エイダの意思が生を選んだのだろうか。この出来事はエイダ自身と多くの人を驚かせた。海に沈んでいくピアノがなんともシュールなシーンである。

【ピアノ・レッスン 第34段落】  ピアノは失ったが、ピアノの代わりを見つけることができたのだろう、エイダはベインズとフローラと一緒に北の町で幸せに暮らした。ベインズに義指を作ってもらって、エイダはピアノの先生になった。人々の奇異の目は気にならない。人前では恥ずかしいが、エイダは発声の練習も始めた。しかし、夜になると、エイダは海の中のピアノとその上を漂う自分を思った。海底は静かで、それはエイダだけの子守歌だ。

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【ピアノ・レッスン 感想 第01段落】  エイダの弾く曲が頭から離れなかったので、マイケル・ナイマンのCDを買ってしまった。この映画のようなピアノの出てくる映画(『 海の上のピアニスト (1999) THE LEGEND OF 1900 』『 シャイン (1995) SHINE 』『 不滅の恋/ベートーヴェン (1994) IMMORTAL BELOVED 』など)を観ると、もっとちゃんとピアノの練習をすればよかったと後悔する。エイダほどではなくても、自分の感情を楽器で表せたらどんなにいいだろうと思う。ホリー・ハンターはピアノのシーンを吹き替えなしで演奏したというからスゴイなぁ。 1953 年 3 月 20 日(うお座)、ジョージア州の農家に生まれたホリー・ハンターは7人兄妹の末っ子。現在、どんな役でもこなせるハリウッド女優の一人として活躍する彼女は、両親の励ましで若い頃から演技を始めた。彼女が初めて演じた役は、5年生のときの劇でのヘレン・ケラーだそうだ。彼女が見事にエイダを演じたのが納得できる女優としてのスタートだ。

【ピアノ・レッスン 感想 第03段落】  
 ところで、ピアニストやピアノに関わる映画は良いドラマがある。
 もちろん本作『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』もそうだが、『 海の上のピアニスト (1999) THE LEGEND OF 1900 』『 ピアニスト (2001) LA PIANISTE (原題) / THE PIANO TEACHER (英題) 』『 戦場のピアニスト (2002) THE PIANIST 』など、どれも感動的で余韻が残る。

【ピアノ・レッスン 感想 第04段落】  本作を盛り上げたのは、ホリー・ハンターの名演技もさることながら、オーディションで 5000 人の中から選ばれたというアンナ・パキンの可愛らしさもあるだろう。ニュージーランド人として初めてアカデミー助演女優賞に輝いた彼女は、当時 11 歳( 1982 年7月 24 日生まれのしし座)。オスカー最年少受賞者のうちの一人となった。子役から大人の女優への移行に巧く成功した、
クリスティナ・リッチ(
バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66
スリーピー・ホロウ (1999) SLEEPY HOLLOW 』等に出演)や
キルステン・ダンスト(
若草物語 (1994) LITTLE WOMEN
わたしが美しくなった100の秘密 (1999) DROP DEAD GORGEOUS
ヴァージン・スーサイズ (1999) THE VIRGIN SUICIDES
スパイダーマン (2002) SPIDER-MAN 』等に出演)のような活躍を期待していマス。

【ピアノ・レッスン 感想 第05段落】  ジョージ・ベインズ役のハーヴェイ・カイテル Harvey Keitel の存在も大きい。ハーヴェイ・カイテルを初めて観たのは映画『 タクシードライバー (1976) TAXI DRIVER 』でのポン引き役でだ。それから『 リトル★ニッキー (2000) LITTLE NICKY 』での演技。まだ観ていないがこのファイルを更新した3/13日時点では、日本公開前だが彼の出演する映画『 ナショナル・トレジャー (2004) NATIONAL TREASURE 』ではどのような役割を果たしてくれるのだろうか。

【ピアノ・レッスン 感想 第06段落】  ブロンテ姉妹の「ジェーン・エア」や「嵐が丘」級のメロドラマである本作を作り上げたジェーン・カンピオンは、 1954 年 4 月 30 日生まれ(牡牛座)のキレイな人。母は女優で脚本家、父は演出家という環境が、美人で才能溢れる人を作り出したのだろう。声がないゆえに唯一の表現手段であるピアノに凝り固まっている女性が、自分を理解して愛してくれる男性を得て、心を解放するというシンプルなストーリーなのだが、それを表現する映像が本当に美しかった。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず10440文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      ニュージーランド在日大使館HP
■映画『 ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』の更新記録
2003/01/09新規: ファイル作成
2005/03/13更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
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幸田 幸
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